COLUMNコラム

【学齢期のこどもの心理】『不登校』という現象について考えてみる①

みなさん、こんにちは。所属カウンセラーのY.Yです。
第5回は『不登校』という現象について考えてみる①です。

間もなく新年度を迎えますが、この1年は新型コロナウイルスの影響により、社会全体が一変しました。生活様式でもマスクをつけ、ソーシャルディスタンスを保ち、出来る限り集団活動を行わなかったり時間をずらしたりするなど『自分を守る』ための工夫をするようになりました。

私は現在、子ども関係の職場で兼務していますが、コロナ不安が広まる中、学校でもコロナ対策を徹底しています。個々に登校時に消毒を行い、集団授業では1人1人のスペースを開けていますし、給食は班にせず前を向いたまま食べるようになりました。部活動も中止や時間短縮がなされています。カウンセリングでもパーテーションを用いたり距離を取ったりしています。
コロナ禍での心づもりについては、弊社のS医師のコラムが大変参考になるかと思いますので、そちらに譲ります。

これまで私は「子どものストレス」について取り上げてきました。<➡こちらから第1回第2回第3回第4回
今回からは『不登校』に関わる内容を取り上げて参ります。
最近では、「外に出たくない」「外に出したくない」というコロナ不安によって登校が困難になる子どももいますが、私自身『不登校』というテーマに携わり13年、たくさんの人と関わってきました。その体験から学んだエッセンスを少しずつお伝えしていきます。
まずは概論です。

 

そもそも『不登校』とは何でしょうか?

文科省の不登校の定義をまとめると、以下のように説明されています。

「年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒」の中で、何らかの心理的・情緒的・身体的・あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(「病気」や「経済的理由」による者を除く)です。

 令和元年度の文科省による統計調査(※1)では、『不登校』の児童生徒は、全国の小中学校で合計18万人を超えています(図―1)。

年々不登校児童生徒数は増えているのが現状です。このような定義や合計数だけを挙げると、「大きな問題だ」とか「こんなに学校に来ていない子がいるの?」とか「これ解決出来るの?」と思う方々もいるかもしれません。また「何とかして学校に行かせないといけない」「どうやったら学校に行くことが出来るのか」「学校に行けない子はダメだ」と考える大人もいれば、「行きたくても行けない…」「また明日も登校するように言われる…」「僕はダメな子なんだ…」と思い悩む子どももいます。

周囲の人たちや世間が色んなことを言うでしょう。そして、当事者自身も色々なことを考えるでしょう。このようにして『不登校』という言葉は世の中に行き渡り、批判する人が増え、当事者(子どもたち、保護者や関係者)にとっては「どうしよう…」という困惑と不安が段々と押し迫ってきます。
しかし、『不登校』は、学校に行けていないという『結果』を表す言葉でしかありません。単に否定的な『結果』として捉えることだけでは、なかなか状況を打開することは出来ないでしょう。その『結果』の背景に目を向けていく必要があります。

<図―1 不登校児童生徒数の推移>

『不登校』の理由って何?

各子どもたちの『不登校』には様々な背景があります。家庭環境、家族関係、学習、将来・進学、友人関係、先生との関係、部活動、子ども自身の考え方や性格、生活リズムの乱れなどの大枠の理由もあります。下記に図示します(図―2参照)。
一方、「教室の休み時間の雰囲気に馴染めない」「家から学校までのみちのりが精神的にしんどい」「不登校の原因は別にあるけれど、時間が経過して、勉強についていけなくなったから」などの細かい理由や後から生じる理由もあります。
ほとんどは幾つかの理由が絡み合っています。最近は「コロナ不安」による理由も挙げられます。このことからも、『結果』として考えるだけではなく、様々な理由があり、その度に子どもがどのような気持ちになっているのかを、子ども自身も周囲も考えていくことが大切です。

<図―2 不登校の理由(背景にあるもの)>

 

『不登校』になったら、どのように考えていけばいいか?

『不登校』という現象は、なかなか肯定的に考えることが難しいかもしれませんが、発想の転換をしてみることも一案です。以下に、『不登校』への異なる考え方について挙げてみます。

【『不登校』の異なる(肯定的な)考え方】

●意思を示すサイン
子ども自身が、それまで様々なストレスを溜め込んできて、辛い状態であることを示す大きな訴えと考えます。上述した理由があっても、子どもが言葉で言えなかったり我慢していたりすると周囲もなかなか気づきませんが、1つの「サイン」として考えることで、みんなが、子どものこころについて考えるきっかけとなります。

●充電期間
何らかの理由で心身のエネルギーが失われていたり目の前のことに集中するほどのエネルギーがなかったりしている状態と捉えます。心身の疲労が著しい場合もあります。そのため、今一度エネルギーを溜めていく期間になります。単に「行けない」のではなく、何かを行うために力を蓄える時期です。ガソリンを補給しなければ車は走りません。ガソリンスタンドは必要です。

●自分を守る方法
刺激の多い状況や自分自身に対応する術がない時、誰も助けてくれないと思う時に、自分のいられる場にいること、辛い中でも少しは安心したり身を隠したり出来ることは大切なことです。精神的に辛い時には、物理的に覆ってもらう環境があることは、様々な刺激から身を守ることにも繋がります。

●不登校経験のない人たちが抱かない感情や考え方を学ぶ機会(これは大分先になってから感じられるようになることです)
不登校は「挫折」体験です。ひどく辛い時期です。「もうこんなの嫌だ…」と絶望の淵に立たされる子も多いです。このような辛い体験だからこそ「痛み」を知れる機会であり、様々な気持ちを培う貴重な時間にもなりえます。私の出会ってきた子どもたちの中には、後々に「不登校になって、色々と経験出来た、考えることが出来た」という子もたくさんいました。

良くも悪くもまだまだ考え方はあります。理想論と思う方もいらっしゃると思います。確かに辛い時にはネガティブな気持ちが強くなり、マイナス思考に陥りやすいです。そして、何か行動を起こそうにも厳しいこともあるでしょう。

しかし、物は考えようです。一人ではなかなかそのように考えることは困難ですし、もしかしたら身の回りに理解してくれる人がいないと感じる可能性もありますが、保護者の他にも、親戚、学校の先生方、スクールカウンセラー、友達、近所の方、ネット上で知り合う不登校経験者などなど…、必ず話を聴いてくれる人は見つけられます。なぜなら、18万人もの不登校の児童生徒がおり、その保護者や関係者、そして不登校経験者が世の中には多数いるわけなのですから。

 

 

【まとめ】

〇文科省の調査によれば、令和元年度現在で全国の不登校児童生徒の人数は18万人を超えている。
〇不登校は「結果」を表す言葉である。不登校の背景にあるものに目を向けることが大切である。
〇『不登校』の経験はどうしてもネガティブな考え方になってしまうが、前向きな考え方で捉えてみることも大切である。ここでは、主に4つの前向きな考え方を取り上げた。
〇『不登校』については、一人で考えることは難しく、誰かに相談したり話を聴いてもらったりすることが大切である。

今回は主に、「不登校って何だろう?」ということについて、大きな見方で取り上げてみました。私個人は、「不登校」という言葉が、余りにも子どもにも大人にもインパクトの強過ぎる印象を抱いています。確かに年々件数が増えていますが、その言葉だけが世の中に先行していくことを憂慮しています。それよりも、子どもに起きている目の前の一つ一つについてをみんなでじっくりと考えていくことを大事にしていきたいものです。

まだ、この文章には続きがあります。結局、またまた長文化したため、分割しました。先にも述べましたが、『不登校』という事象にずっと向き合ってきたため、色々なことが浮かび、どの視点から話そうかも悩んでいるのが実情です(笑)

次回以降も徒然と『不登校』について、様々な視点で述べていきたいと思います。

 

【引用・参考資料】
※1 令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について

 


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Writing byY.Y

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