COLUMNコラム

【学齢期の子どもの心理】ポイントシートについて紹介してみる①

🔶はじめに🔶

こんにちは。所属カウンセラーの安澤です。

寒い日が続きますが、皆様、お身体温めておられるでしょうか。
こういう言い方もあれですが、もう1年間の6分の1が終わろうとしています。
早いですね………。

しかし、それは春の訪れが間もなくということも意味しています。もう少しでぽかぽかした陽気の日々がやってきます。

新型コロナウイルスの勢いも徐々に影を潜めつつあります。国から、マスク着用について、「令和5年3月13日以降、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる」と通知され、私たちの中にあるコロナ不安も徐々に軽減されつつあるのかもしれません。

とはいえ、ウイルスはいつ変形したり増殖したりするかも分かりません。また、今年も花粉が猛烈に舞っているようですし、インフルエンザも流行中です。大前提として、風邪予防にも繋がるため、各自で適切なマスクの使用を心掛けていきたいですね。

さて、前回のコラムでは、思春期に限らず、子どもたちのどの成長段階でも重要である「褒める」、「認める」、「気づく」というかかわり方をお伝えしました。

【学齢期の子どもの心理:番外編 新年のご挨拶】保護者が子どもとかかわる時の大切なこと(全ての時期の親子関係に言えること)

今回も、依然モヤモヤしながらテーマを何にしようか暗中模索しており、モラトリアム期間が続いております(笑)もう少しでトンネルから出られそうですが、大切なのはやはり「考え続けること」。どんな時でも、これは怠らずに進めると、じわじわと光は見えてくると勝手に思い受け止めて、今回のテーマを取り上げます。

今回のテーマは、前回の流れで、普段から私がよく利用している「ポイントシート」について取り上げます。よくある「褒めたらポイント!」ですが、私の場合、少しルールを加えています。それも含めてご紹介します。

なお、弊社に所属していた船山カウンセラーも「がんばり表」というコラムをシリーズで掲載しておりますので、こちらから御覧下さい
【心理コラム】⑧「がんばり表」使い方のポイントまとめ

 

親子関係、大人と子どもの関係性に生じうる悪循環

前回取り上げた「褒める」、「認める」、「気づく」という3つの視点について、保護者側が意識すると、子どもたちは自己肯定感が向上し、安心感が得られ、高揚感を抱いていきます。そして、親子関係も穏やかな循環で回すことに繋がるでしょう。

正直、なかなか現実の生活ではそう上手くはいきません。些細なことから、意見が合わなかったり、相手のせいになったり、スルーされたりして、衝突することも多いと思います。結果的に保護者側は苛立ちを募らせ、子どもも反抗したり面倒臭そうにしたりします。例えば………

■「~て言ったでしょ!!」   →「知らない」
■「どうして分からないの!!」 →「うるせえなあ」
■「~してくれてないじゃん!!」→「しょうがないじゃん」
■「もういい!」        →「ふーん」

などなど、言い合いの内容については、様々な組み合わせがあるかと思いますが、このようなことが日常茶飯事にあるご家庭も多いのではないでしょうか。

また、発達面に偏りがあり、言葉で伝えてもすぐ忘れてしまう、断片的にしか覚えていない、音や圧という感覚でしか残っておらず内容が入っていないなど、確かに保護者から子どもに伝えたことが伝わっていないことが多々ありませんか?

そのため、「褒める」、「認める」、「気づく」というのを言葉で伝えていくことはとても大切ですし、続けていかないといけないことですが、やはり何度も何度も言葉で伝えても伝わらない、覚えていない、抜けているとなると、保護者側も堪忍袋の緒が切れますし、親子で喧嘩するという悪循環にどうしても辿り着いてしまうことがあります。

この悪循環が続くとどうなるか。子どもとしては、怒られたくないですし、罰をつけられたくないので、その場しのぎの「ごまかし」をするようになります。そして、それが繰り返し成功していくと、子ども側は「ごまかし」を続ければ良いという誤学習をするようになります。

しかし、子ども側の「ごまかし」となる言動は、結局保護者を毎回騙すことは出来ず、必ずバレてしまい、限界がやってきます。他方、保護者からすれば、「その場しのぎ」だろうが「ごまかし」だろうが、「嘘」とみなします。「この子は嘘ばかりついて…」とよく発言される方も多いのではないでしょうか。

さらに良くないのは、子どもは「ごまかし」が上手くいくと、家庭を超えて、学校や学童クラブ、地域での活動の場など、あらゆるところで誤学習したその場しのぎの言動を行い、結果として「嘘」をつくようになり、終いには「嘘つき」というレッテルを貼られてしまうようになりえます。子ども自身にとっても傷つく結末です。

上記内容の循環(サイクル)は、幼少期であれ、児童期であれ、思春期であれ、どこででも親子を始め、大人と子どもに生じる「関係性のこじれ」の現象です。

即興的に防ぐ方法は、「距離を取る」、「後で話す」、「落ち着いた時に言い合う」などでしょう。人間は感情の生き物ですから、大人であれ、生活場面で咄嗟に冷静に対応することは至難の業です。子どもなら尚更です。しかし何かしらの工夫を1つでもと考え、時々、保護者はじめ大人の方々に提案させていただいているのが「ポイントシート」です。

ポイントシート

前述した通り、「褒める」、「認める」、「気づく」の言葉を逐一保護者から子どもへ伝えたとしても、結果的に大人が感情的になってしまったり、子どもが理解しにくかったりする場合があると、こじれたままに終わってしまいます。
そこで「ポイントシート」という、「褒める」、「認める」、「気づく」の可視化を試みています。
以下に、「ポイントシート」を掲載致します(独自作成:図-1)。なお、普段は子どもの好きなキャラクターなどを描いたり、貼ったりしてモチベーションを高めるよう工夫しておりますが、ここでは、大人の事情から、内容が分かる形で取り上げ、説明していきます。

図-1 ポイントシート(独自作成)

ポイントシートの意義

🔷目で見て目標が分かるようにすること(視覚的な理解)

耳から入る言葉の説明だけでは、どうしても一時的な情報になってしまうため、一部分しか覚えていなかったり、全て忘れてしまったりすることがあります。目からも目標(やること)が取り込むことで、パッと見て分かりやすくなること、そして記憶に残りやすくなることに繋がります。当然、保護者ら大人も忘れないようになります。

🔷達成感を感じてもらうこと(成功体験)

言葉だけでは、出来ていることを褒めたとしても、一時的な記憶となってしまうため、目から入る情報として、ポイントが溜まっていくことで、子どもが「頑張っている感」を感じ取ることが出来ます。保護者ら大人も、実際に見て子どもが努力している姿を確認出来ます。

🔷少しずつの感覚を感じてもらうこと(スモールステップ)

いきなり大きな目標ではやる気が起きません。出来る目標を設定することが大前提ですが、その目標に向け、10ポイント、20ポイントを小さなゴールを設定して、小さなご褒美を設けることも、分かりやすくなります。保護者ら大人は、小さな目標でのご褒美の設定が必要となりますが、例えば物を上げるとかではなく、夕飯を好きな物にしてあげる、ゲームの時間を少し多くしてあげる(10分程度)などの工夫で良いと思います。

🔷ゴールを確認することが出来る(目標の達成)

実際に取り組んでいても、言葉での情報だけでは、いつまでやればいいのか分からなくなり、モチベーションも下がっていきます。必ずゴールがあることを、常に目で確認出来ることは、子どもも「ここまでやれればいいんだ」、「後少し」という気持ちで、モチベーションの維持が可能となります。

ポイントシートの使い方

とても簡単です。下記の流れでも良いですし、ご自由にルールを設定していただいてもかまいません。

①子どもにとって「出来る目標」を1~3つ親子で話し合い、設定します。

1つの目標で1ポイントか、複数の目標で1ポイントかはそれぞれで決めていただければOKです。その目標に向けて、50ポイントでなくても良く、20ポイントや30ポイントでも構いません。

②家庭のどこか目に留まるところに貼り付けます。

冷蔵庫や扉、テーブルの上など、子どもが、溜まっていくポイントを見られるようにしていきます。

③時々剥がして、親子でこのポイントシートについて話し合う場を設けます。

親子で「出来た」「出来ない」など話し合い、シールを子どもが貼り、保護者は見届けながら、出来ている部分を褒めていく、認めていく、気づいていくというルーティンになります。

🔶さいごに🔶

今回からコラムを2回に分けてお送りすることがあります。その試運転として、今回はここで区切らせていただき、次回続編をお送り出来たらと思います。

途中段階ではありますが、このポイントシートを試してみようとお思いの方がいらっしゃいましたら、ぜひご自身で作成してみても宜しいですし、次回ダウンロード出来る形式で掲載したいとも思いますのでご活用いただければと思います。

もうすぐ3月、さくら咲く、出逢いと別れの季節です。卒業、退職、転校、転勤………。しかし、出逢いも別れも心には残ります。宿り続けます。つまり、どちらも失われることはありません。その体験という肥料を糧に、新たな自分自身をさらに咲かせていきましょう。

それでは、また次回お会いしましょう!!

🔶お知らせ🔶

親子関係の問題、お子様とのかかわり方、育児、DVのほか、発達段階(幼児期、児童期、思春期、青年期、壮年期)、発達面の課題、非行、ひきこもり、ストレス・不安・躁うつ・強迫・依存など様々な精神症状に関すること、自己理解、対人スキルといった個人や関係性に関わる内容、不登校、いじめ、特別支援、高校への進路支援など学校と関連する内容など、様々なご相談に対応させていただきます。

昨今、コロナ禍で閉鎖的な風潮が加速化する中、お一人に悩まれ続け、辛い思いをされている方も多くおられると思いますが、一人で抱え込まず、誰かに吐きだして、少し軽くなったり、気持ちに余裕が生まれたりしていくことも時には必要かもしれません。

人それぞれ必ずご自身で感じ取る力、考える力は備えられています。しかし、精神的に余裕がない時には、その力を発揮することが難しくなります。ちょっとだけ、ゆっくり、じっくり、のんびりと、呟いたり、ご自身と見つめ合ったり、誰かと共有したりすると、ほっこりと、リラックス出来て、ご自身の感じ取る力や考える力が増していければ何よりです。

何か思うところがありましたら、いつでもご相談をお受け致します。

🔶過去の記事🔶

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過去の【学齢期の子どもと心理】コラム by 安澤 好秀


 

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Writing by 安澤 好秀

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