COLUMNコラム

【学齢期の子どもの心理】『不登校』という現象について考えてみる③

みなさん、こんにちは。所属カウンセラーのY.Yです。
3回目の緊急事態宣言が発出され、生活の様々な部分で制限がある中、相変わらずコロナストレスを感じる日々かと思います。このコロナ不安がいつまで続くのかと思うだけでも、気持ちがどんよりしますが、これから梅雨にも突入します。過ごしにくい時期に入っていきますが、1日に1個、自分への御褒美を上げたり、敢えて先を見ずに1日の過ごし方に集中したりしながら、過ごしていきましょう。

さて、前回に引き続き、第7回のテーマも『「不登校」という現象について考えてみる』です。この時期は、コロナ不安や梅雨以外にも、とても憂うつになりやすい要素があります。私もいつも気の重い話題ながらも敢えて必要な情報であり見通しを持ってもらう意味でクライエントに話してしまうのですが、「カレンダーが7月半ばまでほとんど真っ黒」ということです。この時期のカレンダーは、大人は仕事に、子どもは学校に行かなければいけないという沈黙の圧力をかけてきます。

不登校の場合にはどうなるかと言うと、「この日数分だけ自分は行けない」「勉強も活動も遅れるし、会話もどんどん合わなくなってきて、みんなに会いたくない」「もうこのまま学校に行きたくない」という日々がずっと続き、不安が高まり、ネガティブな考えが浮かぶばかりです。

憂うつな日々になりやすいこの時期は尚更ですが、不登校の子どもたちが少しでも安心出来るような心づもりを取り上げていきます。

色々な立場での『不登校』への向き合い方

前回は「自分自身」や「保護者」の立場で、不登校に対してどのように向き合うかについて述べました。今回はその続きで「きょうだい」、「学校以外の居場所で関わる大人」の向き合い方です。

●きょうだい

きょうだいは、不登校の子どもの代わりに様々な場面で葛藤を抱く立場になりえます。家庭では「自分は親に心配を掛けないようにしよう」と意気込んだり「なんで〇〇は学校に行かないんだろう、なんで行けないんだろう」と思い悩んだりするでしょう。

保護者からは「あなたは学校に行きなさい」「あなたと〇〇は違うからね」と言われて戸惑うこともあるでしょう。学校に行くと、学校では先輩や後輩、別のクラスの友人から「〇〇はどうして学校に来ないの?」「家で〇〇は何をしているの?」「〇〇に学校に来てって言っておいて」などと言われる可能性もあります。すると、登校出来ていない〇〇に対して「〇〇だけ休んでいてずるい」「周りから色々と聞かれるんだけど…」「自分も行きたくない」などの複雑な気持ちを抱くこともあるでしょうし、時にはきょうだい喧嘩に発展することもありえます。

きょうだいは、上記のような気持ちを我慢せずに保護者や第三者の大人に率直に伝えることが大切です。そして、不登校のきょうだいがいても、自分の今やりたいこと、頑張りたいことに集中することが気分的に楽になる方法です。もし誰かに色々と聞かれたとしても「家にいるけれど、親に聞いて」「僕には良く分からない」など、自分の気持ちをありのままに言えば良いと思います。

重要なことは、きょうだいが、不登校の子どもの分まで頑張ろうとする必要はなく、自分なりの過ごし方をすれば構わないということです。時には優しく接したり〇〇のことを思いやったりするかもしれませんが、あくまできょうだい自身が今向き合う必要のあることを最優先に過ごすことが大切でしょう。

●学校以外の居場所で関わる大人(図-1)

学校以外で関わる大人には、専門的な立場として、教育センターの教育相談員、学校や地域資源と家庭や本児の繋ぎ役あるいは生徒の代弁者となるスクールソーシャルワーカー(SSW)、不登校生徒の個別学習や小集団活動を尊重する適応指導教室、子どもの心身の体調の治療を進める医療機関といった専門機関がよく話題に上がります。

その専門機関の存在も大変重要です。他方、より身近な存在として関われる大人もいます。児童館、地域の居場所の支援者、友人の保護者、習い事の先生、主任児童委員や民生委員の方々、子ども食堂の方々、地域住民の方々についても、不登校対応でそれぞれが大きな役割を果たし、学校以外の居場所として「話せる存在」になりえます。何か特別なことをするというよりは、本人がホッと出来る、楽しいなと思えるような関わりが、子どもたちにとっては、有意義な時間であり空間となります。

例えば、児童館や地域の居場所でよく行われる季節毎のイベントで、子どもたちに何かの役割を与えます。子どもたちが一生懸命に何かを作ったり、事前に準備をしたりすることを通じて「自分は役に立っている」という気持ち(自己有用感)や実際にイベントが成功して「自分にもこんなことが出来るんだ」という気持ち(自己効力感)が感じられるようになります。それから、彼らは「やった!」「楽しかった!」「これならやれるから続けたい」「ここは安心するなあ」という気持ちに至り、自己肯定感を高めることにも繋がります。この一連の流れの中で、子どもたちは、地域の様々な居場所に対する「所属感」を抱き、様々な大人に対する「特別な対象」という安心感を抱き、結果として「心の居場所」として位置付けられていきます。
地域の何かのきっかけで出会えた大人やご近所でいつも安心して話せるような大人は、子どもたちが「また会いたい」「また来て一緒にやりたい」と思えるような、地域での活躍の場や安心出来る場を提供したり、きっかけ作りをしたりするだけで「重要な存在」となります。

学校では、学習や様々な活動が、集団生活の下でどんどん進んでいくため、そのスピードについていくことが辛い子どもたちもいます。しかし、学校外での活動は、学校での活動ほど敷居が高くない場合も多く、自分のペースで行動出来る環境となりえます。そして、学校で見られる「先生-児童・生徒」という指導的な関係性だけではなく、子ども目線でただ一緒に楽しく過ごしたり傍にいたりするだけの関係性にもなりえます。即ち、本間(2005)の表現している「対等な他者」の立場で、子どもと語り合い、次のステップに進んでいくことを支えていく大きな役割があると考えます。

図-1 学校以外の居場所で関わる大人(一例)

 

【まとめ】

〇きょうだいは、不登校の子どもの代わりに様々な場面で葛藤を抱くことがある。しかし、きょうだいは我慢せずに近くの大人に自分の気持ちを率直に伝えること、自分の今やりたいことや頑張りたいことに集中することが気分の安定に繋がる。
〇学校以外の居場所や関わる大人は、不登校対応において大きな役割を果たし、子どもたちの「話せる存在」、「重要な他者」となりうる。
〇地域のイベント活動を通じて、不登校の子どもたちは「自己有用感」「自己効力感」「自己肯定感」を感じられるような体験をしていき、「心の居場所」が作られていく。地域の様々な大人は、対等な他者として、次のステップに向けて支えていく大きな役割を果たせる。

以上、今回は、「きょうだい」「学校以外の居場所や関わる大人」編でした。いずれも「教育現場」から外れたところで、不登校の子どもたちと関われる大きな存在でもあります。不登校と言うと、どうしても学校とリンクさせやすいですが、決してそれだけではなく、地域での支えや関わりが、子どもたちの変化の大きなきっかけとなる場合もあります。

実際、私自身の経験では、学校での様々な体験活動以前に、個別の関わり、小集団の関わり、学習や集団活動から離れた場での活動などを体験することが、学校復帰やクラス復帰、復帰までいかなくとも将来に繋がる大きな準備期間となると考えています。そして、その準備状態が、後々に子ども本人にとって大きなエネルギーとなり武器となり自信となることを強く感じてきました。その意味で、「学校現場」よりも前に、「きょうだい」や「学校以外の居場所や関わる大人」編を先に取り上げました。

次回は、ハードルの高い「学校」にいる教職員やクラスメイトの、不登校の子どもたちへの向き合い方について触れていきます。

 

【引用資料】
・忠井俊明・本間友巳 編著 (2005)不登校・ひきこもりと居場所 ミネルヴァ書房

 


 

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Writing byY.Y

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