COLUMNコラム

【心理コラム】親子に必要な『こころの境界線①』~幼児期編~

こんにちは。公認心理師、保育士の岡﨑です。

今年度もあと2週間。スクールカウンセラーとして学校でお仕事をさせていただいている私としては、ひとつ節目となる季節です。
子ども達が進級進学に向けてステップアップしていく姿はとてもまぶしくうつります。

花粉も厳しくなってまいりましたね。娘は、去年から舌下免疫療法を受け花粉をはねのけており、実にうらやましく思っています。

さて、今回から「親子の境界線(バウンダリー)」をテーマに

①幼児期
②思春期
③成人以降

と年齢、年代別にわけながら3回にわたってお話していこうと思います。

境界線(バウンダリー)って、何のこと?

さて、まずはそもそも「境界線(バウンダリー)」って言葉、聞いたことありますか?

一見、少々堅い言葉に聞こえますが、簡単に言えば、「自分と相手の『こころの領域』を区別する線」のことです。
つまりこのシリーズでは、親子の「こころの境界線」をテーマに考えていきたいと思っています。

たとえば、子どもが靴を履くのに時間がかかっているとき。
「まだ?」と焦って代わりに履かせてあげたくなる・・・でもそこには、「自分のペースでやりたい子どもの気持ち」「早くしてほしい親の気持ち」があります。

境界線とは、この2つの気持ちを混ぜずに、それぞれのものとして扱うことです。

つまり、

子どもの課題は子どものもの
—————————————-←こころの境界線
親の不安は親のもの

といったイメージになります。
それが「こころの境界線を保つ」ということなのです。

子どもが小さいうちは、どうしても親が手や口を出す場面が多くなりますよね。

「早くして」
「危ないから」
「こうしたほうがいいよ」

毎日、声をかけながら過ごすうちに、気づけば親のほうが子どもの代わりに動いている、ということも少なくありません。

それでも、親としては「手を出したい」のではなく「助けたい」「困らせたくない」という気持ちからですよね。
けれども、こうした「助けすぎ」が、知らず知らずのうちに「こころの境界線」をあいまいにしてしまうこともあるのではないでしょうか。

幼児期に大切な「自分でできた!」の体験

幼児期の発達のテーマは、「自分でやってみたい」という気持ちを伸ばすことです。

「できた!」という小さな成功体験は、自己肯定感の基礎になります。
そのためには、失敗も必要です。「うまくいかない経験」も、子どもにとっては大切な学びです。

親が「失敗させないように」と先回りすると、子どもはチャレンジする前に「親がやってくれる」と期待してしまい、挑戦心や粘り強さが育ちにくくなることもあります。

成功も失敗も、どちらも子どもの発達にとって大切な経験です。
大人がその過程を温かく見守ることで、子どもは安心して挑戦を重ねることができます。
その積み重ねが、将来の自尊心や自己肯定感の土台となっていきます。

よくある こころの境界線があいまいになる場面

ここでもう少し、日常によくある例を考えてみましょう。

・子どもが食べるのが遅くて、つい親がスプーンを持って食べさせる。
・お友だちとのささいなトラブルで、親が先に先生や相手とやりとりする。
・服を選ぼうとすると、「それは変よ」「こっちにしなさい」と止める。

どれも「子どものために」と思ってやっている行動ですよね。
でも、こうした小さな積み重ねが、子どもの「自分で決める機会」を奪ってしまっていることもあります。

境界線があいまいになると、子どもは「親が解決してくれる」と思い、自分で考えたり、解決したりする経験を持ちにくくなります。

「見守る」と「放っておく」はちがう

ここで誤解されやすいのが、
「じゃあ、あまり関わらないほうがいいの?」という点です。

そういう意味ではありません。
こころの境界線を保つことは、「突き放す」ことではなく、「信じて見守る」ことです。

うーん、難しい!と自分でも書きながら思います。

子どもが自分で考え、行動しようとするとき、親はただ「そばにいる」存在であればいいのだと私は思っています。
助けを求められたときには手を差し伸べる。困ったときには話を聞く。
でも、先回りしてその機会を奪わない。

見守るとは、

「子どもの力を信じて、待つこと」

それが、こころの境界線を守るということにつながります。

もう1回言わせてください。うーん、難しい!

「任せること」が親の成長でもある

子どもの成長に合わせて、親の役割も少しずつ変わっていきます。
赤ちゃんのころは、親がいないと生きていけません。
でも、少しずつ「ひとりでやる」範囲が増えていく中で、
親が「手を引く勇気」を持つことが大切になってきます。

それは、簡単なことではありません。
特に母親や父親にとって、子どもが自分の助けを必要としなくなる瞬間は、嬉しさと同時に、少し寂しさも感じるものです。

しかし、心理学の視点から見ると、

親が子どもを信じて任せることは、親自身の「境界線の成熟」でもあります。

「自分の安心のために手を出すのではなく、子どもの成長のために待つ」
この姿勢が、親子双方にとって心の成長を促します。

こころの境界線を守るための声かけヒント

では、実際にどうすればいいのか?
いくつかの声かけの工夫を紹介します。

・「どうしたい?」と、子どもの意見を先に聞いてみる。
・できたことを具体的にほめる(例:「自分で着替えられたね!」)。
・失敗しても、「やってみたこと」が大事だと伝える。
などなど・・・

境界線を守るというのは、
子どもをコントロールしない代わりに、自分の感情をコントロールすることでもあります。

子どものことで親がイライラしたら、「今、私が焦ってるな」と俯瞰して自分の感情を整理できると、お互いに楽になれるかもしれません。

「こころの境界線」は冷たさではなく、あたたかさ

「こころの境界線を引く」と聞くと、「距離をとる」「冷たくする」というイメージを持つ方もいます。
けれども本当の、こころの境界線とは、

お互いを尊重しながら、安心してつながれる「ちょうどいい距離」です。

親が子どもの心のスペースに余白を残してあげることで、
子どもは「自分で考えてみよう」「親に見守られている」と感じられます。

その安心感が、子どもの自立の土台になるのです。

おわりに

子どもが転びそうなとき、すぐに手を差し伸べるのは愛情の証です。
でも、ときには見守ることでしか育たない力があります。
それは、子ども自身の「立ち上がる力」だと私は思っています。

親子のこころの境界線とは、「突き放す線」ではなく、「信じて待つ線」であると考えると、少し勇気が出ませんか?
手を離す勇気の中にも、深い愛情があるのかもしれません。

次回は「思春期編」

思春期になると、親子の距離はぐっと変化します。
反抗、無口、秘密…そんな変化の裏にある「自立へのステップ」を一緒に考えていきましょう。


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