こんにちは!所属精神科医のT.Sです。
このコラムでは、
私が精神科医として患者さんと接する中で手に入れ、磨き上げてきた様々な武器
つまりは「幸せになるコツ」
を紹介しています。
先日、メジャーリーガーの大谷翔平選手が結婚を発表しましたね!
これまでに一切の恋愛報道が無く、大谷選手もお相手の情報を秘匿し続けたため、「一体どこの誰と結婚したんだろう…?」と世間の関心の的になったようです。
大谷選手が異次元の選手であり、しかも人格者であるのは周知のことと思います。
お相手がどこの誰であれ、今後は幸せな家庭を心の拠り所としつつ、ますます活躍されることは間違いないでしょう!
世界で活躍する日本人を、みんなで応援していきたいですね!
さて、大谷選手に便乗するわけではないのですが、本日から新たな連載を始めます!
テーマはズバリ、「夫婦・パートナー関係」です!
実は私、このテーマに関しては、絶対にどこかで詳しく書くことを決めていました。
何故かというと、自分自身が困っているからです!
(大文字で強調するようなことでもない)
精神科医として、患者さんたちに日々いろいろとアドバイスしていますが、いざそれを自分で実行できるかというと…
必ずしもそうではないのが現実です。そもそも僕、一度離婚してますし…笑
幸運なことに現在の妻と巡り合うことができ、今は再婚して幸せな人生を歩むことができています。
けど、どうしても時々、喧嘩しちゃうんですよね。
確かに仕事はそれなりに大変ですし、疲れが溜まっているのもありますが、別に同僚や上司、ましてや患者さんにイライラして喧嘩を吹っ掛けるなんてしたことが無いし、プライベートで友人とやり合うなんてことも全くありません。
ただ、やはり夫婦というのは特別な関係で、常に顔を突き合わせ、一緒に考えていかなければいけないことが多い分、衝突もしやすいのです。
(本当はそれだけではないのですが、それについてはまた後述します)
そして私の場合、家庭内の喧嘩がプライベートや仕事にモロに響くタイプなので、喧嘩中の仕事など特に最悪です。
頭が働かず、足取りは重く、胃も痛くなるし、パフォーマンスが落ちてしまいます。
そういう際には、日頃患者さんにアドバイスしている様々な手段を駆使し、なんとかメンタルを保つことができていますが、それでもやはり苦しいものです…
普段は仲の良い夫婦でも、ふとしたきっかけで小さな火花が散り、気づけば燃え盛る業火にまで発展してしまうことがあります。
あるいは、鎮火したと思って軽い気持ちで覗いてみたらバックドラフトを起こした、なんてこともありますよね。あれは恐ろしい現象ですよ…
私自身がとにかくこの問題を何とかしたいと考えているわけですから、コラムとして掲載すれば自分自身知識や考えを整理できるし、皆様にも私が学んだ内容を共有できる。まさに一石二鳥です。
そして今回、かなり個人的な話で詳細はまだ明かせないのですが、このテーマについに手を付けるための、差し迫った理由というものができました。
そこで、かなりの時間と労力を要することは分かっていますが、それも覚悟の上で連載をスタートすることとしました。
対人関係療法
夫婦・パートナー関係に切り込むにあたり、精神科医の水島広子先生が執筆されたこちら↓の書籍で勉強させていただきました。
『対人関係療法で改善する 夫婦・パートナー関係 水島広子 著』
今回の連載コラムでも、こちらの書籍で得た知識をフルに活用していくつもりです。
私も対人関係に重きをおいて治療を進めることはありますが、対人関係療法については専門でもなく、そのスキルをきわめて正確に説明できる立場でもありません。
そんな中、対人関係療法がいかに有用で、治療だけでなく日常的な対人トラブルに生かせるのか、こちらの書籍で衝撃と共に思い知った次第です。
夫婦・パートナー関係を改善したい人にとって最上級の指南書であり、私にとってはほとんど聖典と言っても良いでしょう。
誰にでも理解しやすく、且つ「コレ、まるっきりうちの夫婦じゃん…」と刺さりまくる多くの事例を題材に、「こんな考え方もあるんだよ」と優しく導いてくれます。
少しでも興味の湧いた方は、ぜひ手に取ってみてください!
さて、今回の連載はこの対人関係療法を存分に駆使していくので、少しだけ解説しておきます。
重要な他者
対人関係療法は精神療法の一つですが、中でも「重要な他者:significant other(s)」との現在進行形の関係に重きを置いて治療を進めていく、という特徴があります。
そしてこの「重要な他者」に該当するのが、家族や恋人、親友などです。
もちろん、人は生きていくうえでこれら以外にも多くの人達と関わるものです。
しかしだからこそ、まずは自分のメンタルヘルスに大きく関わってくる人たちを選別し、その人間関係が自身のメンタルヘルスに対してポジティブに作用するよう、工夫する必要があります。
「夫婦関係がうまくいかず、それがきっかけでうつ病になってしまった」
そんな人が、患者さんの中にはもちろんのこと、私自身の友人の中にも数名います。
また、「うつ病発症の前に最もよく見られた出来事は、夫婦間の不和である」というデータもあります。
夫婦間の不和がうつ病の直接の発症要因になることもあれば、抑うつが夫婦間の不和を生み、その不和がうつ病を更に悪化させることもあります。
それほど、「重要な他者」との関係性は、人間のメンタルヘルス、さらには病状にも大きく影響するということです。
そのため、本コラムでもやはり「重要な他者」に重きを置き、その代表的なものとして夫婦・パートナー関係を取り上げ、話を進めていきます。
性別は問わない
そしてお伝えしておきますが、パートナー関係はもちろん、必ずしも男女とは限りません。
確かに生物学的な「オス」と「メス」には根本的な造りの違いがあり、それぞれに期待される役割なども変わってきます。そして便宜上、この連載コラムの中では2人の関係を「男女」「夫婦」として描写することが多くなると予想されます。
しかし言うまでもなく、「男は◯◯で、女は△△」のような決めつけは、お互いの「ずれ」を広げてしまい、相互理解からは程遠いものとなってしまうため、してはいけませんし、本連載にそのような意図はないことをご理解ください。
「男性っぽさを兼ね備えた女性」もいれば、「女性っぽさを兼ね備えた男性」もいます。そのどちらにも該当しない人たちだって沢山います。
今回の連載コラムにおいてはあまり性別にこだわりすぎず、自分に当てはまる部分、自分の役に立ちそうな部分のみ参考にしていただければOKです。
震災をきっかけに離婚する人がいる
一見無関係のように見えますが、「震災などをきっかけに離婚を決める人」がいるのも事実です。
これには色々な可能性が考えられますが、その一つとして「震災という危機的状況で、相手の本性を直視せざるを得なくなった」というケースが考えられます。
例えばあなたが、「うちの旦那さん(奥さん)、私に対する思い遣りなんて全然無いけど、まぁ仕方ないよね…」と半ば諦めて過ごしていたとします。
そんな中、震災のように生命の危機を意識するような経験をしたら…
そしてその危機的状況において、やはり自分を全く気遣ってくれない相手の本性に直面してしまったら…
皆さんなら、どう思うでしょうか?
「いつ死ぬか分からないのに、こんな人と最期を迎えたくない!」
「やっぱり私、こんな人と一緒の墓に入りたくない!」
そう思っても不思議ではありませんよね。
人々は、「夫婦(パートナー)関係は、そんなに簡単に壊れたりしないさ」という、よく考えてみると根拠不十分な安心感、ある意味では「甘え」を抱きがちです。
しかし夫婦・パートナー関係というのは、実はかなり微妙なバランスの上に成り立っていて、ちょっとしたきっかけで破綻する可能性を秘めているのです。
いわゆる「熟年離婚」も、そのバランスが崩れた瞬間に訪れるものなのでしょう。
「ここまでなんとなく続いてきたから、これからもなんの心配も要らない」というわけにはいかないことを、しっかり覚えておいてください。
より良い夫婦・パートナー関係のために
今回は導入編ですので、夫婦・パートナー関係の重要性やその脆さ、対人関係療法などについて少し触れただけですが、次回以降はさらに深堀りしていきます。
この記事を読んでくださった方は、おそらく夫婦・パートナー関係に何かしらの不安を抱えていたり、あるいは既に絶望的な状況にいると感じているかもしれません。
安心してください。
あなただけではなく、私を含めた多くの人たちが、同じ問題に頭を悩ませています。
そしてあなたが頭を悩ませているということは、今の夫婦・パートナー関係をより良いものにしたいと思っている証拠なのです。
そのための手段を、私の実体験や勉強した知識を交えて、今後具体的にお伝えしていくつもりです。
次回以降の連載も、ぜひ楽しみにしていてくださいね!
それでは、本日はこのあたりで。
また次回のコラムでお会いしましょう!
今回の連載シリーズはこちら↓
【精神科医が解説】より良い夫婦・パートナー関係のために<No.1 導入編> ←今回の記事
【精神科医が解説】より良い夫婦・パートナー関係のために<No.2 まず二人の関係性を知る>
【精神科医が解説】より良い夫婦・パートナー関係のために<No.3 男女における『気遣い』の違い>
【精神科医が解説】より良い夫婦・パートナー関係のために<No.4 全ての不満の正体は “ずれ” >
【精神科医が解説】より良い夫婦・パートナー関係のために<No.5 ”関係改善” という目的を忘れない>
【精神科医が解説】より良い夫婦・パートナー関係のために<No.6 パートナーの家族との関係性>
【精神科医が解説】より良い夫婦・パートナー関係のために<No.7 >夫婦・パートナー関係が子どもに与える影響
※パートナーや結婚相手を探してマッチングアプリの沼にハマっている方は、ぜひ私のこちらのコラムもご一読ください。
※過去のコラムはこちら↓からご覧いただけます。
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