COLUMNコラム

【遊びをもちいて子どもとの関係を育む方法】①肯定的な注目による子どもへの関わり

こんにちは、所属カウンセラーの古宇田です。

先日、こども家庭庁がNPO等と連携した子どもの居場所づくりを今後検討するため、モデル事業を公募するニュースが流れました。こども政策の基本理念として「全てのこどもが、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態(ウェルビーイング)で成長」できるようにすることを掲げて、今、子どもや若者に必要な「居場所」への取り組みが動き始めようとしています。

さて今回は、子どもとの関わりや子育てのヒントになるトピックについてご紹介したいと思います。子どもをやる気にさせ、励まし、肯定する方法には実にさまざまなものがあります。今回のテーマのもとになっているのは、「フォスタリングチェンジ・プログラム」という里親が里子と関わる際のトレーニングプログラムです。子どもとの関係を改善し問題行動に対応するための取り組みです。いくつかのセクションからなるフォスタリングチェンジ・プログラムの中に「肯定的な注目」という項目があります。この「肯定的な注目」について今回はご紹介し、子どもとの関わりのヒントを考えていきたいと思います。

※今回のコラムは、通常は19日掲載予定でしたが、諸事情により26日の掲載とさせていただきました。どうぞ、ご覧ください。

【フォスタリングチェンジ・プログラムとは】

フォスタリングチェンジ・プログラムは、最新のペアレントトレーニング・プログラムに基づいています。社会的学習理論などの方法を用いて里親が、子どもに肯定的行動を促進し、限界を設定することによって、子どもとの肯定的な結びつきを構築するためのプログラムとされています。

このフォスタリングチェンジ・プログラムは社会的養護が必要な子どものウェルビーイングを高め子どもたちの持つ可能性を最大限に発揮するための里親の養育の質の向上を目指すためのものです。そのため社会的養護下の子どもへの関わりのヒントを探るためのものですが、これに限らず、子どもの成長に必要な大人の関わり方の参考にもなりうるものと考えています。

【肯定的な注目、アテンディングという関わり】

「アテンディング」という言葉は「付添」「共にいること」などの意味があります。

アテンディングは子どもが適切な行動をしているときにそれに注目する方法です。実は我々が赤ちゃんを相手に自然にしている行動でもあるのです。赤ちゃんに向かって話をするときを思い出してください。たいていは、温もりのある愛情のあるやり方で、ただ赤ちゃんのやっていることを口に出したり真似したりしています。子どもが成長するにつれて、子どもに注目して、子どもたちがしていることを描写するのをやめ、ただ指導したり質問を繰り返したりするようになっていないでしょうか。

アテンディングは、子どもに気を配り、肯定的注目を与え、どんな子どもであるのか、何をしているのかに興味を示すスタンスを大人に与えてくれます。

そしてアテンディングは、子どもに寄り添い、子どもたちの遊びを肯定的に支えるポジティブな方法としても用いられます。子どもが決めたことに従い、大人自身の期待を子どもや遊びの中に押し付けることなく関わる姿勢でもあります。普段、大人からの肯定的な注目を受けることにあまり慣れていない子どもの場合には特に有効であると考えられています。こうしたアテンディングを通して、子どもが世界をどのように見て、どのように経験しているかという子どもの内的世界を観察するための機会を大人にもたらしてくれます。

最も簡単なアテンディングの方法は、子どもが遊んでいるとき、一緒に時間を過ごすことです。理想的には、アテンディングのために毎日10分間ほど時間を空けておく必要があります。それが難しいようでしたら、週のうち3~4回はできるようにしてみるとよいでしょう。

アテンディングを通して、子どもは自分がいつも大人から気にかけてもらい、自分に関心を持ってもらっている、ということを伝えることができます。子どもはこのような注目を非常に喜び、それをもっと得られるように努力します。

【子どもの肯定的環境を発達させる】

注目を使って子どもの発達を支援し促進することができる基本的な方法がいくつかありますので、見ていきましょう。以下のいくつかの方法の背景には「注目」という視点があることをお忘れなく。

①子どもにとって大人がいつでも役に立てる状態でいるということ
これは大人が子どものことを見守っているということを伝えるための重要な方法となります。例えば、子どもが質問をしたがっているとき、手助けをもとめているとき、あるいは何かを見せたいと思っているとき、大人が今していることをやめ、それに応えることは、子どもに対して、「私はあなたの価値と重要性を認めています」という強力なメッセージを送ることができます。ときどき長い時間を使うよりも、子どもが肯定的注目を欲しているときに合わせて短い時間を頻繁に使うことが良いとされています。なぜなら長い時間を、集中して、質の高い、敏感な、的確な注目を与え続けることはかなり難しいことだからです。

②話すこと
肯定的な関係を発達させるための不可欠な子どもとの関わりです。考えや情報を共有し、子どもが興味を持っていることについて話し、子どもが話したくて仕方ないことに対して興味を示すこと、これらすべて子どもの自尊心を育むためには必要なことです。話すことは同時に、言語的な発達と社会的なスキルを促進させます。さらに子どものレジリエンスを高めるためにも、自尊心、社会的スキル、そして大人や友達と効果的にコミュニケーションをとる能力は必要になってきます。

③子どものために安全で夢中になれるアクティビティを提供すること
家庭や学校の外で興味やスキルを発達させることができるようになると、たいていの場合は、子どもの自尊心や自信が劇的に向上します。子どもができることを与えるだけでなく、さらなるレジリエンスを高めることにもつながります。

【最後に】

今回はフォスタリングチェンジ・プログラムについて、そして肯定的な注目である「アテンディング」についてお伝えしました。我々大人は自然と子どもに対してこうした行動をしてはいますが、子どもの抱える課題が行動に現れる時には、このようなポジティブな眼差しをふと忘れてしまいがちになってしまいます。アテンディングという関わりをコラムで一緒に考えることで、いざという時の助けになればと思います。

次回は、実際にアテンディングという方法を使いながら遊びをもちいて子どもとの肯定的な関係を育むために、子どもとどのように遊ぶことが必要なのかというガイドラインをご紹介し、さらにアテンディングについての考えを深めていきたいと思います。

【参考資料:『フォスタリングチェンジ』著:カレン・バックマンら・2017】

さまざまな社会生活の変革という過渡期での不安やストレスは、さまざまな形で表出されることがあります。ポジティブな考えを持つきっかけとして、そして安心・安全な人との関わりを通して生きる力を養うサポートもカウンセリングの一側面とも考えています。子育てや子どもの抱える不安やストレスに関してのご相談もお受けしております。

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Writing by古宇田エステバン英記

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