COLUMNコラム

【学齢期の子どもの心理】「不登校」という現象について考えてみる⑤

みなさん、こんにちは。所属カウンセラーのY.Yです。

休日の少ない6月が終わり、気持ち的に少し開放されたと思ったのも束の間、7月早々に熱海での土石流に衝撃を受け、直後には中国地方や九州地方の各地で記録的大雨が相次ぎました。さらには、熱中症にも注意しなければいけない時期に突入しました。
他方、新型コロナウイルス関連では、ワクチン接種の加速化は見られるものの、蔓延防止による人の動きの抑制はどうしても緩和され、4度目の緊急事態宣言が発出されました。
その中でのオリンピック開催。毎回「平和の祭典」と思いたいですが、現状を踏まえると、今回は心から楽しみたいとは思えないのが、私個人の率直な心境です。

何というか…一言で表すと、「不全感」でしょうか。

結局、オリンピック開催によって人の動きは増えます。その判断をした公人たち。こう捉えるならば、防災対策にせよ、感染対策にせよ、「自助・共助・公助」の意識の順で、我が身や家族、大切な人の身を守っていくことになるのだと改めて痛感しました。とは言え、「個人」だけでは限界があります。「自助」と「共助」の基盤を固めるべく「個人のアイデア・力」と共に「地域の目に見えたつながり」「コミュニティの強化」が重要であると、ふと連想したところです。

そして、少しでも、災害時の不安やストレス、そしてコロナ不安やコロナストレスを少しでも和らげる心構えや対応策(サイコロジカル・ファーストエイド)について考えなければいけないと感じました。今後のコラムで触れられればと考えています。

さて、毎回前置きが長くなっておりますが、第9回のコラムは『「不登校」という現象について考えてみる』の第5弾になります。前回まで、専門職を抜かした、不登校にかかわる立場の人たちが、どのように不登校に向き合あっていけば良いのかについて取り上げてきました。

➡心理コラム5『「不登校」という現象について考えてみる①』
➡心理コラム6『「不登校」という現象について考えてみる②』
➡心理コラム7『「不登校」という現象について考えてみる③』
➡心理コラム8『「不登校」という現象について考えてみる④』

冒頭文の内容と被りますが、不登校の問題についても「自分たちで出来ることは何か」「学校と関連付けなくてもそれぞれに何か出来ることはあるのではないか」の視点は大切になるかと思います。
今回は、前回までの整理の意味合いもありますが、「不登校に向き合っている周囲の人たちの支えと子どもの成長についての段階的な歩み」について触れてみます。

 

不登校に向き合っている人たちの支え

不登校に向き合う人たちは、これまでに子ども自身、保護者、きょうだい、学校以外の居場所での大人、クラスメイト(友人・先輩後輩)、教職員について述べてきました(図-1)。その人たちが向き合っている「場」や「段階」について考えてみます。

【子ども自身】
常に自分自身の心中に「不登校」という自覚があります。どこの場に行っても、どの段階でも、いつも悩み、考えています。それだけでも心のエネルギーは相当消費しています。

【保護者・きょうだい】
子どもと同じくらいに向き合っています。なぜなら一緒にいる時間が長く、代わりに対応することも多いからです。不登校と一緒に向き合う存在として、本人にとって大きな支えとなります。向き合う場は、主に「家庭」です。家庭は子どもたちにとっての「スタート地点」です。

【学校以外でかかわる大人たち】
家族と比べれば、子どもとかかわる時とかかわらない時があります。しかし、子どもが学校ほど緊張する場にはなりにくく、家庭から学校に向けての「移行段階」の1つとなります。子ども一人ひとりにとって「居場所」と感じる場は異なりますし、多様にあります。つまり、学校以外でかかわる大人たちが向き合っている場は、「地域の場(コミュニティ)」表現出来るでしょう。前々回のコラムで述べたように、地域で活躍の場や安心出来る場、そしてきっかけ作りを与えたり出来る重要な「他者」になることは間違いありません。

【クラスメイト(友人・先輩後輩)】
子どもに対して、家族にも他の大人たちにも出来ないことが出来ます。子どもが一つ一つステップアップしていくために、どこの場でも、どの段階でも、位置付けることが出来る存在です。最も相談しやすい存在にもなりえます。家庭、地域、学校という場でも、個人でのかかわりや集団でのかかわりでも、どの段階でも、一緒に行き来して、子どもの気持ち、延いては家族の気持ちに大きな変化をもたらしてくれる可能性があります。

【教職員】
教職員、とりわけ担任は、子どもがどのようにしたら登校に向けて少しでも前向きになれるのか、いつも考えています。とは言え、子どもにとって「学校」というのは、とてもハードルの高い場所です。その場所にいる以上、子どもたちと接点を持ちにくいのが実状です。不登校という問題と向き合う場は主に「学校」ですが、子どもは学校に来られない場合が多いです。その場合、子ども個々の気持ちを踏まえて、学校という場だけではなく、ステップダウンした場でのかかわりや本人とコンタクトを取れるような工夫が必要になります。「学校」は、場所としては「ゴール地点」かもしれません。しかし、子どもの心身の成長にとっては、「通過点」に過ぎません。子どもの成長のペースを理解した上でのかかわり方について考えていくことは、どこの場でも、どこの段階でも大切です。

 

図-1 子どもの周囲にいる人たち

 

子どもが成長する段階的な歩み

不登校の子どもと向き合う人たちは、色々な場で、そして様々な段階で、柔軟にかかわっていることを確認してきました。
実際、子どもは、家庭と学校との間に大きな距離を感じています。それは物理的な距離以上に心理的な距離で「遠いな」「高いな」「大変だな」といった気持ちを感じているかもしれません。その心理的な距離感が余りにも遠く離れた感覚にならないようにしていくこと。それが子ども自身だけではなく、かかわるみんなの心の安定にとって大切なことだろうと経験的にも確信しています。

ではどのように考えれば良いでしょうか?

まず、家庭と学校の距離が遠い感覚になりがちなので、「段階」を設けて「スモールステップ」化し、小さな目標の連続にしていきます。いきなり「学校」を目標にすると、余りにも子どもの気持ちとかけ離れたものとなります。そのために、幾つかの段階を作ることが良いでしょう。
次に、子どもの心の三角形の考え方を盛り込みます心理コラム1「子どもの心の三角形」参照)子どもの心のベースは「生活習慣」であり「衣食住」です。その部分が土台となり、その上に「遊び」や「人間関係」があります。それから「学習」や「登校」となります。この順番でステップを作ることが、子どもの心の健康にとって重要です。
以上の2点の要素を含め、私はいつも5段階で説明しています(図-2)。すなわち、①家族とのかかわり、②家族以外の個人とのかかわり、③小集団とのかかわり、④少人数制の学習環境でのかかわり、⑤学校でのかかわりです。

①家族とのかかわり(三角形でいう最下層)
主に保護者やきょうだいです。そして、食べること、眠ること、生活リズムを整えること。これらをまず定着させ、心身の健康の維持を心掛けます。

②家族以外の個人とのかかわり(三角形で言う中間層)
主にクラスメイト(友人、先輩後輩)です。また、学校以外でかかわる大人たちも当てはまります。そして、ネット(SNS)上で知り合った仲間も入ります。また、専門職(機関)で言えば、スクールソーシャルワーカー(以下、SSW)や教育相談、その他のカウンセリングセンター等が挙げられます。
学校の勉強とは関係のない、そして集団による緊張や不安のない、「遊びのある個別な時間と空間」を通じて、少しずつ外に意識が向き、外に出ることへの自信を身に付けていきます。
※ネット世界と現実世界との移行プロセスについては、また色々と語れる内容がありますので、ここでは割愛します。

③小集団でのかかわり(三角形でいう中間層)
主にクラスメイト(友人、先輩後輩)や学校以外でかかわる大人たちです。②は個別なかかわりですが、ここではグループとなります。例えば、友人と数人で遊ぶことや児童館や地域の諸団体でのグループ活動、その他の居場所活動が含まれます。1対1でも不安ですが、その何倍もの不安を抱く可能性があるため、子どもが好んで取り組める活動から初めていくのが良いでしょう。また、誰か安心出来る存在(友人、SSWなど)が傍にいることが大切です。

④少人数制の学習環境でのかかわり(三角形でいう最上層)
ここで漸く学習環境を含みます。主に学校以外でかかわる大人たちがかかわります。さらに言えば、適応指導教室(不登校の子どもたちが通う教室)やフリースクール(民間の不登校の子どもが通える教室・居場所)、塾(無料学習塾含む)等が含まれます。それ以前の個別の活動にも含めて良いですが、家庭教師や学校での別室登校での個別学習も当てはまります。何度も申し上げるように、土台が形成されて初めて、学習に取り組んでいくという視点が重要です。学習へのブランクがある場合、大集団での学習スピードについていくのは困難です。そのために少しでも自分のペースで進められる少人数制の学習環境は、子どもたちの学習への自信を持つにも必要な段階です。ここでは、クラスメイトがいる可能性は低いですが、新たな友人教職員とかかわる可能性があります。

⑤学校でのかかわり(三角形でいう最上層)
主に教職員クラスメイトです。特に学習を教えてもらう存在として教職員がかかわりますが、どうしても集団学習のため、子ども個人のペースでは進めることは出来ません。ここに辿り着くのは大変ですが、段階を経ていければ、チャレンジする時が生れます。仮に辿り着けなくても「ゴール」ではありません。あくまで「通過点」であること、子どもにとって多くのエネルギーを要する時間・空間であることを忘れてはならないでしょう。

以上の5段階です。この5段階については、途中で止まることもあります。次の段階に進むこともあれば、前の段階に戻ることもあります。大切なことは、子どもの気持ちやペースを自覚・確認をしながら、段階を経ていくことです。子どもの歩みは、行きつ戻りつしながら、じんわりと、ゆっくりと進んでいきます。その歩みに対して周囲の人たちは、様々な段階でオーバーラップしながら、それぞれの役割を担っていくことが必要となります。

図-2 子ども本人が成長する段階的な歩み

【まとめ】
●不登校の問題は、「自分たちで出来ることは何か」「学校と関連付けなくてもそれぞれに何か出来ることはあるのではないか」という視点が重要である。
●不登校と向き合う人たちは、色々な場で、そして様々な段階で重要な役割を担っている。
●不登校の子どもは、家庭と学校の間に、物理的な距離以上に、心理的な距離の大きさを感じている。そのために、家庭と学校との間に、幾つかの段階を設けてスモールステップ化を試みることが大切である。
子どもの歩みは、5段階を行きつ戻りつする。周囲の人たちも、そのペースに合わせて、様々な段階をオーバーラップしながら、それぞれの役割を担うことが重要である。

今回も読者様のエネルギー消費量を考えず、長々となってしまい申し訳ありませんでしたが、今回の視点は結構重要な内容でしたので、丁寧に書いてみました。次回は、不登校の子どものエネルギーについて述べてみます。

 


 

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Writing byY.Y

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