所属精神科医のT.Sです。
このコラムでは、
私が精神科医として患者さんと接する中で手に入れ、磨き上げてきた様々な武器
つまりは「幸せになるコツ」
を紹介しています。
またまたコラムが2ヶ月ぶりになってしまいました。楽しみにしてくださっていた約82億5000万人の方々、大変申し訳ありませんでした。
お詫びと言ってはなんですが、うちのチワワが万博で買ってきたミャクミャクTシャツを着ている写真をお見せします。どうぞお収めください。

やらされてる感が全面に押し出されていて、この表情がたまらなく可愛いんですよね〜⋯スゥ─ッ(ここで肉球の匂いを嗅いで目を閉じる)
この圧倒的可愛さで全てを有耶無耶にしたいのですが、前回私はこんなコラムを書いてしまいました。
「これさえできれば絶対に面白い人になれる」という十分条件は無くとも、「面白い人はみんな◯◯している」という必要条件が、実はあるのです。
マッチングアプリのみならずあらゆる対人場面において、「面白い人」が使いこなしているテクニックを、精神科医の立場から解説していくつもりです。
自分で書いておいてなんですが、広げた風呂敷が大きすぎる気がするんですね。精神科医って、別に笑いのプロでもなんでもないですし⋯
でも、前回の導入編でみなさんを導入しちゃっておりますので、その先にお連れしないといけません。
「面白い人」は、どうして面白いのだろうか?
簡単そうで難しい、底なし沼のようなこのテーマについて、私は諦めることなく必死に思考を巡らせ続けました。
ときには職場の同僚や上司にも意見をもらったり、妻とも考えをぶつけ合ったりもしました。真理に近づくため、鋼の錬金術師をNetflixで見返しもしました。うちのチワワのお腹はどうしておばあちゃんの匂いがするんだろう、と嗅いでいるうちに眠ってしまったことだってあります。
その結果、私は一つの結論に達しました。
「面白い人」には、2つの柱があることを発見したのです。
それはズバリ、“テクニック” と “マインド” です。
“テクニック” と “マインド”

まるで、デスノートのニアとメロのように。アイスとポテチのように。
どちらか一方が欠けると、完璧な存在にはなれません。
“テクニック” と “マインド” 。真の「面白い人」は、この両者を兼ね備えていることに気づきました。
前回のコラム同様に刀で例えるとしたら、「たとえ刀が名刀であっても、振るうものが青二才であれば何も切れない」とでも言いましょうか。
性能や技術は、それを使う者の力量によって0にも100にもなるのです。
そこで今回のコラムでは、この2つのうち “テクニック” にフォーカスしてお話していくこととします。
⋯ただし!最初にどうしても断っておかなければならないことがあります。
「面白い人になりたい!」と思うとき、当然思い浮かべる理想像は人それぞれです。
突飛なギャグを連発して暴れまわりたい人もいれば、MCのように大勢がいる場を支配して才能を発揮する人もいます。一方、大爆笑こそ起こらないけれど、圧倒的な知識で聴衆を引き込むタイプの面白さを目指す人もいるでしょう。
「面白い」の種類は千差万別ですが、このコラムでお話しするテクニックは、どのタイプにおいてもある程度通用するはずです。
しかし、ただ一つだけ。
いわゆる “天然” タイプだけは、目指すのを諦めてください。

“天然” とは神に与えられた才能であり、テクニックを身に着けて成るものではありません。彼らは、誰かを笑わせようとなど全く思っていません。普通に話し、普通に行動しているだけなのに、それが勝手に面白くなるという天賦の才なのです。
天然は「面白くなりたい」とは考えませんが、だからこその “天然” なわけです。「面白い天然になりたい」と考えている時点で、一生天然になることはできません。
天然の面白さは、やらかしたあとに「どうしてこうなった⋯?」「ごめん、私の何が面白かったの?」というのが自分でも本気で分からないところまでがセットです。自らも戸惑っており、その戸惑いが作られたものではないからこそ、周りも腹を抱えて笑うことができるのです。
一方、仮に “天然風” を装ったとしても、周りはそれを敏感に感じ取りますので、簡単に言うとスベります。
というわけで、天然タイプは目指さないようにしましょう(というより目指せない)。
最重要とも言えるテクニックは、シンプルにして超複雑

それではいよいよ、「面白い人」が使っているテクニックについて語ろうではありませんか!
とはいえ、伝えたいことが膨大にありすぎて、全てを書くと間違いなく腱鞘炎になってしまいます。
そこで、テクニック編をさらに細分化してシリーズ化しつつ、今回のコラムでは中でも最重要なテクニックのみをお伝えすることにしました。
今回お伝えしたい最重要テクニックとはズバリ⋯
「相手に伝わるように話す」
です。
あの、本当にこれなんですよ!
いくら小手先の話術を身に着けようとも、結局はちゃんと土台としてこれが出来ているかどうかで、その人が面白いかどうかが決まってしまうんです!!
その人がどれだけ面白い話をしていようとも、知らない言語で話されたら理解出来ませんよね?蚊の泣くような声で聞き取れなかったら、笑うことなんかできませんよね?
「面白い人」は、周りが面白いと思っているから「面白い人」なわけです。
受け手がいて初めて成立するわけですから、相手に伝わらないと何も始まらないのです。
ここで言いたいのは、日本語を話せとか大きい声を出せとかそういうことではなく、とにかく「どうすれば相手に伝わるか」を脳みそフル回転で考えてくださいということです。

精神科医として診療を行う中で常に意識していることでもあるのですが、「相手に伝わるように話す」というのは、簡単そうで実はかなり奥が深いもの。
「聞き取りやすい声量と滑舌、スピードで、分かり易い言葉を使って喋る」が基本なのですが、これにも決まったパターンがあるわけではなく、厄介なことに常に状況に応じて変化します。診察の時間も限られているので、できるだけ丁寧に話すことが常に最善、というわけでもないのです。
たとえばうつ病の患者さんを診察したとき、一般には「うつ病の原因の一つと考えられているのが、脳内のセロトニン不足です。セロトニンというのは⋯そして抗うつ薬にはいくつか種類がありますが⋯」と説明することになります。しかし、丁寧に話そうとすればするほど、診療時間を圧迫してしまいます。
ここで、もしも相手が私と同じ精神科医であったとしたらどうでしょう。
「うつ病です。まずはSSRIでいきましょう」
極端な話、これで終わりです。相手はうつ病とはなにか、SSRIとはなにか、どんな副作用が出やすいのかなどを知っているわけですから、これだけで十分に意味が伝わりますし、むしろ会話としてもテンポが良くなります。説明の細部を省けたことで、そのぶん別の情報を聴取するのに時間を割けるわけです。
できるだけ丁寧に話すことが常に最善というわけではない、というのはこういうことです。相手が医師の場合、お互いに既知の情報をどんどん付け足して話がややこしくなるより、医学用語を使ってシンプルに話したほうが相手も理解しやすいのです。
このように私はいつも、「今自分が何を伝えたいのか」をまずハッキリさせ、「どうすればそれが相手に伝わるか」という順番で話を組み立てるようにしているのですが、実はこれ、「面白い人」はみんなやってます。一体どういうことなのでしょうか?
⋯盛り上がってきたところですが、今回はここまで!
私が今回一番伝えたかったのは、「相手に伝わるように話す」ことの大切さです。
そしてどうすればそれが読んだ人に伝わりやすいかを考えた結果、与える情報を一旦ここで区切るのが最適と判断しました。
まずはみなさんの中で、「面白い人」は確実にマスターしているこのテクニックを自分はどれだけ実践できているのか、改めて振り返ってみてください。
次回のコラムではこの点をもう少し詳しく説明するとともに、他の重要なテクニックについても解説していきますので、楽しみにしていてくださいね!
それでは、また次回。乞うご期待!
※今回のシリーズはこちら↓
【精神科医が解説】「面白い人」になるための条件 〜導入編〜
【精神科医が解説】「面白い人」になるための条件 〜テクニック編①〜
【精神科医が解説】「面白い人」になるための条件 〜テクニック編②〜
※過去のコラムはこちら↓からご覧いただけます。
【メンタルヘルス】精神科医T.Sコラム
Writing by T.S
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