所属カウンセラーの水野です。
もうすぐバレンタインデーですね!クリスマスに引き続き、冬は「大切な人」を意識するイベントが続きます。
皆さまは、チョコレート、買う派ですか?手作り派ですか?
近年は「自分チョコ」という言葉も登場し、「自分のためのチョコを買うこと」が流行しているようです。「とっておきのチョコを自分に贈る」とても素晴らしいことですね!
ちなみに私も「自分チョコ」を楽しんでいます。
バレンタイン限定で店頭に出されるピンクでハートのついた可愛いパッケージにつられて、ついつい買ってしまいます。パッケージを眺めて癒され、フレーバーの説明書を読み、どのチョコレートから食べるか順番を決め、食べてどれが好きだったかを考えて楽しみます。
自己満足ですが、ひとつの箱で一石四鳥!くらい楽しめます。
そして、この時間は、セルフケアの観点からみても大切な時間になっています。
なぜなら、
「自分に意識を集中させる時間」となっているからです。
「自分の気持ちをおいておいて」周囲のことを優先させていると、ご自身の気持ちに気がつきにくくなってしまいます。そのような状態になる前に、ご自身の気持ちに目を向け、ご自身の状態を把握することが大切です。
「ご自身の気持ちに目を向けることの大切さ」について、詳しくは、こちらのコラムをご覧ください⬇︎
【関係性と心の発達】大切な人を大切にできるために:自分の気持ちに目を向けてみる-「おいておいた気持ち」を意識の中に戻すこと-
まさに、このチョコと自分との時間は、「自分は何が好きか」「今はどのフレーバーを食べたい気分なのか」など、チョコを通して、自分の気持ちに目を向け、ご自身の状態を把握している時間となっています。自分に意識を向けることは心のエネルギー補給になります。自分の心が元気になることで、大切な人との関係性を元気にすることにも繋がります。自分を大切にしながら、相手を大切にすることが、関係性を良好にするための基礎です。
コロナ禍の影響もあり、人に会う機会や、お菓子をあげる機会も減り、あまりバレンタインムードではないかもしれませんが、
日々頑張っている方、お正月太りを気にしてお菓子を自粛している方も、バレンタインデーには、
自分へのご褒美に「とっておきのお菓子」を贈ってあげてはいかがでしょうか?
甘酸っぱいイチゴフレーバーの気分なのか、ビターなブラックチョコの気分なのか、トロける甘さのホワイトチョコの気分なのか、もしくはケーキなのか、心理テストのような感覚でぜひ楽しんでみてくださいね。
さて、私のコラムでは、「大切な人との関係性をどのように築いていくか」について、日々の相談対応の中で感じていることや、自身の体験を振り返りながら、一緒に考えさせていただけたらと思っています。
前回のコラムでは、「自分の気持ちについて考えてみること」について書かせていただきました。
・「もともとあった気持ち」は、無意識に積み上げたご自身の過去の体験、大事にしているもの、願望など、ご自身の個性を創り出す自分の核から来ていること
・自分の核、自分のもともとあった気持ち、自分の中で働いている心理を理解することが大切であること
・関係性のこじれを防ぐため、自分の核や自分のもともとあった気持ちについて考え、整理する必要性があること
についてお伝えしました。
前回のコラムはこちらです⬇︎
【関係性と心の発達】大切な人を大切にできるために:自分らしさをつくる「自分の核」を理解する -身近な人との間で起きやすい心理について考える-
今までのコラムはこちらです⬇︎
【関係性の相互性からみる心の発達】水野コラム
今回のコラムでは、①自分の気持ちに目を向ける、②自分の気持ちについて考える
の次のステップである「自分の気持ちに目を向けて、整理してみる」について書かせていただきます。
整理するスキルを向上させる
・考え方のルート
・整理する時のポイント
をご紹介します。本日は、考え方のルートに焦点を当ててお伝えします。
大切な人を大切にすること、大切にできることは、「自分自身を大切にすること」にも繋がる大事な作業です。
「自分はここにいて良いのだ」「もっと頑張ろう!」など、安心感や、モチベーションにもつながる大事なことです。
皆さまが、興味のあるところからお読みいただけるよう、以前までのコラムを読んでいなくてもお楽しみいただけることを目指して書いておりますが、今までの流れを通してお読みいただくことで、ご自身についてや、関係性への理解を深められるようになっています。
お手隙の際に、以前のコラムにお目を通していただけますと、知識が積み重なり、ご自身の体験に応用していただけると思います。ぜひ、お役立てください。
「自分の気持ちに目を向けて、整理すること」の大切さ
これまでのコラムでは、大切な人を大切にするために、「自分の気持ちに目を向けて、考えること」が大切であるとお伝えしてきました。なぜなら、考えることにより、「どうして自分がその気持ちを感じたのか?」「自分の気持ちをどのように対処するか?」を検討できるようになるからです。
そして、自分のものは自分で抱える、相手に理解してもらえるように伝える、相手のものに関しては相手に責任を返すなどの対応方法を検討します。
大切な人を大切にするために重要なことは、自分と相手の核、自分と相手の気持ちを大切にすることです。
そのために、まずは「自分の気持ち」を相手に大切にしてもらうことが大切です。
相手に「自分の気持ち」を伝え、共感されることで安心感が生まれます。自分の気持ちが共感されると、「相手の気持ちにも共感しよう」というモチベーションが自然と高くなり、相手にも共感を示せるようになります。そして、相手にも安心感をもたらすことに繋がります。
つまり、「自分の気持ち」を相手に大切にしてもらうことは、関係性の良い循環を生むきっかけとなるのです。相互の核や気持ちを大切にしていくことを積み重ねて、「信頼」が育まれていきます。
「自分の気持ち」を相手に大切にしてもらうためには、「自分の気持ち」を相手に伝わりやすい形で伝える必要があります。
相手に伝わりやすい形にするには、
自分がどのような刺激に反応し、どのように感じたのか?
を説明する必要があります。
そのためには、
1.自分の傾向を理解し、自分はどのような刺激に反応しやすいのか、その刺激をどのように捉えやすいのかをなどを理解すること
2.今の気持ちに目を向け、分析すること
が必要です。
生まれたばかりの「今の自分の気持ち」は、「どうしてそのように感じたか」についての理解がまだされておらず、もやもやしていたり、ごちゃごちゃしていることが多くあります。自分でも理解していない、もやもや、ごちゃごちゃを相手に理解してもらうことは、限りなく難しいことです。相手に伝えやすい形にするためには、まずはご自身で「自分の気持ち」に目を向け、考え、整理することが大切です。
「今の自分の気持ち」を整理することとは、
・「もともとあった気持ち」は何か
・自分の中でどのような心理が働いているか
・反応している自分の核は何か
について理解を深め、分類し、明確化していくことなのです。
「自分の気持ちに目を向けて、整理する」ための考え方のルート
「自分の気持ちに目を向けて、整理する」ための考え方のルートは2つあります。それは、「自分の核」を起点にするルート、「今の自分の気持ち」を起点にするルートです。
「自分の核」を起点にするルートとは、
① 自分の核(ご自身の過去の体験、信念、文化などの大事にしているもの、願望などご自身の個性を創り出すもの)について意識する
② 自分の核が、どのような「もともとあった気持ち」を形成しているのか?を理解する
③ 自分の中でどのような心理が働いているかを理解する
「ご自身の過去を起点とし、今に繋げていくルート」です。
この考え方は、「自分の核」を意識することで、自分は何を大切にして生きているか、自分はどのような気持ちを感じやすい傾向にあるのかなど、広くご自身の特徴を知る「自己理解」を深めることを可能にします。自己理解を深めているため、自分の中での「気持ち」「考え」「行動」の不一致が生じた場合に、すぐに気がつくことができるようになります。従って、関係性上の課題が生じた場合は、こじれる前に対処することができるのです。
つまり、関係性がこじれてしまうことを、予防できる考え方なのです。
「今の自分の気持ち」を起点にするルートとは、
① 自分の気持ちが動く
② 「今の自分の気持ち」に目を向ける
③ 「今の気持ち」になったきっかけとなる刺激に目を向ける
④ 「もともとあった気持ち」が変換され、「今の気持ち」になった可能性について考える
⑤ 「もともとあった気持ち」に目を向ける
⑥ 「もともとあった気持ち」を形成した自分の核を考える
「ご自身の今を起点とし、過去に遡っていくルート」です。
この考え方は、関係性上の課題が生じた場合に、その要因を的確に分析することを可能にします。また、相手との関係性を通して、自己理解を深めていくこともできます。
関係性に課題が生じている場合は、こちらの「今の自分の気持ち」を起点にするルートを使って考えてみてください。
ひとつめのルートのように漠然と「自分の核」を広く理解していくのではなく、こちらは、今の課題に繋がっている「もともとあった気持ち」や「自分の核」は何かに焦点を絞って、理解することができるからです。
関係性上に課題が起きた時に、この考え方をすぐに利用するために、日頃から練習することをお勧めします。不快な気持ちになった時など、課題が起きた時だけでなく、嬉しかった時などに練習することも効果的です。ポジティブな気持ちの時に練習する方が習慣化するのにも適しています。
お花を見て綺麗だと感じた時、綺麗だと思った今の気持ちに目を向け、その気持ちになったきっかけであるお花について思いを巡らせてみます。
コンビニでたまたま売っていたお菓子に懐かしさを感じた時、懐かしいと思った今の気持ちに目を向け、その気持ちになったきっかけであるお菓子について思いを巡らせてみます。
「あぁ、このお花を見て綺麗だと思うのは、あの時、あの場所で見たお花だからだ!」
「このお菓子が懐かしいのは、小さい頃にご褒美に買ってもらっていたお菓子だからだ!」など、
自分の核の中にある、置いておいた温かい思い出や気持ちに再び出会い、自分や他者に感謝できるきっかけにもなります。
本当に些細なことでも、自分の気持ちを大切にしながら、効果的に練習できますので、ぜひお試しください。
まとめ
今回のコラムでは、・自分の気持ちに目を向ける・自分の気持ちについて考える
の次のステップである「自分の気持ちを整理してみること」、整理する時の考え方のルートに焦点を当ててお伝えしました。
1.大切な人との関係性を良好にするには、まずは「自分の気持ち」を相手に大切にしてもらう必要があること
2.自分の気持ちを相手に大切にしてもらうためには、自分の気持ちを整理し、相手に伝わりやすい形で伝えることが望ましいこと
3.整理する際の考え方は、①「自分の核」を起点にするルート、②「今の自分の気持ち」を起点にするルートがあること
4.①「自分の核」を起点にするルートは広くご自身の特徴を知る「自己理解」を深めることに役立ち、②「今の自分の気持ち」を起点にするルートは、関係性に課題が生じている場合に課題となっている自分の核に焦点を当てて理解することに役立つこと
5.それぞれのルートは、課題が生じていない時にも、練習しておくことができる考え方であること
をお伝えしました。
字面で色々書いてありますと、「たくさんやることがある」としんどく思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、書いてあることの全てを行っていただく必要はありません。お読みいただいて、もし気に入っていただけるものがあれば、無理のない範囲で「チョコっと」試していただけるだけ十分です。また、知識を頭の片隅に入れていただけることだけで、変化は生じます。お気軽に読んでいただけたらと思っております。
私がお受けしているクライエントさまの中には、「自分が大切にされたことがないから、人を大切にできない」「セルフネグレクトをしてしまう」「人を大切にできる能力がない」とおっしゃる方がいらっしゃいます。そして、「大切にする能力がないこと」に対し、ご自身を強く責めていらっしゃる様子が窺えます。
第三者のカウンセラーという立場からお聞きしていると、相手を大切にしたいと思っているからこそ、相手の情緒を繊細にキャッチしているからこそ、「自分ができていない」と感じやすいのではないかと推察しています。私には、そのような方々はむしろ愛情深く感じられるのですが、当のご本人さま方は、そのような意識を全く持っていないご様子なのです。
「大切な人を大切にできること」は、能力ではありません。「大切な人を大切にできること」は、練習して習得できるスキルです。スキルであるということは、その方法さえわかれば、自分で身につけられるということです。
相手を大切にするためには、「大切に思う気持ち」を、「大切にする」という行動で伝える必要があります。いくら「大切に思う気持ち」があっても、相手に伝わっていなければ、関係性はすれ違ってしまいます。つまり、大切な人を大切に思うことと、大切にすること、大切にできることは、全くの別物なのです。重要なのは、「大切に思う気持ち」をどのように伝えるかを考え、行動することです。
伝え方がうまくいかず、大切な人とすれ違ってしまうケースは少なくありません。大切な人とのすれ違いは、ご自身の傷つきに繋がります。それでは、自分の気持ちを大切にできてはいないということです。自分の気持ちを大切にできなければ、相手を大切にすることにはなりません。
関係性は相互作用しています。「大切に思う気持ち」が相手に伝わってこそ、自分も温かい気持ちになれるのです。自分の気持ちを、自分にも、相手にも大切にしてもらうことで、関係性は育まれていきます。
繰り返しますが、必要なのは能力ではありません。大切なのは、「大切な人を大切にできるスキル」を知り、練習することなのです。初めから上手にできる人はいません。どのようなスキルを習得するか、どのような伝え方が適しているのか、おひとりおひとりで異なる様かと思います。カウンセリングでは、その方にあった方法を一緒に考えることができます。おひとりで抱え込まず、お役立てください。
次回は、引き続き、「自分の気持ちに目を向けて、整理してみる」、整理する時のポイントについて書かせていただきたいと思っております。ぜひ、ご覧ください!
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