COLUMNコラム

【学齢期の子どもの心理】『インターネット依存』という状態について考えてみる②

こんにちは。所属カウンセラーのY.Yです。

2月は日数が少なく、あっという間ですね。

それでも、毎年ある節分の豆まきやバレンタインデーといったイベント、「建国記念日」や2月になった「天皇誕生日」という国民の休日もあります(本日ですね)。

また、今年は北京での冬季五輪が開催され、サッカー界においては初の中東開催であるカタールワールドカップの最終予選で盛り上がるなど、振り返ると随分と中身の濃い1ヶ月だったなあと感じています。

他方、コロナ禍、オミクロン株の圧倒的な感染力に伴い、身の回りにも感染者や濃厚接触者が増え続け、他人事ではないと痛感しつつ、出来ることはマスクと手洗い・うがい、そして換気だと思い、粛々と過ごしている私もいました。

しかし、何よりも2月末に必ず思うことがあります。
「1年の6分の1が終わった」ということです(笑) これを言うと、大体の方から「そんなこと言わないで」と言われます。それにしても、本当に時の過ぎ去るスピードって凄いなと感嘆します。3月にも同じ論理のつぶやきをすると思いますが、お許しくださいm(__)m

そういう意味では、受験生は「時間との勝負」を意識される時期だと思います。
改めて、本当にお疲れ様ですm(__)m
受験だけの不安に留めたいのに、コロナ不安で様々なことに気配りしなければならない現状、いつの間にか神経をすり減らしていると思いますので、何かホッとすることを必ず自分に与えてあげることはもちろん、「受験が終わったらやりたいことリスト」を書いてみて、束の間の自由時間をお過ごしください!!

さて、前置きがまた長くなり申し訳ないですが、今回は【『インターネット依存(以下、ネット依存)』という状態を考えてみる】の第2弾です。
前回はネット依存の歴史や実状、そして要因について触れ、少し内容が堅かったかなと思います。

【学齢期の子どもの心理】『インターネット依存』という状態について考えてみる①

今回も、少し堅く感じるかもしれませんが、ネット依存のメカニズムのイメージについて取り上げます。

依存のいろいろ

依存について改めて振り返ってみます。
受験シーズン、年度末、コロナ禍と、不安が差し迫る時期、こういう時もですが、人は自分にとって大きな不安と直面した時やストレスが溜まった時に、何かにすがることやどこかに逃げたくなることってありませんか?
大人ならば、ギャンブル(競馬、パチンコ、スロットなど…)、お酒、望ましくはないですが薬物もあります。それから、買い物や食べ物で満たそうとすることもありますし、セックスによる快楽にはまることもあるでしょう。

子どもはどうでしょうか。上記の対象の中で言えば、多いのは「食べ物」でしょうか。ひたすら食べる時もあれば、食べて吐いてを繰り返すこともあるでしょう。行く末には「摂食障害」という精神疾患を患うことがあります。
また、最近はSNSを通じて知り合った大人と子どもの関係において、一時的に契約を結びつつ、男女の関係に発展し、互いの欲求を満たす中で、性への依存度が増していくこともあるでしょう(なお、この行為は、「援助交際」、「買春・売春」、「リベンジポルノ」といった違法行為であり社会的問題として、またの機会に取り上げられたらと考えています)。

ネット依存のいろいろ

前回も申し上げたように、今最も子どもが身近にあるものとしてのめり込む対象は、「ネット」であり、様々なアプリなのでしょう。「ゲーム」、「SNS」、「アダルトサイト」、「動画・実況など」「BBS(電子掲示板))」といった、興味深い数多くのアプリが、子どもたち(大人もですが)を引き寄せています(図-1)。

図-1 子どもが利用するアプリのいろいろ

ネット依存の背景にあるもの

前回、ネット依存の原因について、「環境要因」と「心理的要因」について述べました。
いずれの要因もありますが、とりわけ「心理的要因」で述べた、①注目される機会、②匿名性の中で自由に表現出来る機会、③所属意識を感じて「居場所」となる機会は、より深い背景があるのだろうと考えています。
「心理的要因」➡【学齢期の子どもの心理】『インターネット依存』という状態について考えてみる①

子どもにとって、①~③で得られる感覚や感情が、現実世界では得られない、もしくはとても稀薄していると感じているからこそ、「ネット」の世界に、そして様々なアプリの世界に、その①~③の感覚や感情を求めて、意識なのか無意識なのか、のめり込んでいるのかもしれません。少なくとも私は、そのように見立てています。

「人」に上手く依存することが難しいから、身の回りにある「物」に依存することになると考えます。

そうだとするならば、現実世界での人との「つながり」がほとんど得られず、その「つながり」の中で子ども自身の肯定的な感情が湧き出ないでしょうから、「ネット」の世界で「つながり」を作り、肯定的な感情を感じ取っているのでしょう。

私は、前回のコラムで、「ネットの世界は、本当に自由で、『万能感』を抱きやすい空間」と述べました。今回は、このネット依存のメカニズムを具体的に理解するために、「現実世界での人とのつながり(ヒトに対する依存)」と、「ネット世界での人とのつながり(対物依存)」を比較して説明してみます。

ネット依存のメカニズム:「現実世界での人とのつながり」

まず、「現実世界での人とのつながり(ヒトに対する依存)についてです(図―2)。現実世界であれば、両親や友人、恋人、先生など…様々な身の回りの人たちに、情緒的な接触をすることが出来ます。つまり、直接的に、安心して、甘え、頼ることが出来ます。当然、みんな知っている人たちであり、子どもの欲求を満たしてあげることが出来ます。

図―2 「現実世界での人とのつながり(ヒトに対する依存)」

この対人依存は、実は、初めて子ども自身が、自分以外の存在に関わる体験となる「母子関係」を起源として考えることが可能です(図-3)。
赤ちゃんには母親の存在が不可欠であり、最初に依存する対象が「母親」なのです。具体的には、赤ちゃんは、母親のおっぱいを吸ったり、母乳を飲んだりします。赤ちゃんは、満たされないと声を上げて泣き、何かを訴えます。このように、赤ちゃんは母親によって何でも満たされる存在であり、当然、赤ちゃんは母親によって満たされるという自覚はありませんが、全ては自分の思い通りになるというファンタジーを抱く存在と考えられます。
この赤ちゃんと母親の関係で生じる「依存」は、人が成長していくにつれて、別の対象に向け替えられていき、様々な対象との依存関係として、現れていきます。
このプロセスを順調に辿っていき、人に対して、上手く甘え、頼ることが出来る子どもは、現実世界での人間関係が充実したものとなり、満たされ続けることになるでしょう。

図-3 対人依存の原型としての母子関係のイメージ

ネット依存のメカニズム:ネット世界での人とのつながり

次に、「ネット世界での人とのつながり(対物依存)」です。ネット世界では、子どもはパソコンやスマホという機械(モノ)を用い、その機械を介して、ネット・オンラインゲームを始め様々なアプリに、はまり、のめりこみます。

しかし、機械(モノ)は、情緒的な接触は発生しません。子どもの欲求を満たしてくれるような適切なリアクションは無く、一方通行になることも多いでしょう。
中には、オンラインゲームやSNSといったアプリならば、アプリ利用者である相手(ヒト)に甘え、頼る関係性は生じるかもしれません。

ただし、そのネット上のアプリの世界での対人関係は、互いに誰だか分からない「匿名性」が特徴的であること、あくまで機械を介した間接的な交流であることなどの特徴があります。
従って、現実世界で体験するような情緒的な接触は不可能ないし稀薄となります。
例えば、オンラインゲームならば、ゲーム上でのやりとりという限定的な関係でもあり、現実世界で得られるような、等身大の自分自身を理解してくれるような、欲求を満たしてくれるようなツールというのはかなり困難と言えるでしょう。

図―3 「ネット世界での人とのつながり(対物依存)」

先ほど、「対人依存」の起源を「母子関係」でイメージしてみましたが、この「対物依存」としてのネットと子どもの関係を、それに当てはめると、以下のようなイメージとなります(図-4)。すなわち、母親のところがネットに変わるイメージです。これだけ見ればシンプルです。

図-4 対物依存としてのネットと子どもの関係のイメージ

このことがどういう意味を含むか、ここが大切です。

対人依存の原型としての「母子関係」では、赤ん坊の欲求に対して母親が応答します。そして、成長した子どもには、様々な対象である身近な人々が応えてくれることでしょう。
虐待やいじめ、体罰といった不適切な体験をしてきた子どもの場合には、そのようにはいかないでしょう。子どもの欲求を満たしてくれるような情緒的な通い合いは薄く、その関係性から安心や安全は得られないでしょう。子どもは、一方的に甘え、頼り続けるものの、適切な応答が得られないことが多いです。

一方で、ネットは、パソコンやスマホという機械を用いたものです。子どもがネットに甘え、頼ったとしても、母親やその他の人々と同じようなリアクションはありません。オンラインゲームやSNSは、その世界での目的を満たしうる限定的なものであり、そのアプリ上の相手(ヒト)から得られるものも、限定的な安心と安全に過ぎません。

しかし、子どもは、適切な反応が無くても、ネット・アプリを通じて、全てを満たそうと繰り返します。そして、一時的であれ、限定的であれ欲求が満たされたり、あるいは現実世界では全く満たされなかったりした場合に、ネット世界にずっと留まり続けるようになっていきます。

子どもは、まるで何でも思い通りになると思い込んでいる赤ちゃんと同じように、自然と満たされるまでネットの世界に没入し続けるのです。つまり、いつの間にか、ネットの世界にいることで、心が赤ちゃん返りしていったり、良いか悪いか、0か100かなどの極端な思考・感情・判断になったりしていくのです(図-5)。

図-5 「母子」および「ネットと子ども」の依存関係

共通点としては、子ども側の「万能感」と「退行(赤ちゃん返り)」や「原始的な身を守る方法」の発生です。ちなみに、「退行」を始め、「原始的な身を守る方法」とは、精神分析用語でいう「原始的な防衛」のことです。「原始的な防衛」には、例えば、「ひきこもり」、「理想化とこき下ろし」、「スプリット(例:0か100か)」などです。攻撃性も増すため、キレやすくなります。

そのため、その心の状態のまま、また現実世界で人との関わりを再開した時には、思い通りにいかないと、すぐに怒ったり、やる気を無くしたり、ネガティブな感情に浸ったり、極端に感情が揺れ動いたりしてしまう懸念が生じてきます。

この具体例としては、保護者が、ネットの世界でオンラインゲームやSNSばかりにはまり続けている子どもに、宿題やお手伝いをしないことについて注意した時に、子どもがブチギレしたり、部屋にこもったり、被害的に物事を考え過ぎたりするような現象です。
また、何もせずにオンラインゲームばかりしてパソコンやスマホばかりをいじっていて、堪忍袋の緒が切れた保護者が、そのパソコンやスマホを子どもから取り上げた時に、子どもが暴れたり、生気を失ったりするような現象も同じです。

子どもの中には、もはやネット世界での心の状態を維持したまま、現実世界に戻り、リアルな人間関係においても、退行された心の状態を露わにする子もいます。しかし、その子たちにとって、ネットやオンラインゲームといったアプリは、心そのものであると考えられます(図-6)。

図-6 ネット依存の子どもの心の状態

次回以降で、対応策にも触れていきますが、「退行した心の状態」と「ネット世界にのみのめり込んでいる状態」がある以上、子どもから、パソコンやスマホを取り上げることは得策ではありません。単純に、苛立ちやすい状態にある子どもに対して、その子どもの心そのものであるパソコンやスマホを奪うことを意味します。キレることはもちろん、ぽっかり心に穴が開いた状態で、誰とも話したくなくなる不信感などが生じてしまうだけでしょう。
だからこそ、パソコンやスマホの取り上げではなく、別の手立てを講じないといけないという論理になっていきます。ネット依存の程度にもよりますが、どっぷり浸かっている子どもに対しては、「子どもから奪う」のではなく、「大人が入り込む」という視点が重要だと思っています。この視点の詳細については、今後、取り上げていきますので、一緒に考えていきましょう。

【まとめ】

●「人」に上手く依存することが難しいから、身の回りにある「物」に依存することになると考える。

●ネット依存のメカニズムを具体的に理解するために、「現実世界での人とのつながり(ヒトに対する依存)」と、「ネット世界での人とのつながり(対物依存)」を比較して説明してみることは有意義である。

●ネットの世界に留まり続ける子どもは、まるで何でも思い通りになると思い込んでいる赤ちゃんと同じように、自然と満たされるまでネットの世界に没入し続ける。ネットの世界にいることで、心が赤ちゃん返りしていったり、良いか悪いか、0か100かなどの極端な思考・感情・判断になったりしていく。

●ネットの世界の心の状態のまま、現実世界で人との関わりを再開した時には、思い通りにいかないと、すぐに怒ったり、やる気を無くしたり、ネガティブな感情に浸ったり、極端に感情が揺れ動いたりしてしまう懸念が生じてくる。

●ネット依存傾向の子たちにとって、ネット、そしてオンラインゲームなどの様々なアプリは、子どもの心そのものであると考えられる。

●ネット依存傾向の子どもからパソコンやスマホを奪うのではなく、大人がその世界に入り込んでいく視点が重要である。

 

次回以降、ネット依存の症状とサイン、ゲーム依存への対応方法について述べたいと思います。本来、ネット依存の症状とサインは今回述べたかったのですが、文章作成に没入してしまい、まとめられませんでした。やはり没入し過ぎはよくありませんね…。反省します。

なお、今後、最近メディアでも特集されている、この4月開校予定のeスポーツ高等学院の取り組みについてもご紹介していきたいと考えています。実際、その高校の先生ともお話する機会がありましたが、伺えば伺うほど、とても魅力的な内容だと思い、何より私自身も結論付けているネット・ゲーム依存への「大人が入り込む」という対応策とも本当にfitしており、それを具現化されている産物で衝撃を受けました。お楽しみにしていてください!!

【引用・参考資料】

・安澤好秀(2009)インターネットへの依存傾向の実態と心理的要因に関する一考察-強
迫および回避との関連性を主眼に- 臨床心理学研究.7 東京国際大学

 


 

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Writing byY.Y

 

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