COLUMNコラム

【メンタルヘルス】コロナワクチンで炙り出された、知られざる罠3<ヒトは繋がりの中で生きている>

こんにちは!所属精神科医のT.Sです(実名非公開)。

このコラムでは、

僕が精神科医として患者さんと接する中で手に入れ、磨き上げてきた様々な武器
つまりは「幸せになるコツ」

を紹介していきます。
読んでいただいた皆さんにとって少しでもタメになる記事をお届け出来るように、僕自身も勉強を深めながら楽しんで更新していきます!
どうぞよろしくお願いします!

この4回にわたってお届けして参りました、コロナワクチン関連の記事。
まだまだ書きたいことはいっぱいあるのですが、これが今年最後のコラムということで、今回で一旦、この話題も区切りとさせていただきます!

ここで改めて、これまでにどんなことを書いてきたのか、軽く振り返ってみましょう。

【メンタルヘルス】コロナワクチンで炙り出された、知られざる罠1<思考の癖を知る>
人間の脳には、以下の性質があることに気をつけよう。
・白黒思考:「正解と不正解」「正義と悪」など、物事を2つに、ハッキリと分けたがる
・怠けがち:いらない情報はそもそも拾わないし、拾ってもすぐに捨てる
・変化が嫌い:安定した状態が大好きで、新しい環境に飛び込むことを避けようとする

【メンタルヘルス】コロナワクチンで炙り出された、知られざる罠2<科学的思考の難しさ>
そもそも人間は科学的な思考が苦手である、ということを覚えておこう。
・人は事実や統計に即してではなく、直感で恐怖する生き物である
・自分の思い込みに反する情報に出会ったとき、自分ではなくその情報の方を疑いがちである

【メンタルヘルス】ワクチンと反ワクチン派の歴史1<反ワクチンはいかにして生まれたか>
ワクチンがいかにして生まれたか、そして世界にどのような影響を与えたのかを学ぼう。
・まだ衛生観念がしっかり確立されていない時代のワクチン接種は、一定の危険を伴うものであった
・しかしワクチン接種を強制される地域もあり、反対運動が各地で起きていた

【メンタルヘルス】ワクチンと反ワクチン派の歴史2<ワクチン、反ワクチンで儲かる人がいる?>
反ワクチン運動が広まった背景を正しく理解しよう。
・世界的な女性蔑視の風潮が、これまで女性を抑圧してきた
「ワクチンが自閉症を起こす」というエセ論文は、そういった情勢を受けて瞬く間に世界に広がってしまった
ワクチンで儲ける人もいれば、ワクチン反対で儲ける人もいる

そして今回の記事は、これまでの集大成です。
今までの内容を踏まえつつ、さらに踏み込んだ話をしていきます。

皆さん、頑張ってついてきてくださいね!

集団免疫の力

どんなワクチンも、打った人全てに免疫性を植え付けられるとは限りません。
しかし、比較的効果の薄いワクチンでも、十分な人数が接種していれば、ウイルスは宿主から宿主へと移動しにくくなり、大流行を起こさなくなります。
その結果、ワクチンを接種しなかった人や、接種しても免疫力がつかなかった人も助けることができる。

これは、集団免疫と呼ばれています。

集団免疫について、麻疹(コロナウイルスより遥かに感染力の高い感染症)を対象に行われた、とある研究結果をご紹介しましょう。
上の図のように、

・住民のほとんどがワクチン接種をしていない地域
・住民の多くがワクチン接種を終えた地域

という2つの地域で、どれくらいの人が麻疹にかかったのかを調査したところ、以下のような驚くべき結果が得られました。

もう少しわかりやすく説明すると…

・ワクチン接種率が低い地域だと、たとえワクチン接種をしていても、病気にかかるリスクが高くなる
・ワクチン接種率が高い地域だと、たとえワクチン接種していなくても、病気にかかるリスクが低くなる

ということになります。これこそ、集団免疫の力なのです!

「集団」と「個人」

「社会的にはワクチンは大切なのかもしれないけど、個人的な観点で見たら、あんまり重要じゃないように思うんだよね…」

ワクチンや集団免疫の話になると、必ずこう主張する人が出てきます。コロナワクチンで言えば若者に多い印象です。
確かに、感染が生命の危険に直結しやすい高齢者と比べれば、若者自身が(感染したとしても)発症する確率は低くなるでしょう。

しかしこの主張の筋を通すためには、「個人は公衆に属さない」という前提が必要になります。
そしてその前提は、100%成り立たないでしょう。

とても重要なことをお伝えします。

この世界に生きる限り、完全な自立・独立など、ハッキリ言ってただの幻想です。

私たちの身体の健康は、いつだって他者が選択することに左右されます。
人々の身体は互いに独立した存在ではなく、みんな依存しあって生きているのです。

これまでにお伝えしたように、「正しい情報源から」「正しい方法で」情報を得た上で、リスクとベネフィットを天秤にかけ、ワクチンを打たないことを選択したのであれば、その決定は尊重されるべきものです。

しかし、自分の意見を補強してくれる偽情報に安易に飛びつき、自らが繋がりの中で生きていることを忘れてワクチンを拒絶するのであれば…
それは周りの人に悪影響を及ぼすだけでなく、あなた自身の健康を損ねることになってしまいますので、絶対にやめましょう。

ワクチンと資本主義

集団と個人の話に関連するのですが、「俺は、資本主義に抗議するためにワクチンを拒否する!」という人が一部にはいるようです。
国や世界の機関が主導で行い、(明示されていなくても体感上)一定の強制力を持ち、まさしく「植え付けられるもの」であるという性質上、ワクチンは政治的な事柄と結び付けられることが多いのです。

さて、この主張ですが、よく考えると全く正反対のことを言っていることがお分かりでしょうか。

先程の「集団免疫の力」で紹介した図を思い出してみてください。
あの中で、一番得している人って誰だと思いますか?

…そう。
ワクチンを接種していないのに、集団免疫のおかげで感染を免れている人たちですよね。

これって、ワクチン接種のリスクはすべて他の人に背負わせて、自分だけ良いとこ取りしているわけで…
まさに資本主義の「1%の特権階級が、他99%のリソースを使ってリスクを免れている」のと同じ構造なんです。

つまりこの人、自分が嫌悪している資本主義社会の「搾取側」と同じことしちゃってるんですね。

”ワクチン接種は、負担も利益も全住民で分かち合うシステム” です。そこを正しく理解しましょう。

ユーラ・ビスは、「子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。」 のなかで次のように述べています。

“私たちが世の中を斜めに見たくなるにはそれなりの理由があるのだろうが、
いつも斜めにばかり見ているのだとしたら、とても悲しいことだ。

世界中の研究者と公衆衛生官と医者が連携して進めている予防接種計画が、
「子どもに害を与えてでも金儲けをするためのものだ」と
多くの人が本気で信じているとすれば、
私たちは人間として大切な心を資本主義に奪われていることになる。”

世界平和は、あなたの手で作り出すもの

2009年、H1N1インフルエンザが世界中で大流行した際、WHO(世界保健機関)は世界規模での対策を呼びかけました。

しかし収束後、死者数が当初懸念されていたほど多くなかったことが判明したことを受け、欧州評議会の衛生委員会議長は、
「WHOはワクチンを売るために製薬会社と共謀して、偽パンデミックを作り出したのではないか」
とWHOを非難しました。

その後、24カ国から集められた利害関係のない専門家たちが、WHOの行動を分析。

商業的利害が WHOの行動を左右した形跡も、そうさせようと試みた形跡も、WHOがパンデミックを不当に誇張した形跡も見つからなかった

と報告したのち、最後にこう結んでいます。

“商業的な思惑がWHOの行動に影響したに違いないと言う狭量な批判は、
病気を防いで命を守るという公衆衛生の精神の崇高さを見落としている”

 

繰り返しになりますが、僕たちは皆、繋がりの中に生きています。
たった一人で生きている人間など、この世の何処にも存在しません。

もちろん、自分にとって良い人もいれば悪い人もいます。人に騙され、傷つけられる経験が続けば、周りの人を信じられなくなることもあるでしょう。

だけど、心を閉ざさないでください。

目の前に困った人がいたら、助けたいなと思う。
その当たり前のことを、あなたのように自然と考えられる人は、この世界にたくさんいます。

そして、自分が人を疑ったり攻撃的になっていると気づいたとき。
あるいは、周りにそういう人を見つけたとき。

人間は、自分が脆弱だと感じているときや病気に脅かされているときほど、心が狭くなる

ということを覚えておきましょう。たとえば妊婦は、妊娠初期ほどゼノフォビア(外国人嫌い)に陥りやすいという研究結果があるようです。

誰かを疑ったり攻撃したりするとき、むしろその人が一番求めているのは「助け」なのかもしれない。

これは、普段の精神科診療のなかで僕が気をつけていることの一つでもあったりして…

それでは、良いお年を!

さて、今回を含めて5回にわたり、コロナやワクチンについての記事をお届けしましたが、いかがだったでしょうか。

普段の心理コラムとはやや毛色の違った内容ではありましたが、「幸せになるコツを伝えていく」という僕の中での軸は、ブレないように書いてきたつもりです。

メインのテーマはコロナ・コロナワクチンに据えたうえで、考え方のヒントをたくさん散りばめてきました。
少しでも皆さんの武器になるものがあれば、僕もとても嬉しいです!

そして最後に、この連載で繰り返しご紹介してきた名著を再掲しておきます。
僕がワクチンに対してきちんと向き合うきっかけとなった本であり、この連載はこの本のパクリまとめと言っても過言ではありません!笑

「子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。」 ユーラ・ビス (著), 矢野 真千子 (翻訳)

この記事では、あくまで部分的にかい摘んで紹介しましたが、こちらを一冊読むと更に知見を広げることができます。
コロナに限らず今後の人生に大きく影響しうる、本当に、本当に本当にみなさんにオススメしたい名著です。是非手に取ってみてくださいね!

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
次からはもうちょっと砕けた内容で行きたいっすな〜〜!

では皆様、良いお年を!

 

※このシリーズは、以下のリンクからご覧になれます。

【メンタルヘルス】コロナワクチンで炙り出された、知られざる罠1<思考の癖を知る>
【メンタルヘルス】コロナワクチンで炙り出された、知られざる罠2<科学的思考の難しさ>
【メンタルヘルス】ワクチンと反ワクチン派の歴史1<反ワクチンはいかにして生まれたか>
【メンタルヘルス】ワクチンと反ワクチン派の歴史2<ワクチン、反ワクチンで儲かる人がいる?>
【メンタルヘルス】コロナワクチンで炙り出された、知られざる罠3<ヒトは繋がりの中で生きている>


 

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Writing by T.S

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