COLUMNコラム

【学齢期の子どもの心理】『思春期』という時期について理解を深めてみる①

🔶はじめに🔶

みなさま、こんにちは。所属カウンセラーの安澤です。
寒暖差の激しい1か月でしたが、体調は崩されていませんか?

「10月もあっという間に終わりを迎えました」。

毎回似たような表現をしているのは、コラムの更新時期が月末だからという理由なのですが(笑)
それでもやはり、時が過ぎるのは早く、今年も残り2か月になろうとしています。本当に早いですよね。

「あっという間」。

この1カ月も様々なニュースがありました。
「全国旅行支援」の開始。なぜ名称を「Go Toトラベル」のままにしてくれないのでしょうか。色々とご事情があるとは思いますが……どこか堅さを感じる名前だと感じてしまうのは私だけでしょうか。

「反発」。

とにもかくにも、徐々に新型コロナウイルスの感染者が減少していき、コロナ不安も軽減されていく印象を抱きますが、この調子で、全国旅行支援が開始され、全国が盛り上がることを祈ると共に、コロナ感染対策の意識を持ちつつ、日々を過ごしていくことも必要だと自戒するところです。

他方、ショッキングなニュースもありました。「笑点」で長年お茶の間を賑わせた三遊亭円楽師匠や、力道山に見初められた稀代のプロレスラーであるアントニオ猪木氏の連日の訃報には衝撃を受けました。
また、一つの時代が終わったと感じる瞬間でした。

そして、もう一つ。私はギャンブラーではありませんが、生粋の競馬ファンです。興味のある方々ならば分かるかもしれませんが、競馬の世界最高峰レースである凱旋門賞での日本馬の敗北はショックであり、ある種の喪失感を感じてしまいます。
毎年難しさは感じているのですが、今回はチャンスだと思っていました。ただ、やはり「適性」がものを言う世界だと、素人のファンながらに感じる瞬間でした。また来年、日本競馬界の悲願に向けて、応援を続けていきます。

こうやってこの1カ月を振り返ると、「笑点」も「新日本プロレス」も、そして「競馬」も、私自身が、小学校中学年の頃から、度々テレビで観るようになったエンターテイメントです。

笑点はもっと前から観ていましたが、その時期の笑点のメンバーが一番の記憶として残っています。円楽師匠が、「三遊亭楽太郎」として名を馳せていた時代です。
プロレスはそこまで詳しくないですが、新日本プロレスの東京ドームでの試合をテレビで観たことを覚えています。
そして、競馬は当時アイドルホースであったオグリキャップが社会現象を起こし、私もその時から競馬に関心を持つようになりました。

もちろん、どれも私の生まれる前からありましたし、歴史的な番組、団体、スポーツです。ですが、様々な社会や自分自身の流れはありながらも、その当時に目に留まったものは、今でも自分自身に強く刻み込まれているものだと、今回のニュースを機に思い直しましたし、感慨深さを抱きます。

「あっという間」、「反発」、そして「様々なものへの関心」。

今回のテーマは、この3つの要素も凝縮されている、『思春期』について理解を深めてみようと思います。
どちらかというと、保護者向けの内容かもしれませんが、子どもたちが読んでもOKな内容です。

そもそも『思春期』って何?

『思春期』と言われると、どんなことが頭に浮かびますか?

一般的なこと、理論的なこと、自分自身のこと、色々なことが浮かぶのではないでしょうか。
今、みなさんに思い浮かんだこと、いずれも『思春期』を表すものなのだろうと思います。
とは言え、非常に幅広い内容ですし、「何?」と言われると、なかなかぼんやりした感じや動きのあるもので説明しづらいのではないでしょうか。

また、中学受験を控える子どもたちや保護者の方々もおられると思います。中学受験の時期は、誤差はありますが、正に思春期に突入し、真っただ中の時期と言えます。勉強をする・しないというやりとりだけでも、日々激しいとは思いますが、受験が入ると、なおさら親子で勉強のことで衝突するご家庭も多いのではないでしょうか。

私は「はじめに」で取り上げたように、思春期について、「あっという間の期間」と「様々なものへの関心の広がり」を感じますし、「自我の芽生え」の時期を連想します。

自分自身のことで言うと、一番の記憶は、色々なことで怒られたことですかね(笑)中身は言えませんが…「秘密」というのも、思春期の特徴の1つではないでしょうか。今が私の思春期と言っているわけではありませんが(笑)

私のコラムの大枠のテーマである【学齢期の子どもの心理】の中に「学齢期」という言葉があります。「学齢期」は年齢で言うと、大体は就学する時期と重なる6歳から18歳前後、最近はもっと長い時期も含むといった議論もありますが、大体その期間を意味します。

そうだとするならば、本来「児童期」から取り上げて欲しいという突っ込みをいただきそうですが、やはり『思春期』が一番コアな内容ですし、私自身も最も関わってきた子どもたちの時期でもあり、最初に『思春期』から取り上げて参ります。

今回は、『思春期』という言葉について、簡単にまとめ、そして、思春期の特徴について取り上げてみます。

ここでは、以前に別のところでも取り上げた資料や画像も用いながら、「思春期」について説明していきます。
もしかしたら、その資料や画像を通じて、色々と私の正体に気づかれる方もおられるかもしれませんが、そっと、温かい目で見ていただけるとありがたいです(笑)

『思春期』について

【意味は何なの?】

思春期は、英語の「puberty」の言葉が当てはまり、「pubes;恥毛」という言葉に由来しているようです。つまり、性的に成熟した身体へと変化していく「第二次性徴」の時期が訪れることで、思春期がスタートするということになります。そして、子どもたちは、身体的な成長に伴って、精神的にも成長していきます。

【どんな時期なの?】

簡単に説明することは難しいですが、「心身共に、子どもの自分から大人の自分へと変化していく時期」と言えるのではないでしょうか。子どもの気持ちとしては、大人の自分と子どもの自分が、行ったり来たりします。精神分析家のBlos.P(ピーター・ブロス)は、心理的に親離れし始め、子どもが個人として歩み出していく時期と述べています(馬場他,2006)

【いつ頃から始まるの?】

諸説ありますが、最近では、男子が小4の頃(10歳前後)で、女子が早ければ小3の頃(9歳前後)から突入します。生物学的な性差としては、女子の方が早いことが多いと言われています。ただし、かなりの個人差があり、皆が同じ時期という訳ではありません(終わりは大体17~18歳位までですが、様々な意見があるでしょう)。

【どんなことが起きるの?】

思春期に突入すると、様々な子ども側の心の変化に伴い、親子の会話や子ども自身の行動にも、変化が生まれます。幅広い言動があり、全ての言動をしてしまう子もいれば、一部がある子、何も見られない子もいると思います。

具体的に親子の間で起きるやりとりを挙げてみます(図-1、2)。

図-1 思春期の子どもに見られるアルアルな言動①

図-2 思春期の子どもに見られるアルアルな言動②

子どもたちからすると、意識したくない内容かもしれませんが、色々な感情や気分によって、上記のような言動になっている自分自身に気づくことがあるかもしれません。

保護者からすると、「そうそう」「あるある」と思うことが多いかもしれませんが、大前提として、上記の内容がダメであると申し上げている訳ではありません。現象として生じうるということを申し上げておりますので、ご承知置き下さい。

もちろん、毎回がこのようになる訳ではありませんし、どちらかというと、思春期前半で、親子の間で、少しギスギスした雰囲気がある時に、はたまたその他の人間関係上でのトラブルなどストレスフルな時に、生じやすいかもしれません。また、思春期でも後半(おおよそ高校生以降)になると、成長に伴い、また違った言動が見受けられることも確かです。

上記の例で紹介している内容が、良いこと、悪いことという意味合いで捉えるよりも、思春期だからこそ起きやすい現象なのだと、親子共々、感じ取っていただくことが重要です。そして、関係性が悪化していかないようにしていくことが、大切なのだろうと考えます。

子どもたちの心の変容

思春期に入り出した子どもたちには、様々な心(身体)の変容が生じます。あらゆる生活場面や人間関係の場面で、周りの人たちは気づくことになりますし、子どもたちは後で「そうだったなあ」としみじみ感じることが多いかもしれません。

では、具体的にどのような変容があるでしょうか。
ここでは、大きく7つの特徴にまとめてみます(図-3)。

図-3 思春期以降の子どもの心の変容

これから、この7つの特徴を具体的に説明してみます。いろいろ書いてありますが、一緒に記載した絵(画像)が、その特徴の要点になりますので、絵(画像)を見ていただくだけでも理解は深められると思います。

🔷第二次性徴(身体の変化)🔷

🔷性ホルモンが増加していき、女子ならば「初潮」、男子ならば「精通」が起こり、性的に成熟していく。

🔷身体的には、身長が伸び、体型にも変化が生まれる。

🔷女子は、乳房の発達、体毛が生えるなど生じる。

🔷男子は、声変わり、髭が伸びる、肩幅が広がり、身体ががっしりとしていく。

🔷性的・身体的な変化が、心理的にも影響し、性的な興味・関心も高まっていく。

画像-1 第二次性徴(身体の変化)

🔷親離れ🔷

🔷子どもは、性的な興味・関心、身体のことについて保護者には相談しにくく感じます。

🔷性的な興味・関心、そして悩みを第三者に話すようになります。それに乗じて、その他のことも保護者に話さないようになります。

🔷「親の中にいた自分」が、「親とは別の一人の自分」という心理になります。そのため、「親の言うことが絶対ではない」と考えたり、「自分や友達の考えの方が正しい」と思ったりするようになります。

🔷まだ「親離れ」し始めたばかりのため、完全に親から離れてしまうことへの不安があります。そのため、身体としては親くらいに大きくなりますが、心理的には完全に離れるわけではありません。➡大人になったり子どもになったりすることを意味します。

画像-2 親子離れ

🔷自我の芽生え🔷

🔷「親離れ」と関連しますが、自分が「ひとりの人間(個体)」という感覚が強くなります。「自分って何だろう」と考えるようになります。

🔷保護者から培われた価値観に加え、自分自身で考えたり、他から学んだりして得られた価値観が新しく築かれていきます。

🔷保護者には言えない「秘密」が増えていきます。「何だっていいじゃん」「何で言わないといけないの」「私の勝手じゃん」といった言葉は、象徴的な言葉です。

🔷保護者の意見よりも、自分の考えや判断を優先して自己主張も強くなります。

画像-3 自我の芽生え

🔷自意識の高まり🔷

🔷自分自身に強い意識が向けられます。自己愛が高まるとも言います。それまでは保護者に向けられていた「愛着」が自分に向け替えられます。

🔷周りから、自分がどう見られているのか、どのように思われているのかについて、強く気にするようになります。

🔷自分が抱く自身のイメージが大きくなり(自己像の肥大化)、時には自分は何でも出来るような存在と感じたり(万能感)、周囲からも注目されたいと思うようになります。

🔷自分への意識は、良い意味でも悪い意味でも高まりやすい。悪い場合には、情緒不安定となり、例えば、人と会えないとか、自己嫌悪感が強い状態になる場合があります。

🔷この時期、髪型や服装を気にして、おしゃれをするために、鏡に向かう時間が増えます。

画像-4 自意識の高まり

🔷友人関係の変化🔷

🔷同性の友人や特定のグループと親密に交流するようになります。この時期の友人関係のあり方は、チャムシップ(Chumship)と言われます。

🔷この時期の友人は、保護者には話せない「秘密」について共有したり、相談し合ったりする相手となり、子どもにとっては、保護者よりも心理的な支えとなる重要な存在になりえます。

🔷主には、クラスで趣味や好きなことで話が合う子、尊敬している子、部活動で切磋琢磨している子、小学生の時から仲良い特定の子が相手となります。

🔷最近はインターネットにより、SNSを通じて知り合った子も重要な存在となりえます。そのため、出会ったことがない子とのやりとりも盛んに行われている場合があります。

画像-5 友人関係の変化

🔷両価性🔷

🔷両価性(アンビバレンス)とは、ある対象に相反する感情を抱くことです。この両価性は、思春期によく見られます。

🔷例えば、保護者に対して「甘え」てくる時もあれば、「批判」的な態度を取ることがあります。例えば、「ねえねえ」と近寄ってくると思ったら、逆に「放っておいて!」「ふん!」と無愛想になるなど、保護者は混乱しますし、「何なの、この子」と苛立つことがあると思います。

🔷思春期は、「依存」と「自立」そして、「子ども」と「大人」の境界線を彷徨い、その時の気分に応じて行き来する「波の激しい時期」です。

🔷子ども自身で「ツン」とする時と「デレ」とする時の、感情のコントロールをすることが難しいです。そのため、極端な考え方や行動を、保護者にも度々見せることになります。

画像-6 両価性

🔷認知面の発達🔷

🔷具体的に見聞きした情報だけではなく、自分の中で論理的に考えて、物事を理解出来るようになります。

🔷頭の中で考えて行動するようになり、先々をより見通すようになります。例えば、「自分の将来」や進路についてイメージするようになります。

🔷様々な人との交流から、幅広い視点を学び、自分と相手の価値観の違いを踏まえた上で、相手を理解しようとするようになります。

🔷最近は、インターネットの情報について、子どもが関心を抱いた内容を取り込み、正しいかどうか分からないままに、その情報について一人で思いに耽ったり、信じ込んで考え込んだりしてしまうリスクもあります。

画像-7 認知面の発達

 

以上、思春期の特徴を7つにまとめてみました。

以上の特徴以外にもあると思います。また、これらの特徴を背景にして、感情のコントロールもなかなか難しい時期に突入します。

言葉が少ない子どもたち、感情表現の少ない子どもたち、あるいは自閉症スペクトラム症や注意欠如多動症を罹患されている子どもたちは、感情を抑えきれない時に、言葉ではなく、極端な行動で感情を表現することもあり、周囲を驚かせることもあります。

「反抗的な態度」もそのうちの1つの表現方法でしょう。先に述べた「アルアルな言動」で例示した内容になります。

🔶さいごに🔶

今回は主に「思春期」に突入した子ども自身に見受けられる特徴について、視覚的なイメージを添えながら、説明をしてみました。
普段の生活場面で、子ども自身も、保護者の方々も、「あ、これか」と思いながら、少しご自身と相手との間に、「間」を置くだけで、落ち着いて考えることが出来るかもしれません。

なお、自閉スペクトラム症や注意欠如多動症を罹患している子どもたちには、思春期に似た症状だったり、思春期の特徴と相俟った言動が観られたりすることがあります。ここでは、その比較や詳細については、割愛しています。また違う機会にお伝え出来たらと思っています。

また、どこから疾患で、どこから一般的な思春期の特徴なのかは、一概には申し上げられませんし、そのように考えてしまうと、結論が出ないと思います。

むしろ、子どもたち自身のもともとの特性、そして長所と短所があると思いますので、それらの濃淡について改めて振り返ること。そして、課題となる部分がどのような部分なのか、様々な生活場面でどのような困り感が生じているのか、どのようにしていけば生活しやすくなるのかについて考えていくこと。これらが大切なことでしょう。

どう対応したら良いのか分からない時には、周囲の関わる方々の意見を聴いたり、専門家に助言を求めたりすればまた方向性も見えてくると思います。

🔶まとめ🔶

●思春期の意味は、英語の「puberty」の言葉が当てはまり、「pubes;恥毛」という言葉に由来している。性的に成熟した身体へと変化していく「第二次性徴」の時期が訪れることで、思春期がスタートするということである。

●思春期とは、「心身共に、子どもの自分から大人の自分へと変化していく時期」と言える。子どもの気持ちとしては、大人の自分と子どもの自分が、行ったり来たりする。

●思春期の始まりは、諸説あるが、男子が小4の頃(10歳前後)で、女子が早ければ小3の頃(9歳前後)から突入する。生物学的な性差としては、女子の方が早いことが多いと言われている。

●思春期に突入すると、様々な子ども側の心の変容に伴い、親子の会話や子ども自身の行動にも、変化が生まれる。その心の変容として、具体的に7つの特徴を挙げる。

●7つの特徴には、第二次性徴(身体の変化)、親離れ、自我の芽生え、自意識の高まり、友人関係の変化、両極性、認知面の発達である。それぞれを理解した上で、子ども自身も保護者も向き合うと、「間」出来て、落ち着いてお互いの気持ちを考えることが出来ると思われる。

なお、使用している様々な画像で示される性別やその組み合わせに意図はありません。あくまで資料の「内容」について示すために使用しています。

 

今回の『思春期の特徴』というテーマが、子ども自身と保護者が向き合う時の一助となれば幸いです。
次回は、主に『思春期の特徴』が表れた時の、親子関係性や保護者の関わり方について取り上げます。
極力簡単に、わかりやすく、コンパクトにまとめられるよう努めます(笑)

本当は違うテーマの予定でしたが、どの精神病理を取り上げるにしても、その背景にある子どもたちの心の変容を整理する必要があり、急遽、「思春期」を先に取り上げました。
また、「児童期」、「思春期」、「青年期」という順番でやるべきところを申し訳ありませんが、出来る限り読みやすくなるようにしていきますので、引き続き、宜しくお願い致します。

寒さも疲れも増していく時期となりますので、くれぐれも心と身体、それぞれを温めてあげてくださいね。

それではまた次回まで!!

🔶参考資料🔶

●馬場禮子ら(編) 2006 ライフサイクルの臨床心理学 培風館

🔶過去の記事🔶

こちらからお読みいただけます↓↓↓

過去の【学齢期の子どもと心理】コラム by 安澤 好秀


 

●オンラインカウンセリング(カウンセリング、メンタルトレーニング)もどうぞ、ご利用ください。
詳細はこちらをご覧ください。

※小高の対面カウンセリング(カウンセリング、メンタルトレーニング・コーチング)、メールカウンセリングはご紹介制となっております。
オンラインカウンセリングにつきましては、通常のお申し込みで対応させて頂いております。

Writing by 安澤 好秀

 

オンライン
カウンセリング
カウンセリング予約