COLUMNコラム

【プロフェッショナルから学ぶメンタルトレーニング ①】結果だけではなく準備にこだわる|柔道家・杉本美香さん 後編

今年度から、メンタルトレーニングの新たな取り組みとして、メンタルトレーナの森下が、
様々な業界のプロフェッショナルの方々に、メンタルとの向き合い方や在り方等について取材させていただいております。

読者の皆様が、プロフェッショナルの方たちの考え方や行動を知ることで、成長への気づきや、成功のヒント。そして、道を究めた方たちも“同じ人間なんだ”と、身近に感じて頂き、親近感や「自分もできるかもしれない」といったチャレンジ精神の芽生えなどに繋がることができましたら、大変嬉しく思います。

第1回目の“プロフェッショナル”は、ロンドンオリンピック78kg超級で銀メダルを獲得し、女子重量級で一時代を築いてこられた柔道家の杉本美香さんです。

前編では、杉本さんとメンタルトレーニングとの関係性や、人としてのあり方や周りとの関わり方についてお話をお伺いしました。

前編の記事はこちらからご覧ください↓

【プロフェッショナルから学ぶメンタルトレーニング ➀】相手に関わり興味を持つ|柔道家・杉本美香さん 前編

後編では、「杉本さんの子育てで大切にされていること」「杉本さんがご両親から学んだこと」「オリンピックを通して感じたこと」「セカンドキャリアについて」など盛りだくさんでお届けします。

杉本美香(柔道家)
現役時代は度重なる大けがに悩まされたが、その試練に打ち克ち、2010年東京の世界選手権では78kg超級と無差別で金メダルを獲得。日本人女子選手初となる二階級制覇を成し遂げた。
そして2012年、ロンドンオリンピック出場を果たすと、78kg超級で銀メダルを獲得した。
引退後は現役時代に所属していたコマツ女子柔道部のコーチ・監督を歴任。
現在はテレビ・イベント出演や、柔道教室などを全国各地で行ない、普及活動に取り組んでいる。


杉本流子育て

️2023年にご出産をされた杉本美香さん。母になってからの在り方や気持ちの変化。そして、”杉本流子育て”についてうかがいました。

(杉本)子育ては難しいですね。何が正解かわからないです。
でも、私自身が育ててもらった環境を考えてみると、両親の子育てをお手本にしたいなと思っているんです。

例えば。。。“興味持ったことは全部やらせてくれる”、”何か失敗したら自分でどうしたらいいか考えるきっかけを与えてくれる” ”自分で考えてもわからないことは聞いたら教えてくれる” そして、”一緒に考えてくれる”とか。。。両親も仕事や家事で忙しかったと思いますけど、子どものために時間を作ってくれてたんですよ。
そういった両親の在り方や姿をみて「私もそうならないといけないな」とすごく思っていて。

今は、まだ子どもの言っていることを全て把握しきれていないし、、なんで泣いてるかわからないけど、泣いてるってことは“自分を求めてる”ってことだから、だったらご飯作ってる時間止めてでもこの子に関わろうって思っています。
本当はご飯を作る時間はご飯を作る時間として、ぎゅっと集中してやりたいんですけど、子どもとの大切な時間であることを優先し、自分とも対峙しています。

子育てに関してのアドバイスも今ではネットにいっぱい書いてあるので自分なりの考え方とすり合わせて調べたりするんです。でも、そればっかり信じててもと思いつつ、世の中に同じ子はいないこの子に対して、【自分流の子育て】ってなんなんだろうって考えるようにしています。

どういうふうに子どもと関わろうかなって思った時に、“全力で遊ぶ”“全力で笑う”“全力でふざける”っていうことを今はやっています。一緒にハイハイしたり、「うおりゃー!」って言いながら追いかけたりだとか。喜怒哀楽を学べるんだったらバカになってでもいいかなって思っています!
自分はバカになることは苦じゃないので、むしろバカになった人間の方が強いと思っています。プライドとかは一切なく、外で子どもが「ギャー!」って泣いても、「シーっ」て言いつつ、一緒にほらほらって感じで遊んでるんですよ。

(森下)一応、公共の場で子どもが騒いだり、泣いたりしたら、周囲へも配慮して「静かにしようね」って感じですよね。

(杉本)何も言わないでいると、「親はどうして子どもに何も言わないの?」ってなる方もいらっしゃると思います。
子どもを好きではないという人もいらっしゃると思うし、そういった周囲にいらっしゃる方のことも考慮して、大きめの「シーっ」てやりながら、環境や状況を読んで「ほら、これ何かな?」みたいに別の遊びを提案したりはしていますね。

そういうところも他人に興味を持つ(※1)ってところが活きていて、「大きい声を出すと嫌って思う人もいるよ」って伝えつつ、でも静かに遊ぼうって。
また、「他人に迷惑かけてはいけない」ではなくて、「(生きていると)他人に迷惑をかけることもあるから、自分が迷惑をかけることがあったら、他人に手を差し伸べられるような人になろうね」というスタンスでの子育てを大事にしています。

※1:杉本美香さん前編記事にて【他人に興味を持つこと】をお伝えしています。

(森下)お話をうかがって感じたことですが、「今の状況、与えられた環境でどう楽しむか」ってことですよね。

(杉本)そうですね。。。それが生活や生きるための考える力・工夫につながってくるかなと思って。ここは家じゃないから、静かに何ができるかなって、考えられるような子になってほしいですね。

(森下)「やっちゃダメ!」と言われた瞬間に、そこで思考が止まってしまいますもんね。

(杉本)自分は「ダメ!」が嫌いで、柔らかく「ノーノーノー」って言ったりしてます。「ダメ!」ってキツイじゃないですか。「アカン」って関西弁で言ってもいいんですけど、笑。
「ノーノーノー」の響きは子どもにとって受け止めやすく、優しく感じるかなって。

「ノーノーノー」って言うと子どもは「は?」って顔をするんですよ。
分かっているのか分かってないかわからないですけど、「それノーノーノーだよ」って言うとこれがダメなんだってわかるからピタって止まるし、それでも落としちゃった時に「あーあ」って言うと、一緒に「あーあ」って言うんですよね。
その「あーあ」って言うのも分かっててやってるんだろうなって。

でも、長い目で見て二十歳になったらそんなことやらないだろって思うようにしています。もしも、二十歳になってやってたら「育て方間違ったな」ってなると思いますけど、おそらくそうはならないじゃないですか。
そう思うと、おおらかに育てていきたいんですよね。そして、もっと人に興味を持って、みんながみんな同じではなく、自分とは異なった考え方の人もいることが当たり前なんだよというところも教える、そういう育て方をしていきたいと思っています。自分の両親からしてもらったことを、自分の子どもにも受け継いでいきたいです。

(森下)“ご両親の子育て”は本当に素晴らしいですよね。メンタルトレーニングを学んでいたのかなって思いました。子どものことを思って接していたら自然とそうなってたってことですよね?

(杉本)多分、たくさんの人と関わっていたからだと思います。いろんな人を見てきた。いろんな人を知ってる。そして、色々な痛みも経験してきたと思います。

(森下)この話を世の中のお父さんお母さんにぜひ、伝えていきたいと思いました!
時代の流れからも仕方のないことかもしれませんが、どうしても過保護になってしまうご両親は多い傾向にありますからね。
子どもをよくしたいっていう前向きなエネルギーはあるからこそ、正しい方にそのエネルギーが向いてくれればいいなって思ってるんですけど、どうしても、親子関係の距離感や関わり方に温度差が出てきてしまうこともありますよね。

僕が関わっている育成チームの親御さんには「遠くでガン見してください」ってよく言うんです。すぐ手の届く距離だと子ども依存してしまったり、親も過干渉になってしまう傾向が見られます。だからといって何もしないで放置するのも違うと。
だから遠くで見守っててくださいって伝えているんです。

(杉本)自分の親もそうでした。宿題を忘れたとしても、「あなたがやらなかったからでしょ」って言うタイプの人なんです。よく「宿題しなさい!」って言わないで我慢できたなと思って。「やりや」くらいなんですよ。3文字ですよ。
「夜やるよ」って言ったのに眠くなっちゃってから「宿題やってないどうしよう」っていう時も「言ったやろ」って。
我慢するってしんどいじゃないですか。そこがすごいなって言うのは思いましたね。

(森下)親もそうだし、指導者も忍耐が必要であると感じます。

(杉本)指導者と親の存在や在り方は違うんですよ。選手は他人の子じゃないですか。
「勝たせなきゃいけない」って言うのもあるので親とはまた違う責任があるじゃないですか、親だったら自分の子だから放置してても責任は親にありますけど。指導者の場合はちょっと違ってきます。

(森下)難しいところですね。任されている以上結果は出さないといけないっていうプレッシャーがありますね。短期的な結果と長期的な結果、どちらを目指していくのかによってアプローチ方法って変わっていくと思います。

(杉本)そうですね。それによって言葉の掛け方、タイミング違ってきますからね。

(森下)そういう意味では指導者もプレッシャーを感じますよね。だからこそ指導者自身も結果にフォーカスしすぎてしまい、高圧的な指導になったり体罰などの問題も出てきてしまう。こればかりは指導者一人だけの責任ではなく協会や世論の影響も大きいのですが…

(杉本)指導者になりたてだったりとか、責任感強いアスリートにもっともっとメンタルトレーニングを受ける環境があったらいいなと思っています。「自分は選手じゃないので」っていうような指導者に無理やりでも受けて欲しいなって思います。
メンタルトレーニングを必要としている人はたくさんいると思いますが、そこに気が付いていない人もたくさんいると思うんですよね。

(森下)確かにそうですよね。心身の状態が良い状態じゃないと、良い指導もできないと思いますし、いいトレーニングもできませんから。まずは幸福感情を高めていこうと選手たち指導者に伝えたりしています。

(杉本)指導者にちょっと声をかけてあげるだけでも違うと思うんです。
色々と悩んでいたり、自分の在り方を模索している指導者は多いと思うので、ぜひ声をかけてあげてください。

(森下)どうしても一般的な考え方としても選手の方のサポートに意識が向きがちですよね。
ただ、選手を支えている指導者の皆さんが安定したり、指導者としてのパフォーマンスを存分に発揮できるメンタルの環境が整っていれば、選手の皆さんも更に成長していけると感じます。

(杉本)選手は指導者のことも見ていて、「なんか疲れているな」とか、「体調悪いのかな」とか声かけてくれる選手もいて。
そうすると余計に心配をかけたくなかったり、選手の気持ちを優先するために心に鎧をまとい取り繕ってしまいます。
アスリートにもメンタルトレーニングは必要なんですけど、指導者がメンタルトレーニングが必要だと思えば選手にも紹介できるじゃないですか。そうするとどんどん広がっていくと思います。

(森下)指導者も選手も、親御さんも皆さん個々にメンタルトレーニングを受けてほしいですね。
選手と一番時間を一緒に過ごしているのは、親御さんなので良くも悪くも親御さんや家族間の影響は大きいですね。

(杉本)よく、「どういう親だったんですか?」って聞かれます。「どうしたらこんな立派に育つのか」ってよく聞かれるんですけど。私の親の話を聞きたいって言う親御さんが多くて、私自身の経験の話もお伝えしますが「親はどういう接し方をしていたのか?(子育てをしたのか?)」という質問も多いですね。皆さん、色々と悩んで向き合いながら子育てをしているんだなって思うことが多いです。

(森下)ポジティブな大人たちが周りにいる環境で育った子どもって、やっぱりポジティブになる傾向があると思います。
逆にネガティブな大人が多い環境だと、少し卑屈になってしまったり、周囲の意見を気にしすぎてしまい本領が発揮できないお子さんが多い傾向がみられると感じることがあります。

(杉本)“自己肯定感をあげていく育て方”が大切って言われてますけど、「じゃあどうすればいいの?」って、実際にどうしたらいいのかがわからない人って多いじゃないですか。ゴールはわかったけど、そこまでの行き方を教えてよっていう。

(森下)そこはメンタルトレーニングの出番ですね。

(杉本)勝つためのメンタルトレーニングよりも、生きていく上で“人としての成長のメンタルトレーニング”っていうところが面白いんじゃないかなって思います。

(森下)メンタルトレーニングって自立・自律のトレーニングって言われるんです。自分で考えて行動する力をつけていくことができれば、自然と結果もついてくるようになるんですよね。


スポーツ心理学の分野では「結果を求めると結果は逃げていく」という格言があります。
ここでいう「結果」というのはスポーツで言えば“勝敗”、勉強で言えば“点数”や“合否”、“どの学校へ入るか”といったことです。基本的に「結果」は自分ではコントロールすることはできません。相手や環境などさまざまな要因が影響するためです。
コントロールできない「結果」を追い求めてしまうと、不安やプレッシャーを必要以上に抱えてしまったり、モチベーションの質が低下してしまうことが研究で明らかになっています。
結果にこだわることはもちろん大切ですが、それよりも大切なのはその過程(プロセス)で「何を学んだのか」です。
プロセスを大切にするマインドセットになれば、失敗さえも成長の情報源だと捉え、長期的な視野で物事を見ることができます。だからこそ指導者や親御さんは、すぐに手を差し伸べたり、答えを与えるのではなく、自分で考えさせることや、あえて失敗させることが必要になるのです。

「かわいい子には旅をさせろ」ですね。


オリンピックについて

今まで世界柔道や数々の世界を相手にする試合へ出場されて来られていますが、やはりオリンピックは特別なものなのでしょうか。

(杉本)特別ですね。柔道の大会の中ではオリンピックはトップの大会なので、オリンピックは特別な大会であったり、目標であった場所ですね。
どんなところかっていうのはいろんな人の話で聞きはするけど、自分がその舞台に立つ、自分で体験するってどういう感じなんだろうっていうところがすごく興味がありましたね。

(森下)実際出場する前と出場した後って、心境の変化やオリンピックに対しての考え方など変わったことはありましたか

(杉本)漠然とフワっとしていたオリンピックが、自分が立つことによってギュッとしたというか。
表現が難しいんですけど、「あ、こういう感じね」って納得した感じですね。「こういう場所か。。。」と。
「中途半端な気持ちじゃ無理だな」っていうこともわかったし、簡単に「オリンピック優勝!」って言ってた自分がちょっと恥ずかしくなりましたね。。。それくらいの場所だったっていうことです!

正直、オリンピックに出て、ほんとによかったなって思います。
自分が“メダリスト”になった、“オリンピアン”になったからということではなくて、オリンピックへ出場するということは誰でもできるわけではなく、経験している人が少ない世界を自分自身が経験ができたということは、「引き出しが増えた、強みになったな」って感じています。
”オリンピック”を経験できたことは、人生の中で本当に素晴らしい意味のあることであると思います。

(森下)僕もずっと水泳をやっていたので、オリンピックに憧れていましたね。
世界の大舞台に向けたそこまでの努力、チャレンジをし続けることは簡単なことではないと思います。
そういう継続できる方を尊敬しています。

(杉本)運、タイミングもあると思うんですよね。
ひとつ前の大会(北京オリンピック)に出たかったなと思ってたんですけど、強い先輩がおられたので出れなかったんです。
怪我でボロボロだったのですが、次のロンドンオリンピックに出られました。
ただ、それ以上にオリンピックへ出場できなかった人たちの努力や過程の凄さを受け止めたいですね。
「自分はオリンピック出れなかった」ではなく、「これだけ自分は頑張れた」っていうところをもっと選手も周囲のサポーターも注目してあげてもいいんじゃないかって思うんですよね。
どういう気持ちでオリンピックを目指していたのか、目指していたけどそこに行けなかった人の方が比率的には多いわけで、でもそこに至る経験や努力や出会いは一人として同じ人はいないから、その過程を見てほしいなって思います。
成功した人に対しても「あの人だから出来るんだよ」って見られがちですけど、オリンピックでメダルを取った、メダリストだってっていう肩書きだけじゃなくそこに至るまでの過程をもっと知ってほしいですね。

(森下)プロセスの方が長いですし、プロセスの方が辛いこともありますからね。

(杉本)どういう考え方をしていたかのか、どう成長してきたのか、失敗を次に活かすのはどうするのか、とかをもっとサポートしてあげると、その選手の自信に変わっていくんじゃないかなと。

(森下)指導者にも親御さんにも言えることですけど、結果ばっかりフォーカスして評価をしたり褒めたりしてしまう。
どうしてもそっちにばっかり意識が向きやすくなっちゃうんですよね。

オリンピックには「魔物がいる」と言われるくらい不安やプレッシャーがのしかかってくるものだと思うのですが、オリンピックでの不安やプレッシャーとどういう付き合い方をしていたのですか。

(杉本)私の場合、「魔物はいなかった」って思いました。

魔物がいるってよく聞いていたので「なんだろう?」と思っていたんですけど、オリンピックって海外の選手は、人生がかかってるので、普段の国際大会とか世界選手権とかとは全く違う戦術でくるんですよね。
そこで優勝するかしないか、メダリストになるかならないかで、今後の人生が大きく変わってしまう。
そういう国が多いのでいつも以上のパワーは出してきますよね。まさに、生きるか死ぬかっていう感じです。
日本人とはまた違う思いで出場してきているので。

ロンドン五輪の決勝の相手は、世界選手権では35秒くらいで勝つことができた相手だったんですよ。
獲物を狙う動物みたいな眼をしていて。。。技を変えてきたり、死に物狂いで挑んできたと思います。
空腹の状態の生きるか死ぬか、獲物を取らないとっていうような感じでした。

そういう意味では“魔物がいた”っていう人もいるかもしれないんですけど、私の場合は、実力だと思いました。
自分の中で2位を意味していたと感じるんです。世界を背負えるか否かの結果だったと。。。
実は。。。オリンピック直前までは緊張っていう緊張はしていなかったんです。

なんでかというとオリンピックまでにきちんと準備ができたと思えていたからです。
直前に選手村に入ってから膝を痛めたんですけど(あんまり知られてないんですけど、)それは、「だから私は怪我が多かったんだ」って、「この時にきちんと対応できるように、準備段階として手術6回も経験させられたんだ」って思えたんですよね。
起こることには意味あるなって、この日のために私は今までの人生怪我が多かったんだって。

(森下)めちゃくちゃポジティブじゃないですか。

(杉本)そんなことないですよね、ポジティブじゃないですよね?

(小高)美香ちゃんは前向きさは根底に持っているけれど、どちらかというと明るい慎重派だよね。

(杉本)でも、選手村で膝を痛めた時に思いました。
「膝やばい歩けない」ってなったけど、今までの経験があったので、ここで焦らなくていいように「どうしたらいいのかな」「じゃあこうしよう」「ああしてみよう」って、「まだ時間があるぞ!」って冷静に逆算して考えられることができました。経験値ってすごいなって。
いろんな経験をすることによって、自分で生きていける力を養えるって思うんですよね。それが“失敗”だと思うのか“経験”だと思うのか。

今になって整理できて言語化できてますけど、その考え方や持っていき方、自分を自分でどう騙すか、腑に落とすための解決方法っていうのは経験しないとわからないなっていう。
だからいろんなことチャレンジしたいなって思いつつも、実は慎重派なんです。ビビリなんです。警戒心強いし、それが子どもにも影響しているみたいなんです。
娘は新しいものは触らないんですよ。赤ちゃんなのに触るふりをして、自分の方見て「へ?」って顔して伺ってるんです。
また段々と近づいていってという感じで。「ほら大丈夫だよ」ってやるんじゃなくてそっと見守ろうって思って見ています。

(森下)それが学びの時間になりますよね。怖がりだけど、「チャレンジすることの大事さ」をわかっているからこそ、新しいことや興味があることに勇気を出して踏み出していくんですね。

(杉本)そうかもしれないです。怖がりだから準備もめっちゃするんですよ。調べることもいっぱいします。

(森下)やっぱり前向きですよ。常に成長に目が向いていますよね。

(小高)本当に美香ちゃんは、前向きな慎重派だよね。やらずに諦めるんじゃなくて、状況を整理しながら「まずは、やってみよう」とする。

(杉本)怖いけど、やるためには「ポン」って背中を押してくれる仲間を増やしている感じですね。
「いいんじゃない」「頑張ってよ」って言ってくれる人のところに出稽古に行ったりしてたんです。
調子が悪い時は「え?そう?最後あがってたやん」って言ってくれて、気持ちよく帰れる先生のところに行ったり、ボロボロになるまで追い込んでくれるところに行ったりとか、自分の気持ちで出稽古先を変えてたんです。

意図的にというか自然にやってた感じです。なんかうまくいかないなと思ったら、じゃあここ行こう。自分でセーブしてるなって思った時は、自分を追い込んでもらえるボロボロになるまでやってくれる先生のところに行って、怪我しない程度に追い込んでもらう。
何も考えられないくらいの状態まで追い込んで帰って、何も考えないで寝るっていう感じで分けてましたね。

(森下)それって自分のことわかってるからできていたんですかね。

(杉本)人に頼るの苦手なタイプなんです。おちゃらけてしまって。

(小高)それが美香ちゃんの良さでもあるよね。ただ、時には自分で自分の首を絞めてしまっていることもあったよね。

(杉本)でも、そういう人も多いと思うんです。

(小高)真剣に取り組んでいるからこそ、なかなか弱音を吐けない人も多いと思う。
この間、ボクシングの村田諒太さんと、パラテニスの国枝慎吾さんの対談番組の心理分析のお仕事があったんだけど、村田さんは自分の心の内を整理し素直に吐き出せる方で、番組内でも追い詰められた時のいわゆる”やさぐれ状態”についても話をされていて、アスリートでこうやって公で話ができる人ってなかなか珍しいと思ったけれど、とっても人間味あふれる素敵な方だと感じたよ。

逆に、国枝さんは弱音を吐けずに「強い自分」を公に見せてきたことで、弱音を吐きだす相手が限られていたことからも、もっと心の内を出していっても良かったんじゃないかなって、ご本人も話していたことが印象的だったかな。。。
どちらが正しいとか間違っているとかではなく、それぞれのスタイルを貫いたからこそ、こうやって世界と戦うことができたんだと思うけどね。

(杉本)わかる、私は国枝さんの方ですね。

(小高)今まで「強い自分」しか見せないことが当たり前で、弱い自分を見せたくても見せ方がわからない。
特にアスリートは自分を律して”強い自分”を公に見せていくことも仕事のひとつであるからこそ、そういった自分との向き合いが常ではあるけれど、どこかで羽を休めないと「強い自分」に疲れてしまうこともあるからね。。。

(杉本)そうなんですよね。周りからよく言われるんですよね。周囲の評価はある意味刺激にもなるので、悪いことばかりではないのですが、炎上してしまう時代ですから。
だから、「気をつけなくちゃ」って勝手にこう身構えてしまいますよね。

(小高)特に今の時代は、想定外のところで真実とはかけ離れた話題がひとり歩きする傾向があるし、変なところから横槍入れられて、無駄なストレスになるのも嫌だしね。

(杉本)だからアスリートって自己処理ができる人が強くなるんじゃないですかね。
「大丈夫よ行っておいで」って寄り添ってくれる人がいるだけで本当に気持ちが楽になりますよね。
社会の中で生きている人、みんなそうだと思うんですよね。例えば上司が「俺が責任取るから行ってこい!」って言ってくれる会社なんて、「もう絶対辞めない」って思うじゃないですか。
そういった出会いって大切ですよね。私自身、現役時代も引退後もそういう温かい人たちとの出会いやご縁があって、柔道家としても一人の人間としてもめちゃくちゃ勉強になりました。

(小高)以前の美香ちゃんよりも一皮二皮も向けた感じがする。経験は“全て”無駄にはならないんだよね。

(森下)“全て”に意味があるんですね。

(杉本)怪我したことにも意味あるし、オリンピックを目指したことにも意味はあるし。
そこに気付くには寄り道も多くて、なかなか難しいんですけどね。

(森下)その最中ってなかなか気づけないですよね。後になって気づくことのほうが基本的には多いような気がします。

(杉本)勝って結果が出た時に「今までやってきたことが正解だったんだ」って思うことがあると思うんですね。
でも勝つまでに努力したことは”正解かわわからない”じゃないですか
「この練習であってるの?」とか、「これって意味あるの?」って。でも、疑ってても仕方がないから、とにかくやってみる。
うまくいかなかった時に、「やっぱ違ったのかな?じゃあ変えてみよう」って修正していけるのがアスリートのわかりやすいやり方ですよね。
それが人生のことになるとそこが考えづらいというか、わかりづらいんですよね。
アスリートは、これが正解かわからないって足踏みすることがあっても、飛び込んだ先に何があるかをわかっているので踏み出しやすいんですけど、アスリートではない一般の人は、やっぱり目の前の出来事やご縁と向き合って、ひとつひとつ階段を登っていくことが大切であって。
私自身は柔道して、オリンピックを目指して、色々な人と関り、ご縁をいただけたことはとてもありがたい経験だったと思っています。


結果や周りからの評価によって自信を築き上げている人は、“結果”が出なかった時、うまくいかなかった時に自信が低下してしまいます。どんなことであっても結果を出し続けることは限りなく不可能であり、必ずといっていいほど失敗、敗北、挫折をするものです。そんな時に自信の土台となるのが「準備」です。
杉本さんのお話にも出てきた「努力」や「チャレンジ」「怪我の経験」「人との出会い」といったものが、オリンピックをはじめとする、数々の大舞台における実力発揮のための準備となり、思わぬトラブルがあったとしても動じることなく、自信を持って挑まれたのかと感じます。「自信=準備」です。


次のステージへ

現役を引退された後監督をされ、現在はひとりの柔道家として生きていらっしゃる杉本さんですが、今後やっていきたいことや目指しているものはありますか?

(杉本)人が好きなので、人に関わる仕事がしたい、人を笑顔にできる仕事をしたいのは変わりないんですけど、今までの人生の中で初めて「どうしようかな」っていうところにきているなって思ってます。
皆さんが、社会人になる前に「自分はこれから何をしていくべきか?何をしたらいいのか?」を悩んでいた意味を理解できたような気持ちです。

今までは「柔道の強いところに行きます」という選択肢の中で生きていくだけだったのですが、今は自分がやりたいことに対して「形にするにはどうしたらいいんだろう」ってつまづいている感じです!
「やりたいことはあるけど。。。どうしたらいいかわからない」って思うような経験を今できてることが、実はちょっと面白いんです。「どうしたらいいんだろう」って毎日考えています。

人を笑顔にするには何がしたいんだろう、自分に何ができるんだろう、時には、自分は柔道以外で何ができるのか?柔道しかしてこなかったのに。。。とネガティブになることもあります。
まだ整理もつかないし、いろんな人の話を聞きに行こうって思うし、いろんな人と出会いたいって思うし、まだ決めきれていないんです。

ただ、絶対にブレないのは「人を笑顔にしたい」「人と関わって生きていきたい」ということですね。
誰とやるかでまた変わってくると思ってて、自分一人じゃ無理だと思うんですよね。
自分が今まで養ってきた人を見る目でちょっと見てみてもいいし、失敗してもいいかなって感じです。失敗してまた引き出しになるんじゃねって。

(小高)“おにぎりプロジェクト”の活動もそう?

(杉本)“おにぎりプロジェクト”は一回やってみたいなと思ってやってみたんですけど、飲食関係は私には難しいかなって思いました。
もちろん、「人を笑顔に」はできると思いますが、主になってやっていくことは自分には違うと思って。
でも、やって良かったなって思います。色々な気付きもあり、自分のやってみたいこと、できることがクリアになった感じです。
そして、これからも継続的に「やりたいこと」は考え中ですね。

(森下)今が楽しい時なのかもしれないですね。

(杉本)今までにない、皆さんが社会人になって早い段階で経験してきたことを、私は”今”経験しているんです。
アスリートはやはり守られた環境にいるので。。。皆さんは誰かに守られていなくても経験を通し、自分の糧にし、そして自分の人生を生きている。

なぜ?その仕事を選んだんですかとか、なぜ?そこに興味を持ったのか、なぜ?メンタルトレーニングに興味持ったのか、なぜ?その一つに絞れたのか。。。そして、それが本当にやりたかったことなのか、人生に影響をもたらしたものなのか、っていう“何でそれを決めたのか”っていうところをアスリートじゃない人たちに聞きたいです。

例えば経営者の人、雇われている人、どんな立場の人であっても自分の人生との向き合い方のお話を窺いたいです。
また、その職業を選んだ理由とかレベルなんて関係ないじゃないですか。
その人の思いや選択、なぜそれを決断したのかっていうことをいろんな人にたくさん窺って、参考にさせていただいて、自分の生き方のヒントにしていきたいと思う気持ちはありますね。

(小高)私は、元々は絵本作家になりたい夢から、初めての社会人生活は幼稚園教諭を選択したんだけど、モンスターペアレンツという言葉が生まれた時代で。

将来的には、絵本を通して子どもの心に寄り添う仕事をしたいと思っていたので、そのためにはまずは現場を知ること。子どもたちの心にダイレクトに関われる環境として選択した幼稚園教諭という仕事で、現場に深く関われば関わるほど、モンスターペアレンツの実態を知ることとなり、親御さんの心への寄り添いの必要性を強く感じたのね。
そこで色々と悩み、”心理カウンセラー”という職業を知ることとなったんだけど。ただ、当時(今から25年前)は日本にカウンセリングという文化がなくて、そもそもその仕事に就くためにはどうしたらいいんだろうと、模索して。

教育機関は世界がとても狭く、親御さんの心に寄り添うにも私自身の視野が狭いことはカウンセラーになるにしても大問題なので、まずは自分自身の人間力を高めるために、一般企業へ入社し、そこから社長秘書やキャリアカウンセラー等企業での社会経験を積ませていただきながら、同時進行で心理学を学び直し、”心理カウンセリング”の道を切り開いていって。。。

正直なところ、世の中のメンタルヘルス事情は決して良い方向に進んでいるとは感じていないし、親御さんたちへ長年にわたって働き掛けているものの、全ての方がプラスになっているとは感じていない。
ただ、世の中がメンタルヘルスに対する意識が変わってきているからこそ、問題も浮き彫りになってきていて、問題解決に向けて動こうとしていることは様々な方面で感じるんだよね。

”心”に無頓着だった時代から、世間がある程度「メンタルヘルス」「カウンセリング」「メンタルトレーニング」というような言葉を受け止め、理解をしようとしている様子は伝わってくるから、紆余曲折、時間はかかっても変化していっていることは良かったなと思っているんだ。

今、坂上忍さんが保護犬猫活動をされているYouTube動画をよく見ているんだけど、坂上さんが、「自分は55歳だから、自分が死ぬまでの間に保護犬・保護猫がいなくなる世の中になるということはないと思うけれど、動物たちの命を大切にする、そういう思いを引き継いでくれる人ができたらいい。そういう優しい世の中になったらいいな。」っておっしゃっていたのがまさに私もそうで。

今までカウンセラーの国家資格が無かったこと自体がおかしな世の中だと思っていたけれど、国家資格ができたことも大きな意味をもたらしていると思うし、世間が動き始めていると感じている。
自分が死ぬまでに完璧にやりこなすことはできないし、そんな大それたことをしようとは思っていないけれど、“心を大切にすること”の意味に気付き、後を継いでくれる人がいてくれたらいいかなっていうところに今は落ち着いているかなって。

美香ちゃんのお話を窺っていて、子ども好きだし、みんなを笑顔にしたいっていう思いにはとても共感できる。子どもたちが幼少期から笑顔で過ごせていると、心も身体も健やかでいられる。そして、そんなお子さんたちを一生懸命育てている親御さんたちの心への寄り添いは何よりも大切。
美香ちゃんも子どもから大人(親御さん)の方まで関わる機会も多いと思うし。違う角度からのアプローチではあるけれど、同じ方向を向いているというか、目的は同じような気がしているかな。

(杉本)世の中そうですよね、全部。角度は違っても、誰かの幸せを願って生きている人が多いですよね。
ただ今の時代、“他人に興味持たない人”が増えてきてないか?っていうのが心配なところがあるんですよね。

(小高)それは私も感じているかな。心配だよね。。。人間の感情ってすごく大事で。
企業とかにカウンセリングで行くと、以前は“出来ないこと”や“方向性“に対して、出来ない自分に悩んだり、感情をむき出しにするスタッフさんが多くて、それは次の段階に進むにあたって心の成長に必要な大切なプロセスでもあったんだけど、最近は無気力の子が多いと感じていて。
「いやなんか別に、バイトでもいいかな〜」「後輩の面倒をみるとかあまり興味ないかな」こういう考えの人が一部では見られているので、気になっているところ。(全ての方ではありません)

(杉本)アスリートもそういう傾向があるんですよね。。。

(小高)無気力な人に対するアプローチってどうしたらいんだろうって。よくカウンセラーたちとも話しているんだよね。

(杉本)私たちはもっと危機感を持たないといけないと思うんですよね。
小学校の子どもですらもう、タブレットとかゲームばかりやっている子が多い傾向があるので、それだと会話がなくなるし、コミュニケーションも希薄になっていくじゃないですか。そういう世の中に危機を感じるんです。
だからこそ子どもを笑顔にしたい、何が面白くて何が面白くないのかを自分の中でわかるようにしてあげられる活動をしたいと思います。

千枝さんはその“ポイントが親”だって分かったのがすごいなと思います。自分はターゲットを誰にしたいのかまだわからないです。子どもに対してなのか、大人に対してなのか、それともおじいちゃんおばあちゃんに対してなのか。
コミュニケーションを取れない孤独な人たちがいっぱいいる中で、私が関わることによってまた変わるんじゃないのかとか。
幅広く考えすぎててそこが絞れないから前に進めないんですよね。

(小高)今年はいろんな人に会って、美香ちゃんのキーワード「笑顔」に寄り添った活動のポイントを見極めていく年なのかもしれないね。

(杉本)「とりあえずやってみな」って言われるんですけど、やれない性格じゃないですか、まだ準備できてないし…みたいな感じなので。
「やろうぜ!」って言ってくれる右腕の人が見つかれば動けると思うんですけど。私が慎重派だからと引っ張る人が見つかればいいなって。
現役引退してから考え方は変わりましたね。現役時代の頃はセカンドキャリアは、「指導者かな」とか、「柔道だけで生きていくのかな」って思っていたので、そういうところは変わったと思います。
柔道じゃなくても、柔道着を着てなくてもできることやりたいなっていう想いに今変わってるところです。

(森下)引退をしてから視野が広くなったっていうことですかね。

(杉本)世の中が変わっていることに対して、意識を持たないといけないっていう危機感を自分の中であるっていうことかもしれません。
守られてたところから解き放たれた時に、自分に何ができるんだろうっていう不安もあるしワクワクもある。だから感情が忙しいんです。
不安にもなるし、でもやりたいことやりたいし、でも何したらいいんだろうっていう感じなので、だから「落ち着け!焦るな!」って思ってます。
楽しそうなことで資格を取ろうと思って、いろんな資格も見るんですけど、飽き性なんで申し込んで終わりみたいなことがよくあって。

心理学の資格とかも申し込んでみたんですけど、途中で「難しい言葉ばかりだな…」と思って中断しちゃいました。決まっていないから資格も中途半端になったんだなって思うんです。
この資格を取らないといけないって思えれば集中して取り組めるんですけど、のんびりやっていきます。

(小高)美香ちゃんの違った一面、コロナ禍の前と後で違う面がたくさん見ることができてよかった!
色々と悩んだり、考えたりしたと思うけれどその反動でいい方向に進んでいるよね!

(杉本)それは思いますね。子どもも治療で授かったので、「ストレスが一番の敵」と思って。
今までの選択に全く後悔はしてないですね。良かったです。

(小高)セカンドステージじゃなくて、サードステージくらいにきてる感じだね。

(杉本)自分でもそう思っているので、いろんな人に色々な角度から話を聞いてみたいですね。


多様性が重視される現代において、様々な情報が溢れ、選択肢が増えてきた世の中だからこそ、世界観が広がる分「本当に自分がやりたいことは何か?」を模索している人が多いように感じています。
「好きなこと」「やりたいこと」は興味や好奇心から生まれます。「ちょっとやってみたいな」とか「なんでだろう?」といった、小さな興味や疑問を実際に行動に落とし込み、その経験から新しい発見や気づきが芽生えるのです。そして、「もっとやりたい」「次はどうなるんだろう」という新たなモチベーションへと繋がっていきます。
興味や好奇心は「自分の知らない世界」から生まれます。すでに知っているものの中からは、実は興味や好奇心は生まれづらいのです。小さい子どもは知らないことばかりですので、いろんなもの(こと)に目を奪われたり、「なんで?」とよく聞いていたりしますよね。

大人になるにつれて経験や知識が増えていくことは喜ばしいことですが、同時に冷静さや客観性も育まれ、自己防衛心も強くなっていきます。冒険や挑戦はエネルギーを要するため、無意識の中で新しい感覚や文化を自分のテリトリーに取り入れないようにしてしまっている傾向もみられることから、年齢と共に興味や好奇心が薄れていってしまうのはある意味仕方のないことなのかもしれません。
ですが、新しい世界や新しい人との出会いを経験することで、自分の中に眠っていた「新しい価値観」を引き出すことができます。
まだ「本当に自分がやりたいことは何か」を模索している人は、杉本さんのように新しい環境や人との出会いを大切にし、そして自分自身の変化を感じてみてください。自分でも今まで知らなかった感覚や気づきに出会えるかもしれませんよ。


まとめ

今回(前編、後編)のお話をお伺いし、杉本さんのアスリートとしての強さは“人間としての強さ”からきているのだと感じました。

【プロフェッショナルから学ぶメンタルトレーニング ①】相手に関わり興味を持つ|柔道家・杉本美香さん 前編
【プロフェッショナルから学ぶメンタルトレーニング ①】結果だけではなく準備にこだわる|柔道家・杉本美香さん 後編

日常で大切にしていることや準備していることが、ここ一番の大事な場面で出ます。逆を言えば日常で意識できていないことは、大事な場面でも発揮できないということです。
結果を意識し過ぎてしまったり、周りからの評価や顔色を気にしてしまうと、ついつい指導者自身も、選手自身も結果を追い求めがちになってしまい、結果を出すまでの努力やチャレンジといった「準備」(過程)に意識が行き届きにくくなります。
もし結果が出なかった時に後悔が残っているとするならば、それは努力やチャレンジなど、過程でのやり残しにおける「準備不足」だったのかもしれません。準備不足で“やり切ること”ができなかった場合、自信を失いやすくなり、周りが羨ましく思えて妬みや嫉妬につながる恐れもあります。
そしてまた「結果を出さなくてはいけない」と「~をしなくてはいけない」「~でなければならない」と、自分を追い込んだり追い詰めたりするといった負のスパイラルに陥りやすくなるのです。

結果だけに捉われずに「準備」を怠らず、準備段階から本番まで自分なりにしっかりと“やり切る”ことができれば、例え結果が出なくとも後悔は少なく、納得感を持つことができ、心の成長を促すとともに次のチャレンジへと進みやすくなるのです。
「どうすれば自分自身が成長できるのか」「誰かのために自分として何ができるか」にフォーカスしていくことができれば、長期的な視点で見たときに自然と結果はついてきます!

 

次回(10月更新予定)の「プロフェッショナルから学ぶメンタルトレーニング」は元プロ野球選手で現在は経営者として活躍されている岡本篤志さんにお話をお伺いしていきます。次回も楽しみにしていてくださいね。


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