COLUMNコラム

【メンタルヘルス】目標達成や習慣化のために<②目標設定とメンタルヘルスの関係性>

こんにちは!所属精神科医のT.Sです。

このコラムでは、

私が精神科医として患者さんと接する中で手に入れ、磨き上げてきた様々な武器
つまりは「幸せになるコツ」

を紹介しています。

 

さて、今回は前回の記事の続きになります。
(前回の記事はこちら↓)

【メンタルヘルス】目標達成や習慣化のために<①まずは自分を知る>

前回の記事では、「目標や計画を立てるときには、自分を決して偽らず、まず自分がどんな人間なのかを見極めるのが最重要である」ということをお伝えしました。

私がどのように目標を設定し実践しているのか、出来る限り早くお話したいところではありますが、それはまた次回以降のコラムで。

今回は、「目標設定とメンタルヘルスの関係性」について取り上げます。

精神科治療における「目標設定」の重要性

日々精神科医として診療にあたる中で、治療の最初の段階から私が大切にしているのが、実は「ゴール(目標)の設定」なのです。

患者さんは様々な悩みを抱えて精神科を受診されるわけですから、たとえどんなケースでも「その悩みが解決すること」を治療の目標(ゴール地点)にするのが、患者さんにとっては最も望ましいことのように思えます。

しかし、時にその悩みが現実的に解決不可能であったり、そもそも解決すべきは他の悩みであったりすることも少なくありません。

たとえば

・不安も悩みもなく過ごせるようになりたい
・自分の発達障害を消し去りたい

といった悩みは、確かにそれが叶うのが理想ではあるのですが、現時点の医学では達成できないゴールだと考えられます。

この場合、

・不安や悩みはありながらも、最低限のことは出来ているし、やりたいこともそれなりにやれている
・自分の発達特性と付き合いながら生きていく

といった、もう少し現実味のあるゴールに設定し直す必要があります。
むしろ、その軌道修正ができたほうが、今後のメンタルヘルスケアがうまくいくことが多いです。
逆に、患者さんと治療者が想定するゴールのギャップが大きいと、その後の治療経過に大きな差が生じてしまいます。

さて、これらのことは、私達が習慣を身につけたり、目標や計画を立ててなにかに取り組むときにも、同じことが言えます。

つまり簡単にまとめると、「基本的に実現不可能な目標は立てないほうがいい」ということになります。

目標は定期的に見直しが必要

ただし、中には例外的に「実現不可能な目標を立てても良い場合」があります。

それは、

・目標が実現不可能だと認識できているが、モチベーション維持に繋がる場合
・実現可能なレベルに落とし込めるまで、目標を細分化できる場合

といった場合です。

例えば、「年収10億になりたい」という、多くの人にとって非現実的な目標を立てたとします。
この場合、

・現時点で年収10億をいきなり目指すのは無謀だと理解し、近日中に達成できなくても落ち込まないこと
・年収10億に到達するために、今月は月収◯円、来週は月収△円…と計画を立てること

が出来るのであれば、年収10億になった自分をモチベーションにしながら、コツコツと計画を進めても良いでしょう。

逆に、すぐに達成できないからといってひどく落ち込んだり、目標達成へのスモールステップが少しも思いつかないようであれば、その目標は修正したほうがいいでしょう。

ネガティブな結果を想像するのは嫌かもしれませんが、このように「目標を達成できなかったときにどうするかを考えておくことも非常に重要です。

目標やゴールは、一度設定したらそのままで良いものではありません。人生すべて計画通りに進んでいる人などいないでしょう。

壁にぶつかるたびに目標は修正するべきだ、と思っておいてください。

そしてこれもまた、精神科治療に通じるところがありますね。

完璧主義には注意

以上を踏まえると、習慣化や目標達成において重要なことは、ほぼ以下の3つのポイントに凝縮されていると言えます。
そして、実は精神科治療においてもキーとなるステップ、考え方です。
すなわち、

・まずは自分をしっかり理解する
・ひとまず実現可能なレベルの目標を設定する
・もし駄目だった場合、適宜目標を修正する

これさえ出来れば、習慣を身につけるにしても、何かに取り組むにしても、きっと今までよりスムーズに事を運ぶことができるでしょう。

ただ一つだけ、「完璧主義」には注意してください。

完璧主義で「こうあるべき」という考えが強すぎると、

・自分と向き合うことを恐れ、避けがちになる
・達成困難な目標を立ててしまう
・うまく行かなかったとき、柔軟に目標を修正できずドロップアウトしやすい

といった傾向も強まってしまいます。

自分の気持ちにある程度のゆとりを持ちながら、以上の3ステップを繰り返していくのが良いでしょう。

 

さて、いよいよ次のコラムでは、私が実際にどのような目標を立てて実践しているか、具体例を交えてご紹介いたします。
赤の他人の話なんて聞いたところで…と思うかもしれませんが、今回の記事のように、精神科医という目線から伝えられることを意識しながら記事を書いてみるつもりです。

楽しみにしていてくださいね!

 

今回のシリーズはこちらで読めます↓

【メンタルヘルス】目標達成や習慣化のために<①まずは自分を知る>
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【メンタルヘルス】精神科医T.Sコラム


 

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Writing by T.S

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