COLUMNコラム

【学齢期の子どもの心理】ポイントシートについて紹介してみる②

🔶はじめに🔶

こんにちは。所属カウンセラーの安澤です。

2月のコラムより、月の4週目と月の1週目の2週連続という形式でコラムを執筆することになりました。
時には1回での形式もありえますが、どちらかのスタイルとなります。宜しくお願いいたします。

今回は、前週の続きである「ポイントシートについて紹介してみる」②です。
前回のコラムはこちらからご覧になれます。

【学齢期の子どもの心理】ポイントシートについて紹介してみる①

前週は、保護者ら大人が、子どもたちに、「褒める」「認める」「気づく」というかかわり方を行う時に、視覚的なツールとして、ポイントシートをご紹介しました。そして、ポイントシートの意義と使用法について説明いたしました。

今回は、その続きとして、ポイントシートを使用する際の工夫策を提案させていただきます。
単純に、ポイントシートを用いてシールペタペタ貼っていくという方法でももちろん構いません。しかし、それでは上手くいかないことも多々あります。
例えば、親子共々3日で飽きる、子どもが徐々にかわすようになってくる、子どもが「なんで自分だけやらないといけないんだ」と反発してくる、保護者ら大人が多忙でやれなくなってくる、重要な意識が削られていくなどなどです。

何か決定的な解決策はありませんが、出来る限りポイントシートの環境的な枠組みを設定することで、少しは持続出来ると考えています。
実際に、保護者ら大人の方々には、これから述べる内容についてご理解いただきつつ、提案してきました。

環境的な枠組みの工夫を一言で申し上げると、「親子で真剣に話す場面を構築すること」です。それでは、具体的に説明していきます。

環境的な工夫

「親子で真剣に話す場面を構築すること」は非常に重要なことではあります。しかし、良し悪し問わず、大人も子どもも多忙な中で、なかなか一つのことについて真剣に話す場を作る意識がどうしても欠けていきます。だからこそ、このポイントシートが、その意識づけを行っていくツールとなればと考えています。

●ポイントシートの確認を日常会話のシーンでは扱わない。

日常生活場面で、例えば大人がご飯の準備をしたり選択をしたりしながら、「あなた、宿題やったの?」「片づけてないじゃないの!」「これじゃポイント溜まらないから、上げられないわね」などと、子どもに伝えて続けてみることを想像してみましょう。

当然、子どもは、段々とポイントを貯めることに飽きや億劫さが増していきます。他方、大人が、日常生活場面で雑談と同じレベルで、あるいは同時に何かをしながら話すことで、とても大切なルールや目標についての話の質が、必然と雑談と同じレベルのように、子どもたちに感じていきます。
大事な話と普段の話を分けて話すことで、子どもが「これは大事なやつだ」と感じられるようにしていくことは1つの工夫です。

●ポイントシートのみを話し合う場を構造的に設定する。

週1回程度(この点は大人と子どもとの話し合いで決めて良く、2週間に1度、月に1度などでも可)、ポイントシートの確認のためだけの時間を作ると良いでしょう。

出来れば普段とは異なる別室で、保護者(父・母)ら大人と子どもで目を合わせ真剣に向き合い、いつもとは違う空気での話し合いを感じてもらうことが大切です。

また、別室での実施によって、きょうだい別々に話題を取り扱うことが出来ます。きょうだいでやれること、出来ることは異なります。同時に評価をしてしまうと、どちらかが優越感と劣等感を抱きやすくなり、育児が上手くいかなくなることがあります。そのため、「比較」という心理的な現象が出来る限り生じにくいように、別室で対象の子どものみで行うことが必要です。

なお、大人はその場だけでポイントシートの重要な話題を扱えば良く、普段に何度も同じ発言するストレスを回避しやすくなる効果が見込めます。

●ポイントシートでの確認時には以下の内容について大人と子どもで共有する。

子どもは、ポイントシートがあっても、褒められても、長時間集中が持続するのは難しいです。他方、保護者ら大人には日々のやることが多く、それほど時間を割けません。

以下の内容について、簡単に(項目毎1~2分程度)触れられれば良く、合計でも10分~15分程度で良いと思います。

・目標内容の確認(1~3つ位、子どもの出来る目標を立てる)
・目標がどの程度達成出来たかの意見交換
・大人と子どもで達成度に合わせてのポイントを付ける共同作業
・達成した内容について大人から褒められる・認められる・気づかれる体験
・目標の内容がこのままで良いのか、上げた方が良いか下げた方が良いかの調整
・ポイントシートの次回までの期間の設定

●家族全員で取り組む

反抗的・批判的な態度を取る子どもたち、思春期真っ只中の反発心の強い子どもたちにポイントシートを行うのは、確率的にまず実施困難です。ご褒美の質によってモチベーションが上がる子どももいますが、なかなか取り組みが続きにくいのが実情でしょう。

そもそも反発する子どもたちは、「なんで俺だけ?」「私が出来てないからじゃん」「面倒臭いな」などと拒否的な態度です。この時点で、大人と子どもという上下関係を無意識に感じ取り、上から言われていることに嫌気がさしています。

そのため、少しでも対等的な立場で関わる工夫として、家族全員、それは大人側も大人なりの目標設定を行い、「自分だけではない」という感覚を家族全体に共有することが望ましいです。ポイントシートを家族の一人ひとりが目標設定して取り組むという形式でやってみることも一案でしょう。

●第三者への仲介依頼をする。

思春期の子どもらは、通常の発達プロセスとして、自己主張が強く、自分の意見が正しいと考える場合もあります。他方で、大人は、大人の見方で子どもに物を言う場合があります。どちらも正しいかもしれませんし、間違っているかもしれません。

そうなると、ポイントシート(に限らずですが)において、ポイントを付ける際に、子どもは「やった」、大人は「やってない」と言う可能性が生じます。その逆もまたしかりです。この場合、大人と子どもで揉めやすく、結論も出ない状態で、折角の目標設定があっても前に進むことが出来なくなります。

そのため、「第三者」の介入を依頼することで、どちらの意見にも立たず、平等に検討して、評価の着地点を見出す存在を設けると良いでしょう。例えば、第三者としては、祖父母、保護者以外の大人、(スクール)カウンセラー、大人も子どもも信頼している地域の方々などが良いでしょう。目標設定が難しくはなりますが、第三者に相談して、介入してもらい、チェック機能の役割を担ってもらうことが一案です。

ダウンロード

ぜひお使い下さい。ポイントシートの意義、使用法、環境的な工夫など述べましたが、大切なのは、使用する方々がやりやすい形式で実施することです。取り上げた内容以外でも、良い方法があれば、積極的に取り入れて、行ってみて下さい。

➡ ポイントシート (ダウンロード用)

 

🔶まとめ(【ポイントシートについて紹介してみる】①②を通じて)🔶

「褒める」、「認める」、「気づく」という3つの視点について、保護者側が意識すると、子どもたちは自己肯定感が向上し、安心感が得られ、高揚感を抱いていきます。そして、親子関係も穏やかな循環で回すことに繋がる

●即興的に防ぐ方法は、「距離を取る」、「後で話す」、「落ち着いた時に言い合う」などである。

「褒める」・「認める」・「気づく」の可視化がポイントシートである。

●ポイントシートの使用には、視覚的な理解、成功体験、スモールステップ、目標の達成の4点の意義がある。

●ポイントシートの使い方の手順は、①「出来る目標」の設定、②目に留まりやすい場所への貼付、③話し合いの場の設定である。

●ポイントシートの環境的な工夫は「親子で真剣に話す場面を構築すること」である。そして、場面によって、日常生活での話題との回避、ポイントシートのみを扱う場の構造化、ポイントシートが扱う内容の設定、家族全員での取り組み、第三者への仲介依頼などの工夫を取り入れていくのが一案である。

🔶さいごに🔶

今回のコラムは、「ポイントシートについて紹介してみる」というテーマでした。「褒める」、「認める」、「気づく」を視覚的に用いることの方法として取り上げました。実際はなかなか難しいのは重々承知ですが、環境的な工夫策も含めて考慮していただき、どこかで使用していただければ、ありがたい話です。

次回のテーマは未定です。心理的なモラトリアムが続いております(笑)
次回は3月末ですが、年度の納めの時期ですね。色々なことを整理して次に向けて良いイメージで臨んでいけるよう、残りの1ヶ月、「気持ちの整理」を大切に、そして充実させていきましょう。

それでは、また次回お会いしましょう!!

 

🔶お知らせ🔶

親子関係の問題、お子様とのかかわり方、育児、DVのほか、発達段階(幼児期、児童期、思春期、青年期、壮年期)、発達面の課題、非行、ひきこもり、ストレス・不安・躁うつ・強迫・依存など様々な精神症状に関すること、自己理解、対人スキルといった個人や関係性に関わる内容、不登校、いじめ、特別支援、高校への進路支援など学校と関連する内容など、様々なご相談に対応させていただきます。

昨今、コロナ禍で閉鎖的な風潮が加速化する中、お一人に悩まれ続け、辛い思いをされている方も多くおられると思いますが、一人で抱え込まず、誰かに吐きだして、少し軽くなったり、気持ちに余裕が生まれたりしていくことも時には必要かもしれません。

人それぞれ必ずご自身で感じ取る力、考える力は備えられています。しかし、精神的に余裕がない時には、その力を発揮することが難しくなります。ちょっとだけ、ゆっくり、じっくり、のんびりと、呟いたり、ご自身と見つめ合ったり、誰かと共有したりすると、ほっこりと、リラックス出来て、ご自身の感じ取る力や考える力が増していければ何よりです。

何か思うところがありましたら、いつでもご相談をお受け致します。

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過去の【学齢期の子どもと心理】コラム by 安澤 好秀


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Writing by 安澤 好秀

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