COLUMNコラム

【メンタルヘルス】精神科医が “コロナ離婚” から学んだこと

こんにちは!所属精神科医のT.Sです(実名非公開)。

このコラムでは、

僕が精神科医として患者さんと接する中で手に入れ、磨き上げてきた様々な武器
つまりは「幸せになるコツ」

を紹介していきます。
読んでいただいた皆さんにとって少しでもタメになる記事をお届け出来るように、僕自身も勉強を深めながら楽しんで更新していきます!
どうぞよろしくお願いします!

さて、冒頭でいきなり恐縮ですが、これ以上無いくらい私的なお話をしますね。

実は私…5月の中旬に…

 

離婚しました!!!

つ、つい、太字デカ文字で叫んでしまった…

入籍したのは昨年11月22日、いわゆる “良い夫婦の日” でした。
しかし、大いなる運命に対し、語呂合わせなんかでは到底太刀打ちできず、残念ながらこのような結果となってしまいました…トホホ…

ちなみに原因は僕の不貞行為とかではないので、その点はご安心?ください!

実は、2個前の記事「メンタルヘルス】大切な人を嫌いにならないために出来ること」を書いている時点で、既に離婚の話が持ち上がっておりました。
それを踏まえて改めて読んでみると…おわかりでしょうか。この記事、完全に僕が自分に向けて書いたものですね。笑

「離婚は結婚より大変」なんて巷ではよく言われますが、あれは神話でもなんでもなく、ただの真実。
毎日毎日とにかくストレスフルで、食欲は失せて体重は減るし、仕事も手につかないし…ここ数ヶ月は、僕にとって地獄のような時間でした。

今でこそメンタル的にほとんど回復しましたが、正直、「結婚生活が半年も保たないなんて、安物の電化製品かよ…忘れよ…」と考えちゃったりすることもあります。

でも僕、最初のコラムでこんなことを書いてしまっているんですよね。

“”
前述のとおり、実はこの世界であなたが出会うあらゆるものは、全てあなたの武器になり得ます。
最近読んだ本、友達との雑談、悲しい失恋、死にたくなるほど恥ずかしい失敗、肌触りが好きな服、忘れられない景色…
その全てが、使い方さえ間違えなければ、自分の幸せな人生をサポートしてくれる強力な武器になるのです。
“”

(嗚呼、こんなこと書くんじゃなかった…)

そしたら、言い出しっぺのこの僕が、この悲しい経験を武器に変えるしか無いじゃないですか…!

…というわけで今回は、僕が結婚・離婚を経て学んだことについて、涙を流し血反吐を吐きながら、記事にして紹介していきます。笑

他人事で済めばそれで良いでしょう。
しかしご存知の方も多いかもしれませんが、このコロナ禍で離婚は急増しており、現にコロナ離婚という言葉も誕生しています。

「自分には関係ない話…」と切り捨てず、今の自分を振り返るきっかけにしてみてくださいね。(じゃないと僕が浮かばれないので!!)

適度な距離感って、やっぱり大事

コロナが流行するまでは、お互いの友達を呼んでホームパーティーをしたり、飲み会やご飯会も結構な頻度でするような、いわゆるオープンな性格だった僕たち夫婦。

元々はが付くほど仲良しで、周りなら誰もが知っている、いわゆるオシドリ夫婦というやつでした。
(ちなみに本物のオシドリって実は一夫多妻制で、夫婦でいるのは交尾の時期だけなんですが…笑)

今回のコロナ禍で、友達との飲み会や旅行に行けなくなってしまいましたが、僕らにとってはどこ吹く風。
“確かに友達と会えないのは寂しいけど、2人だけでもずっと楽しいんだから、自粛だろうと余裕で乗り切れるよね!”

…当時は2人ともそう思っていましたが、それがまず1つ目の大きな間違い。

視線が中にだけ向き、外の世界に目を向けなくなってしまったことで、結果として自分たちの居場所を狭めてしまった。
つまり、「自分の世界 = 2人の世界」「自分の人生 = 2人の人生」「自分が幸せ = 2人が幸せ」という枠組みに囚われるようになってしまったのです。

これだけ聞くと「何がダメなんですか!?まさに真実の愛じゃないですか!」と思う人もいるかもしれませんが、実はそこには罠が潜んでいます。その罠とは…

「自分が幸せ = 2人が幸せ」というのは、逆に言えば「2人がうまく行っていない = 自分は不幸」という解釈にも繋がりうるということです。

確かに恋人や結婚相手というのは、人生の中でも重要なポジションであることは疑いようがありません。
でも本来、自分の人生や幸せを形作るのは、必ずしもパートナーだけではないし、家庭だけではないはずなんです。

職場での関わりや、趣味の時間や、友達との遊びなど…それら全てが、自分の人生や幸せを構成するピースなのです。

不登校の子どもに、「学校だけが居場所ではないよ」と指導することがあります。
子どもたちは学校以外の社会を知らないので、学校で上手く行かないと、自分の居場所がどこにも無いように感じてしまう。

他を排除して2人だけでいると、これと同じような状況に陥る危険性が高まるのです。

コロナ離婚は、「元々嫌いだったのに、在宅ワークが増えてさらに嫌いになって離婚」というパターンだけではなく、とっても仲が良い夫婦が破局するケースもある、ということは覚えておいて損はありません。

お互いが多くの点で似ていることより、違いに向き合えるかが大事

僕が彼女との結婚を決めた理由はいくつかありますが、その1つは「趣味や考え方、生活スタイルがかなり似ていた」ことでした。

旅行や読書や美味しいものが好きというのはもちろんのこと、食べたいものも食べたいタイミングも一緒だし、インテリアの好みも同じ。もっと細かいところまで言うと、「バスタオルは一回干して乾かしてから洗濯物入れに入れる」みたいなことまで。
極端な話、初めて相手の家に遊びに行ったときに「ここって僕の家だっけ…?」と思ったくらいです。

カップルが同棲を始めると、生活スタイルの違いで何かしら揉めるものですが、僕たちはほとんど揉めませんでした。シンプルに家事が楽になり、大半は笑って過ごすことができていました。

でも今思うと、あまりに似ていたため、それが当たり前になってしまっていたのかもしれません。
だからこそ、珍しく自分と違うところが出てくると、それが変に悪目立ちして、大喧嘩に発展してしまう。

自分と似ている人と一緒にいるのは楽しいし、楽だし、恋にも落ちやすいでしょう。
でも結婚し、これからずっと一緒に過ごすとなると、似ている点が多いかどうかよりも「違いとどう向き合えるか」の方が遥かに重要です。

違う家庭、違う環境で育った人間なのだから、考え方や生活スタイルは違って当然。
そしてその違いは、2人で生きていくなら永遠に素通りすることなど出来るはずもなく、必ずどこかで向き合い、乗り越えなければいけない壁なのです。

その壁にぶち当たった時、一緒になんとか乗り越えようと努力できる関係性なら、たとえどんなに違いが多い2人でも、きっと上手くいきます。お互いが違いを認め合い、ときにはその違いさえ共有しながら歩んでいけるでしょう。

しかし、もしも壁から目をそらし続けるのであれば…
いずれ、決して乗り越えることが出来ない巨大な壁に、行く手を阻まれてしまうこと間違いなしです。

健やかな時より、病める時の方が大事

結婚式の誓いの言葉で、「健やかなる時も 病める時も…」というのがありますよね。

僕が今回の経験で一番痛感したのは、健やかな時よりも病める時の方が遥かに重要だということです。

2人とも絶好調なときは、大抵のことはへっちゃらで、小さな障壁ならヒョイッと飛び越えていけるもの。
でもお互いに余裕が無くなったり、考え方が違ってぶつかってしまうときは、どんなカップル・夫婦にも必ずやってきます。

そんなときこそ、話し合う・認め合う・支え合うという姿勢が2人にあるか が非常に重要です。
それさえできれば、これから同じような状況になっても、手を取り合いながら進んでいけるでしょう。

 

さて、今回のコラム。
震える手を押さえつけ、吐いた血でキーボードを濡らしながらなんとか書き終えましたが、半ば僕の反省文・備忘録のようになってしまいましたね。笑

ただし冒頭にもお伝えした通り、「あらゆる経験が武器になる」が僕の信条です。
今回の結婚・離婚から学べたこともたくさんありましたので、自分にとってプラスの意味合いを持つものに変えていこうと思います。
離婚問題で悩む患者さんに対して、今までより上手に診療できるようになったかもしれないなァ…笑

お伝えしたいことはまだまだ沢山あったのですが、文字数(と僕の残りHP)の関係で、今回はここまでにしておきます!

それでは、また次回のコラムで!


 

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Writing by T.S

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