COLUMNコラム

【子どもから大人までみられるこころの現象】「強迫」について考え続けてみる③

🔶はじめに🔶

こんにちは。カウンセラーの安澤です。

新年度が始まり間もなく3ヶ月が経とうとしています。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

春の陽気もどこへやら、ジメジメした日、汗の止まらぬ日、どしゃぶりに打たれる日を実感する日を日替わりに実感しているこの頃です。

1年も間もなく折り返し地点となります。そして、子どもたちはもうすぐ夏休みです。
心のストレスやからだの疲労を強く感じる時期は過ぎ、1年間で最も黒い数字の多いカレンダーもめくれます。

熱中症や感染症(人喰いバクテリアなるものが増えているようで…)対策、そして日々の体調管理は続けなければなりませんが、ちょっとハメをはずし、学校や仕事、家事から離れられる時間を作ってくださいね。

さて、少し私自身の近況を話させていただきます。
まずは、このコラムをご一読いただいている方々には、2ヶ月の期間コラムが更新出来ず、大変申し訳ありませんでした。

新年度、私自身にかなりの負荷を掛けまして、日々を突っ走ってきたのですが、その生活習慣に順応するのに時間を要しており、結果的にコラムにも手が回らなくなっていた時期が暫く続いていたのが実状です。

その中で、新しいことを3つくらいチャレンジし出し、それ自体はとても有意義なのですが、頭の回転がのんびりゆっくりな私には思考の切り替えが非常に難しく、早くこの生活に慣れていきたいという気持ちです。しかし、その末には確実にレベルアップ出来ると確信しているので、とにかくほどよく努めていこうという気持ちです。

また、6月3日に弊社より私が監修させていただいた「不登校・ひきこもり支援アドバイザー講座」が刊行されました。これまでに様々な方々と出会い、学び、経験してきた中で培った考え方や捉え方、知識やスキルを一人でも多くの方にお伝え出来れば幸いです。

【ご挨拶】生涯学習・ユーキャン「不登校・ひきこもり支援アドバイザー講座」デビュー

序文の最後で申し訳ないですが、能登半島地震以降も、能登半島はもとより多くの場所で地震が頻発しています。今も大変な生活を強いられている方、お見舞い申し上げます。

とても不安ですし、怖いと思います。色々なことが、頭の中に思い出され、そして駆け巡り、なかなかこびりついて取れない方もいらっしゃると思います。
どうしても否定的な部分に着目してしまうのが人の特徴の1つかもしれませんが、ちょっと不安になったら、まずは落ち着いて、じーっと待って、それから「大丈夫、前とは違う」、「前の時よりも私たちは学んでいる」、「~してみよう」と思えることも大切だろうと思います。

先日、能登半島地震で開催出来なかった「20歳のつどい」を約半年ぶりに行えたニュースを見ました。みなさん、とても嬉しそうにしていた映像でほっこりしましたし、前を向いている意識を感じました。こういうニュースも大切ですよね。人の力を感じます。

それではまた今回も出だしから長々となってしまい恐縮ですが、本題に入りたいと思います。
前回のコラムでは、「強迫について考え続けてみる②」で、「強迫観念」について触れました。その途中からの内容となります。
ちなみに、前回のコラムは下記からも御覧いただけます。
【子どもから大人までみられるこころの現象】「強迫」について考え続けてみる②(強迫観念①)

強迫観念(Obsession)とは・・・②

期間が空きましたので、前回の振り返りをします。

成田(2002)は、「何らかの思考、言葉、心的イメージが患者の意に反して、意識の中に侵入してくるもの」と説明しています。

自分自身の意に反して、繰り返し頭に浮かんでくる程度となると、かなり嫌で、不快な感覚になります。こういった繰り返される「強迫観念」によって生まれた不快さや苦痛、不安を取り除くために、後で述べる「強迫行為」を行うことも多いでしょう(絶対に強迫行為が伴うわけでもありません)。

自我違和的に(浮かんでくることがおかしいと自覚していても)、不合理な考えなどが度々浮かんでくる経験もあります。

「強迫観念」に似た「侵入思考」という概念に比べると、「強迫観念」は、頭に浮かんできたことが気になって放っておくことが出来ず、不快な気持ちに苛まれることが多いでしょう。

「強迫観念」の具体例のあれこれ・・・

「強迫観念」にも様々な例があり、人それぞれで思いつく内容も異なるでしょうし、思いつき方も違うかもしれません。そのため、かなりの種類が想定されるため、全てをここで挙げることは難しいですが、代表的なもの、そして私自身が経験したことがあるものを関連付けながら、いくつか取り上げていきます。

もしかしたら分かりにくくなるかもしれませんが、ここではあくまで「強迫観念」の説明に留めたいと思います。

「強迫観念」があると、「強迫行為」が大体起こり得ますが、どちらも説明すると「強迫観念」と「強迫行為」が混同してしまう可能性があるからです。なかなか振るい分けして境界線をつけるのは難しいですが、ここでは「強迫観念」に極力絞っていきます。

例えば、「手が汚れてばい菌がついてしまったかもしれない」という強迫観念の後には、「何度も手を洗う」という強迫行為が行われやすいと思いますが、ここでは前者のみの説明で留めるということになります。

🔷不潔恐怖(汚染への恐怖)

性病やコロナウイルスなどの感染症、ばい菌、室外の様々な汚物やごみ、埃、排泄物、血液や体液、放射能などの「汚いもの」、そして、特定の嫌いな人や憎い人など不快な対象が触ったものなどに対して、「不潔」に感じて「汚い」と思えて仕方がない状態が続く観念です。

例えば、以下の例が挙げられます。
・外に出たらコロナにうつってしまうから外に出られない
・お店のドアや電車のてすりには細菌がたくさんついているから触ってはいけない。
・何かびちゃっとしたものが服についてしまい、菌や臭いが消えなくなるので洗わないといけない
・原発事故に伴い、放射能漏れがあった地域の空気を吸ったら人体に影響が出てしまう。
・買い物から帰宅したが、色々なところを触っているから、汚れや埃が体中に付いているので、拭いて取り払わないといけない。
・初対面の人と性行為をした直後に発熱があり、「性病だ」と頭から離れない。
・誰かと食事をすると、咳き込んだり唾が飛んだりして何かに感染してしまうから一緒に行けない。
・嫌いな人が使ったものを使うと「死んでしまう」と思ってしまう。

などなど…色々な観念が挙げられます。いずれも、「洗浄強迫(洗わないと気が済まない)」という強迫行為を取ったり、「外に出られない」とか「室内でも~出来ない」といった行動範囲が狭まる現象も生じたりするでしょう。また、最初に嫌った「感染症」だけではなく、段々と他の感染症にも不安や恐怖を抱くようになってしまい、恐怖や不安の対象が拡大していくことが考えられます。

🔷加害観念

言葉からして、「怖い」内容のものですが、「人に対して何か危害を与えてしまうのではないか」という考えが駆け巡ります。

例えば、以下の例が挙げられます。
・通りすがりの人に対して殴りかかってしまうのではないかと思ってしまう
・電車のホームで電車を待っている時に、人を突き落としてしまうことを想像してしまう
・子どもに出すジュースの中に液体洗剤を混入したら子どもはどうなるかについて考えてしまう
・運転中に、実は何かを轢いた、事故を起こしていたのではないかと思い巡らしてしまう
・食事の塩分を多くし続けたら、早くこの人は亡くなるのではないかと思い浮かんでしまう
・インフルエンザにかかっている時に外に出て色々な物に触ったらみんなが感染すると考え続ける

などなど、怖い内容が多いですが、何かの対象に加害する、加害してしまったといった考えが思いついて離れないこともあります。

🔷数字恐怖(数字へのこだわり)

特定の数字に対して、不吉なものとして、不安や恐怖心を抱く考え、とらわれです。例えば、有名なものだと、「4=死」、「9=苦」です。この数字がつく何かは全て悪いもの、悪い方向に進んでしまうなど思ってしまいます。

今回はここで登場ですが、数多くある私の強迫的な振る舞い3つ目となります。

私もこの数字へのこだわりは幼少期からありました。生活に支障が出たレベル化というと、恐らく幼少期は影響あったのかもしれません。ここは強迫行為の内容も含まれてしまいますが、かなり数字で意味を当てはめて、その数字は出来る限り回避しようとしていた節があります。

まず、「4=死」と「9=苦」は実際ありました。それに加え、「2」と「3」と「5」は母親をイメージさせる数字で、「6」が父親をイメージさせる数字でした。

時に、「3」は次が「4」だから「死の直前」と考えたり、「8」は末広がりとも言えますが、「苦しむ前の楽」と考えることがありました。例えば、計算する時は解答をしないといけないのでモヤモヤしながらも答えていました。

しかし、解答が必要ではなく、何かのことで数えている時、順番がある時などにたまたま遭遇してしまったら、何度も数え直すとか、「4」が2つあれば死ではなくなる」というよくわからない考えで行動するような行為を取っていました。

時に、例えば「95」だったら、「苦+母親」ということになるため、使えない数字がどんどん増えていった記憶もあります。また、「4」とか「9」の書き方を少し変えてしまう行為もありました。
もっと言えば、ひらがなでも、「し」は「死」ですし、「く」は「苦」をイメージさせることもありました。

このように、不吉な数字や言葉に対するこだわりが強く、その思考のとらわれによって、日々の言動が苦しくなるような感覚を覚えています。

今、書いていて、すごく懐かしいです(笑)

これは今でも名残はあります。細かいことはまた追々にでも説明出来たらと思います。ただ、幼少期からのとらわれが弱くなった理由は、自分自身でも分かりませんが、恐らく「考えても何も起きなかった」という体験を実感する機会が多分にあり、実際に「死んだりすることは無かった」という感覚を得られたからかもしれません。はたまた、実際に苦しんだ体験をして逆に「数字だけでどうこうにはならない」と学んだからかもしれません。

このように、「強迫観念」だけでも数多くあり、正直まだ3つしか挙げられていません。という訳で、次回はこの続きで、「強迫観念」の種類を挙げられるだけ挙げていきたいと思います。

「そんなにいらないでしょ」という声もあるかもしれませんが、強迫の人間にとっては、避けられない命題です。自己満足と言えばそれまでですが、納得するまで続いてしまいます。
ご了承くださいm(__)m

🔶おわりに🔶

今回は、「強迫観念(Obsession)とは・・・②」で、「強迫観念」についての理解を深めてみました。
「不潔恐怖」や「加害観念」、そして「数字恐怖(こだわり)」を取り上げました。

心当たりのある方、そうでない方いらっしゃると思いますが、「現象」として存在することを知っていだければと思います。

ずっと説明が続くため、何度も「おわりに」では伝え続けたいと思いますが、知っていただけることが、強迫の人にとって少しでも不安の軽減に繋がるかと思います。
「安心」を得ることが最も大事なことなのです。

それでは、今後も引き続き宜しくお願い致しますm(__)m

それでは、また次回!!

🔶参考文献🔶

●岡崎祐士,青木省三,宮岡等(監) 2002 こころの科学104 強迫 日本評論社
●成田善弘 2002 強迫性障害 医学書院

🔶補遺🔶

前回から付け加えた「補遺」。何かしら私自身の日頃の動きを、無駄に、意味もなく紹介しようというコーナーであり、一切ご一読の必要のない項目となります。
「補遺」と言っておりますが、単純に「備忘録」なような気もしてなりません(笑)
しかしながら、悪くも無いかなと思い、「強迫」という地味と感じる人もいるかもしれない、地道なテーマが続くちょっとの間は、少し気分のリカバリーをするために書き留めたいと考えます。

と言いつつ、この2か月間、序文でも書いた通り、ひたすら仕事をしておりまして、何かあったかと言うと、特に…というのが実態です。そして、肖像権の問題などもあり、使える写真も限られていることから、自身の撮影した写真を貼り付けたいと思います。ということで、ネタは限られました。

私の趣味に蕎麦屋巡りがあります。結構、色々な蕎麦屋を巡ってきました。
私の撮影した写真を眺めていたら、この間、2箇所の蕎麦屋に赴きましたので、美味しいお蕎麦を掲載して終わりたいと思います。

一つ目は、荒川区日暮里にある手打ち蕎麦屋さんです。

  

二つ目は、栃木県日光市にある手打ち蕎麦屋さんです。

 

徒然なるままに、ご一読、ありがとうございましたm(__)m

 

🔶お知らせ🔶

親子関係の問題、お子様とのかかわり方、育児、DVのほか、発達段階(幼児期、児童期、思春期、青年期、壮年期)、発達面の課題、非行、ひきこもり、ストレス・不安・躁うつ・強迫・依存など様々な精神症状に関すること、自己理解、対人スキルといった個人や関係性に関わる内容、不登校、いじめ、特別支援、高校への進路支援など学校と関連する内容など、様々なご相談に対応させていただきます。

昨今、ポスト・コロナの時期において、閉鎖的な風潮が今だ続いている中、お1人に悩まれ続け、辛い思いをされている方も多くおられると思いますが、1人で抱え込まず、誰かに吐きだして、少し軽くなったり、気持ちに余裕が生まれたりしていくことも時には必要かもしれません。

人それぞれ必ずご自身で考える力は備えられています。しかし、精神的に余裕がない時には、その力を発揮することが難しくなります。ちょっとだけ、ゆっくり、じっくり、のんびりと、呟いたり、ご自身と見つめ合ったり、共有したりすると、ほっこりと、リラックス出来て、ご自身の感じる力や考える力が身についてくれれば何よりです。

何か思うところがありましたら、いつでもご相談をお受け致します。

🔶「強迫」について考え続けてみるシリーズ🔶

【子どもから大人までみられるこころの現象】「強迫」について考え続けてみる①(「強迫」とは・・・)

【子どもから大人までみられるこころの現象】「強迫」について考え続けてみる②(強迫観念①)

🔶過去の記事🔶

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過去の【学齢期の子どもと心理】コラム by 安澤 好秀

Writing by 安澤 好秀


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