皆様、こんにちは
メンタルヘルスケア&マネジメントサロン代表・公認心理師の小高千枝です。
先日、4日間にわたりFMラジオ J-WAVE『JAM THE WORLD』にてインポスター症候群について
お話をさせて頂きました。(コーナーでのコメント出演です)
https://odakachie.com/info/media/8648/
皆さんは【インポスター症候群】についてご存知でいらっしゃいますか?
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▽インポスター症候群とは?
インポスター“Imposter”は“詐欺師、偽物”という意味があります。
心理学者のポーリン・クランスとスザンヌ・アイムスにより、
女性プロフェッショナルを対象とした臨床研究を通じて、つくり出されました。
自分自身が、達成した業績に値する人間であると思えず、自分は他人ほど能力がないことに恐怖心を感じ、
周囲をだましているのではないだろうか?と思いつめてしまうことを示します。
<自分の成功や業績を自分の実力であると信じることができない状態>
(参考:Forbes JAPAN)
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私自身、インポスター症候群との関わりは
DV・モラハラ(共依存)同様に、開業当時から女性の心の問題として向き合ってきた
テーマのようなものであります。
2・3年くらい前から取材などマスコミ関係からお声がかかるようにもなり
企業でも講義などを行わせて頂いております。
2年前にForbes JAPANの谷本副編集長とモーニングクロス内でコラボレーション企画として
大々的にお話をさせて頂いたこともあり
現在、女性活躍社会の中に潜む女性が抱えている問題として、世界的にも注目されています。
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▽どういった方に発生しやすいの?
男女どちらにも起き得る心の問題ですが、とりわけ女性や人種的マイノリティーに属する人が、
この感覚に苦しむと言われています。
男性優位の階層社会では、その不安感がいっそう助長されやすい傾向があるためです。
自己不信を感じている女性は男性に比べ、昇給や昇進を求めることが少なく、
キャリアに悪影響が生じ得ると複数の研究結果からも見出され、
ヒューレット・パッカードの社内調査からは、
女性は自分が応募要件を100%満たしていると感じた仕事にしか応募しないが、
男性は60%しか要件を満たしていない場合でも応募することが分かりました。
認知心理学の研究によると、成功や失敗への反応には明確な男女差があり、
男性は、成功を自分の能力や才能、努力などの個人的な要素に結びつける一方、
失敗を外部のせいにしがち。
女性はその逆で、成功はタイミングや運のおかげとし、
失敗は個人的な欠点が原因だと考えやすいを言われています。
(参考:Forbes JAPAN)
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私自身、インポスター症候群のクライエント様と初めて出会った時代は、
自分自身がインポスターになるとは思えないくらいのメンタル状態でありましたので、
あくまでもクライエント様の問題として捉え、向き合って参りました。
しかし、仕事のレベルや関わる世界が変わるにつれ
自分自身の異変に気付きました。
人生のステージがあがると、次のステージでの底辺が自分の居場所となります。
今までとは違う世界に戸惑いや通用しないことも発生し
心的負荷は相当かかってはおりましたが
そういった経験は幾度となく繰り返して来ている中
そのレベル感がある時、急激に変わったことがありました。
何かにぐーっと押し上げられるような感覚です。(10年以上前になります)
その時代を振り返ると、
役割としての自分と、本当の自分とのバランスが崩れそうになり、
ただただ、ひたすら進まなくてはいけなくなったことが
自分自身へかなりの負荷を与えていたと思います。
しかし「私予備軍になっているかも。。。」という気付きは
クライエント様と長年向き合わせて頂いたからこそ、
自分自身を冷静に観察し、俯瞰(メタ認知コントロール)
インポスター症候群になる手前で食い止めることができていたのかと感じ
経験を積み重ねてきた現場をとてもありがたく思いました。
予備軍には度々なっていると思いますが、深入りする前に、自分を取り戻し、居場所感の確認作業。
そういったことを今でも繰り返し
誰にでも起こりうることとして油断をせずにセルフケアを忘れないようにしています。
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▽こんな気持ちになったら気を付けて。。。
【例】
・自分が評価されているの理由がわからない。受け入れられない(待遇や役職と能力が自分には不釣り合い)
・世の中の風潮に添って会社のイメージ戦略に利用されているのではないだろうか?
・自分はここまでの実力は本当なないと感じる
・自分の実力のなさがバレてしまうのではないか不安
・失敗することが怖い
・失敗したときに自分を責める「だから私はダメなんだ」
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私の場合、業務量がややキャパオーバーになり睡眠不足と重なると予兆が見られはじめます
普段だったら気にしないことにストレスを感じたり
他者評価を気にしすぎてしまったり
自分のやっていることを必要以上に再確認したり
そして、体にその症状が出始めると(私の場合は眼精疲労とめまい)サインだと意識し、即応急処置を
クライエント様にも弊社スタッフにも
いつも「心を構造化する意識を持つと生き方が楽になる」
という話はしていますが
私自身、自分を観察、俯瞰し、構造的に見ること
そして、今必要なケアを繰り返しながら、心の平穏を保ち
自己肯定感を下げないように意識的に日々を過ごしています。
女性活躍社会において
女性の社会進出、管理職への登用が積極的に進められてはいますが
ソーシャル的にまだ環境は整っていません。
そういった背景の中で、正当な評価を素直に受け入れることができない女性の増加は
とても残念なことであります
女性支援の立場として、「インポスター症候群」という心の問題を
世の中に受容して頂き、おひとりおひとりがケアを心がけることができる世の中になれるよう
これからも続けていきたいと思います。
次回は「インポスター症候群になる要因」についてお伝えさせて頂きます。