COLUMNコラム

【心理コラム】才能は生まれつきのものなのか?② 〜なぜ固定思考になってしまうの?〜

みなさまこんにちは。
所属メンタルトレーナーの森下です。

前回は「才能は生まれつきのものなの?」をテーマに
天才と呼ばれている人たちの子供の頃を振り返りながら「才能」について考えていきました。

前回の記事もご覧頂くとと分かりやすいかと思います。

前回の記事はこちらから
「才能は生まれつきのものなのか?① 〜天才は子どもの頃から天才なのか?〜」

才能についてどのように考えているかによって、
その後の能力の成長に大きな影響をもたらすことがわかっています。

今回は、固定思考と成長思考の考え方の違いなぜ固定思考になってしまうのか
メンタルトレーニングの観点からご紹介したいと思います。

<努力を重視するか、評価を重視するか>

能力は生まれもったもので変わることはないと信じている「固定思考」
能力は努力によって伸ばすことができると信じている「成長思考」

なぜ天才と呼ばれる人たちに多いのは成長思考で、成長思考だと能力を伸ばしていくことができるのでしょうか?

基本的に、固定思考の人は「周りから凄いと思われること」を喜びと感じていて
成長思考の人は「学びや成長できた」ということに喜びを感じます。

それを踏まえて、両者の行動パターンを比較してみましょう。

▽「失敗」に対してどのように考えているのか?

成長思考の人は失敗を「成功のためのステップ」として捉えます。
失敗をしてもそこから学び、改善して、成長しようとするので失敗をしても諦めたりはしません。

一方で、固定思考の人は、失敗を「能力が低い証拠」として捉えます。
失敗するのは能力が低いからで、才能がないと思われてしまうと考えています。

なので失敗するかもしれない挑戦は極力避け、自分のできる範囲の無難なことしかやらなくなります。

もし失敗しようものなら、「自分は才能なし」というレッテルを貼られたかのように落ち込み、諦めてしまう傾向があります。
もしくは、失敗を誰か(何か)のせいにして自分に才能がないと思われまいと言い訳をするのに必死になってしまう、
というようなことも発生してしまうのです。

▽「努力」に対してどのように考えているのか?

成長思考の人は努力を「成長のためには欠かせないもの」と考えます。

失敗や壁にぶつかった時には自分の努力がまだ足りていないからと考え、
努力をして壁を越えようとします。

固定思考の人は、努力を「才能のない人がすること」だと思っています。

努力をせずに、楽をして結果を出すことが素晴らしいと考えていて
努力することを避けたり、結果を出すためには手段を選ばず、ズルや不正をしたりすることもあります。

「失敗」と「努力」についてどう捉えるのかを比較してみましたが、
どちらが成長をし続けることができるのかは一目瞭然ですよね。

<なぜ固定思考になるの?>

幼い頃はみんな成長思考です。
周りからの評価など気にせずお絵かきをしたり、かけっこをしたり、
のびのびと楽しいことに夢中になって取り組みます。

以前の記事にもご紹介させていただきましたが、
3歳の息子は以前まではお絵かきもただのグルグルしか描けませんでしたが
最近ではそれとなく人っぽい絵が描けるようになってきて、よく僕の顔を描いてくれます。

ぬり絵も以前は適当に塗りつぶしていただけだったのに、気づけばちゃんと色を使い分けて
きれいに塗れるようになってきました。

本人は自分を周りと比較をすることもなく、ただ楽しく絵を描いたり色を塗ったり夢中になって描いています。

ですが、最初は楽しくて夢中になって取り組んでいることが
だんだんと、周りとの優劣を気にし出して自分には才能がある、ないの判断をして
苦手意識のあるものには取り組まなくなってきてしまうことがあります。

なぜ、そのように周りとの差を気にするようになってしまうのでしょうか?

子どもの頃の周りの環境によって成長思考になるか固定思考になるかが決まります。
子どもに一番影響を与えるのは親です。
つまりは親とのコミュニケーションによってマインドセットが決まるといっても過言ではありません。

子どもを褒める時にこんな褒め方をしてはいませんでしょうか?

「こんなに計算が早くできるなんて、お前は頭がいいな!」
「練習もしてないのに、できるなんてセンスがあるのかも!」
「1回もミスしないで出来たね!」

どうでしょう?結構良かれと思ってこうした褒め方していませんか?

頭の良し悪しや、才能の有無を褒めると固定思考になりやすいということが研究の結果わかっています。

計算が早く出来た=頭がいいという認識になってしまったら、
学年が上がって計算が難しくなってきた時にどんなことを思うでしょうか?

「計算が難しくなって解けないなんて、自分は頭が悪いんだ」と思ってしまったり、
早く解くことが良いと思っているので、簡単な計算問題にしか取り組まないようになります。

「すぐ出来た!センスがある」「ミスをしなくて凄い!」というのも危険です。
練習をしないで出来ることやミスをしないで出来ることが、才能があるということだと思ってしまうと、

出来ないことやミスがある時に「自分には才能はないんだ」と思い込み、
そこから努力をしてできるようになろうと思わなくなってしまいます。

出来ない自分はダメなんだというレッテルを貼られた気持ちになり、自信も低下してしまいます。

私は学生時代(競泳時代)に周囲の人たちから、
「こんなに速いなんて将来のオリンピック選手だ」
「弟の方が才能があるな」
なんて言われたりしていました。(本人は調子に乗っていましたが…笑)

その影響からか、速く泳ぐこと、勝つこと、だけに価値を感じるようになってしまいます。

やがて学年が上がりライバルたちも実力を伸ばしてくると、それを脅威に感じるようになり
勝手にプレッシャーを大きくして過緊張で自滅。

結果があまり出なくなてくると、自分はダメだなと思い込み、自信も低下してしまいました。

今では、あの頃の自分にメントレを教えてやりたい…と思っています。。。

子どもはそのメッセージの裏側にあるものを敏感に感じとり、
親がそのつもりはなくても子どもはそのようにメッセージを受け取ります。

そうした環境で育っていく過程で、「才能は生まれ持ったもので、努力をしても変わらない」
という固定思考になっていってしまうのです。

次回(ラスト)は、
「ではどうしたら成長思考になることができるの?」
というところをご紹介していきたいと思います。

本当は全2回で完結の予定でしたが
思ったよりボリュームが大きくなってしまいましたので
全3回とさせていただきますことをお許しください。

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Writing by 森下

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