COLUMNコラム

【日本におけるヤングケアラーの現状】ケアを担う子どもたち

こんにちは、所属カウンセラーの古宇田です。

新年度が始まり早半月となりました。このコラムでは子どもの心との向き合い方をさまざまな視点で考えていきます。2022年の4月1日から子どもが18歳で成人となる大きなニュースが話題となりました。親の同意なしで出来ることも増える一方で大人としての責任も課せられる場面が起こり得ることでさまざまな心配事もあるとは思います。そうしたことも乗り越えて頑張ってもらいたいという思いと同時に、私自身が1人の大人として新成人が社会で活躍できる良い社会を作っていく意識を持ち続けていきたいと思っています。

さて今回のコラムのテーマは【日本におけるヤングケアラーの現状】ケアを担う子どもたちです。昨今ネットやテレビでも見聞きすることの増えたヤングケアラー問題ですが、まだまだ日本での認知は広まっていないのが現状です。日本におけるヤングケアラー研究によって分かってきていること、そして解明されていないことも多いですが、今回はヤングケアラーについて現状やその背景などについて考えていきたいと思います。前回のコラムで紹介した児童福祉法改正にヤングケアラーへの支援が盛り込まれることもあり、今後の展開が期待されるところです。

前回のコラムはこちらからご覧になれます。
【小児期の逆境体験(ACEs)とは・・・】将来の健康のために幼少期のトラウマを防ぐ支援

 

【ヤングケアラーとは・・・】

「ヤングケアラー」と言葉だけの意味ですと「若い人がケアを担っている」といったような印象を抱くかもしれません。このネーミングにネガティブな意味合いが含まれていないことが救いでありつつも、その役割がどのようなものなのかどれくらいの負担なのか分からないところがある点では、怖さも抱えています。

実際のヤングケアラーという意味は「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」とされています。一般には本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものことなのです。

そしてヤングケアラーであることは、子どもらしい生活ができない、年齢相応のキャリアを積むことが難しいなどの課題を抱えています。つまり学業(遅刻や早退、欠席が増える、勉強の時間が取れないなど)への影響、現状が一杯一杯で将来への展望を抱きづらくなる影響、友人関係(友達とコミュニケーションを取れる時間が少ないなど)への影響などの教育的、社会的、心的にそして発達的な視点からの成長をも犠牲にせざるを得ない環境に置かれている子どもであるとも言えます。

家族のお手伝いをすることはごく普通のことです。しかしそこにどれほどの責任を伴ったケアであるかどうかという視点がヤングケアラーの問題をみていくためには大切なことです。ヤングケアラー研究によって単に家族を手伝うことを超えた負担を強いられる環境が子どもの健全な成長を阻害しかねないという問題意識が高まってきています。

 

【ヤングケアラーを生み出す背景にあるものとは・・・】

ヤングケアラーの存在はイギリスでの調査によって明らかにされてきたという経緯があります。イギリスで1988年頃から在宅介護を担う児童に関する調査がきっかけとなりました。日本では2010年に一般社団法人日本ケアラー連盟が設立され、実態調査などが始まりました。そうした調査からヤングケアラーとはどういった状態のことをいうのか把握されてきており、厚生労働省のHPで具体的に以下のように紹介されています。

・障がいや病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている
・家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている
・障がいや病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている
・目を離せない家族の見守りや声かけなどの気づかいをしている
・日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしている
・家計を支えるために労働をして、障がいや病気のある家族を助けている
・アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している
・がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている
・障がいや病気のある家族の身の回りの世話をしている
・障がいや病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている
(参考資料:厚生労働省HP「子どもが子どもでいられる街に。~みんなでヤングケアラーを支える社会を目指して~」

これらを見ると、背景には家族の介護や家族が抱える課題が考えられそうです。続いてそうした課題の背景に対してどのような取り組みが試みられているのかを探っていきましょう。

 

【ヤングケアラーを理解するための視点とは・・・】

子どもの成長のために、そして家族への支援という視点からも、早期発見や何らかのサポートが必要なのではないでしょうか。ではそこには一体どういう課題があるのかを探っていきたいと思います。

令和2年度の厚生労働省の調査によると、要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)において相談、通告のあった子どもや登録されている子どもがヤングケアラーである可能性を早期に確認する上で「家族内のことで問題が表に出にくく、子どものヤングケアラーとしての状況の把握が難しい」「ヤングケアラーである子ども自身やその家族がヤングケアラーという問題を認識していない」ことが挙げられています。

子どもと家庭に関わる関係機関として、幼稚園・保育園や小中学校、高校そして医療機関があると思います。調査の中ではそうした関係機関にヤングケアラーと思われる子どもへの対応として、期待することがいくつか挙げられており、まさにそれらに取り組んでいくことが理解する視点の第一歩になるのではと考えています。

・ヤングケアラーについての認識の向上
・早期発見や気づき
・スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーとの連携
・実態把握(聞き取り、面談、アンケート)
・子どもとの信頼関係や話しやすい環境づくり
・子どものケアやサポート、居場所づくり
・保護者へのアプローチ(アドバイスや相談できる場の設定)
・ヤングケアラーとなっている子どもへの啓発や自覚の促し

子どもと関わる関係機関としては、家庭ということになるとどうしても一歩引いてしまう嫌いがあるように感じています。そのため子ども単位で見てしまいがち、見ざるを得ない状況もあるのかもしれません。しかし家族単位でみて総合的な視点で関わるとともに、子どもと保護者がSOSを出せる関係づくりの構築がまずは大切なことなのではないでしょうか。

以上を踏まえると、広く社会に知ってもらうこと家族内のことではあるが支援が必要なこと子どもと関わる大人の担う役割は大きいということを胸にヤングケアラーの問題とは向き合うことが必要なようです。

 

【最後に】

私自身「ヤングケアラー」という言葉を知ったのは最近のことです。仕事を通して、子どもが子どもでいられない経験をしているヤングケアラーらしき子どもを見ることはありました。本来その子どもが持っているであろう能力や才能、さまざまなよい側面を出し切れていない、そんな背景にはこうしたヤングケアラーの問題が潜んでいるかもしれません。

実際、支援する側の人間の立場ですと「サポートが必要!」となるのですが、支援される側の家族にとってはそれを必要と感じていないこともあります。そこにはさまざまな思いや感情が混然一体としていたり、支援を快く受けられるかどうかという社会的な雰囲気も影響しているかもしれません。
今回のコラムで紹介した日本におけるヤングケアラーの現状をさらに理解していき、その背景についての考えをより広げていくことで、世の中の人たちと共にヤングケアラーを支える社会を目指していけることを願っています。

【参考資料:敬心・研究ジャーナル4(1), 2020「日本のヤングケアラー研究の動向と到達点」河本秀樹、厚生労働省HP「子どもが子どもでいられる街に。~みんなでヤングケアラーを支える社会を目指して~」、令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書令和3年3月」三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部】

長期に渡るコロナ禍での不安やストレスは、さまざまな形で表出されていることがあります。ポジティブな考えを持つきっかけとして、そして安心・安全な人との関わりを通して生きる力を養うサポートもカウンセリングの一側面とも考えています。子育てや子どもの抱える不安やストレスに関してのご相談もお受けしております。

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Writing by古宇田エステバン英記

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