皆様、こんにちは
メンタルヘルスケア&マネジメントサロン代表・公認心理師の小高千枝です。
【7月のはじまりに】
「なんとなく不調」は夏のサインかも ── 心と身体をいたわる季節
梅雨が明けると、本格的な夏の訪れを感じる季節となります。
気温の上昇、湿度の高さ、強い日差し……そして、身体が重く感じられたり、やる気が出にくかったり、知らず知らずのうちに、心にも影響を与えているかもしれません。
夏は心が開放的になる季節
そんなイメージがある一方で、実はメンタルが不安定になりやすい時期でもあります。
夏の眩しい光や解放感のなかでは、ポジティブな感情。たとえば高揚感、やる気、楽しさ、達成感といったものも過剰にふくらみやすく、無理をしてしまったり、心身のリズムが乱れてしまうこともあるのです。
夏に起こりやすい心の不調とは?
□だるい・やる気が出ない
□眠れないのに疲れが取れない
□気分が落ち込みやすい
□ちょっとしたことで不安になる、イライラする
これらの症状は、夏バテや暑さ疲れだけでなく、気温や湿度によって自律神経が乱れることが原因である可能性もあります。
近年では、季節性情動障害「夏季うつ(夏型うつ)」という概念が注目されており、これは、一般的なうつ症状とはやや異なった特徴を持っています。
【季節性情動障害・夏季うつの主な特徴】
〇暑さが厳しくなる頃に発症し、涼しくなると軽快する
〇不眠・食欲不振・焦燥感・落ち着きのなさが現れる
〇日差しや気温の高さ、気圧の変化に敏感に反応する
〇特に感受性の高い方や、気候の変化に弱い方に多くみられる傾向
また、冬季うつと違い、眠気や過眠、過食が見られにくいのも特徴です。
高温多湿の環境下で、睡眠の質が下がり、身体が慢性的なストレス状態になることで、自律神経やホルモン分泌が乱れ、心の調子にも影響が
出てしまうのです。
多忙な方や責任を背負っている方ほど、自分の不調に気づきにくいことがあります。
「夏なのに元気が出ない自分はおかしい」と否定的にならず、季節特有のリズムとして受け止める視点も大切になってきます。
男女ともに起こるこの変化ですが、特に女性においては、ホルモンバランスや冷房による冷え、睡眠の質の低下などが重なることで、より繊細に不調を感じやすい傾向があります。
無理をしていませんか?
「ポジティブな疲れ」にも注意
夏はイベントやレジャー、仕事でも新たな展開が多く、心がワクワクする場面も増えます。
ですが、ポジティブな感情も「過剰」になれば、心身にとっては立派な”疲労”“ストレス”**となり得ることも意識されてみてくださいね。
たとえば、
□「せっかくの夏だから」と予定を詰めすぎる
□楽しいことが続き、休息を忘れる
□気分が高まりすぎて睡眠や食事が乱れる
こうした状態は、本人も周囲も「元気そう」と見えてしまうために、心身のSOSに気づきにくいのです。
【なぜポジティブな疲れに気をつける必要があるのか?】
感情には、嬉しい・楽しいといった「快」の感情も、「怒り」や「悲しみ」とネガティブ感情も同様にエネルギーを非常に使います。
特に夏は、日照時間が長く気温も高いため、自律神経がフル稼働している状態。そこに「高揚感」や「頑張りすぎ」が重なると、脳や身体がオーバーヒート状態になりやすくなります。
たとえば…
□興奮状態が続くことで睡眠の質が下がる
□過活動によって食欲や消化機能が乱れる
□自律神経の緊張状態が続き、不安やイライラが増す
このように、“楽しいこと”や“充実感”が心身の消耗につながることもあるのです。
【ポジティブな感情こそ「クールダウン」が必要】
大切なのは、楽しむことを否定するのではなく、高ぶった感情のあとに“整える時間”を意識的につくること。
花火や夏フェス等のイベントのあとは、静かな音楽をゆったりと聴く時間を大切にされたり、友人と盛り上がった翌日は、予定をあえて空けておく等、「楽しかったね」と自分自身の感情を言葉にして心を着地させる習慣もおすすめです。
ポジティブな感情に流されっぱなしになるのではなく、
「楽しかったね、ちょっと休もうか」と、自分自身に声をかけるような感覚も大切にしてみてくださいね。
7月を健やかに過ごすための
セルフチェックポイント
1.日々の体調を“微差”で感じ取る
朝のだるさ、肌の乾き、睡眠の質、食欲。わずかな変化に目を向けてみてくださいね。
2.感情の波にのまれず、整える意識を
嬉しいことも、悲しいことも、過ぎた後に「疲れ」が出やすいもの。感情の余韻を味わったら、意識的に休息時間を取りましょう。
3.夏ならではのストレス源に気づく
冷房の温度差、音、におい、湿気、汗。五感からの刺激は心に影響します。「好き/苦手」を明確にして対策を。
4.女性特有のリズムに寄り添う
更年期に差しかかる時期は、ただでさえ体調が揺らぎやすく、暑さは大きな負荷に。月経周期、ホットフラッシュ、むくみ、感情の浮き沈み……「ひとりで我慢しない」ことを大切に。
最後の『更年期』にまるわる心身の不調は、私自身の経験からも皆様へお伝えしていきたいことです。
心理のプロとして、更年期障害になる前までは「感情コントロール」は日常的に”当たり前”でできていました。そして、更年期という時期を経験することで「あっコントロールできない。。。(;’∀’)」という自分を目の当たりにしたときに、素直に受け入れることでスッと楽な気持ちになりました。
ただ、仕事や生活は待ってくれませんので、落ちたメンタルがどうにもこうにも上がらない時は、その感情に寄り添い、漢方や運動、自分に合ったケアの方法を試して共存しています。未だに、更年期真っ只中です…(笑)が、それほど気にならなくもなりました。模索してきた共存方法は不完全ではありますが、ある程度は自分のものになってきているのかと思います。
今日からできる、夏のセルフケア
「セルフケア」というと特別なことのように感じるかもしれませんが、実はちょっとした習慣の見直しが、心と身体の安定に大きく役立ちます。
以下のような小さな工夫を、ぜひ日常の中に取り入れてみてください。
● 朝の時間を整える
起きたらまずカーテンを開けて、自然光を浴びる
冷たい水で顔を洗い、身体のスイッチを入れる
冷房に頼りすぎず、朝のうちに軽く汗をかく散歩やストレッチもおすすめ
● 食事で「内側から」整える
食欲が落ちているときこそ、冷たいものばかりで胃腸を冷やさない工夫を
発酵食品、豆類、夏野菜、香味野菜を積極的に取り入れ、腸内環境を整えることで、心の安定にもつながります
● クールダウンの時間をつくる
1日に数回、深呼吸や瞑想の時間を意識的にとって、心の緊張をゆるめる
お風呂はシャワーだけでなく、ぬるめのお湯での入浴もリラックスに効果的
● 「五感」で楽しむ工夫を
涼やかな音(風鈴や水の音)、お気に入りの香り、肌ざわりの良い服やリネン
目から入る情報も意外とストレスになります。SNSやニュースから少し距離を置く時間も◎
● 予定を「足す」より、「引く」選択を
「この予定、本当に必要?」と自分に問いかける習慣を
何もしない時間、だらっと過ごす時間も、夏のセルフケアには欠かせません
この夏は、がんばることよりも……心と身体を“ととのえること”……を大切に。
小さな習慣の積み重ねが、心と身体のゆらぎをやさしく包み、夏を快適に乗り越える手助けになります。
【おわりに】
── 内側と丁寧に向き合う「夏の始まり」──
7月は、1年の折り返し地点。新しいことを始めたくなる高揚感と、半年分の疲れが同時に押し寄せてくるような、そんな時期でもあります。
だからこそ、無理にポジティブであろうとせず、心と身体が本当に必要としていることに耳を傾けてみましょう。
冷たい飲み物を選ぶように、日陰で風にあたるように…感情にも「冷却」と「保湿」のバランスを。
この夏が、心と身体をやさしく〔整える時間〕になりますように。
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