COLUMNコラム

【ダイエットメンタルトレーニング】トップアスリートから学ぶ「やり抜く力」

みなさまこんにちは。メンタルトレーナーの森下です。
気づけばだんだんとジメジメしてきて、もうすぐ梅雨の季節ですね。

梅雨が終われば、また今年も暑い暑い夏がやってきます。
(今年の夏はカブトムシを捕まえる計画を立てています)

夏といえばプール、海!!そして、水着だけではなく洋服も薄着になるので、
この時期になるとダイエットを開始する人も結構いらっしゃると思います。

そして、同じくらいダイエットがうまくいかない。。。
と、(毎年のように)挫折を経験している人もいらっしゃるのではないでしょうか?

僕自身は食べることが好きなので、せっかく運動をしたのに
プラマイゼロ(むしろプラス)なんてこともよくあります。

今回のコラムではダイエットを挫折してしまい続かない方向けに、
トップアスリートをはじめ、世界でも活躍しているプロフェッショナルな人たちの「やり抜く力」を高めるポイントをお伝えします。

やり抜く力は、生まれつきのものでも性格でもなく意識してトレーニングしていけば育っていきます。

ダイエットに限らず、あらゆる分野で成果を出していくためには「継続してやり抜く」ことが欠かせません!
ラクな方に流されずに、コツコツ努力するためのポイントをプロフェッショナルから学んでいきましょう。


GRIT=やり抜く力

「よし!今度こそやるぞ!」と心に誓ったはずなのに、三日坊主で終わってしまったり、そもそもスタートできなかったり。
ラクな方に流されてしまう人は意外と多いのではないでしょうか。

そして「なんて自分は意志が弱いんだ」と落ち込んでしまったり、それが続くと「もうどうせ自分はダメだから」と開き直ってしまいます…
そんなことでは現状は良くなりません。

どんなことでもそうですが、結果を出していくためには「諦めずに継続していくこと」が欠かせません。
そしてこの「諦めずに継続していく力」が高い人たち、プロフェッショナルな人たちを研究した結果、「GRIT」と呼ばれる要素が高いことがわかりました。

「GRIT」は以下の4つの要素から成り立ちます。(4つの要素の頭文字をとってGRITです)

Guts(ガッツ):困難なことにも立ち向かう度胸
Resilience(レジリエンス):苦境にもめげずに立ち直る復元力
Initiative(イニシアチブ):自ら目標を見つけて取り組む自発性
Tenacity(テナシティ) :最後までやり遂げる執念

「GRIT」を提唱しているのは、ペンシルベニア大学教授のアンジェラ・ダックワース博士です。

GRITは、困難な状態でもめげることなく、自ら目標に向かって最後まで「やり抜く力」のことで、以前にもご紹介したことのある、C.ドゥエック博士が提唱している「成長思考(Grows mindset)」「固定思考(Fixed mindset)」とも関係してきます。
※成長思考と固定思考については下記のコラムをご覧ください。

【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?① 〜天才は子どもの頃から天才?〜

【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?② 〜なぜ固定思考になってしまうの?〜

【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?③ 〜能力を伸ばす成長思考になるために〜

ダイエットをしようと思うキッカケとしては、
「痩せて綺麗になりたい」「周りから認められたい」「自信をつけたい」というような理由が多いと思います。

ということは、自分の内側から出るモチベーション(内発的モチベーション)ではなく、
周りからの評価や優劣といった外側からのモチベーション(外発的モチベーション)が強い傾向にあると考えることができます。

外発的モチベーションは「爆発力」があるため行動するためのキッカケとしては有効なのですが、
外発的な刺激がなくなると「持続しずらい」という特徴があります。

外発的モチベーションの有名な例えとして「飴と鞭」という言葉がありますが、
飴という「ご褒美」も、鞭という「罰」も与えられているうちは「やるぞ!(やらなきゃ!)」とモチベーションは高まりますが、それらが無くなった途端にモチベーションは下がってしまうのです。

一瞬痩せたとしてもそれを持続できなければもったいないですし、
評価や優劣を意識して無理なダイエットをしていては身体にもよろしくありません。

それはスポーツの世界でも同じことが言えて、
結果(勝敗、収入)や評価や優劣をモチベーションにしている選手は、大事な場面でパフォーマンスが低下してしまったり、
バーンアウト(燃え尽き)してしまう傾向が高いと言われています。

皮肉にも“結果を求めすぎると結果は逃げていってしまう”んです。

その結果を求められるスポーツの世界で良いパフォーマンスを出し続けるためにはどうしたら良いのかが、
GRITを高めることであったり成長思考でいることなのです。

GRITを育てるためには

しんどいことや辛いことがあっても、逃げ出さずに諦めずに「やり抜く力」である“GRIT”を高めていくためには下記の4つのポイントを意識してみてください。

①クイックウィン

クイックウィンは「小さな成功体験」のことです。
このクイックウィンをたくさん積み重ねていくことで、自己効力感(自分も出来るという気持ち)が高まっていきます。

ダイエットで言えば、「今日は間食をしないで過ごそう」と決めたことに対して、
「今日はできたぞ!」を積み重ねていくことです。

毎日「できた」を続けられるに越したことはありませんが、当然ながら「できなかった」という日もあるかと思います。
「出来なかった」ことはそこまで問題ではなく、大切なのは「なぜ出来なかったのか」を考え対策をすることです。

例えば、「間食をしない」と決めたのにも関わらず達成できなかった場合、
冷蔵庫の中からおやつを無くせばいいわけで、その対策ができたのであれば明日は我慢できるかもしれません。

小さな目標を立てチャレンジをして、小さな失敗や小さな成功を経験することで、チャレンジや努力の大切さ、失敗から学ぶ大切さを身をもって体感することができます。

②プロセス目標(成長目標・チャレンジ目標)を立てる

目標はついつい「結果」のみにフォーカスした目標を設定しがちです。
ダイエットで言えば体重や体脂肪。あるいは「この洋服を着れるようになりたい」「腹筋を割りたい」といった目標もあるかもしれません。

もちろん「結果」にフォーカスした目標も大切ですが、”結果のみ”の目標になってしまうとデメリットも出てきてしまいます。(図1)

図1 )外発的モチベーションのデメリット

図はスポーツ選手が「結果のみの目標」立てた際のデメリットになりますが、ダイエットに置き換えるのであれば、
・最後の結果だけにフォーカスしてしまう
・自信がつきにくい
・バーンアウトしやすい
といったところは共通する部分かと思います。

最後の結果だけにフォーカスしてしまうと、「何をしてでも痩せてやる」という思考になりやすく無理なダイエットをして心も体も不健康になりやすくなりますし、
体重が減ってきた時は自信やモチベーションは高まるのですが、結果が出づらくなってきたタイミングでモチベーションや自身は一気に低下してしまい、継続することが難しくなってしまう恐れが出てきます。

もちろん、結果を求めていくことは大事なのですが、
結果よりも大事なのは結果を出すための「準備」にこだわっていくことです。

結果(成績、評価、優劣)だけにフォーカスするのではなく、そこに至るまでのプロセス(努力、チャレンジ、成長)に意識を向けていくためにも、結果目標だけでなく、プロセス目標(チャレンジ目標、成長目標、熟達目標とも言う)を立てていきます。

結果目標を「◯◯までに10kg痩せる」と設定したのであれば、プロセス目標は「毎日30分筋トレをする」「毎食食べたものを記録する」といったことです。

結果よりも、結果に向かうまでの過程が大事だと思えるようになれば、うまくいかないことや、困難がぶつかっても諦めずにチャレンジ、努力することが出来るようになります。

それこそが、ダイエットメンタルトレーニングにおいても大切にしている、
「ダイエットを通して外見だけではなく内面から変わる(内面美)」へ繋がっていくのだと感じています。

③出来ないことに挑戦してみる

”①クイックウィン”と重複するところもありますが、挫折や困難を乗り越えた経験を積んでいくことでも、自己効力感(自分も出来るという気持ち)は高まっていきます。

今までの人生で「出来なかったこと」が「出来るようになった」経験を振り返ってみることも効果的です。
別に誰もが「それは困難だったね」と思うようなことじゃなくてもいいんです。

例えば「自転車の補助輪を外す時に何回も転んだけど、泣きながら頑張ったら乗れるようになった」「掛け算の九九を一生懸命覚えた」でもいいんです。

困難を乗り越えた経験を振り返ってみることで「自分なりに壁を乗り越えてきたから今があるんだ」と思えるようになります。

「根拠のない自信」ってよく聞きますよね。
チャレンジする前から、理由はよくわからないけれど「おれなら出来るかも」と思えるような感覚です。

この「根拠のない自信」というのは、実は根拠があって、その根拠というのが、困難を乗り越えてきた経験から「自分は困難にぶつかっても大丈夫」と思えていることなんです。

スポーツの記者会見などでビックマウスな選手がいたりしますが、そのような選手は自己効力感が高いとも言えます。
(パフォーマンスで言ってる部分もあるかと思いますが)

とはいえ、自ら進んで困難にぶつかりに行く人はそんなにいなくて出来ることなら苦労せずにいたいという人がほとんどだと思います。

僕もどちらかと言えば、できることなら痛い目は見たくないです。だってしんどいですもの。
だから出来ることだけをこなしたりだとか、チャレンジせずに現状を維持しようとしがちになってしまいます。

ですが、それだとチャレンジができずに成長もできませんし、成長できなければ結果も出ません。
なので興味がちょっとあるレベルでもいいので、やったことないこと、まだ出来ないことにチャレンジしてみてください。

興味を持てるものであれば、楽しみながら取り組むことが出来るかもしれません。
出来ないことにチャレンジして、思考錯誤しながら出来るようになる(目標達成する)ことを楽しいと感じれるようになれば何事にもチャレンジする意欲が湧いてきます。

④GRITが強い人がいる環境に身を置く

人は良くも悪くも置かれている環境から影響を受ける生きものです。
スポーツだけではなく、仕事でも学校でもプライベートも良い環境にいれば良くなりますし、悪い環境にいれば悪くもなります。

NFL(アメリカンフットボールリーグ)のシーホークスのヘッドコーチをしていた”名将”ピート・キャロル氏は「偉大な選手になるためには、偉大なチームに入ること」と話しています。
(偉大なチームに入るためには偉大な選手じゃないと入れないんじゃ…という議論はここでは置いといて…)

つまりは環境が人に与える影響はかなり大きいということです。

特にラクな方に流されやすい人がダイエットで結果を出したいのであればまずは環境を変えることをオススメします。

同じようにダイエットを頑張っている人たちとのコミュニティに入るのも良いかと思いますし、
日常的に自己管理が出来ているなと思う人とコミュケーションを取ってみるようにしてみましょう。

成長思考の人やGRITが高いと思う人と同じ環境にいることで、その人たちの考え方や行動を間近で感じることが出来るわけです。
ただ、最初のうちは自分と考え方や行動が違う人たちと同じ環境にいることはかなりのストレスに感じると思います。
言うなれば、冷え切ったタイミングで熱めの風呂に入ってる時に「熱っ!」となる感じです。

でもそこをグッと堪えて我慢してるいるとその熱さにもだんだん慣れてそれが快適(当たり前)になってくる。
GRITが高い人たちの思考と行動が基準になっていくのです。

僕自身が学生時代に通っていたスイミングスクールは都内ではまぁまぁ強豪のスクールでして、
全国大会に出場する選手が多くいましたし、今ではオリンピックに選ばれる選手も輩出しているような環境です。

そんな中で幼少の頃からトレーニングを積んでいたので、
僕自身も全国大会に出るのは当然のことだと思っていましたし(もちろんそのための努力はしました)、
周りの選手も上を目指していたので切磋琢磨しあいながらきつい練習も乗り越えていけました。

幸運なことに、実家の近くにそのような環境があったからこそ
水泳を続けてこれたし、ある程度の成績は出せたんだと感じています。
逆にその環境がなければどこかで挫折していたかもしれません…

それくらい「環境の影響」は大きいものだと思います。

いかがでしたでしょうか?
「そんなこと言われても急に出来ないよ…」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

はい、実はその通りです。笑
すぐに思考を変えて行動を変えることはできません。
ですが、”すぐに”変えることができないだけであって、意識してトレーニングをすることで変えていくことは可能なんです。

何事も「ラクをしてできればいいな」と思いますけど、そんな甘いものはないんです。
もしそうであれば、みんな悩まないし苦労しません。

だからこそ”結果”ではなく自分の変化や成長、レベルアップを心から楽しみ、日常化していくことが大切です!
そうすることで”結果”は自ずと後からついてきます!!!


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