皆様、こんにちは
メンタルヘルスケア&マネジメントサロン代表・公認心理師の小高千枝です。
今月の満月はとてもキレイでしたね。
数年前に飼っていた犬の命日を迎え、心穏やかに思い出を振り返り
そばに居てくれたことへの感謝の気持ちを伝えながら。。。さくらと笑顔の時間を過ごしました。
そして、秋の深まりを感じる今日この頃。
季節の変わり目は朝と夜の寒暖差や、台風が近づくにつれての低気圧の影響などにより
自律神経が乱れやすく、メンタル不調にも陥りやすい時期でもあります。
私も寒暖差疲労や寒暖差アレルギーが出やすく、低気圧の影響による気象病(頭痛やめまい、首の痛みなど)に
振り回されることがありますので、不調を感じましたらまずはスケジュールをみつめ
「休もうね」と心と身体に語り掛け、休むようにしています。
もちろん現場など、やらなくてはいけないこともありますので、タイミングを見てとなりますが
無理をして取り組んだとしましても効率が悪く、良いものを生み出せません。
頭が痛い、首が痛い、めまいがする。。。と、本来集中するべきことに意識が向かず、モチベーションが低下。
やる気がでないまま”ぼーっ”と、時間が過ぎ去ることもありますので、心と身体の状態を一度安定させてからリスタートするようにしています。
季節の変わり目はどうしても不調が出やすいタイミングですよね。
どういった症状がどのタイミングで出てしまわれるのか
自己理解を深められ、環境とうまく共存をされるようになさってください。
そして、コロナの第8波もどうなるのでしょうね。。。
考えすぎても仕方がありませんので、今までと変わらず、守るべきことと、心身の健康を考えて緩めることとの
バランスをとり、それこそ「共存」をして参りましょう。
さて、皆様は心身の不調を招いてしまったときに、どなたに相談をされますか?
ご主人?恋人?お子様?友だち?それとも、誰にも伝えず自己解決してしまいますか?
私は自分の不調に対し、注目されることが苦手なため(他人様の心配はしますが、自分の心配をされることが苦手なのかもしれません)
体調不良でありましても極力他人には伝えず、ひっそりと体調の回復に努めることの方が個人的にはストレスになりません。
心配をかけることが申し訳ないと思ってしまう傾向が昔からあります。良いのか悪いのかわかりませんが。。。笑
ただ、仕事的に伝えておかないといけないこともあります。ご迷惑をおかけするといけないですからね。
最低限のメンバーには伝える必要がありましたら伝えるようにはしています。
そして、過度に心配をして欲しいわけではないものの、体調不良を身近な方に伝えると
▷邪険に扱われた
▷怒られた
▷無視をされた
など。。。大切に対応をしてもらえなかったというお話も、カウンセリング等の相談内容として取り上げられることもあります。
大切な方との関係性。。。頭の中でイメージされてみてください。
所属カウンセラー(公認心理師)の水野が「関係性」についてコラムを連載しております。
※水野のコラムはこちらです⇒【心理コラム】関係性と心の発達
皆さんは大切な方が体調不良であったり、普段よりも元気が無い時には、どのような対応をされますでしょうか。
反対にご自身はどうされたいですか?
中には暴言を吐かれたり、酷い場合は暴力に発展してしまうケースもあります。
体調が悪い方に対してどうしてそういった対応をしてしまうのでしょう。。。
▷心配し過ぎて不安になってしまうから
▷大切な人にはいつも元気で笑顔でいて欲しいから
▷辛いコト、悲しいコト、寂しいコトを受け止めることが苦手だから
裏を返せば、こういった相手に対する愛情があるのかもしれませんが
大切な人が普段よりも元気が無い時に、寄り添うこと、見守ることは当たり前のことだと感じています。
そして、具体的なアクションが無かったとしても「見守ってくれている人」がいる安心感。。。
弱っている時に、人としての安心・安全な環境があることはとても幸せなことなのです。
人間ですから常に元気でいられるわけではありません。不調の時こそ、味方でいてくれる人、大切に思いやってくれる人
そういった関係性が本来の「大切な人との関係性」であると感じます。
さて今回は、こういった暴言や暴力に発展してしまう人間の心理、心の状態として
何度も記事として掲載をさせていただいております
【モラハラ・DV】(モラルハラスメント・ドメスティックバイオレンス)
について改めてお伝えさせていただきたいと思います。
モラハラ・DVが認知されてきたこと
偶然かもしれませんし、私がこういった職業であり、モラハラ・DV相談を専門的に受けていることもあるかとは思いますが
公私ともに周囲から「モラハラを受けた」「これはDVになりますよね?」と言った話を多く耳にするようになりました。
正直なところ、あまり喜ばしいことではないです。
コロナ禍であるということも影響はしているかと思います。
また、世間的にも認知され、自分事として受け止めていらっしゃる方が増えたことで話題にも出やすくなっているのでしょう。
喜ばしくはありませんが、意識が変わってきていることは嬉しいことではあります。
(世間に受け入れられるようになると、過剰になり過ぎてしまう傾向もあります。その点は注意をしていく必要があり、私たち専門家も慎重に向き合っております)
今までモラハラ・DVに関しましては多々記事も書いていますし、取材やマスコミへコメントをさせていただいておりますので
モラハラやDVの基本的なご説明などはそちらをご覧いただき、具体例とともに専門家としての客観的視点でのお話を中心に今回はお伝えいたします。
モラハラ・DVの説明について詳しくはこちらをご覧ください。
【本来の自分を取り戻すために・モラハラ(モラルハラスメント)支配からの脱①】
https://odakachie.com/chie_blog/8942/
・モラハラ(モラルハラスメント)とは
・コロナ禍で増えたモラハラ相談
・無意識の中でゆっくりと支配・コントロールされていく
・モラハラのサイクル
【本来の自分を取り戻すために・モラハラ(モラルハラスメント)支配からの脱却②】
https://odakachie.com/chie_blog/11589/
・モラハラ傾向がある人の特徴
・マイナスのメッセージで相手の心を縛る。。。操る。。。
・自分の心の居場所の確保を
モラハラ事例から現実にできることをみつめる
ある同世代の親しい友人のお話です。(本人より掲載の承諾は得ております)
モラハラ彼から離れるために、歳月を費やしたことについて、今回の事例として皆さんとご一緒に考えたいと思います。
【事例:モラハラ彼の支配からの脱却】
ある日私は、長年付き合いのある友人と食事に行く約束をしていました。
お互いにスケジュールが流動的であり、忙しい生活をしていますので、急な仕事の対応などでリスケになることは今までも度々ありました。
しかし、基本的には具体的日付を決めてのリスケ。
ただ、リスケになってから連絡が途切れ途切れとなり、あっという間に半年という月日が経過しました。
忙しい友人ですので、そういうこともあるよね?と必要以上に詮索はせずにおりましたが
少し様子がおかしいな。。。と、長い付き合いの中で初めての感覚も芽生えていました。
SNSを見て普段とは違う異変を感じたのです。
きっと見た目にはわからないかと思いますが
写真の投稿の仕方、文章の書き方、頻度など。。。様子を見守っていました。
そして、久々の連絡が「近いうちに会いたい」でした。
「会いたいね~」「いつにする~?」といったフランクなLINEのやり取りは日常的でしたが
普段の彼女とは違う空気感に私も早めの日程を提示し「うん。絶対にその日に行くから」と彼女からの切実な返事。
さすがに「やっぱりおかしい」と心配になった記憶は鮮明です。月日が経った今でもはっきり覚えています。
約束のお店に先に着いた私は、席に座って景色を眺めていました。。。
そこに今まで見たことのない悲壮感漂う暗くどんよりとした表情であらわれた彼女。
「えっ?どうした???何があった???」と挨拶もしないまま聞いてしまいました。
実はずっと言えなかったことがあると打ち明けてくれました。
モラハラ彼から離れるために大変だったことや、正直まだ続いているため、どうしたらよいのか?という話。
よくよく聞くと2年間その彼と付き合っているとのこと。
離れたいけれど、情もあるし、仕事も少し一緒にしている。
どこかで変わってくれるのではないか?変わらないよね?の繰り返しであるが、自分の中で彼のことは
「もう無い」「もう無理だ」「これでは自分がダメになる」と結論も出している。
ただ、離れようとすると彼の執着も酷く連絡を無視すると罵倒される。
寝ている間にも何十件、何百件ものLINEが送られてきて、追い詰められる。
夜も眠れず、体調も優れず、かろうじて仕事に支障は出ていないものの
返信をしないと夜も寝かせてくれないくらい詰めてくるため、目眩が酷くなり何度か倒れたこともあると。。。
どうしてそんなになるまで相談をしなかったのか?と聞くと、やはり言えなかったそうです。
心配をかけたくない。自分自身がそんなパートナーと付き合っていることをどこかで受け止めたくない。
こんな年齢になってまさか、こんな恋愛をするとは。。。自分で自分を信じることができなかった。
結婚とか子どもとか幸せな生活をその彼と送ることができると思って付き合い始めたものの
「結婚」「子ども」「将来」のことに対する彼からの匂わせはあっても、具体的に動く様子がない。
ただ、信じたい気持ちは強く、こんな年齢にもなってこんな男に捕まるとは。。。と自分が情けなくなった。
だから、離れようと何度も決意をしたが、離れようとすると連れ戻され、支配され、呪縛からなかなか解放されない状態であり
”共依存の引力”に引き戻されを繰り返し、やっと相談をしようと思ったと。。。涙ぐみながら打ち明けてくれました。
自分自身が彼といることで成長どころか潰されていく感覚があり、一緒にいるべき相手ではないと気付いてはいる。ダメだとわかっているけれど離れられない。
どこかでモラハラをする側(加害者側)の弱さも理解しているため、このままでは彼も可哀そうだからどうにかしてあげたい。
きっとこれは彼を改心させるきっかけなのではないか?と。。。被害を受けている側の優しさや思いやり、そして一つの存在意義や価値のような歪んだ居場所感を抱くことで頑張ってしまう(頑張れてしまう)
そういった感覚が染みついてしまうことにより、関係性が長引いてしまう傾向があります。
しかし、この関係性や歩み寄りは非常に疲れます。誰も幸せにはなれません。(モラハラをする側は歪んだ幸福感は感じています)
それでも「もしかしたら。。。」と疲弊してもまた歩み寄るうちに共依存の負のスパイラルに巻き込まれてしまうのです。
彼女が私に打ち明けてくれてから1年半という月日を経て、完全にその彼とは離れられました。
その間彼女は何度も引き戻されることもありました。
ただ、彼女の中では「これは正常な関係じゃない」「私の中で求めている関係性ではない」という意識を
都度都度呼び戻し、その都度私も話をし続けました。
言葉による呪縛もありますが、性暴力的な被害も彼女は受けていました。
精神的、身体的暴力による心理的ダメージは酷く、その束縛からの解放と心身の回復には、想像以上に時間を要します。
年単位での月日を要した中で、さらに離れる、別れるために1年半という時間を費やしました。
彼女には彼女を心から大切に思う仲間がいます。
その仲間たちも彼女の心の状態を理解しながら、サポートをしてきましたことで彼女が反発心を抱くことなく
モラハラ彼と別れることができましたが、周囲でサポートされる方々の距離感や関わり方のタイミングは難しいものがあります。
タイミングを誤ると、共依存関係を助長させてしまうこともありますので。。。
大切な人との距離感、関わり方を様々な場面でイメージされてみてください。
モラハラ・DVをする側もされる側もとても辛いのです。
渦中にいると気が付きませんし、気が付いても受け入れるまで時間も労力も要します。
本来、どういう関係を求めていらっしゃるのか。。。
大切な人を悲しませるようなことは本来在るべき関係性なのでしょうか。。。
(モラハラ)DVの実態・周囲(サポートする側)の方にできること
2021年度までのDVの推移が内閣府男女共同参画局のHPへ掲載されておりますのでご覧ください。
【DV件数の推移(2019年4月~2022年5月)】
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/pdf/soudan_kensu_tsuiki_r03.pdf
▷DV相談件数の推移を見ると、2020年度の相談件数は、18万2,188件であり、2019年度の約1.5倍。
▷2021年度の相談件数は、17万7,110件(暫定値)であり、2020年度と比較すると減少しているものの
毎月1万4,000~1万6,000件程度の相談が寄せられており、引き続き高水準で推移。
▷2022年5月の相談件数は、1万4,313件(前年同月比▲3.6%)となっている。
【配偶者からの暴力被害者支援情報】
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/index.html
(参考資料:内閣府男女共同参画局より)
前述通り、表沙汰になっていることは問題ではあります。ただ、声をあげられる方が増えてきたということは望ましいことです。
もちろん最近の世の中では何でも「ハラスメント」として取り上げられてしまうため、そこもかなり問題視する必要はございますが、まずは「DV」の実態としてその裏にはモラハラ(モラルハラスメント)も関係していることを皆さんの中で受け止めていただきたいと感じます。
そして、当事者である被害者が意識を変えていくことが大前提であり、周囲のサポートをされる方はどんな関わり方をしていくことが大切であるか。
▷被害者の状態を観察し、把握する
・モラハラを受けていることに気が付いているのか
・どの程度の被害が及んでいるのか
・感情的にならず冷静にみつめる。普段との様子の違いに気付く
▷被害者の気持ちに寄り添う
・気が付いていない場合、無理に離そうとはせず、サポート側との信頼関係を深める
・気が付いている場合、相手との距離感や被害者の気持ちの浮き沈みなどをともにみつめる
▷被害者にとっての居場所となる
▷タイミングを判断する(共存、離れる、逃げる)
・被害者は状況を冷静に把握していても、共依存状態におかれていると物理的に離れる選択をすることができません
・冷静に伝え続けること、時には厳しく諭すこと
▷諦めず、味方でいること
▷サポート側も心を休めること
・共依存のスパイラルに巻き込まれていると周囲が想像している以上に離れることが出来ない心理状態になっています。
・サポート側も常に冷静でいられるわけではありません。なかなか離れない被害者を見ていてもどかしさからストレスになることもあります。
・被害者にとっては「安心・安全な人的居場所」があることが心の支えになっています
・サポート側も時には休み、距離をとりながら見守り続けてください
周囲の方、サポートをされる側の方にとってもとても負荷のかかることでもありますので
無理をし過ぎないこと、心の距離感を意識されサポートを諦めずにし続けて差し上げていただきたいと思います。
モラハラ・DVに限らず「居場所感」はどのような方にとっても必要なことです。
また、サポートをされる方の在り方については改めて詳細をお伝えしたいと考えております。
「本当に心地よい、安心できる居場所はどんな人にでもある」
居場所は椅子取りゲームではありません。必ず”居場所はある”ことを信じて、皆様にとっての幸せを形にしていただきたいです。心から願っております。
モラハラ・DVに関する取材やマスコミ出演などを通し、情報発信や皆様へのお気持ちへ寄り添う活動をしております。
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