COLUMNコラム

【子どもの遊びがもつ意味とは・・・】現代の子どもの遊びと子ども時代の体験

こんにちは、所属カウンセラーの古宇田です。

寒い日が続きますが、春まであと少しですね。2022年も早一カ月が過ぎようとしています。感染力の強いと言われるオミクロン株が身近なところで猛威を振るっているなか、私も先日体調がよくない時があり「もしや!」と思いましたが、幸いコロナに感染はしていませんでした。季節がら体調が万全でないこともありますが、このご時世そうしたこともヒヤッとさせられる瞬間に、ウィズコロナという言葉が身に沁みます。

さて今回のコラムでは、子どもの「遊び」がもつ意味から子どもを理解する視点を考えていきたいと思います。子ども時代に思いを馳せながら、現代の子どもの遊び子ども時代の体験がどのように子どもたちへ影響しているのかを考えていきたいと思います。「遊び」がもつ力を日々の生活の糧にするヒントに出来ればと考えていますので、ぜひご覧ください。

以前のコラムはこちらからご覧になれます。「遊び」のもつ力レジリエンスとの関係について考えるきっかけになればと思います。
【逆境にあってもめげることなく頑張れる力】ポジティブな気持ちを育むためにレジリエンスから学べることとは・・・

【遊びの意味】

子どもにとっての遊びは楽しいものであります。自分を表現したり、好きなことをして欲求を満足させたり、気持ちを発散させたり、一緒に誰かと遊ぶことで人間関係を良くしたり、良い方法でネガティブさを昇華させる方法を見つけたりします。また遊びを通して子どもは自分の自立性を試し育む場とし、自分という存在を確かめながら人と関わることを学ぶ場でもあります。

遊びのもつ意味に関して、ロシアの心理学者であり発達学者であるヴィゴツキーは「おそらく、人間が成長していく過程で、倫理観とか、道徳観とか、社会的な役割とかいう、社会的な人格を成長させていくプロセスには、幼児期から小学校の低学年にかけてのこういう遊びは、不可欠な要件だろう」と仲間との遊びの体験をしっかりと積み重ねることなしに、社会的ルールを守れるような健全な人格は育たないであろうということをいっています。人格形成に限らず、子どもの世界において「遊び」は貴重な体験なのです。単なる遊びに留まらず、遊びから現実で生きていくためのさまざまなものを学習する機会になり得るのです。

【現代の子どもの遊びの状況】

唐突ですが人類が誕生した頃の遊びはどういうものだったと思いますか?狩猟が生きる道となっていた人間の本能的な部分を成長させるための遊びだったのでしょうか。遊びも命がけだったかもしれません。そこから数千年、現代はさまざまな進歩により余暇に費やす時間も増え、沢山のレジャーもあります。遊びがこれほど安全に、しかも遊びきれないほどの時代もそうないのではないでしょうか。

話は少し遡り、昭和の時代、私が子どもの頃の遊びについてです。学校から帰るとすぐに友達の家に遊びに行って友達の親におやつをご馳走してもらい「元気にしてるの?」と声をかけてくれ自然とコミュニケーションがあり、近所の駄菓子屋に集まって駄菓子を片手に空き地や公園で色々な遊びをした記憶が今でも思い出されます。遊べる時間や場所も限られてはいましたが、現代よりはそうした環境が沢山あったと記憶しています。また一緒に遊ぶ友達に事欠くことはありませんでした。忙しくしている友達はごくわずかでした。

ところが私が体験していた子ども時代と現代は状況が違うようなのです。「地域の教育力に関する実態調査」(文部科学省2006)からは、小・中学生に「放課後や休みの日に困っていること」を聞いたところ、遊ぶ場所や時間、空間、仲間など、そして遊びの自由がないと感じている状況が報告されています。調査自体が10年以上前のものですが、現状もそう変わらない、あるいは「遊び」の視点からは厳しい状況なのではないでしょうか。

また1995年から5年おきに2015年まで計5回の幼児の保護者への調査(「幼児の生活アンケート」ベネッセ教育総合研究所)からは、少子化や共働き世帯の増加などの社会環境の変化の中で、幼稚園・保育園以外で「友達」と遊ぶ幼児が20年間で56%から27%へ半減し、幼児の育ちを支える場は、園と家庭が中心になってきていると報告されています。この背景の一つとして親が自ら積極的に子ども同士が遊ぶ機会を用意するよりも、園での活動に依存する傾向が強まっているとも考えられています。地域社会との関係が希薄化していく中で、子どもが他者との関わりから学ぶ機会が減っているのではないかということも危惧されています。新型コロナ感染拡大の影響でここ2年ほど遊びたくとも、遊べない状況もあるのではないかと、日々関わっている子どもたちを見ていると「遊び」が十分にできているか心配になることもあります。

こうした「遊び」への現状を踏まえ、「遊び」が子どもへ与える影響とはどういったものであるのかを見ていきたいと思います。

【子ども時代の「遊び」体験が与える影響】

遊びは悩みや心配のあるところでは生じにくく、遊べない人たちの多くは「遊びたいさかり」の子ども時代に遊び相手に恵まれず遊んでいられなかったという体験をもっていることがしばしばあります。また子ども時代の遊びを介した交流機会が大切なのは言うまでもありません。人間関係形成の糸口でもあり、子ども時代の遊びを通してのさまざまな人との触れ合いは、新しい価値観や考え方との出会いであり、それらのやりとりの中で、自分を確立していくこと健康的な依存関係を培う力支え合いの力を身につけることにつながっていくと考えられます。

カウンセリングの一つにプレイセラピー(遊戯療法)というものがあります。言語が未成熟なため言葉を使ってのカウンセリングが難しい子どもに対して行われる、遊びを通して治療的効果を得るための方法です。セラピストが子どもを受容するとともに、セラピスト自身も生き生きと遊びに加わる主体性を大事にします。そうした関係の中で、子どもの自発的な遊びが展開され内的世界の対話が活性化していくことで子どもが本来の力を取り戻していくことが往々にしてあります。

近年、国内外で小児期の逆境体験(ACEs:Adverse Childhood Experiences)に関する研究が盛んに行われています。ACEsが生涯にわたる身体的な健康やメンタルヘルスに長期的な影響を与えることが明らかになってきています。個人に与える影響に限らず、医療費の増加や労働生産性の損失などにつながり社会全体に与えるコスト面での影響も懸念されています。こうした逆境体験の真逆に位置する「遊び」の体験の大切さを改めて子どもそして大人も含めて考えていく必要があるのではないでしょうか。

【最後に】

子ども時代の体験における健康的な「遊び」は、将来におけるウェルネスを与えてくれるという側面もあると考えています。子どもが生き生きと遊べる瞬間に身を置けることは、健康と余裕の証なのではないでしょうか。「遊び」という意味を今一度考える機会とし、この時代を乗り切る力を得るヒントになって頂ければ幸いです。

【参考資料:『生活の中の治療』著者:アルバートEトリーシュマンほか
:ベネッセ教育総合研究所 第5回幼児の生活アンケート 2015年】

長期に渡るコロナ禍での不安やストレスは目に見えない形で出ていることがあります。ポジティブな考えを持つきっかけとして、また安心・安全な人との関わりを通して生きる力を養うサポートもカウンセリングの一側面とも考えています。子育てや子どもの抱える不安やストレスに関してのご相談もお受けしておりますので、どうぞご利用ください。

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Writing by古宇田エステバン英記

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