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心のコロナ対策・自立と自律を育む⑤「心のソーシャルディスタンス」

皆様、こんにちは
メンタルヘルスケア&マネジメントサロン代表・公認心理師の小高千枝です。

来週には関東は梅雨入りをしそうですね。
季節的にも暑さと湿度とで決して心地のよい日々ではないかと思いますが感染予防と暑さ対策を意識していただき
心身ともに無理をし過ぎない、毎日をお過ごし頂きたいと思っております。

さて、臨床現場でもスタッフの教育におきましても「自立」「自律(セルフコントロール)」についてはひとつのテーマとしてお伝えしております。
先日登壇をさせていただきました、オンラインイベント・フラコラカルチャーにて他者との心の距離感を上手にはかり
コロナストレスとも共存しながら、セルフコントロールへと繋げることができますようにお話をさせていただきました。

今回はこの場をお借りして、皆様へお伝えさせていただきたいと思いますが、YouTubeへもアップされておりますので、どうぞご覧ください!


https://youtu.be/McUVWB4ZEFM


未然予防の意識を持つこと

緊急事態宣言の延長やオリンピック開催における様々な意見が飛び交う中、決して安定をしている日々ではないことは確かであります。
そういった環境の中で、お疲れになっている方もいらっしゃると思います。また、コロナ禍における新しい生活スタイルを確立され、心身ともに居場所感を感じられていらっしゃる方と置かれていらっしゃる状況や価値観はきっと様々でしょう。

また、最近では深田恭子さんが「適応障害」になられたというニュースや、大阪なおみさんの「うつ」のことなど、どのような方でありましても新しい環境(人、時間、空間)への心と体の適応をすることはたやすいことではなく、
心身への負荷がかからないという方はいらっしゃらないと思います。

例えば。。。
新居へのお引越しや、進学など楽しい事でありましても心身への負荷はかかりますので
約1年半ほど続いています見えない敵との戦いや、落ち着かない環境、自粛要請などへのストレスなど、見えないところでお疲れになっていることもあると思います。

そして、今の時期はコロナ関係なく、梅雨時の「6月病」という季節的なものからくる負荷が疲れた心と体の不調へと繋がるタイミングでもあります。

「私は大丈夫です」と思っていらっしゃる方も心の健康を維持するため、メンタルヘルス不全に陥らないための未然予防として是非、心に留めていただけましたらと思います。

コロナ禍で増えたご相談の傾向

2020年3月から2020年の夏の終わり頃まではコロナに関する不安感や心の問題についてのご相談は、実はそれ程多くはありませんでした。

今までのクライエント様のご相談にプラスして、コロナとの共存への戸惑いをお伝え頂くような内容ではありましたが
変化した日常や現実に対しどう向き合う必要があるのか、そもそも何を悩むべきなのかが、悩むことが多すぎてどこから手をつけたらよいのかが皆さんわかっていない状態でした。

その理由として

人間の欲求は5段階のピラミッド型の構造になっていることから説明をさせていただきます。

人間は1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとする基本的な心理的行動をします。
①生理的欲求
②安全欲求(←コロナによってこの部分が脅かされていました)

そして、時間の経過とともに生活の流れや問題視するべきことなどが見えてきたことで
③所属と愛の欲求(会社や家庭、仲間など社会における自分自身の心の居場所感)

この欲求において、コロナ禍における生活環境に変化を感じながら、人間関係や居場所感の確認作業を行うようになっていったのではないかと感じます。

そして、コロナ禍における特有の悩みが浮き彫りになってきたと思います。

ステイホーム、リモートワーク、ソーシャルディスタンス、三密回避、ワーケーションなど

この1年半で皆さんが日常的に使うようになられた言葉は多々あるかと思いますが
人と会う煩わしさから解放されたことの喜びや
リモートワークがメインとなられた方は自宅での仕事、週3日程度の出社で交代制や時短出社など
”自分の時間ができた”とポジティブに感じた方も多かったのではないかと思います。

ただ、出社をし、煩わしいながらも直接的な業務以外のコミュニケーションをとること
そうすることで良い意味でも悪い意味でも、相手のことを観察し、受容し、理解しあっていた環境が当たり前のようにありました。

こういった心の距離感を無意識に図るようにされていた環境がなくなってからの時間。
PCを開いて会議が始まり、PCを閉じて会議が終わる現状の毎日をイメージしてみてください。

そして、少し前の皆さんの当たり前のように存在していた日常をイメージしてみてください。

会議の前にレストルームへ行き同僚と話をしたり、早めに会議室へ行って準備をしたり
終了後も自席に戻るまで、廊下を歩きながら雑談をすること。

一見、無駄な時間のように感じますが、何気ないコミュニケーションの場となっている「余白」のある時間
そこから得られる情報や学びは実は大きかったと感じるのです。

そのため、今の生活にはそういった無駄な時間でありながら、重要な時間でもある「余白」がなくなってきているということが大きな影響を与えていると言えます。

▽ラクだけど、どこか物足りない
▽ラクだけど、どこか寂しい
▽ラクだけど、取り残されているような気がする

そういった気持ちになられている方も多く
ご家族と毎日一緒にいることへの不満はなく、仲が良いものの、どこか窮屈さを感じてしまわれている方が増えています。

自由に外出もままならないため、息抜きやストレス発散の仕方がわからないという方も。。。

ご年齢的にも思春期のお子さんから、50代後半の方まで幅広く、
今までとは違う生活のペースの中で人間関係における心的距離感をどうとったら良いのかを悩まれる傾向が見られます。

心のソーシャルディスタンス〜コロナ禍で変わったコミュニケーション

では、どのようにコロナ禍の心のソーシャルディスタンスをとっていけば良いのかについてご紹介します

まずはマズローの欲求段階説でもお伝えしました、生理的欲求、安全欲求、所属の欲求にも関わってきます。

▽ご家族やパートナーとの心の距離感について
同じ家に住んでいらっしゃる方の場合、物理的に近いこともあるかと思います。
また、ご家庭の事情などもあるかと思いますので、難しい点もありますが、意識をされるだけで改善策が見えてきます。

・お部屋が複数あるお家は、ある程度物理的距離感を保ち、「個」を尊重しあえる関係
・時間を決めて、別々のことをする
・部屋数的にひとりになれるお時間がない場合は、感染予防に気を付けて散歩など

☆一日10分でも15分でも構いませんので、おひとりになり、
ご家族の中の「役割」を演じていないご自身そのもの”素”に戻るようにしてください。

▽仕事関係者などオンライン上のお付き合いに関して
一時期オンライン飲み会なども流行った時期がありますが
オンライン上とリアルにお会いする時間とのバランスがとれるといいかな。。。と、この1年半感じてきたことです。

実際に緊急事態宣言などで外出自粛を要請されていますので、そのタイミングも様子を見ながらになるとは思いますが「余白」が大切です。

今まで、ビジネスはビジネスだけの関係で築き上げた人間関係も、ちょっとした仕草や余談から垣間見える相手の方のお人柄などから、自然に相手のことを読み取り、関係性を構築されてきたと思います。

▽自分自身との向き合い方について
ひとりのお時間が長い方は自分との対話、対峙をこのコロナ禍においてされてこられた方もいらっしゃると思います。
その中で、「自分」という人間を理解され、受容されたかと思いますが、おひとりの時間が長すぎて、余計に自分がわからなくなったということもよく伺うようにもなりました。

ずっと自分と対話をし続けることは自分らしさの構築にも繋がりますが、視野が狭くなってしまう傾向もみられます

・集団の中の自分
・社会における自分

がわからなくなっていらっしゃるようにもお見受けできる方が多いです。

セルフコントロールの第一歩として

▽1週間~10日に一度、自分を俯瞰する
1週間~10日に一度程度、「本当の自分」だと思っているご自身を更に一歩引いてみる時間を設けるようにしてください。
俯瞰をするということです。
(メタ認知コントロールとも言いますが、こちらは説明が長くなりますのでまたの機会に。。。)

▽他者との距離感、人間関係における心の距離感を意識する
・愛情ホルモンと言われています「オキシトシン」を増やすことを意識されながら考えて見る
オキシトシンは「人とつながる」「寄り添う」ことで”愛されている幸福感””癒される”など感じる愛情ホルモン
オキシトシンが分泌されることによって免疫力や自然治癒力が高まります。
また、ストレスホルモンを低下させ、不安を軽減させることでリラックス効果を生むなど、体の健康、心の健康、脳の活性化が得られ、健康を促進することにも繋がります。

・安定した人間関係、距離感が上手に取れた人間関係は、愛情ホルモン「オキシトシン」が分泌されるきっかけにもなります。そのため、”心のソーシャルディスタンス”を上手にはかり、心地よい心の距離感を意識することが皆さんの幸福感を導き出すきっかけにもなるのです。

心地よい「つながり」「距離感」を是非!みつめてみてくださいね。

心と体のリセット方法

こうやって穏やかに落ち着いてご自身を俯瞰するためには、揺らがないフラットな心の状態であることが大切になります。
ここで毎日の中で簡単にできる心と体のリセット方法をお伝えします。

<今日からできる!寝る前の1日のもやもやリセット法>

▽心を整える3行日記
1日の終わりに行う“自己検診ツール”(自律神経研究・第一人者 小林弘幸先生)

①今日いちばん失敗したこと(もしくは、体調が悪かったこと、嫌だったこと)
②今日いちばん感動したこと(もしくはうれしかったこと)
③明日の目標(もしくは、いまいちばん関心があること)

これら3点を短くまとめていくだけ。
順番①「嫌なこと」→②「いいこと」→③「目標」という流れで行いマイナスの連鎖をプラスの連鎖へ書き換えていく

<効果>
□1日の生活リズムをオンからオフへとスムーズに切り替える(交感神経から副交感神経へ)
□自律神経の乱れが修正され、心と体が落ち着きを取り戻し
□マイナスの連鎖をプラスの連鎖へと帰る
□自律神経を整えることには美容効果?

▽感謝のワーク
おやすみ前に3つ思い浮かぶ一日の中での感謝を言語化する(可視化してもOK)

とても簡単ですので、是非日常に取り入れていただきたいと思いますが、皆さん独自のリセット法も
たくさん用意されておくことをお勧めします!

私の場合の一例をここでご紹介しますね。

気分に合わせてYouTubeを見ることがほぼ毎日の日課です
「暖炉」「焚火」「豪雨」「吹雪」「雷」「犬」「アフリカ」「インテリア・家」「VOGUE」「BTS」(笑)など
他にもたくさんのリセットアイテムがあります
キャンドルやお香をたくこと、時々ホラー映画で現実世界から脱する、動物関係のヒューマンドラマで涙するなど


変異株などが猛威を振るい、本来でしたらオリンピック開催も日本全体で応援をしたいところですが
様々な意見があり、正解をしっかりとみつめなくてはいけない状況となってきております。
そういった中で不安感や空虚感、閉塞感などネガティブな気持ちにもなりやすい状態になることもあるかと思います。
女性の場合は生理周期などによって、ご自身ではコントロールができないこともありますよね。。。

今回のオンラインイベントでお伝えしました「心のソーシャルディスタンス」は人間関係だけではなく、
SNSや仕事の取り組み方など、「出来事」や「物」など皆さんの周りにある全ての環境にも通じることであります。

依存的になり過ぎてしまっていたり、人・物・事との距離感が上手くとれていないなと思いましたら、
一歩引く勇気をもって、皆さんにとっての心地よりソーシャルディスタンスをはかるようになさってくださいね。
ワクチン接種は進んではいますが、まだまだ道は険しいかもしれません。
きれいごとではないこの難局を乗り越えていきましょう。

☆最後に皆様へ☆
不可能なことは1つもない。
“Impossible(不可能)”という言葉自体が”I’m possible(私にはできる)”と言っている!
(オードリー・ヘップバーン)

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