所属カウンセラーの水野です。
10月になり、夏本番よりは涼しくなったかと思いますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
涼しくなることは、過ごしやすくて嬉しい一方で、疲れも出やすい時期でもあります。しっかりとした休息、心の安らぐ時間を持って、今から冬の寒さに備えていきたいですね。
そして、来たる来週の月曜日10月6日は「中秋の名月」だそうです。
お恥ずかしい話なのですが、「中秋の名月」は、9月中にある物だと勝手に思っていました…。「旧暦の8月15日の夜に見える美しい月」ということで、毎年日にちが変わるのですね!綺麗なお月さまが見られるといいですね〜!
さて、本日のコラムでは、前回のコラムでお伝えした「柔軟な、しなる心」について更に掘り下げてお伝えしたいと思います。本日は、「自分のキャパシティを守る大切さ」「柔軟な心のイメージ」を共有したいと思いますので、お付き合いください。
ありがたいことに私は、今まで、産前から18歳までのお子さまがいらっしゃる保護者の方、お子さま自身からのご相談など、年間約500件お受けしてまいりました。
累計5000件あまり、対応させていただいたことになりますが、ひとつとして同じご相談はもちろんありません。ひとりひとり、ひとつひとつご相談をお伺いして、一緒に考え、試し、時にうまくいかないことも共有しながら、万能な方法はないながらも「うまくいく方法」を少しづつ蓄積して来ました。
従って、今私が持っているノウハウは、今までご相談にいらしたお母さま(保護者の方)とお子さまと一緒に作りあげたものと言えるでしょう。私も皆さまに教えていただいてきたのです。
全く同じご相談はない一方で、共通しているお悩みもあります。お悩みを一緒に考えている中で、他の保護者の方も同じようなお悩みを抱えていることをお伝えすると「自分だけじゃない」と安心していただけることが多くありました。ひとりで悩まれていると、自分だけの悩みなのか、他の方も通る道なのかわからず、悩みを深めてしまう可能性があるのです。
しかしながら、子育て相談をするのは他の悩み事よりも難しいと言われています。なぜなら、「自分の子どもがダメなのではないか」「ダメな母親と思われるのではないか」との不安が喚起されやすく、その不安によって相談がしにくくなるのです。大事なお子さまを育てているのですから、その不安も当然のことかと思います。
従って、ニーズはありながらも、子育て相談をしたくてもできない方が多くいらっしゃるのが現状です。
そこで、今まで私がお受けしてきた子育て相談の中で、様々な方がお困りになっていた共通のお悩みについて、少しシリーズ化をさせていただいて、今後はコラムを書かせていただこうと考えています。
前回のコラムでは、「子育てで大切なこと」についてご紹介させていただきました。⇩前回のコラムはこちら
【折れない心を育む】心理士(師)が伝える:「子育てで大切なこと」〜子育て相談をお受けする時の視点 – part1-

自分の心のキャパシティを守る大切さ
子育てにおいて大切なことをお尋ねいただいた際に、「お母さまがお子さまと安心して関われること」とお答えしているとを前回のコラムでお伝えしました。
つまり、「お母さまがご自身のキャパシティを理解し、大切にして欲しい」ということなのです。
※ここで記載している「お母さま」とは、「お子さまの主たる養育者の方」を指しています。
現代社会において、「やりたいことがない」「自分には価値がない」「生きていても仕方がない」「自分は周りに迷惑をかけてしまう」などのお悩みを抱える方が非常に多くいらっしゃいます。
そのようなお悩みを抱える方々は、「自分は弱いから」「ダメだから」とおっしゃるのです。私は、逆だと思うんですね。そのように悩まれる方々は、自分に厳しく、頑張り屋さんで、一生懸命我慢し、鍛錬に鍛錬を重ねていらっしゃるように私には見受けられるわけなのです。そこまで我慢できるのって、むしろタフですよ!と思うわけなのです。
もちろん鍛えることも重要な場面はあるかと思います。しかしながら、心のキャパシティは限られています。「自分は弱いから」「ダメだから」と思われている背景には、自分のキャパシティを超えて頑張りすぎているために、心身ともに不調を来たしている悪循環(キャパシティオーバー症候群)などの可能性も考えられます。
せっかく頑張っているのに、辛くなってしまっている現実があるのであれば、「少しでも心が楽に生きられる方向に、頑張るベクトルを向けられること」を強くお勧めしたいと思います。

柔軟な心のイメージ
前回のコラムでは、お子さまにとって重要なのは、折れない心、折れそうになった時に「しなる」柔軟な心を育むことが大切だとお伝えしました。
「自分は弱いから」「ダメだから」などと考えられている背景には、上述したキャパシティオーバーに加え、「心を辛くしている共通している点」があるように感じます。それは、心に期待しているベクトルが「強いか-弱いか」「耐えられるか-脆弱か」なのであって、「柔軟か-硬いか」ではないということです。
そこで、柔軟な心とはどんなものなのか。少しイメージを共有してみたいと思います。「心がどんな形をしているのか」は永遠の謎だと思いますが、皆さんはどのようなイメージを持っていますか?
本日は、硬い鉄でできた立方体の心と、シリコンでできた立方体の心があると考えてみたいと思います。このふたつは同じ容量であると仮定しましょう。
双方には既に同じ分だけ物が入っていて、現在の空きスペースが1cm角のサイコロほどしかないとしましょう。固い鉄でできた立方体には、それ以下か、ピッタリそのサイズのサイコロしか入れられません。つまり、ピッタリそのサイズのサイコロが来ないと自分の心の中に入れることができないのです。
一方、シリコンでできた立方体には、もしかしたら、1.5cm角までのサイコロは入れられるかもしれません。また、1cmの円や三角錐も入れられるかもしれません。
柔軟な心は自分の課題に合わせて、自分の型を守った上で、自分が耐えられ得るくらいの容量で形を変えて対応することができるということです。
つまり、柔軟な心は、「決まった形でないと受け入れられない」のではなく、自分や他者を受け入れられるように心の形を変えることができるということなのです。
しかし、受け入れる際にも注意が必要です。何でも受け入れてしまえば、シリコンは破れてしまうからです。あくまでも「自分の型を守った上で、自分が耐えられ得るくらいの容量で形を変えること」(自分の心のキャパシティを守ること)が大切ということなのです。

まとめ
本日のコラムでは、折れない心を育むために、「自分の心のキャパシティを守る大切さ」「柔軟な心のイメージ」についてご説明させていただきました。
1.子育てにおいて最重要なことは、「お母さま(保護者の方)がお子さまと安心して関われる環境を作ること
2.「折れない心」を育むとは、硬さを鍛えるのではなく、折れそうになった時に「しなる」柔軟な心を育むこと
3.せっかく頑張っているのに、辛くなってしまっている現実があるのであれば、少しでも心が楽に生きられる方向に、頑張るベクトルを向けられるようにすること
4.心の柔軟さとは、「決まった形でないと受け入れられない」のではなく、自分や他者を受け入れられるように「心の形を変えること」ができるということ
5.何でも受け入れるのではなく、「自分の型を守った上で、自分が耐えられ得るくらいの容量で形を変えること(受け入れること)」=自分の心のキャパシティを守ることが大切ということ
をお伝えしました。
自分の「心のキャパシティ」が尊重されたお子さまは、自分だけが豊かになるのではありません。相手の「心のキャパシティ」にも寛容になるのです。それは、子どもでも、大人でも同じかと思います。相手を大切にできることが、自分を大切にすることにも繋がるのです。
本日は、「心のキャパシティを守る大切さ」についてご説明しました。
次回は、前回のコラムと今回のコラムを踏まえた上で「子どもに体験して欲しい3つのこと」についてご紹介したいと思います!
私事ですが、術後の療養につき、長らくコラムを更新できずにおりましたが、またこのように皆さまにお会いできて、とても嬉しく思います!!今後も不定期になるかと思われますが、皆さまのお役に立てますよう、徐々に頻度をあげて更新できるよう、復活していきたいと思っています。この時代ですので、オンラインでも仕事をすることができ、カウンセリングの現場に少しでも携わり続けられていたこと、クライエントの皆さま、この環境に改めて感謝申し上げます。
Happy Halloween!
そして、その前に来週月曜日「中秋の名月」をお楽しみください!
▶︎大切な人との関係性構築についてはこちらのコラムをご覧ください。
【関係性の相互性からみる心の発達】水野コラム
こちらのコラムでは、「大切な人との関係性をどのように築いていくか」について、日々の中で使えている考え方やスキルをご紹介しています。大切な人を大切にすること、大切にできることは、「自分自身を大切にすること」にも繋がる大事な作業です。
「自分はここにいて良いのだ」「もっと頑張ろう!」など、安心感や、モチベーションにもつながる大事なことです。
大切な人との関係性構築にぜひお役立てください。

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