所属カウンセラーの水野です。
今年は、例年になく日中は暖かく、暖冬のような気候でしたね。
しかし夜はまだ冷え込み、何を着たら良いのか迷う日も多く、体調管理も少し大変だったのではないかと感じております。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。
3月は慌ただしく変化の準備をする季節、そして、別れの季節でもあります。
進級、進学、環境の変化、人との距離の変化。
外から見ると小さな変化であっても、心の中では静かな揺らぎが生じやすい時期です。
忙しさの中にも、ほっと一息つける時間を持ち、どうか無理をされすぎず、ご自身のペースを大切にお過ごしください。
そして…少し個人的な楽しみのお話になりますが、本日3月6日は、
私が一年間待ちに待っていた大好きな『ウィキッド』の公開日です!
昨年公開された作品の続編が上映されるので、心待ちにしておりました。
『ウィキッド』は、『オズの魔法使い』の前日譚として描かれた物語です。
後に「悪い魔女」と呼ばれるエルファバと、「良い魔女」グリンダの視点から、オズの世界のもう一つの真実が丁寧に描かれています。『オズの魔法使い』に至るまでの背景を知ることで、物語の見え方が少し変わる作品でもあります。
ちょうど意図せず、『オズの魔法使い』をテーマにコラムを書こうと思っていた日が、『ウィキッド』の公開日と重なったことに、何とも言えない幸福感を感じております!
映画館は脚の不自由な私にとっては貴重なレジャーのひとつです。多くを歩くことが難しいため、外出の際は車椅子での移動になります。近年は映画館のバリアフリーも進み、以前よりも安心して過ごせる環境が整ってきました。
一方で、車椅子席が一番前に設置されていることも多く、鑑賞中は首がガチガチ、目がチカチカで少し酔ってしまう…なんてこともあります。それでも「観に行ける場所がある」ということ自体は、とてもありがたいことです。
バリアフリーが進んでいるという事実と、まだ残されている課題の両方を丁寧にテーブルにあげていくこと。
これは心理士(師)として、環境と個人の相互作用を考える上でも大切な視点かなとも感じています。
前回は、本日のテーマにつながる前段として、子育てにおける大切な視点である【折れない心を育む】心理士(師)が伝えるシリーズのまとめをお届けしてきました。
そして本日は、実際のご相談の場で、私が大切にしている関わりの視点についてお話しします。
それが、ソリューションフォーカスド・アプローチ (SFA) ※以下、SFAです。
本日は、子育て相談をベースにお話ししますが、この視点は、子育てだけでなく、あらゆる関係性、自分自身と向き合うこと、自分を大切にしていくことにも繋がる、とても重要な視点です。
そして、私はこのアプローチを、個人的に「オズの魔法使いアプローチ」と呼んでいます。笑
このアプローチのどこが『オズの魔法使い』につながるのか。
今日は、少し気持ちを楽にしながら、ゆったりとお読みいただけましたら嬉しく思います。
※以降、本稿では「SFA」と表記します。

解決の魔法は、すでにあなたの中に
私が念頭に置いているSFAを、個人的に「オズの魔法使いアプローチ」と呼んでいる理由は、とてもシンプルです。
それは、「解決のための力は、すでにその人の中にある」と考えるアプローチだからです。
『オズの魔法使い』の物語では、ドロシーと仲間たちは、自分に欠けているものを求めて旅に出ます。
お家に帰りたいドロシー、知恵がほしいかかし、心がほしいブリキのきこり、勇気がほしいライオン。
彼らは、魔法使いに会えば必要なものを与えてもらえると信じています。
しかし旅の終わりに明らかになるのは、彼らが求めていた知恵も、心も、勇気も、「すでに旅の中で発揮され、仲間を助ける役に立っていた」ということです。そして、お家は心の中にあったことも。
魔法によって新しく与えられたのではなく、「自分の中にすでにあった力に気づいた」のです。
このようなことは、子育て相談の場でも、非常によく似たことが起こります。
「何をしても上手くいきません」
「私は子育てに向いていない」
「褒めるところが見つからない自分は親として失格だ」
そう語られる保護者の方も少なくありません。
けれど、お話をお聴きしていくと、実際には多くの工夫や試行錯誤、そして関わりの知恵を、すでに実践されていることがほとんどです。むしろ、お子様に寄り添っているからこそ、難しさを感じている方も少なくありません。
「自分のできていないと思える部分」や「お子様の問題行動」に意識が集中することで、自分やお子様の中にある力が見えにくくなっている状態なのです。
そして、それは決して特別なことではありません。
人は、自分自身の中にある力ほど、気づきにくいものです。
その「すでにある力」に一緒に気づいていく過程を支えることも、私たち心理職の大切な役割のひとつなのです。

本当に、良いところに着目するだけでいいのか
私が相談の中で「できているところ」に着目したアプローチをお伝えすると、初回に来られた方ほど、よくこんな疑問を口にされます。
「良いところに着目するだけで、本当に問題行動は改善するのでしょうか」
「できていないところを修正しなければ、変わらないのではないでしょうか」
これはとてももっともな疑問です。
現在、「褒める子育て」が望ましいとされる風潮があります。
自己肯定感が高まる、意欲が育つなどの理由から、褒めること自体は非常に大切な関わりです。
ただ一方で、「本当にそれだけでいいのか?」と悩まれる保護者の方は多くいらっしゃいます。
「どこをどうやって褒めればよいかわからない」
「甘やかしとの境目がわからない」
「褒めるところが見つからない自分は親として失格なのではないか」
こうした葛藤は、とてもよく起こります。
ここで大切なのは、SFAが、単純に「何でも褒めましょう」という考え方ではない、という点です。
スキルとしての「褒める」
心理学の学習理論においては、「褒められた行動(正の強化をされた行動)は増える」という基本原理があります。
この原理に則って考えると、1日は24時間という限られた時間の中で、「穏やかに過ごす時間が少しずつ増えていくと、その分、問題となる行動にあてられる時間は、自然と減っていく」ということになります。
穏やかに過ごしている時間。
指示に従えている時間。
自分なりに頑張っている時間。
それらの時間に大人の関心が向き、具体的に言葉として認識されていくと、その行動は繰り返されやすくなります。つまり、「良いところに着目する」というのは、現実から目を背けることでも、甘やかすことでもありません。とても自然で、こころの仕組みにも合った関わりなのです。
そして、このような関わりは、やがて穏やかな好循環を生んでいきます。
ここで言う「褒める」とは、<評価>というよりも、関係性を整え、望ましい行動の土台を静かに育てていくための「スキル」としての関わりです。それは、何が安心につながる行動で、どのような関わりの中で落ち着いて過ごせるのかを、日常のやり取りの中で少しずつ共有していく関わりでもあります。
その具体的な方法のひとつが、「褒める」という関わり方なのです。
はじめは意識して関わる必要がありますが、こうした循環が少しずつ生まれてくると、親子のあいだに安心感が育ち、相互的に穏やかな関係が築かれていきます。すると、大人が無理に「褒めよう」と頑張らなくても、日常の中で自然と気づける行動や、認めたくなる瞬間が増えていくのです。

まとめ
本日は、子育て相談の場で私が大切にしているソリューションフォーカスド・アプローチ(SFA)についてお話ししました。
このアプローチは、問題を軽視するものではなく、すでに存在している力に静かに光を当てていく視点です。
一日の終わりには、「うまくいかなかったこと」ばかりが思い浮かぶこともあるかもしれません。
けれどその一日の中にも、小さく穏やかに過ぎていた時間や、何事もなく保たれていた関係の瞬間が、確かに存在しているはずです。それは特別な成功ではなく、すでに積み重ねられている大切な営みです。
次回は、子育て相談の場で実際にどのような問いかけや関わりを用いているのか、より具体的な実践の視点から、SFAについて整理していきたいと思います。
そしてもし、気持ちを切り替える<静かな寄り道>が欲しくなった夜には、『ウィキッド』の物語に触れてみるのはいかがでしょうか。エルファバとグリンダと旅をともにしながら、「自分の中にすでにある力」に、そっと気づく時間になっていただけると嬉しいです。
それでは、また次回、桜の咲く季節にお会いしましょう!

▶︎【折れない心を育む】心理士(師)が伝えるシリーズ
各回には、お子さまと一緒にご家庭でできるワークも掲載しておりますので、ご参考にされてください。
◎「子育てで大切なこと」〜 子育て相談をお受けする時の視点-part1 –
◎「自分の心のキャパシティを守る大切さ」〜 子育て相談をお受けする時の視点-part2 –
◎「子どもに体験させたい3つのこと」<親子でできるワーク付> – part3 –
◎安全基地って何?「子どもにとっての家庭・家族の役割」<親子でできるワーク付>-part4-
▶︎大切な人との関係性構築についてはこちらのコラムをご覧ください。
【関係性の相互性からみる心の発達】水野コラム
こちらのコラムでは、「大切な人との関係性をどのように築いていくか」について、日々の中で使えている考え方やスキルをご紹介しています。大切な人を大切にすること、大切にできることは、「自分自身を大切にすること」にも繋がる大事な作業です。
「自分はここにいて良いのだ」「もっと頑張ろう!」など、安心感や、モチベーションにもつながる大事なことです。
大切な人との関係性構築にぜひお役立てください。
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