COLUMNコラム

【関係性と心の発達】大切な人を大切にできるために:自分らしさをつくる「自分の核」を理解する -身近な人との間で起きやすい心理について考える-

所属カウンセラーの水野です。

皆さまには、清々しく新しい年をお迎えのことと、心からお慶び申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

年末年始は、昨年の疲れを癒すべくゆっくりお休みいただけましたでしょうか?

忙しい日常に戻られていくと思いますが、寒い日々やコロナ禍での生活が続いております。ゆっくり身体や心を慣らし、ペースを調整しながら、日常に戻られて下さい。

さて、私のコラムでは、「大切な人との関係性をどのように築いていくか」について、日々の相談対応の中で感じていることや、自身の体験を振り返りながら、一緒に考えさせていただけたらと思っています。

前回のコラムでは、「自分の気持ちに目を向ける」の次のステップである、「自分の気持ちについて考えてみる」について書かせていただきました。
・「考える」機能は、気持ちと行動の調整役であること
・「自分の気持ちに目を向け、考えること」とは、「どうして自分がその気持ちを感じたのか?」「自分の気持ちをどのように対処するか?」を考えることであること
・自分が自覚している気持ち(変換された気持ち)のより深層にある「もともとあった気持ち」に気がつくことが大切であること

これらを通して、結果的に大切な人を大切にできることに繋がるとお伝えしました。

前回のコラムはこちらです⬇︎
【関係性と心の発達】大切な人を大切にできるために:自分の気持ちに目を向けて、考えてみる – 「もともとあった気持ち」に気がつくこと –
今までのコラムはこちらです⬇︎
【関係性の相互性からみる心の発達】水野コラム

今回のコラムでは、前回お伝えした「もともとあった気持ち」について掘り下げて考えていきたいと思います。主に、「もともとあった気持ちはどこから来たのか」を知ること、「自分の気持ちを相手も同じように持っている」と感じることに焦点を当てて書かせていただきます。

大切な人を大切にすること、大切にできることは、「自分自身を大切にすること」にも繋がる大事な作業です。
「自分はここにいて良いのだ」「もっと頑張ろう!」など、安心感や、モチベーションにもつながる大事なことです。

コミュニケーションがスキルであるのと同様に、「大切な人を大切にできること」もスキルです。練習して習得できるスキルなのです。

皆さまのお役に少しでも立てていただけるように、私も工夫しながら書かせていただきたいと思っています。

「もともとあった気持ちはどこから来たのか」を知ること

「もともとあった気持ちはどこから来たのか」を知ることとは、「どうして自分がその気持ちを感じたのか?」を知ることの一部です。

「もともとあった気持ち」は、
無意識に積み上げたご自身の過去の体験、信念、文化、誇りなどの大事にしているもの、願望など、ご自身の個性を創り出す自分の核から来ています。

これらの自分の核となる部分は、自分を輝かせるものであるのと同時に、時に大切な人との関係性を難しくする要因にもなります
なぜなら、自分の核と、相手の核が同じであるとは限らず、すれ違いが生じると衝突する場合があるからです。

例えば、「自分の若い頃はこんなんじゃなかった!」「だからゆとり世代は!」という言葉をため息混じりに耳にすることがあります。

この発言を分析すると、
1.「若い頃に努力して来た」という自分の過去の体験が自分の核となっている
2.自分の核が、「若者は努力すべきだ」との「もともとあった気持ち」を形成している
3.「自分の頃のように努力しているようには見えない若者」という刺激を受け、「もともとあった気持ち」が不快感に変換されている
そして、「自分の若い頃はこんなんじゃなかった!」「だからゆとり世代は!」との発言に至っている状態であると推察できます。

この状態は、
「自分の気持ちを相手も同じように持つだろう仮定する心理」
・その延長にある「自分の気持ちを相手も同じように持つように無意識的に求める心理」
が働くことで引き起こされていると考えられます。

これらの心理を参考に再度分析してみましょう。
1)「若者は努力すべきだ」という「もともとあった気持ち」を相手も同じように持つように無意識的に求める心理が働いている
2)「自分の頃のように努力しているようには見えない若者」という「もともとあった気持ち」とは異なる刺激を受け、自分の核や、自分の求めていること(「もともとあった気持ち」)が否定されたと感じたことで、不快感に変換されている
そして、そのような発言に至っている状態であると考えられます。

つまり、不快感の要因は、「自分の頃のように努力しているようには見えない若者」そのものではなく、その刺激によって自分の核や「もともとあった気持ち」が否定されたと感じているためなのです。

若者に伝えたかったことは、「もっと努力すべきだ」ということや、その方の「若い頃の努力やしんどさ」であったと思われます。しかし、「自分の若い頃はこんなんじゃなかった!」「だからゆとり世代は!」との発言では、その意図は伝わらず、関係性はこじれてしまいます。

自分の核を知ることで、「どうして自分がその気持ちを感じたのか?」についての理解を深めることができます。
なぜなら、自分の核を知ることは、
・自分はどのような「もともとあった気持ち」を形成しているのか?を知ること
・「自分の中で働いている心理」を知ること
に繋がるからです。

「自分の中で働いている心理」を知ること

・「自分の気持ちを相手も同じように持つだろうと仮定する心理」
・「自分の気持ちを相手も同じように持つように無意識的に求める心理」
は、日々、私たちの生活の中で、働いています。

そして、これらの心理は、関係性をこじれさせる場面だけでなく、相手を思いやる場面でも、用いられています。

-「自分がされて嫌なことは、相手にもしないようにしよう」と子どもに教える
-自分が寒い時に、相手に暖かいお茶を入れてあげる
などがその例です。

これらの行動を上記の心理をベースに分析してみましょう。
-「自分がされて嫌なことは、相手にもしないようにしよう」と子どもに教えるとは、
「自分がされて嫌なことは、相手も同じように嫌なことだろうと仮定していること」です。
また、その自分の気持ち(信念)を、「子どもも同じように持つように無意識的に求めていること」です。

-自分が寒い時に、相手に暖かいお茶を入れてあげるとは、
「自分が寒い時は、相手も同じように寒いだろうと仮定していること」です。
そして、もしかすると「寒い時に温かいお茶を入れてもらえて自分が嬉しかった」という自分の過去の体験や、「寒い時に温かいお茶を入れてもらえると自分は嬉しい」というもともとあった気持ちから来る行動なのかもしれません。
また、「相手を喜ばせるのが好きな性格」という自分の核が起因し、「相手が嬉しい気持ちになることを無意識的に求めている」可能性もあるのです。

自分がされて嬉しいことが、相手にも同じようにそうだとは限りません。
「寒い時にお茶を入れてもらえると自分は嬉しいから、きっと相手もそうだろう」と思ってお茶を入れてあげることは、自分の気持ちを中心とした考えであり、相手がどのような気持ちになるかを中心とした考えではありません。
「相手に喜んでもらいたい」と思ってお茶を入れてあげることは、相手が嬉しい気持ちになることを無意識に求めていることでもあります。

このように、自分の核や自分のもともとあった気持ちによる行動や心理という観点では、「自分の若い頃はこんなんじゃなかった!」との例も、「相手を思いやる場面」の例も、さほど違いがありません。

では、このような行動は、とらない方が良いのでしょうか?

そうではありません。
人は、自分の核や自分のもともとあった気持ちをもとに、相手の状態を感じ、考えながら、「思いやり」を届けているからです。

従って、自分を中心とした心理や行動によって、関係性が支えられている側面もあるということです。

しかし、これらの心理は、関係性を支えている側面がある一方で、一転してこじらせる要因にもなりうるという不安定な状態にもあります。この状態を安定させるためには、自分の核について知ることに加え、これらの心理がどのように自分の中で働いているのかを意識することが大切です。

「喜んでもらいたい」と思ってお茶を入れてあげた相手が喜ばなかったら自分はどう思うのでしょう?
「喜ばれない」状態が繰り返されれば「相手に喜んで欲しい」とのもともとあった気持ちが、「せっかく入れてあげているのにどうして喜んでくれないんだろう。」と不快な気持ちへ次第に変換されてしまう可能性があります。

このような状況は、色々な関係性上で起こっているのではないでしょうか。
決して、ありがとうと言ってもらいたいわけではないのだけど、言ってもらえないと寂しくなること
決して、褒めて欲しいわけではないのだけれど、何も言われないと不安になること
決して、見返りを求めていたわけではないのに、求めてしまう自分への自己嫌悪。
これらの気持ちは、関係性をこじらせる可能性があるので、早い段階で「自分の中で働いている心理」を知り、対処することが望まれます。

意識することにより
・自分は人を喜ばせるのが好きな性格であること
・「相手に喜んで欲しい」というモチベーションがお茶を入れるという行動に繋がっていたこと
・「もともとあった気持ち」は「相手を喜ばせたかったこと」であり、不快な感情は、「もともとあった気持ち」に沿うものではないこと
など、自分の気持ちへの理解を深めることができます。
そして、「自分の気持ちをどのように対処するか?」を考えることができるようになるのです。

「自分の気持ちを相手も同じように持っている」と断定する心理

・「自分の気持ちを相手も同じように持つだろうと仮定する心理」
・「自分の気持ちを相手も同じように持つように無意識的に求める心理」
は、親しい間柄には極めて働きやすい心理です。なぜなら、親しい間柄においては、自分と相手の境界線が曖昧になりやすいからです。

そして、「自分の気持ちを相手も同じように持つだろうと仮定する心理」が繰り返し働くと、「自分の気持ちを相手も同じように持っていると断定する心理」を形成する場合があります。そして、その断定は、「自分の気持ちを相手も同じように持つように無意識的に求める心理」に発展していくのです。

「ご自身の傷つき」や「劣等感・コンプレックス」によって生じた「もともとあった気持ち」が大きければ大きいほど、「自分の気持ちを相手も同じように持っていると断定する心理」を形成しやすくなりますご自身の大切な人に、「自分と同じような苦しさを感じさせたくない」と思う心理が強く働くからです。

前回のコラムで
「子どもの将来のためを思って勉強するように言っているのに言うことを聞かない」
「学校で忘れ物をしたら恥ずかしいだろうから準備をするように毎日言うがしない」
とのご相談を例に挙げました。

このようなご相談を聞きすすめていくと、
「勉強しなくて、大人になって自分が後悔しているから」
「小さい頃に忘れ物をして、クラスメイトにからかわれて自分が辛かったから」
など、「自分と同じ辛い思いを子どもにして欲しくない」との気持ちが背景にあり、お子さんを繰り返し怒っている様子が窺えます。

この状態を分析すると
1.ご自身が傷ついたという過去の経験がある
2.過去の経験から来る癒えていない悲しみなどの「もともとあった気持ち」を形成している
3.大切な人に「自分と同じような苦しさを感じさせたくない」と強く思う心理が働く
4.お子さんに「自分と同じ辛い思いをして欲しくない」という気持ちに変換される
5.更に、「勉強して欲しい」「準備して欲しい」という気持ちに変換される
6.そして、「繰り返し言っているのに言うことを聞かない」という怒りに変換された
状態であると捉えることができます。

繰り返しお子さんに怒るという行動に繋がっている背景には、過去の出来事においての「ご自身の癒えていない傷つき」や「劣等感・コンプレックス」という「もともとあった気持ち」が要因のひとつとして考えらます。そして、「自分の傷つきをお子さんも同じように持つだろう」との仮定した心理、更には、「同じように持っている」との断定された心理により、繰り返し怒るという行動に繋がっている可能性が考えられます。

では、「ご自身の傷つき」や、「劣等感・コンプレックス」がないことが、関係性にとって大切なことなのでしょうか?

そうではありません。それらを抱えていること自体は、決して悪いことではないのです。
なぜなら、人はそれらを克服できるよう試みたり、他のことで補えるように創造性を発揮したりしながら、成長していく生き物だからです。勉強は苦手だから運動を頑張って他者に認めてもらえる努力をする、人に打ち明けるのが苦手なので絵や歌で表現できるように頑張る、他者の痛みを想像し寄り添えるようになるなどがその例です。「ご自身の傷つき」や、「劣等感・コンプレックス」が自分や関係性をよりよくする原動力として機能する側面も往々にしてあるのです。

ここでお伝えしたいのは、
・自分の傷つきやコンプレックス・劣等感は「相手も同じように持つだろう」更には、「同じように持っている」と感じている状態を形成しやすいこと
・それは、結果的に関係性を難しくする要因になること
・従って、丁寧に、自分の核や自分のもともとあった気持ちについて考え、整理する必要性がある

ということなのです。

「ご自身の傷つき」をご自分だけで抱え、しんどい思いをされている方を多くお見受けします。ひとりで抱えこまず、ぜひどなたかにご相談されながら、進めていただきたいと思います。「共感されること」によってエネルギー補給され、結果的に、大切な人を大切にできるようになります。

まとめ

今回のコラムでは、「もともとあった気持ち」を掘り下げ、「もともとあった気持ちはどこから来たのか」を知ること、「自分の気持ちを相手も同じように持っている」と感じることについてお伝えしました。

① 「もともとあった気持ち」は、無意識に積み上げたご自身の過去の体験、大事にしているもの、願望など、ご自身の個性を創り出す自分の核から来ていること
②「相手も同じように持つだろうと仮定する心理」や、「相手も同じように持つように無意識的に求める心理」は、日々、私たちの生活の中でも起こっており、特に親しい間柄では起きやすいこと
③自分の核や、自分の中で働いている心理を理解することが大切であること
④「大切な人に、自分と同じような苦しさを感じさせたくないと思う心理」が強く働き、「自分の気持ちを相手も同じように持っていると断定する心理」が起きること
⑤関係性のこじれを防ぐため、自分の核や自分のもともとあった気持ちについて考え、整理する必要性があること
についてご説明しました。

年明けとともに、自分自身も、関係性自体もガラッと大きく変わるわけではなく、関係性の悪循環が、良い循環に変わっているわけでも残念ながらありません。

しかし、年明けは、自分も相手も「心機一転」と思っている傾向にあるので、「変化をもたらす」良いタイミングです。

変化をもたらすには、いつもの帰り道を一本別の道にしてみる、いつも頑張って作っていたご飯の一品をお惣菜にしてみる、いつもの柔軟剤を変えてみるなど、本当に些細なことで構わないのです。

「良い循環を生み出そう」と試み、実践するには、多大なエネルギーがかかります。
いつもの日常生活に何かを「加える」のは負担が大きいのです。

大切なのは、「良い循環に導くこと」ではなく、「今の循環から少しでもズレた場所で循環を起こすこと」です。

「いつもの自分のパターンとは異なる刺激」を与えることで、いつもの循環とは異なる場所で循環が自然と始まります。それは、結果的に、「悪循環から出ていること」でもあり、既に「良い循環に導くこと」にもなっているのです。

いつもは一人で抱えながら頑張られている人にとっては、「他者に自分の気持ちを話すこと」「相談すること」いつもの自分のパターンとは異なる刺激」を与えることに繋がります。カウンセリングに来るという「いつもの自分のパターンとは異なる刺激」により、結果的に良い循環を導き出せるようになる場合がございます。ぜひ、ご活用ください。

「もともとあった気持ち」はひとりでに反応するわけではありません。
反応するには、必ず刺激があるのです。
関係性は、相互作用しあっています。従って、要因は自分だけとは限らないのです。整理することで、自分のものは自分で抱える、相手に理解してもらえるように伝える、相手のものに関しては相手に責任を返すなどの対応方法を検討することができるようになります。

次回のコラムでは、「もともとあった気持ちや、刺激は何かを整理すること」ついて、ご説明したいと思います。「大切な人を大切にするために:今起きている現象について整理して考えてみる」について書かせていただきます。

本日も、お付き合いいただきどうもありがとうございました。
本年も皆さまのご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。


●オンラインカウンセリング(カウンセリング、メンタルトレーニング)もどうぞ、ご利用ください。
詳細はこちらをご覧ください。

※小高の対面カウンセリング(カウンセリング、メンタルトレーニング・コーチング)、メールカウンセリングはご紹介制となっております。
オンラインカウンセリングにつきましては、通常のお申し込みで対応させて頂いております。

Writing by 水野

オンライン
カウンセリング
カウンセリング予約