COLUMNコラム

【メンタルヘルス】大切な人を嫌いにならないために出来ること

こんにちは!所属精神科医のT.Sです(実名非公開)。

いよいよ優先接種者を対象としたコロナワクチン接種が始まっていますね!
僕も先日、ようやく1回目のワクチン接種を終えました。当日と翌日は腕の痛みに悩まされましたが、特に倦怠感や発熱などはなく、3日目からは痛みも感じなくなりました。
ただし2回目のほうが副反応が強いようで、発熱のために仕事を休む医療従事者も少なくないとか…

副反応!」「アナフィラキシー!」などの言葉を耳にすると、普段医療とあまり関わりのない人たちにとっては、「なんか怖そう…」と感じてしまっても無理はありません。
かと言って、安心材料を求めインターネットの海をさまよっても、どれが真実でどれが嘘情報なのか、その判断も難しいでしょう。

そこで、コロナワクチンに関して僕が色々と情報を集めた中で、個人的に「分かりやすくて信頼できる!」と思った本を一冊、紹介しておきます。

『日米で診療にあたる医師ら10人が総力回答! 新型コロナワクチンQ&A 100』
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あくまで2021年3月時点での情報がメインになりますが、

◯ワクチンってどういう仕組みなの?
◯どこの会社が出してるの?会社によって差はあるの?
◯持病があるけど打ってもいいの?
◯子どもでも接種できるの?
◯ワクチン打った日にお酒飲んでもいいの?

などなど、誰しもが思い浮かびそうな疑問に対して、出典なども明確に示しながら分かりやすく答えてくれます!
ボリュームもコンパクトでちょうど良いので、“ワクチンのこと、もう少し知っておきたいな〜” と思った人は、是非参考にしてみてくださいね!

さて、このコラムでは、

僕が精神科医として患者さんと接する中で手に入れ、磨き上げてきた様々な武器
つまりは「幸せになるコツ」

を紹介していきます。
読んでいただいた皆さんにとって少しでもタメになる記事をお届け出来るように、僕自身も勉強を深めながら楽しんで更新していきます!
どうぞよろしくお願いします!

今日はタイトルの通り、
大切な人を嫌いにならないためにはどうすればよいか」についてお話していきます。

コロナによって、行動が制限されたりテレワークが増えたりと、人々の生活は随分様変わりしました。
これに伴い多種多様な問題が生じたわけですが、中でも目を引くのは「コロナで人間関係が上手く行かなくなってしまった」という相談です。

これまで通りの付き合いが無くなって疎遠になってしまったという人もいれば、パートナーがテレワークで家にいることによりストレスを感じる人もいます。
感染拡大、経済停滞などの問題が取り上げられがちですが、コロナは目に見えないメンタルヘルスに対しても脅威となりえます。
その点を今一度再認識したうえで、一緒にメンタルヘルスケアに取り組んでいきましょう!

嫌いたくない人を嫌わないことが大事

まず最初に言っておきたいことがあります。
それは、「すべての人を好きでいる必要はないし、すべての人から好かれる必要もない」ということです。

自分に敵意を持ち、害を与えてくるような敵でも嫌ってはいけない…なんて、そんな聖人君子のようなことは言いません。だって僕にもできませんから…笑
そのような人がいたら、サッと関わりを断つに限ります。
嫌だけど立場上どうしても付き合っていかないといけない人、というのもいるでしょうが…その受け流し方はまた別の機会に。

なのでここでは、家族や友人・恋人など、「本当は嫌いたくない大切な人を嫌いになってしまいそうなとき、何をすべきか」についてお話します。

あまり考えたことがないかもしれませんが…
明らかに自分に敵対して害をなしてくる人に敵意を持つ」ときと、「大切だと分かっている人に対して “嫌いだ” と思ってしまう」ときを比べた場合、人がより強いストレスを感じるのはどちらでしょうか?

…多くの人の場合、それは後者です。
理由は簡単で、相手だけでなく、“大切な人を大切にできない自分” に対しても怒り、自分を責めてしまうからです。
相手を罵倒しながらも、「あぁ本当はこんなこと言いたくない…仲良くしたいだけなのに…」と悩んだ経験は、きっと多くの人がしてきたのではないでしょうか。

ちょっと注意したかっただけなのに…

負の感情、怒りの感情に支配されてしまうと、アドレナリンがドバドバ分泌され、脳は戦闘モードに入ります。そうなってしまうと、もう止められません。
とにかく自分の正しさを証明し、相手を負かしてやる!という思考に囚われます。
すると、面白いほど相手の気に食わないところばかりが目につく目につく!ここもあそこも、どこもかしこも気に入らない!

「お前のこういうところも、ああいうところも…とにかく全部嫌いなんだよ!!」
「結局アナタは、◯◯な人間なのよ!!」

本当はエピソードや考え方を指摘したいだけなのに、気づけば話はどんどん大きくなり、しまいには相手の人格を全否定するような言い争いに発展してしまう。

そんな経験、したことありませんか?(戒めも込めて…)

大切な人を嫌いになってしまう。
人間にとって、それはとっても辛く、悲しいことなんです。

では、そうならないために、一体どうすればいいでしょうか。

相手を責めそうになったら、頭に1枚の白い紙をイメージしよう

突然ですが、これ、何だと思いますか?

…そう、「紙」ですよね。どこにでもある、ただの白い紙です。

 

では、これはどうでしょうか。

これを見て、あなたは何だと思いますか?

「シミ」「汚れ」「こぼれたインク」…いろいろな表現がありますね。

 

さて、お気付きかもしれませんが、これは1枚目の「紙」の一部を拡大したものに過ぎません。つまり、同じものを見ていることになります。
でもこの2枚目のシミを見て「紙です!」と答える人はほとんどいないでしょう。

実は、怒りの感情に任せて相手を批難している時というのは、このシミしか見えていない状態と同じです。
気になる汚れや欠点にズームしすぎて、視界が狭まり、全体が見えなくなっているということです。

全体で見てみると、大きな白い紙の中にある、小さくて薄いシミです。普段なら気にも留めず、無視できるほどのものです。

でも喧嘩になると、ついついシミにばかり目が行くようになり、気づけばそれが相手のすべてだと思ってしまうくらいに視界が狭まってしまいます。
シミのない、きれいな場所のほうが多いということは知っているはず。なのに、その人のほんの一部でしかない汚れ・欠点以外の何もかもが見えなくなり、まるでその人そのもののように拡大解釈してしまうのです。

もし頭に血が上って、そのままの勢いで相手を責めてしまいそうなときが来たら、頭にこの紙を思い浮かべてください。

“今の自分には相手の嫌なところしか見えていないかもしれない…
でもそれは、あくまで相手の一部でしかないよな…”

そして、紙全体を眺めるイメージを頭に浮かべてみる。すると次第に、冷静に相手を眺めることができるようになっていきます。

お互いの欠点について話し合うのは、ヒートアップした頭をクールダウンしたあとで良いはずです。

悪口を言うほど視界は狭まり、シミは濃くなる

最後に付け加えておきます。

「特定の人物の悪口を他の人に話す」と、結果としてこのような狭い視野に繋がってしまいかねないことを、ぜひ覚えておいてください。

僕は、人間が成長する上で大切なプロセスは、「積み重ね」と「思い込み」だと思っています。
積み重ねることで思い込むことが出来るし、逆に思い込むことで積み重ねることが出来る。
そうして互いに増強しあうことで、信じられないほどの相乗効果を生んでくれます。

しかし同時に、人間を駄目にしてしまうのも「積み重ね」と「思い込み」です。
ポジティブな言葉ばかりを使う人は、自然とそこに意識が向かうため、考え方もポジティブになります。
でもネガティブなことばかり話していると、その人自身もネガティブ思考な人間になってしまいます。

そして悪口という行為は、自分の中で相手のシミを再確認し、さらに濃くするような作業だと思ってください。
まさに、悪い方向での「積み重ね」と「思い込み」であり、自ら相手の嫌なところにズームしていくようなものです。

本来あるはずのキレイな部分を一切排除し、相手の欠点に意識を集中する…
これを繰り返すことで、相手のイメージはどんどん悪くなっていきます。

もちろん、どうしても愚痴を聞いてほしいこともあるでしょう。
一人で溜め込んで爆発するよりも、むしろ適度にガス抜きしたほうがいいかもしれませんよね。

確かに、愚痴を言ってそれでスッキリするなら良いと思います。
でも、むしろ相手をもっと嫌いになる可能性もある、ということは知っておいてほしいのです。
そして特に、その人が自分にとって大切であればあるほど、自分を苦しめる結果になるかもしれないので、注意が必要です。

幸せな人生を得るためには、人間関係が良好であることが必要不可欠です。
大好きで大切な人たちに囲まれて生きていくことは、幸せそのものと言ってもいいかもしれません。

あなたにとって本当に大切な人を、意図せず傷つけたり失わないように。
「白い紙」のイメージを、どうぞご活用ください。

それでは、また次回のコラムで!


 

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Writing by T.S

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