COLUMNコラム

【メンタルヘルス】心の健康のために、睡眠を見直そう

こんにちは!所属精神科医のT.Sです(実名非公開)。

 

私事ですが、先日ついに2回目のコロナワクチン接種を終えました!

いやぁ〜…副反応、キツかった…笑
接種当日はまだ良かったんですが、その翌日・翌々日が辛かったですね…高熱は出るし、全身痛くなるし…
痛くて腕が上がらなかったので、その日は髪の毛をセットするのも諦めましたよ…

数日で収まったとはいえ、皆さんも打つ番がやってきたら要注意です!
初回は利き腕、2回目は反対の腕に接種して、なるべく接種翌日はお休みを設定しておくことをオススメします!

若い人ほど出やすいと言われている副反応。ということは、僕もまだまだ若いということになりますかね…!?
(最近ひしひしと身体の衰えを感じていますが…笑)

 

さて、このコラムでは、

僕が精神科医として患者さんと接する中で手に入れ、磨き上げてきた様々な武器
つまりは「幸せになるコツ」

を紹介していきます。
読んでいただいた皆さんにとって少しでもタメになる記事をお届け出来るように、僕自身も勉強を深めながら楽しんで更新していきます!
どうぞよろしくお願いします!

今日はタイトルの通り、メンタルヘルスとは切っても切り離せない「睡眠の重要性」についてお話していきます。

勤務形態やプライベートの過ごし方が変わり、生活リズムが乱れてしまった人も多いこのコロナ禍。
そんな今こそ、もう一度自分の睡眠を見直すのにピッタリのタイミングと言えるでしょう。

まずは睡眠とメンタルの関係について説明したあと、具体的にどうすれば睡眠にまつわる問題が解決するのか、順番に解説していきます。

睡眠はメンタルヘルスのバロメーター

睡眠は、脳の正常な機能を保つために非常に重要なプロセスです。
そして、ほとんどすべての精神疾患において睡眠の問題が認められることから、精神医学の中でも特に重要な役割を担っていると言えるでしょう。

睡眠というプロセスはあらゆる動物(昆虫〜哺乳類に至るまで)で確認されており、人間も人生の時間のうち約1/3は眠っているわけなので、それだけでもいかに大切なものかは推して知るべし。
実際、長期間にわたって睡眠を奪われ続けると、身体機能・認知機能に多大な障害を引き起こし、最終的には死に至るという報告もあります。

そして、メンタルに何らかの不調を起こしたとき、真っ先に変化が現れやすいのも、実は睡眠なのです。

僕はもともと、こと睡眠に関しては右に出る者はいない、のび太くんぐらい寝付きが良い人間です。
しかしそんな僕も、20歳の頃に父親が自殺してしまって以降しばらく、ベッドに入っても全く寝付けなかったり、夜中に何度も目を覚ましてしまったりするようになりました。
その後徐々に改善し、おかげさまで今ではそのような悩みとは無縁なのですが、「うつ状態になると眠れなくなる」ということを身を以て知ったわけです。

それと、大事なことがもう一つ。

先ほど「メンタルが不調になると、まず睡眠に問題が生じてくる」と言いましたが、実はその逆もまた然りなのです。
つまり、「睡眠の問題が解決されてくると、メンタルの不調も快方に向かっていく」ということも覚えておいてください。

メンタルヘルスが脅かされると様々な問題が浮上してくるかと思いますが、中でも最初に取り組みやすいのが睡眠障害だと言われています。
ですから僕たち精神科医は、患者さんが受診されたときには必ず睡眠状況をうかがうようにしています。

・寝付きはどうですか?
・夜中に何度も目を覚ましてしまったり、早朝に目が覚めたりしませんか?
・寝ても全然疲れが取れないとか、日中にすごく眠くなることはありませんか?

今、もしもあなたが何かしらメンタルヘルスに問題を抱えているとするならば、まずは自分の睡眠がどうなのか、一度目を向けてみる必要があるでしょう。

健康づくりのための睡眠指針、睡眠12箇条

さて、睡眠に悩みを抱えている、あるいは「今の自分の睡眠ってどうなんだろう…?」という疑問を持っている人に是非チェックしていただきたいのが、厚生労働省が発表している「睡眠12箇条」です。
「厚生労働省 睡眠 指針」で検索するとヒットするので、詳しくはそちらを参考にしてみてください。

この12箇条の項目を、患者さんに伝えやすいよう僕がさらに分かりやすく改変したものがありますので、以下に掲載しておきます。
ここに書いてあることは、実はごく基本的、常識的なことがほとんど。でもこれをちゃんと守れている人となると、実はあまりいないのです。

睡眠に不調を感じたら、すぐに薬に頼るのではなく、まずは自分の生活スタイルを見直すことから取り組んでいきましょう!

健康づくりのための睡眠指針、睡眠12箇条

1.  睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければそれで OK!
「何時間眠れたか」に意識をとらわれすぎないように。 日常生活で困っていなければ、それは不眠ではなく、治療不要です。

2. 刺激物・刺激的な行動を避け、眠る前には自分なりのリラックス法を!
カフェイン(コーヒー・緑茶・紅茶)、タバコ、明るすぎる照明、体温が上がる行為(寝る直前の入浴、運動など)
これらは避けるようにしましょう。

3. 眠たくなってから床につく!就寝時刻にこだわりすぎない!
「布団やベッド = 眠れない場所」と身体が覚えてしまわないように、布団に入っても眠くならなければ布団を出てしまって OK。
ただしテレビを見たりスマホをやると余計眠れなくなるのでNG。部屋の照明を暗くしたまま、自分なりのリラックス法を試し、眠くなったらベッドへ。

4. 寝る時間が何時でも、同じ時刻に毎日起きる!
どんなに眠くても、頑張って同じ時間に起きること。 これを繰り返すうち、次第に睡眠リズムが整っていきます。

5. 光を上手く使って良い睡眠を手に入れる!
眠る前はスマートフォンやパソコンなどは避けましょう。 朝起きたら、陽の光を浴びましょう。

6. 規則正しい 3度の食事・運動習慣が良質な睡眠への鍵!
身体に生活リズムをしっかり刻み、運動で疲れを蓄積させましょう。

7. 昼寝をするなら 15時までに 20〜30 分限定で!
どうしても日中眠ければ、このようにお昼寝を。 時間が長すぎたり遅すぎたりすると、夜眠れなくなるので注意。

8. 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝早起きに!

9. 睡眠中の激しいいびき・呼吸停止や足のぴくつき、ムズムズ感は要注意!
「睡眠時無呼吸症候群」「レストレスレッグス症候群」などの可能性も。 精神科などを受診して相談してください。治療で改善が望めます。

10. 十分眠っても日中の眠気が強い場合は専門医に!

11. 睡眠薬代わりの寝酒は不眠の元!
飲酒は、寝付きは良くなるかもしれませんが睡眠の質が下がり、 夜中に目を覚ましてしまう恐れがあります。
また、睡眠時無呼吸症候群がある人の場合、更に悪化する危険性もあります。

12. 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全性は高い!
睡眠で困っていることを、なるべく詳細に医師にお伝え下さい。 その人に合ったモノを適切に使えば、睡眠薬は決して怖い薬ではありません。

 

身体の病気が原因で起こる睡眠障害もあるため要注意

いかがでしたか?
常識的な内容が多かったかと思いますが、中には「眠れなかったらベッドから出てしまおう!」という一見意外なものもいくつかあったのではないでしょうか。

中でも個人的に注意してほしいと思っているのが、高血圧や糖尿病との関係も指摘されている「睡眠時無呼吸症候群」です。

うつの25%に睡眠時無呼吸症候群が合併する、というデータもあり、「うつ病だと思って色々検査してみたら睡眠時無呼吸症候群だった」というケース、実はとーーーっても多いのです!
そして、「睡眠時無呼吸が治ったらメンタルの調子がとっても良くなった!」という人もたくさんいます。周りの人から夜間の大きないびき・無呼吸などを指摘されたことがある人は、一度検査してみることをオススメします。

メンタルヘルスに重大な影響を及ぼす、睡眠。
本日ご紹介した「睡眠指針12箇条」を参考に、良質で安定した睡眠を味方につけて、日々の心の健康を取り戻していきましょう!

それでは、また次回のコラムで!


 

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Writing by T.S

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