COLUMNコラム

【安心感の輪という営み】子どもが大人へ求める安心感とは・・・

はじめまして。所属カウンセラーの古宇田と申します。

私は児童養護施設での心理職、小中学校のスクールカウンセラーを通して10年以上子どもに関わる仕事をしてきました。そして子どもに限らず、保護者、児童養護施設の職員、学校の教員、連携機関の方々と、どのように子どものこころと向き合って行けばよいのかを考え、解決していかなければならない課題に出会い、その解決に向けて取り組んできました。こうした経験から学んだことや感じたことを、私なりの言葉でお伝えしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

このコラムでは、子どもの立場から世界を見る視点をお伝えし、子どものこころと向き合う際の参考にして頂ければと考えています。昨年から続くコロナへの不安は、未だ拭えません。こうした時期に、こころの動きについて身近な人と一緒にお話しすることは、コロナストレスケアにもきっと繋がると考えています。また子どもと共にこころの話題に触れることも、親子が抱える不安を和らげるきっかけになることを願っています。

【予防・未然防止という視点】

少しばかり余談になりますが、大袈裟な例ですが、一つ聞いてください。

もしライオンが肉食獣という生き物ということを知らなければ・・・私であれば「大きな立派な猫のような生き物だなぁ」と興味本位で近づいてしまうかもしれません。その時、ライオンのお腹が空いていたら大変なことになりそうですね。ライオンが肉食獣であることを事前に知っていれば、例え近づいてみたい欲求にかられても、決して安易には近づかないでしょう。

このようにライオンという生き物の特徴をほとんどの人はどこかで学んできています。肉食獣に限らず、あらゆる危険の接近は心身に不安を喚起させます。その危険を減らす役割の一つが理解、知ることなのかなと常日頃から考えています。そうした理解するための情報を知ることで、予防的な発想が生まれ、心身の健康を保つ方法として役立つのではないでしょうか。現代社会で、何かしら問題を抱えるときに課題解決することはとても大切です。加えて、近年では予防的な視点で物事にあたり、問題を未然に防ぐという動きが活発になってきています。そうした世の中の流れの中で、子どものこころの働きを理解して、心身への不安を未然に予防する視点を一緒に見ていきましょう。

【子どものこころの発達がもたらすもの】

子どものこころの成長のプロセスは、直線ではなく、発達段階をらせん状に進んでいきます。ときには「後戻り」や「留まる」ことをしながら、発達課題をクリアして次の段階に進みます。そのもっともベースとなる基本的信頼関係が、その後の人生での人間関係を築く土台となります。特定の大人の安定した愛情ある接し方により、子どもは「自分が愛されているという感覚」を得ることで、これから生きていく世界を安心なものとして捉えることができます。

自分だけでなく他人を信頼する初めの一歩が、養育者との関係で育まれていきます。
この信頼することが、世界に対する安心安全感を生み、その人が持つさまざまな力を引き出す源泉となり、ストレスや不安に対抗する力になっていると言っても過言ではありません。

【安心感の輪を通して見る大人と子どもの関係】

今回は安心感の輪という考えをもとに、子どもが大人との関係を通じてどのように安心感や安全感を得ていくのかを一緒に考えていきたいと思います。安心感の輪という視点は、アタッチメント理論に基づくものです。母子の愛着に関連した実証的な研究をしてきたイギリスの児童精神医学の第一人者であったジョン・ボウルビィがアタッチメント理論を編み出し、子どもと母親の結びつきの本質を分かりやすくしてくれました。では、安心感の輪とはどういったものなのかを一緒に見ていきましょう。

子どもが信頼できる特定の大人を安全基地にして、冒険や探索をします。そして冒険や探索の最中に怖くなって不安になると、避難所という役割を大人に求めます。戻ってきた子どもを抱っこしたり、励まして、子どもは再び元気になって、冒険に出ることができます。子どもの日常はこうした安全基地から避難所へという輪の上を、終わりのないリズムで動き続けています。これが安心感の輪になります。

さらに子どもは大人に対して、いつだって自分より大きく、より強く、より賢く、そして優しい存在でいてもらいたいのです。できるときには、要求にもこたえてもらいたいし、必要なときは毅然と対応してくれることも求めています。子どもと関わる大人はそういられるよう心づもりをしておくことが大切です。今お伝えしたように、3つのポイントがあります。

いつだって「大きく、強く、賢く、優しく」という姿勢
できるときは子どもの要求にこたえる姿勢
・そして必要なときは毅然と対応する姿勢です。

この3つのバランスが良いと、子どもは安心安全感を感じられます。逆に大人が子どもよりも大きく、強くあろうとすることで、優しさが犠牲になってしまうと厳しすぎる大人になる場合があります。あるいは大人が優しくいようとするあまり、子どもよりも大きく、強くあることを犠牲にして、過剰に子どもの言うことを聞いてしまい、毅然とした振舞いができなくなってしまう場合もあります。
子どもは大人を輪の全体として必要としているので、いかにバランスを取るかが、大人に必要な賢さなのかもしれません。

子どもは、大人へ必要なときには身を任せたり、心理的な接近を求めても良いという合図を出します。
その合図の背景には、いろんなことをするから「見守っていてね」「手伝ってね」「一緒に楽しんでね」「すごいって見ててね」ということを欲しています。これを受け止めることが安全基地としての大人の役割です。
そして「守ってね」「慰めてね」「大好きって受け止めてね」「気持ちを落ち着かせてね」と避難所としての役割を大人へ求め「今行くから、おいでよって待っててね」と欲しています。
このような安心感の輪を通して、安心できる人との日々の積み重ねが子どもを成長させていきます。

【おわりに】

今回、紹介しました安心感の輪、常にバランスを取らなければならないわけではありません。人間ですから、安心感の輪のバランスが揺らいでいるときもあります。
ご自身でそのように感じるときは、どこかで息抜きをし、こころ穏やかになれる時間をお勧めします。どうしても気持ちの切り替えが難しいときには、身近な方とコミュニケーションを取ることもいいですし、必要であればいつでご相談ください。

 


 

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Writing by古宇田エステバン英記

 

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