COLUMNコラム

【自信が持てない人へ】インポスター症候群とメンタルトレーニング

みなさまこんにちは。メンタルトレーナーの森下です。
先月のコラムはお休みをいただきました。
楽しみにしてくださっていた皆様(いるかな?)申し訳ございませんでした!

実は先月、世界的にも有名なレジェンドアスリートの方とお仕事をさせていただいたんです。
それはもう準備からご一緒する当日まで色々と大変だったのですが…

大変だと思っている渦中は「もう早く終わってくれ…」とネガティブになったり、
「いや、ここまで来たらなるようにしかならないし」と若干ポジティブになったりと
感情がジェットコースターのように浮き沈みがありました。(過去最大に大変でした)

まさにその時間が自分自身のメンタルトレーニングの時間になっていて、
終わった後は困難を乗り越えた達成感と同時に、メンタルトレーニングの情報を皆さんに伝えることで、
自分が成長していたんだなと実感を持つことができました。

このコラムを読んでいただいてる皆さんの中には、今現在壁にぶつかっていたり、
大変だと思いながらも何かに猛進している方もいらっしゃるかと思います。

その最中は、辛いし、もう諦めたいと思うようなことがあるかと思いますが、
それを乗り越えた先に「成長」という名のご褒美が待っているので、どうか頑張ってください!

成長には痛みが伴います。逆を言えば今現在痛みがあるということは成長している証だということです。

ということで…
そうした困難を乗り越えて成果を出すと「自信」というものは高まっていくのですが、
中には成果を出しても、その成果を自分の自信へと変えられない人たちもいます

今回のコラムでは、なぜ成果を出しているのに「自信」が持てないのか、「自信」をどのように高めたら良いのか、
についてメンタルトレーニングの観点からご紹介していきます。

どうぞご覧ください!


自信が持てないのはなぜだろう

みなさんはインポスター症候群というものをご存知でしょうか。
あまり聞き馴染みのないものかもしれませんが、インポスター症候群は「自分の能力や実績を認められない状態」のことをいいます。

仮に、周りからの評価が高かったり、実際に成果を出していたとしても、「それは本当の自分じゃない」「たまたま運が良かっただけ」と思っていて、周りを騙しているような気持ちになってしまうことをインポスター症候群といいます。

弊社代表の小高が先日インポスター症候群について書籍を出版しました。
詳しくはこちらをご覧ください!

【お知らせ|新刊プレスリリース】書籍『本当の自分を見失いかけている人に知ってほしい インポスター症候群』7月13日(木)より発売開始

僕自身も現場をサポートしている上で、「いいもの持ってるのに」「もっと積極的になればいいのに」という選手がけっこう多くいます。
その選手自身も自信が持てずに、自分が試合に出るより他の選手が出た方が…みたいに思っていたり。

ある程度のパフォーマンスは発揮できているし、周りからの評価もある程度はあるにも関わらず、
本人的にはまだまだ自信が持てないために消極的になってしまう、という状況です。

プレー以外のミーティングなどの場面でも「こうした方がいいのにな」という意見は持っていたとしても、目立ちたくないから発言しない、責任を取りたくない(取れないと思ってる)から見て見ぬふりをする、相手の意見に無理やり同調するという行動も現れたりします。

このようなことは、何もスポーツの現場だけでなく仕事などさまざまな場面でも起こっていることです。
皆さん自身、日常的に関わっている職場において、このような気持ちや感覚に苛まれることが発生していないでしょうか。

成果が出ている、成長しているにもかかわらず、自信が持てずに消極的になってしまうのは、
「固定思考」というマインドセットになってしまっているからかもしれません。

固定思考というのは“才能は生まれつきのもので変わることはない”というマインドセットのことで、固定思考の人は「結果」や「周りからの評価」「他者との優劣」を重要視する傾向があります。

「自分は能力が低い」という思い込みを持ってしまっていると、結果が出ていたとしても(能力は生まれつきのもので変わらないと思い込んでいるため)、「結果が出たのはマグレだ」「今回はたまたま結果が出ただけ」「次はどうせダメだろう…」という気持ちが大きくなってしまうのです。

努力をして成長はしているのに、周りと比べれば能力が高い人はたくさんいるため、結果を出したことが直接自信に繋がらなくなってしまっているのです。

すると、チャレンジすることが怖くなり、不安が大きくなるため消極的な姿勢や行動になってしまいます。

大切なのは、周りとの比較や他者との優劣を重要視するのではなく、自身の努力や成長に意識を向けていくことです。
“才能は努力をすれば誰でも伸ばすことができる”と信じているのが「成長思考」のマインドセットです。

成長思考であれば、結果を出せた時に「努力をしたから」「チャレンジをしたから」「もっと努力をすれば…」と思えるようになります。結果を出せなかった時にも自信を失うことなく、「次はもっと努力や準備をしよう」と前向きに捉えることもできます。

では、どのようにすれば、結果や評価、優劣を意識してしまう固定思考から成長や努力、チャレンジに意識を向ける成長思考になれるのでしょうか。

チャレンジと失敗を繰り返して成長思考になる

成長思考になるための第一歩は、「固定思考と成長思考という考え方がある」ということ、
現時点で固定思考であっても成長思考に変われるんだということから始まります。

「固定思考だから自分はダメなんだ…」という考え方がそもそも固定思考ですからね。
そうした意味ではこのコラムを読んでいただいている時点で成長思考への一歩を踏み出したとも言えるのです。

以前の僕はまさに固定思考だったように思います。
物事がうまくいかなかった時には、なかなかそれを受け入れることができずに周りのせいや環境のせいにしていました。
本当は自分の責任であるにも関わらず、それを認めてしまうと自分の能力が低いと認めてしまうことになる、と思い込んでいたからです。

ですが、この考え方を学び、意識して変わろうとする中で今では成長思考で考えられることが増えてきたという実感があります。(まだ固定思考になってしまう時もありますが)
人は変わろうと思えば変われるんです。

成長思考になるための方法としてオススメなのが、「自分が困難を乗り越えた経験を振り返ってみること」です。

これは今までの人生や、社会人になってからなど、どんなに小さなことでも構いません。
今まで出来なかったことが、自分の努力や成長によって出来るようになった経験を思い出して、ノート(メモでも可)に書き出してみてください。

例えば、「子どもの頃に補助輪を外して自転車に乗れるようになった」でもいいですし、「入社してから人前で話をする時に、落ち着いて話せるようになった」ということでもOKです。

次に、書けるだけ書き出したら、出来るようになるまでにどんな努力やチャレンジをしたかを書き出します。
「補助輪外して自転車に乗れるようになった」の例であれば「転んでも諦めないで何度もチャレンジした」、
「人前で落ち着いて話せるようになった」の例であれば「自分の話す姿を撮って見返し、何度も練習をした」というようなイメージです。

このように、目の前に立ちはだかった困難を、自分の努力やチャレンジによって乗り越えたと思える経験を増やしていくことで、「もしかしたら今抱えている困難も努力をすれば乗り越えられるかも」という気持ちになっていくのです。

そして、もう一つのオススメが「毎日、小さなチャレンジをしていくこと」です。

チャレンジをするということは、失敗する可能性もあるということです。
必ずうまくいくとわかっていることは、チャレンジとは呼びません。

固定思考の人は失敗を必要以上に怖がってしまう傾向があります。
失敗をすると、自分の評価が下がったり、自分はダメだというレッテルを貼られると思っているためです。

毎日チャレンジをして、成功と同時に失敗も経験していくことで、失敗に慣れていくことが狙いです。
いきなり大きなチャレンジをして、大きな失敗をしてしまうと、いろいろとダメージが大きくなってしまう恐れがあるので、
まずは小さなチャレンジをしていくことがポイントです。

ただし、失敗をした時に失敗をそのままにしていては何も変わりません。
失敗を前向きに捉えて、次はどうすれば成功するのかを分析し、またチャレンジを繰り返します。

その過程を経て成功をすることで、失敗は成功に必要なものなんだと実感することができます。
そうすれば失敗を恐れずにチャレンジをすることができ、努力とチャレンジ意識を向けられる成長思考へと変わっていくのです。

心のディフェンス力を高める

何かにチャレンジをしたり、失敗を受け止めていくためには、心身の状態がある程度健康でないといけません。
風邪を引いたり、睡眠不足だったりしてもなかなか頑張りきれないですし、
体が健康でも、何か嫌なことがあったり、不安なことが多かったりしてもモチベーションが上がらなかったりしますよね。

僕自身、メンタル面のサポートする時にはここの部分をかなり意識して接していくようにしています。
日常生活や学校生活、社会生活などで何か問題がないか、充実はしているのかどうか。

そのためにはある程度の人間関係、信頼関係が構築できていないと話をしてもらえないので、
何気ない会話や、一緒にトレーニングをしたりする時間を作るようにしています。

皆さんは「レジリエンス」という言葉をご存知でしょうか。
レジリエンスというのは柔軟性や回復力(調整力)という意味で使われる言葉です。

心理学においては「今を受け入れて、前向きに捉え直す力」という意味合いで使われています。
心身の健康状態が満たされていれば、レジリエンスは高まりネガティブなことを受け止め、プラスへと集中しやすくなります。

現状、自分が満たされているのであれば、周りの人のことはそこまで気にならないでしょうし、
うまくいかないことがあったとしても、それを受け止められる心の余裕が出てきます。

心の余裕があれば、視野も広くなりますので他人も受け入れられますし、自分自身も受け入れられるようになる。
例え現時点の自分に自信がなかったとしても、その自分を受け入れられるのです。

さらに成長思考でいられれば「自分は努力すればなんだって出来る」と思えるようになるので、現時点の自分を受け入れた上で、理想の自分の姿を目指していく意欲が湧いてきます。

レジリエンスを高めていくためにオススメなのは「心身の息抜きをする方法」を持っておくことです。
意識的に自分の好きなことや満たされることをする時間を作ることはとても大切なことです。

仕事を頑張っていたり、競技を頑張っていたりすると、そうした時間を過ごすことに罪悪感を覚えてしまう人もいるかもしれません。
もちろん、明日までに終わらせないといけない仕事があるといったようなことがあれば、そちらを優先しなければいけないこともあるでしょう。

ですが、ポジティブ心理学の研究においては、長期的に見た時には、心身のリフレッシュをする時間をとっていた方が、モチベーションも集中力も持続でき良いパフォーマンスを続けられることがわかっています。

僕の場合、疲れてきたりネガティブな感情が高まった時には、
ストレッチやジョギングなど軽い運動でリフレッシュをしたり、睡眠をいつもより多めにとったりします。
本当は銭湯、スパのようなところにも行きたいのですが、子どもがまだ小さく、連れていくと逆に疲れるので、今しばらくの辛抱です。笑(いつになることやら)

自分のリフレッシュ方法を持てていない方は、ぜひどうすると自分がリフレッシュできるのか、充電できるのかを探ってみてください。これを機に新しい趣味を発見するのも良いかもしれません。

自分を受け入れるための土台を作るという意味でも、心身を健康の状態にしておくことはとても大切なことなのです。

自分の可能性を信じるということは思っているよりも難しいことなのかもしれません。
ですが、自分を信じられるのは自分だけです。

インポスター症候群の人は、自分の可能性を信じられていない状態です。

「自分はこのくらいのレベルだから…」「どうせダメだから他の人がやった方がいいのに」
「今回はたまたまうまくいったけど、次はどうなるかわからない…」

このような気持ちが出てきて、自分の可能性に蓋をしてしまいがちです。

自分を認めて信じられるようになるためにも、
どんなに小さなことでも良いので、うまくいったこと、成長したと思えることを探してみてください。
そしてその中から自分の努力やチャレンジにフォーカスしてみてください。

少しずつ「自分は成長してるぞ」と思えることができれば、
自分のことも認めてあげられるようになっていきますよ!

以前の記事にマインドセット(成長思考と固定思考)について詳しく書いた記事があるので、
ご興味があればこちらからご覧ください!

【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?① 〜天才は子どもの頃から天才?〜
【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?② 〜なぜ固定思考になってしまうの?〜
【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?③ 〜能力を伸ばす成長思考になるために〜

 


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Writing by 森下

 

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