COLUMNコラム

【学齢期の子どもの心理】『インターネット依存』という状態について考えてみる③

こんにちは。所属カウンセラーのY.Yです。

3月ももう終わりですね。
前回申し上げた通り、「間もなく1年の4分の1が終わる…」と呟きながら年度末を迎えました。

まず、本文に入る前に、1つお伝えしたいと思います。新たな年度に向けて、気分新たに、Y.Yというイニシャル表記ではなく、私自身の名前を公開することにしました。

その理由は様々ですが、色々と転機を迎えたからです。

そもそも表舞台に名前を出したり、人前で話したりすることそのものに苦手意識のある特徴の人間であるため、恥ずかし過ぎて、そして不安でたまりません(笑)

他方、刺激を受ければ受けるほど、ぴょんぴょん動き出し、様々な刺激を浴びることがたまらない特徴もあるため、ここは覚悟して、ひとまずひょこっと名前だけ出そうと決意しました。別に何か変わる訳でもありません。単純に、今、この文章を書く時に、私自身の自己顕示欲が高まっているという心的現実以外に、ほぼ何の変化も無いでしょう(笑)

という訳で、そのうち公表されますが、コラム内でもお伝え致します。

安澤  好秀(やすざわ よしひで)と申しますm(__)m

改めて宜しくお願い致しますm(__)m

御存じの方は、「なんだあいつか」と思っていただければと思いますm(__)m

まだ顔写真は載せませんので、改めて似顔絵を掲載して、今回のコラムの本題に入ろうと思います。

さて、年明けから劇的な出来事の繰り返しが続いています。コロナ禍でのオミクロン株の蔓延拡大、オリンピック・パラリンピックの開催、その間にウクライナ情勢の激化など…、「外的な要因」、つまり様々な出来事によって、私たちは感動したり落胆したり、いつの間にか感情が乱高下している可能性があります。
私自身、学生時代、世界史の勉強にのめり込んでいた時期があり、最近は毎朝起きたらすぐにウクライナ情勢をチェックし、歴史的背景などを想像しながら、これからどうなるのだろうか…と連想していて、自然と気持ちが揺さぶられている自分がいます。

1日の中ででも、お昼とか、嫌なことがあった時とか、お風呂上りとか、テレビを観た後とかに、
「自分の今の気持ちはどんな感じかな」と、自身の感情に焦点を充てて、楽しいのか、不安なのか、ホッとしているのか、ガッカリしているのか…など気付いてみて、間を作り、気持ちの仕切り直しをしてみてくださいね。

やはりパソコンやスマホを通じて、リアルタイムにネットを通じて情報が入り、その一つ一つのニュースに対して、意識的にも無意識的にも、人間の気持ちは揺り動かされているのだろうと感じます。そうだとするならば、好んでやっているオンラインゲームやSNSならば、強くのめり込む訳ですから、感情の揺れ幅も大きくなるでしょう。

さて、今回は【『インターネット依存(以下、ネット依存)』という状態を考えてみる】の第3弾です。
今回は、ネット依存の「症状」や「サイン」を取り上げた後、前回お伝えしたメカニズムに合わせたネット依存への心づもりや対処法について、述べていきます。

ネット依存のメカニズムについての振り返り

前回、ネット依存のメカニズムで触れましたが、ネット依存の強い子どもは、ネット世界で『万能感』を抱きやすくなります。それは、母親によって全てが満たされる赤ん坊と同じように。
しかし、ネットは母親ではありません。そのため、子どもがネットに甘え、頼ったとしても、母親やその他の人々と同じようなリアクションはないのです。
あくまで得られるものは、オンラインゲームやSNSを通じた、一定の目的のための、限定的な安心と安全に過ぎないこと、そして子どもの心は赤ちゃん返りをしていき、極端な感情や思考に陥りやすいことを紹介しました(図-1:前回も掲載)。

図-1 「母子」および「ネットと子ども」の依存関係

ネット依存の症状(特徴)とサイン

では、ネット依存が強くなる(ネット依存のメカニズムが進んでいく)につれて、実際に子どもたちに見られる症状はどのようなものが挙げられるでしょうか。

まず、前々回のコラムで「ネット依存の歴史」において取り上げた、アメリカ精神医学会(APA)による診断基準の「DSM-5」で「インターネットゲーム障害」の基準案について以下に引用してみます(図―2)。
なお、この基準案は、公式の精神疾患診断として採用するための証拠が不十分であると判定されたもので、臨床において用いるためのものではない点に注意が必要です。

 

図―2 DSM-5のインターネットゲーム障害の基準案

追記になりますが、現在の重症度を特定するにあたり、インターネットゲーム障害は、普段の活動の破綻の程度により、軽度、中等度、または重度とされます。重症度の低い人は症状の数が少なく、生活上の破綻も少ないかもしれないですし、重度のインターネットゲーム障害をもつ人は、より多くの時間をコンピュータ上で過ごすであろうし、よりひどく、交友関係や、職歴もしくは学業面での機会を失うであろうと記載されています。

続いて、世界保健機関(WHO)のICD-11(国際疾病分類第11版)の「ゲーム障害」の症状を取り上げてみます(図―3)。2019年に公表され、2022年に発効されたものです。

図-3 ICD-11のゲーム障害による症状(WHO,2019)

たくさん書かれているので、読み取りにくいかもしれませんが、簡単にまとめると、以下の3つの特徴です。

【インターネット・ゲーム障害の症状(特徴)を3つにまとめてみる】

〇頭の中では、インターネットやゲームのことばかりにとらわれていて、その感情や行動を抑えることが難しい。時には、その行動を押し通すために、相手に嘘をついたり誤魔化したりする。

〇インターネットやゲームばかりに夢中になっており、他の日常生活で行うことに支障が出ている。睡眠、食事、登校などの外出、家族との会話などの機会が失われていく。不登校やひきこもりに繋がっていく。

〇精神症状(イライラ、不安、無気力感など)などが出ており、健康を害しているものの、インターネットやゲームの時間がさらに増えていく。

【インターネット・ゲームの没入度とサイン】

これらは、子どもだけに限らず、大人でも同じことですが、個人やネットへの没入の程度によって、症状(特徴)のあらわれ方は様々です。私自身もネットへの没入度によって対応方法も微妙に変えています。
細かい話ではありますが、その際の「インターネット・ゲームへの段階的な没入度の目安」を図示してみます(図-4)

図-4 インターネット・ゲームへの段階的な没入度の目安

あくまで目安ですが、ネット・ゲームに対する「興味・関心(単発的・一時的)」⇔「嗜好・ストレス解消(散発的・挿話的)」⇔「嗜癖・習癖(反復的・習慣的)」⇔「依存(依存的・病的)」という連続体で捉えます。この連続体は、①ネットやゲームの時間の増加、②自分自身での統制の困難(場面切り替えの難しさ・日常生活への支障度)、③精神症状の発現の頻度といった視点で段階を設けています。もちろん、悪化の一途を辿るばかりではなく、改善することもあるため、子どもは、この連続体を行きつ戻りつします。

とは言え、重症化を避ける意味でも、改善の余地を残す意味でも、やはり早期に第三者の介入、医療機関の受診を行うことが、望ましいでしょう。

また、彼らの身体面、精神面、生活面、行動面、学習面、対人関係といった様々な場面で悪影響を及ぼし、大きな変化をもたらしています。
これらの場面で見られる子どもたちのサインについて、程度で異なりますし、全てを取り上げることは難しいですが、ここでは、樋口(2019)の文献を参考にしつつ、私自身の経験も踏まえ、ピックアップしてみたいと思います(図-5)。なお、サインの分類の仕方は、論じる方で異なることは添えておきます。

図-5 インターネット・ゲーム障害で子どもに見られるサイン

他にもまだあるかもしれません。「そういえば、~もあったなあ」と想像していただき、子どものサインとして受け止めていただくと、次の時に迅速に対応出来るかと思います。

ここまで簡単にではありますが、ネット・ゲームへの没入度と子どもに見られるサインについて取り上げました。サインについては、依存のレベルによって異なりますが、個人差もあるため、どのサインがどのレベルかというのは一概に言えません。

ただ、「いつもと違う」、「どう考えてもやり過ぎている」、「違うことに切り替えられていない」という状況が毎日続いているのであれば、まずは子ども自身や保護者だけで留めることなく、第三者にご相談すると良いでしょう。どうしても家庭内で抑えがちになってしまいますが、第三者に伝えることで、子ども自身の体調や生活リズムも悪化を防ぐことに繋がりますし、家族が巻き込まれて混乱していくことを早期に気づくことが出来ます。

第三者は、例えば学校の教職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育センター、療育機関、医療機関、地域の相談出来る方々、ネット上の相談機関などです。まずは誰かに伝え、「悪循環を断ち切る」という気持ちを持って、早々に行動に移すことを勧めます。

ネット依存の対処法のあれこれ

ネット依存の対処法と言っても、数多くの視点があります。「子ども自身が心掛けること」、「子どもへの声の掛け方・かかわり方」、「家族としての心づもり」、「ネットへの没入に対する段階的な対応法」、「家庭・ネット環境の工夫策」、「緊急時の対応」についてなどです。全てを今回で述べることも出来ず、どれから話そうか悩ましいですが、ここでは、このどれでもない対応策と申しましょうか。前回のネット依存のメカニズムで触れた内容をまずは述べたいと思います。

すなわち、ネット依存の程度にもよりますが、大人は、ネットにどっぷり浸かっている子どもに対しては、ネットやゲームを子ども「から奪う(of)」のではなく、大人が「入り込む(into)」という視点を持つということです。

【「大人が入り込む」という視点】

最初にこの視点を取り上げます。その理由は、私がネット依存について論文を書いた時に辿り着いた視点であること、そして、「入り込む(into)」のメカニズムを具現化した環境を備える高校がこの2022年4月に創設されることの2点からです。

度々申し上げましたが、ネット依存の子どもは、「ネット=心そのもの」なのです。その子どもの心そのものであるパソコンやスマホを取り上げると、子どもはどうなってしまうでしょうか。

もしかしたら苛立ち、キレてしまうかもしれません。
もしかしたら心を閉ざして誰とも話さなくなるかもしれません。
うつ症状や無気力に至り、何もしなくなってしまうかもしれません。

ネット依存の程度が軽ければ、子どもとネット・ゲームを切り離すことは容易かもしれません。しかし、ネットが「心そのもの」という位にネット依存の程度が強い場合には、子どもの心=ネット・ゲームですから、容易く切り離せまん。
そして、赤ちゃんのようにネットの世界では思い通りの心理状態を築いていますから、それが断ち切られた時には、赤ちゃんのように泣きわめき、容赦なく敵意や攻撃心を見せてくることでしょう。
それは前回示したこの図で表すことが出来ます(図-6)。

図-6 ネット依存の子どもの心の状態

しかし、ネット依存にどっぷり浸かっている子どもに対して、「注意」や「取り上げ」といった、子どもの行動を結果的に否定する姿勢ではなく、「関心」や「一緒に遊ぶ」といった、子どもの行動を肯定する姿勢を取るとどうなるでしょうか(図-7)。

図-7 大人がネット依存の子どもの心に入り込むこと

当然、依存度の強い子どもには、なかなか効かない、全く効かない場合も多々あります。しかし、少なからず「注意」や「取り上げ」がされないのであれば、心のバリアはそれほど強くはならないのではないでしょうか。

そして、「怒り」や「無気力」という反応ではなく、「驚きや違和感」を感じつつ、心が脅かされないと感じれば、ホッとするのはないででしょうか。

つまり、大人がネットの世界に「悪気なく入りたい、知りたい」という気持ちが伝われば、自分の心について「分かりたい、知りたい」と思うきっかけになると考えています。

周りの大人が「恐怖対象」ではなく、「安心対象」と分かれば、心の扉を開く確率が高くなることはいう間でもありません。
ネットやゲームを取り上げるのではなく、一緒にプレイする位の気持ちで関わることが、時に必要となってくるでしょう。

例えば、実際の場面では、こういう言い方になってくるかと思います。

・「あなたのやっているゲームって、どういうものなの?今までよく分からずにいたけれど、教えてくれる?」
・「ゲームのこと、全然分からないけれど、あなたがそんなにはまるのだから、楽しいんでしょうね。ちょっとやってみたいなあ」
・「実はあなたのネットでやっていることをこないだテレビで見掛けたんだけど、〇〇って何?」
・「何も言わないから、隣で少し見ていてもいいかな?」
・「一緒にやりたいんだけど(笑)」
などなどです。

子どもに脅威を与えず、子どものやっていることを無条件に知ろうとする態度が重要です。この態度によって、大人もどっぷりネットやゲームに浸かってしまうリスクはあります。だからこその第三者の存在です。
周りの大人が、子どもの様子を捉え、一緒にその感覚を得て、その内容を第三者に伝えていく。そして、第三者が、大人と子どものバランスを客観的に調整していくという循環で、試行錯誤しながら、ネット依存の問題に向き合っていくことは、有意義な視点だと考えています。

【eスポーツ高等学院について】

2022年4月、この高等学校(以下、高校)は開校予定です。この高校の立案・創設者の意図とは異なるかもしれませんが、以前に、この学校を開校させる予定の中央高等学院高校の担当者とお話する機会をいただき、貴重なお話を伺うことが出来ました。その際に、正に上記の視点が含まれている環境を設備した、「画期的な高校」だと感じました。

 

言うよりも見た方が良いかと思いますので、URLを貼付します。

➡ http://eスポーツ高等学院 – 公式ホームページ (esports-hs.com)

 

この高校では、eスポーツを通じて、社会で活躍出来る人間を育てる教育を行っていくと謳っています。

日本初のeスポーツ専門の高校。

プロゲーマー、ストリーマー、ゲーム実況、プログラマー、ゲームアナリスト、ゲームライターなどなど、ゲームに関連するプロフェッショナルの養成。

キャッチコピーは「アソビマクレ」
プロゲーマーと共にゲームをしながら、実力をつけて、高校生の主要なゲーム大会の制覇を目指していく。

e-スポーツ業界を引っ張る、NTTe-Sportsが高校のプログラムに参加し、カリキュラムも監修

渋谷のど真ん中に「シブヤeスタジアム」というゲームのプレイ環境を設立

曜日毎に、基礎学習の授業だけ、ゲームトレーニングなどゲーム関係だけの時間割の設定のあるICTプログラム

以上のような、産学共同だからこそ出来る、指導者も、環境も、設備も、将来へのロードマップも、しっかりと整えられている学校です。

「ゲームばかりやるの?」「勉強しなくなるんじゃないの?」といった心配もあるかもしれませんが、担当の方と話したところ、しっかりとプランニングされておりました。

最初はやはりネットやゲームばかりをしている子どもたちが多いので、関わり続けて、つながっていくには時間が掛かるようです。
しかし、家から外へ促していくにも、子どもたちからゲームの環境を取り上げたら、昔のやり方のままです。

そうではなく、

子どもたちが、家から出ても、ゲームを存分に出来る環境を作ること。

大人も、子どももみんなで一緒にゲームを楽しめる環境があること。

ゲーム関係の目標を立てられる環境があること。

ゲームの世界だけではなく、リアルな世界の人間関係を作っていける環境があること。

様々な人間関係、将来への道筋など、子どもと社会をつなぐ橋渡しの環境があること。

正に、以下のことが言えると思います。

子どもたちが、大人や環境に合わせるのではなく、
大人や環境が、子どもたちに合わせていく。

子どもの心に近づき、わかっていこうと努める時に一番大切なことではないでしょうか。

ネット依存の対策を具現化した、本当に画期的な高校だと感じます。

まずは「ネット依存の対処法」の以上の視点を述べました。

 

【まとめ】

●インターネット・ゲーム障害の症状(特徴)については、3点でまとめられる。

●ネットへの没入の程度によって、症状(特徴)のあらわれ方は様々であり、その程度によって対応方法も微妙に変わる。その際の「インターネット・ゲームへの段階的な没入度の目安」を理解しておくと良い(図-4参照)。

●ネットやゲームの依存度が増すと、身体面、精神面、生活面、行動面、学習面、対人関係といった様々な場面で悪影響を及ぼし、大きな変化をもたらす。また、これらの場面で見られる子どもたちのサインについて理解しておくと良い(図-5参照)。

●「大人が入り込む視点」、すなわち、ネット依存にどっぷり浸かっている子どもに対して、「関心」や「一緒に遊ぶ」といった、子どもの行動を肯定する姿勢を取ることが重要な視点である(図-7参照)。

●eスポーツ高等学院のプログラムとカリキュラムの内容は、ネット依存対策の画期的で具現的な対策である。

 

今回は、ネット依存に関する「症状(特徴)」と「子どもに見られるサイン」、そしてネット依存の対応法において「大人が入り込む」視点の重要性を述べ、その視点が具現化されているeスポーツ高等学院の紹介を行いました。
次回は、ネット依存の対応法とその視点の続きになるかと思います。お楽しみに!!

なお、中央高等学院の担当者様には、このコラムで取り上げることの許可はいただいております。また、様々な情報をいただき、この場をお借りして、感謝申し上げます。

【引用・参考資料】

DSM-5 2013 アメリカ精神医学会(APA)

ICD-11 2019 世界保健機関(WHO)

樋口進(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 院長) 2019 Q&Aでわかる子どものネット依存とゲーム障害 少年写真新聞社

 


 

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Writing by 安澤 好秀

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