COLUMNコラム

【学齢期の子どもの心理】「ストレス」ついて触れてみる③

🔶はじめに🔶

こんにちは。所属カウンセラーの安澤です。

1年の後半戦に入りました………早いです。本当に。

そして、夏真っ盛りですね。

子どもたちは夏休みを満喫していますでしょうか。

大人たちも暑さを耐え凌ぎながら、適宜夏休み休暇も使いながら、日々の疲れを取られていることと思います。

暑さが続きますが、皆さん水分補給、冷感対策などを行い、体調管理されていますでしょうか。
既にコロナ対策は自己管理に委ねられており、この暑さの中で余計にマスクを着用される方も少ないと強く感じます。

マスクによって熱がこもってしまうので、私自身も周囲に人がいないところではマスクを外して移動することが多いですが、コロナウイルスの第9波に突入しているとの話もあり、コロナ不安が消失した訳でもなく、引き続き心理的なジレンマは生じています。

突拍子も無いですが、暑さをかき消すことは出来ませんが、頭の中に「涼しさ」を持ち込むために、私自身は、毎時、以下のイメージをしています。

「スイカをかぶりつく」

「メロンをほおばる」

「流しそうめんをすする」

「エアコンが効いた場でのアイスコーヒーごっくん」

「風呂上りの麦茶を一気する」(皆さまはビールでしょうか)

「風鈴を音に耳を傾ける」

「水をかぶる」

などなど、、、これらのことをイメージして、脳みそに「涼しさ」を少しでも感じ取らせ(脳に勘違いをさせ)、瞬間的にでも、暑さから気を紛らわせようとしています。あるいは、「今晩は~しよう」と決め込みます。それだけでも、細やかですが、暑さにちょっとは対抗出来るかなと、やってみています。

みなさんも何か「涼しいイメージ」を膨らませてみて下さいね。そして、やることが終わったら、涼しいことをしようと考えるだけで、少しは、一瞬は、気持ちがポジティブになるかもしれません。

さて、安倍元首相の襲撃事件から1年が経過しました。本当に1年が過ぎるのは早いと改めて感じる悲劇的なニュースです。この時期になると、メディアによる取り上げの影響もあるかもしれませんが、この事件が脳裏に過ることも多々あるのではないでしょうか。

昨年、この場でも突然の「対象喪失(大切な“何か”を失うこと)」について、コラムで取り上げましたが、この時期は思い出しやすく、「アニバーサリー反応(”何か”が起きたことを思い出して様々な心身の反応が生じること)」が出やすい時期です。その意味も込めて、改めて、昨年の「対象喪失」についてのコラムを御覧いただきたく、ここに強調したいと思います。

URL➡【学齢期の子どもの心理:番外編】『対象喪失』と『モーニング』について触れてみる

皆さまの中にも、1年前に限らず、10年前、逆に1ヶ月前というように、様々な「対象喪失」の出来事と遭遇し、区切りとなる時期に、自然と、あるいは必ず思い出すことがあるでしょう。

こういった「対象喪失」の出来事も、コロナウイルスも、酷暑も、全てストレッサーになりうると、前回までお伝えしてきました。このようなストレッサーを私たちがどのように受け止めていくかによって、私たち自身のリアクションも変容していきますが、少なからずストレスを被ることにはなるでしょう。

その時に、「コーピング」という対処法によって、少しでもストレスを予防したり緩和したりすると、私たちのメンタルヘルスは維持されるのだろうと考えます。

今回は、『「ストレス」の理解と対応について触れてみる』の第3弾として、コーピングの中で、予防的にも、緩和する意味でも、よく紹介されている「筋弛緩法」を取り上げてみます。「筋弛緩法」と言うと、分かりにくいですが、簡単に述べると、「リラックス法」です。

この「リラックス法」について取り上げ、留意することや方法まで説明していきます。

認知的ストレス理論

前回までに2回紹介しており、くどくなってしまいますが、改めて大切な理論ですので、コーピングである「筋弛緩法」の説明の前に、「認知的ストレス理論」について振り返り、「あ、そういえばこれだった」と思っていただこうと思います。

URL➡【学齢期の子どもの心理】「ストレス」について触れてみる②

「認知的ストレス理論」では、ストレス反応は、様々な出来事という「ストレッサー」に対する、個人的な意味づけ(認知的評価)が大切であることを述べています。認知的評価には、「一次的評価」と「二次的評価」を設けています。

簡単に述べると、ストレッサーが同じものであっても、そのストレッサーが、個人にどのような害をもたらすのか、どれだけのストレスに曝されるのか(脅かされるのか)などによって、ストレス反応も異なってくるということです。すなわち、個人が、ストレッサーをどのように捉えるかで、ストレス反応の種類や質、そして程度も変化していくという考え方です。

それから、これらの評価(判断)によって、私たちが抱く「ストレス」の基となる「ストレッサー」を解決しようとしたり、その「ストレス」を少しでも軽快しようとしたりする対処行動が「コーピング」となります。私たちは、ストレスに対して様々な「コーピング」を行い、ストレスを軽減させ、心身の健康(メンタルヘルス)を維持していければ、日常生活を安定的に過ごすことが可能となります(以下、図-1)。

図-1 認知的ストレス理論

筋弛緩法

それでは、「筋弛緩法」について説明していきます。

事前に1点お伝えしておくと、この「筋弛緩法」は、様々なやり方があるということです。
私も学生時代を始め、様々に研修を受けたり、書籍を一読したりする中で、教えて下さる方によって、方法や手順が異なることを実感しています。

どれも間違いではないのですが、最初はどれが良いのだろうかなど考えることもありましたが、最後には、「やりやすい」、「かんたん」、「時間がかからない」方法が一番という結論に達しました。なぜなら、そうでないとそもそも続かないからです。

私がこれまで生徒や教職員、その他の方々にお伝えしてきた方法をここではご紹介いたしますが、
あくまでやり方の1つとお考え下さい。

🔷筋弛緩法とは?🔷

「筋弛緩法」は短く説明していますが、「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」の略称です。

「漸進的筋弛緩法」とは、1928年にアメリカの内科医であり精神科医である、エドモンド・ジェイコブソン(E.Jacobson)医師が、研究を続ける中で、筋肉に力を入れたり緩めたりしていくと、心と身体にリラックス効果が生じると見出して開発した技法です。

簡単に言うと、「身体の筋肉に力を入れて緊張状態にした後、一気に力を抜いて段階的にリラックス状態を作る方法」を言います。

随意的に(自分でコントロールして)、緊張する筋肉を緩めると、不随意的な(自分でコントロール不可能な)各部位(自律神経系の働き、姿勢の歪みなど)の緊張状態も緩められるとされています。

そして、ストレスの軽減や気分転換、疲労回復といった心身の健康促進に繋がるとされており、集中力の向上・場面の切り替え・楽しみといった日常生活での良い刺激としても効果が望めると考えられています。

この「漸進的筋弛緩法」は、どの年齢層でも、どんな状態でも、適用が可能というメリットがあります。私自身は、「朝起きたら…」、「風呂上がりに…」、「寝る前に…」、「何かモヤモヤする時に…」とよく伝えています。

「継続は力なり」で、1週間続けると効果が生まれてくると言われています。3分~5分で出来るもの、10分かかるものなど様々です。

🔷行う前に…🔷

実際に、「筋弛緩法」の手順をお伝えする前に、4つのことを頭に入れておいて下さい。この4つを意識して行っていただくことが、効果に繋がってきます。

◆筋肉を緩めることでリラックス状態をつくります。

◆最初に筋肉に思いっきり力を入れてから、一気に力を抜きます。

◆力が抜けていくことに意識を向け続けて下さい。「あ~、力が抜けてくなあ~、楽だあ~」みたいに感じて下さい。

◆始める時は、身体を楽な状態にさせておいて下さい。ベッドやソファに横になっているか、イスの背にダラ~ンともたれている状態にしておいて下さい。

🔷手順🔷

それでは、手順をお伝えしていきます。
最初に「腕」、次に「足」、最後に「顔」をやっていきます。

事前準備は、「だら~ん」とすることです。
出来る限り、「ぼ~っ」としていて下さいね。

実際にやってみましょう!

【腕】

➊ 両手をギュッとにぎりしめる。

➋ 腕を胸の前に出してクロス(交差)させる。

➌ 肩をすくめる(両方の肩を内側にギューッと力を入れていく)。

➍ 思いっきり力を入れた状態で➊~➌の状態を同時に行い、5秒ほど数える。

➎ 一気に力を抜いて、また最初のダラ~ンとした状態に変えていく。

その時、力が抜けていくことに意識を向け続けて下さい。

【足】

➊ 両足のつめ先に思いっきり力を入れます(つめ先に近い指の部分に力を入れる)。

➋ 両足を内側に力を入れてくっつける(足首から下の足の部分を自分の足の方に向けさせる)。

➌ 思いっきり力を入れた状態で➊と➋の状態を同時に行い、5秒ほど数える。

➍ 一気に力を抜いて、また最初のダラ~ンとした状態に変えていく。

その時、力が抜けていくことに意識を向け続けて下さい。

【顔】

➊ 目を思いっきりギュッとつぶる。

➋ 口元に力を入れて5秒ほど数える(口を梅干を食べた後のようにとがらせる感じに力を入れていく)。

➌ 一気に力を抜いて、また最初のダラ~ンとした状態に変えていく。

その時、力が抜けていくことに意識を向け続け下さい。

➍ ゆっくり目を開ける。

いかがでしたでしょうか?
出来ましたでしょうか?
出来たら動画があれば何よりなのですが、ここではコラムですので、分かりにくい部分もあったかもしれません。

しかし、大事なことは、実際の留意することや手順に書かれている内容を踏まえて、ご自身のやりやすい方法に沿って、取り組んでいただくのが、一番リラックス出来るのだろうと思います。

癒し効果のある音楽を流しながらやってみるのも良いでしょう。

どのようであれ、自然と「緊張」がほぐれていくことが目的です。

少しでも、「力抜けた~」となっていれば、成功です。

これによって、ストレスとして感じているものを、ストレスコーピングによって、予防あるいは緩和する一助になっていれば幸いです。

ぜひ時々かつ継続的に、やってみて下さいね。

🔶さいごに🔶

今回は、ストレスに対するコーピングの具体的な方法の1つである「筋弛緩法」というリラックス法について、その内容と方法について取り上げました。

他にもコーピングとして挙げられるものは無数にあると思います。
先に述べた、頭の中でイメージすることも、「コーピング」です。
本当に様々なものがありますが、ご自身の中で「これだ!」と思うものをぜひご活用下さいね。

次回は、引き続きコーピングの具体的な方法をご紹介するか、他のテーマにするか、今ジレンマを抱えています。そのことを考えることを楽しみながら、テーマを決めていけたらと思います。

それでは、皆さん、暑い日が続きますが、充実した夏の期間をお過ごしください!!

また次回まで!!

🔶参考文献🔶

●藤原忠雄 2014 学校で伝える5つのリラクセーション技法 ほんの森出版

●三浦正江 2008 不登校の未然防止~ストレスマネジメント教育の実際~ 東京家政大学文学部

🔶お知らせ🔶

親子関係の問題、お子様とのかかわり方、育児、DVのほか、発達段階(幼児期、児童期、思春期、青年期、壮年期)、発達面の課題、非行、ひきこもり、ストレス・不安・躁うつ・強迫・依存など様々な精神症状に関すること、自己理解、対人スキルといった個人や関係性に関わる内容、不登校、いじめ、特別支援、高校への進路支援など学校と関連する内容など、様々なご相談に対応させていただきます。

昨今、コロナ禍で閉鎖的な風潮が加速化する中、お一人に悩まれ続け、辛い思いをされている方も多くおられると思いますが、一人で抱え込まず、誰かに吐きだして、少し軽くなったり、気持ちに余裕が生まれたりしていくことも時には必要かもしれません。

人それぞれ必ずご自身で感じ取る力、考える力は備えられています。しかし、精神的に余裕がない時には、その力を発揮することが難しくなります。ちょっとだけ、ゆっくり、じっくり、のんびりと、呟いたり、ご自身と見つめ合ったり、誰かと共有したりすると、ほっこりと、リラックス出来て、ご自身の感じ取る力や考える力が増していければ何よりです。

何か思うところがありましたら、いつでもご相談をお受け致します。

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過去の【学齢期の子どもと心理】コラム by 安澤 好秀


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Writing by 安澤 好秀

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