みなさまこんにちは。メンタルトレーナーの森下です。
「今年の忘年会はどうする?」「クリスマスプレゼントは何を頼むの?」
そんな会話が身の回りに増えてきまして、時の流れの速さの恐ろしさに震えております。
先月に東京で開催されていた世界陸上、来年は名古屋でアジア大会(アジアのオリンピック)、大谷選手の活躍の記憶も新しいWBCも開催されます。
サッカーのワールドカップも来年ですね!スポーツのビックイベントが目白押しで楽しみです。
そのような大舞台で活躍しているトップアスリートをはじめ、世界で活躍するプロフェッショナルな人たちの努力量は僕らが想像する以上のものがあります。
僕自身、トップアスリートと関わる中で、選手本人は「努力をしている」という自覚はなく(やるのが当たり前だと思っている)、”良い意味で”「ネジが外れているな」と感じます。
努力を努力と思わない、厳しいことも前向きに捉えて継続して取り組んでいける力が高いんです。
だからこそプロフェッショナルたちは活躍し続けることができているわけなのですが、僕らもプロフェッショナルな人たちから学べることはたくさんあります。
今回のコラムでは、仕事、学業、でも「ラクな方に流されずにコツコツ努力するためのポイント(やり抜く力)」をプロフェッショナルから学んでいきましょう。
それではどうぞご覧ください!
GRIT「やり抜く力」
スポーツでも仕事でもなんでも、人生において失敗や挫折、うまくいかないことはたくさんあります。
そこで「何くそ!」という気持ちで踏ん張れたらいいのですが、つい楽な方に流れてしまったり諦めたりしてしまうこともあるかと思います。
うまくいかない時や困難にぶつかった時に、踏ん張れる人と、諦めてしまう人は何が違うのでしょうか。
その違いを明らかにするため、ペンシルベニア大学教授のアンジェラ・ダックワース博士は、プロフェッショナルな人たちとそうでない人たちの「やり抜く力」の違いを研究しました。
その結果、プロフェッショナルな人たちは「GRIT(グリット)」と呼ばれるものが高いことがわかりました。
「GRIT」は以下の4つの要素から成り立ちます。(4つの要素の頭文字をとってGRITです)
Guts(ガッツ):困難なことにも立ち向かう度胸
Resilience(レジリエンス):苦境にもめげずに立ち直る復元力
Initiative(イニシアチブ):自ら目標を見つけて取り組む自発性
Tenacity(テナシティ) :最後までやり遂げる執念
出典:「Grit: The Power of Passion and Perseverance(Angela Duckworth/2016)」
GRITは、困難な状態でもめげることなく、自ら目標に向かって最後まで「やり抜く力」のことです。
やり抜く力を発揮できるかどうかの鍵は、C.ドゥエック博士が提唱している「成長思考(Grows mindset)」と「固定思考(Fixed mindset)」が大きく関係してきます。
マインドセットについては過去の記事でもご紹介しましたので、ぜひご覧ください。
【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?① 〜天才は子どもの頃から天才?〜
【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?② 〜なぜ固定思考になってしまうの?〜
【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?③ 〜能力を伸ばす成長思考になるために〜
ざっくりと説明しますと、「成長思考」は、能力は(正しい)努力を続けていれば、成長していけると信じているのに対して、「固定思考」は、能力は生まれつきのもの(遺伝的なもの)なので、努力をしても結果は変わらないと信じている考え方です。
「ウサギとカメ」という童話がありますが、ウサギに能力では劣るにも関わらず勝負を受けたカメは「成長思考」で、自身の能力に慢心し油断をしてしまったウサギは「固定思考」と捉えるとわかりやすいかもしれません。
成長思考で「GRIT」を発揮し成長し続けるのはカメ。ウサギは能力の高さにかまけて油断をしてしまっているうちはこれ以上の成長は望めません。
きっとウサギはどこかのタイミングで、コツコツ努力を続けるカメに追い抜かれ、自分の能力に自信を失い、継続していくモチベーションは失っていくことでしょう…
僕の師匠が心理面のサポートを行っている高校サッカーの強豪校チームが
「兎を追い越す亀となれ!」というスローガンを横断幕にして掲げています。
この横断幕を見るたびに「成長思考の選手とは」を考えるキッカケになると思うので、とても良いスローガンですよね!

GRITを育てるためには
壁にぶつかった時に、ラクな方に流されがちで諦めてしまいやすかったり、最初は頑張るけど3日坊主で続かない皆様に朗報です。GRITはトレーニングで高めていくことができます。
そのためには下記の4つのポイントを意識してみることから始めてみましょう!
①クイックウィン
②チャレンジ目標を立てる
③(現時点で)出来ないことに挑戦してみる
④GRITが強い人がいる環境に身を置く
①クイックウィン
クイックウィンは「小さな成功体験」のことです。
このクイックウィンをたくさん積み重ねていくことで、自己効力感(自分も出来るという気持ち)が高まっていきます。
小さなチャレンジから小さな失敗や小さな成功を経験することで、チャレンジや努力の大切さを身をもって体感することができます。
ぜひ、毎日何でもいいので目標設定をしてみてください。そしてその目標は「ちょっと頑張れば達成できる目標」に設定してください。自分自身が小さなチャレンジだと思えてればいいですし、周りがやっているからといって同じ目標にする必要もありません。
小さな目標達成を積み重ねていった結果、どうなったのかを見逃さないことがポイントです。そのためには毎日の振り返りが欠かせません。目標にチャレンジした結果どうだったのか、何が良くて何がダメだったのかを振り返りしましょう!
②チャレンジ(成長・熟達)目標を立てる
目標はついつい「結果」のみにフォーカスした目標を設定しがちです。
順位や成績、〇〇に入学、入社すること、点数や収入…といった具合に。
もちろん「結果」にフォーカスした目標も大切ですが、”結果のみ”になってしまうとデメリットも出てきてしまいます。(図1)
(図1) 外発的モチベーションのデメリット
結果を求めていくことは大事なのですが、それよりも大事なのは結果を出すための「準備」にこだわっていくことです。
準備をすることによって、成長しますし自信がついていきます。
結果(成績、評価、優劣)だけにフォーカスするのではなく、そこに至るまでのプロセス(努力、チャレンジ、成長)に意識を向けていくためにも、結果目標だけでなく、チャレンジ目標(プロセス目標、成長目標、熟達目標とも言う)を立てていきます。
結果というのは基本的に環境や相手に左右されることが多いので、コントロールすることが難しいんです。
一方でプロセス(努力するか、チャレンジするか)に関しては自分次第。自分でコントロールすることは可能です。
コントロールすることに集中することで、モチベーションも高まりますし、良い集中は持続しやすくなります。
結果よりも、結果に向かうまでの過程が大事だと思えるようになれば、うまくいかないことや、困難がぶつかっても諦めずにチャレンジ、努力することが出来るようになります!
③出来ないことに挑戦してみる
②と重複するところもありますが、挫折や困難を乗り越えた経験を積んでいくことでも、自己効力感(自分ならできる!と思えるは高まっていきます。
今までの人生で「出来なかったこと」が「出来るようになった」経験を振り返ってみることも効果的です。
別に誰もが「それは困難だったね」と思うようなことじゃなくてもいいんです。
例えば「自転車の補助輪を外す時に何回も転んだけど、泣きながら頑張ったら乗れるようになった」とか「たくさん練習して、いい記録を出せた」といったようなことです。
振り返ってみることで「自分なりに壁を乗り越えてきたから今があるんだ」と思えるようになります。
とはいえ、自ら進んで困難に飛び込んでいく人は多くありません。できることなら「苦労せずに過ごしたい」というのが大半でしょう。
そのため、できる範囲のことだけをこなしたり、チャレンジを避けて現状維持に留まろうとしてしまうのです。
なので興味がちょっとあるレベルでもいいので、やったことないこと、まだ出来ないことにチャレンジしてみてください。
興味を持てるものであれば、楽しみながら取り組むことが出来るかもしれません。
出来ないことがあることは決して悪いことでも恥ずかしいことでもありません。
「千里の道も一歩から」です。誰でも最初は初心者ですからね。
出来ないことができるようになることに楽しさを見出せたのなら、チャレンジへのハードルはぐんと下がります!
④GRITが強い人たちがいる環境に身を置く
人は良くも悪くも、今置かれている環境から影響を受ける生きものです。良い環境にいれば良くなるし、悪い環境にいれば悪くなる。
NFLのシーホークスのHCだった”名将”ピート・キャロル氏は「偉大な選手になるためには、偉大なチームに入ること」と話しています。(偉大なチームに入るためにはじゃあどうすんねん、というところはともかくとして…)
環境が人に与える影響はかなり大きいんです。
ということは、成長思考の人やGRITが高いと思う人と同じ環境にいることで、その人たちの考え方や行動を間近で感じることが出来るわけですね。
ただ、自分とは考え方や行動が異なる人たちと同じ環境にいることは、大きなストレスになります。
たとえるなら、自分のペースと合わない速さで歩く集団の中にいるようなもので、ずっと居続けると疲れてしまうのです。
でもそこをグッと堪えて我慢してると、そのペースにもだんだん慣れてきます。GRITが高い人たちの思考と行動が基準となって、当たり前になっていくのです。

どんな分野でも、コツコツ続けて最後までやり切ることは大切です。成功にはさまざまな要素がありますが、継続の力がその中心にあることは間違いありません!
一年も残すところ後わずかです。一年の節目になる今だからこそ、“続けてきたことの価値”が見えてきます。
小さな積み重ねは確かな自信になります。迎える新しい年にも、小さな継続を大切にしていきたいですね!
おまけ
今月もメントレコラム恒例(今年度から!)の森下のダイエットの経過報告です!
※ダイエットといっても特にこれといって変わったことをするでもなく、適度な運動と栄養バランスを見直すために「マイルール」を作って実施しています。
<マイルール>
①1日最低30分は運動する時間を確保する(ジョギング、水泳、筋トレ、ストレッチなど)
②甘いものは午前中に限りOK(菓子パンは禁止)
③コーヒーはブラックのみ
④毎日体重計に乗る
⑤なるべくタンパク質を取れるものを食べる(小腹が空いたらゆで卵)
トライアスロンのレースが定期的に入っていたこともあり、トレーニングを継続して実行できています。
すでに来シーズンのレース予定も決まってきたため引き続き頑張れそうです。
食事面ですが、時間の無さ(面倒臭いだけ)を言い訳に最近カップラーメンとかお惣菜が増えてきてしまいました。
お菓子は極力食べないようにしていますが、揚げ物やカップ麺もできたら控えていきたいなと思います…
(身体に良くないものって美味しいんだよね…笑)
それに伴い体重の推移です。(体重が全てではないですが、あくまでも目安として)
1月4日→80.1kg
2月4日→76.6kg
4月1日時点→77.2kg
6月1日時点→76.2kg
7月1日時点→75.8kg
8月1日時点→75.2kg
9月1日時点→75.0kg
10月1日時点→74.8kg (ついに74kg台に突入!)
やはり、こうして記録をつけていると変化がわかりやすく見えるので楽しくなってきますね。
年末に近づくにつれて、会食等が増える季節ではありますができるかぎりマイルールを意識して継続していければと思います!
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