COLUMNコラム

【NHKレジェンド対談「村田諒太x国枝慎吾 -不可能を可能にするマインド-」②】想い・言葉の強さ|メンタルトレーニング

みなさまこんにちは。メンタルトレーナーの森下です。
2024年になって早1ヶ月が経ちましたね。

今年のスタートは震災から始まり、被災地では今もまだ大変な状況が続いていますね。
その中でも前向き復興を目指していく様子を見ていると、
自分ももっと頑張らなければいけないなと思う気持ちと、何か自分にも出来ないかなという気持ちが大きくなってきます。

自分一人では大それたことは出来ませんが、自分にできることは積極的に行い支え合えたらいいなと思っています。

弱いものを叩く風潮が強くなっている中、そうではなく弱い人を助ける、支え合う優しい世の中であってほしいと感じます。
被害にあった皆様の1日も早い復興を心より願っております。

さて…

前回のコラムに引き続き、代表の小高が心理解説をさせていただいた、ボクシングの村田諒太選手と車椅子テニスの国枝慎吾選手の対談番組「村田諒太x国枝慎吾 〜不可能を可能にするマインド〜」の中でお二人が話していた内容をメンタルトレーナーの観点で紹介していきます!

前回の記事はこちら

【NHKレジェンド対談「村田諒太x国枝慎吾 -不可能を可能にするマインド-」➀】弱さを受け入れる|メンタルトレーニング

今回のテーマは「言葉・想いの強さ」です。
普段何気なく使っている言葉が実は、思考や行動に大きな影響を与えていることはご存知でしたか?

トップアスリートも活用している「言葉を使った心理的スキル」をご紹介させていただきます。
ぜひご覧ください。


言葉の力

「村田諒太x国枝慎吾 〜不可能を可能にするマインド〜」の番組の中でも放送されていましたが、
国枝さんは「俺は最強だ!」という言葉を自分に言い聞かせながらプレーをしていたそうです。

そのことについて、村田さんから「本当に強い人間は言葉自体必要ないじゃないですか。“俺は最強だ!”には国枝さんの心の葛藤が見えるのですが…」と国枝さんに質問をしていました。

すると、国枝さんは「いつも”俺は最強!”と思ってたらヤバいやつじゃないですか」と答えていました。
(確かにそうだ笑)

自分の弱さ、ネガティブなイメージを受け入れてポジティブに気持ちを切り替えるために、メンタルトレーニングの一環として、「俺は最強だ!」という言葉を使っていたそうです。

(この言葉を使ったスキル”セルフトーク”が国枝さんのブレイクスルーになったそうです)

「俺は最強だ!」という言葉を使う時には、自然と「最強な自分はどんな自分か」という理想の自分のイメージが湧いてきます。

国枝さんの場合はサーブを打つ前にネガティブなイメージ(弱気になる自分)が出てくることがあったため、「俺は最強だ!」と言うことで、最強の自分をイメージした状態で自信を持ってサーブを打つトレーニングをしていたそうです。
(ラケットにも俺は最強だ!という言葉が書いてあるシールを貼ってたのだそう)

画像引用:NHK NEWS WEB(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230213/k10013975931000.html)

例えば、「最強の自分はこの場面を楽しめるはずだよな」とか「最強の自分だったら余計なことを考えないでサーブを思い切り振り抜くよな」という感じで、実際に言葉にしたり、言葉をイメージすることで自分を俯瞰して考えることが出来るため、気持ちの切り替え、セルフコントロールにもなるんです。

理想の自分をイメージする他にも、憧れの選手、偉人だったらどうするか、どう考えるかをイメージするのも効果的です。
身近にいる尊敬できる人とかでもいいと思います。

僕も基本的には自分に甘くてラクな方に流されてしまうタイプなのですが、
そんな時は尊敬している経営者やアスリートの言葉を思い出して勝手にお尻を叩いてもらってます。笑
(最近は武井壮さんが「毎日トレーニング1時間、成長のための勉強を1時間やっている」というのを刺激にしてます)

トップアスリートでも辛い練習の時や疲れている時なんかは練習のモチベーションが上がらなかったり、集中できなかったりする時もあるわけです。
もちろん競技以外のことでも不安になったり迷う時もあるかと思います。

そんな時に「最強の自分はどうあるべきか」「あの選手だったらどうするのか」を考えることで、理想のイメージができ、理想の行動を移すことができるようになるんです。

セルフトーク

セルフトークをわかりやすく言うと「独り言」です。
メンタルトレーニングでは言葉を使った心理的スキルをよく活用します。

人は無意識のうちにネガティブな言葉を使っていることが多いと言われています。
(だいたい7割くらいはネガティブな言葉なんだとか)

皆さんも「ヤバい」「疲れた」「眠い」「もう帰りたい」「最悪」「無理」のようなネガティブなことを言ってはないでしょうか。(ちなみに僕は車の運転をしている時にネガティブ発言が多くなる傾向があります…)

僕の大師匠(東海大学を勇退された高妻先生)がプロゴルファーのラウンド中にレコーダーでどんな言葉を発しているかを調べたところ、ネガティブな言葉が多い選手は、そうでない選手と比べてパフォーマンスが下がってしまったそうです。

もし一日の自分のひとりごとや会話を、記録してみたらネガティブな言葉の多さに驚くかもしれません。
興味があったらぜひ試してみてください。笑

なぜネガティブな言葉を使うとパフォーマンスが下がってしまうのか。それは…
言葉を使うことで無意識にその言葉から連想されるイメージが湧くからです。
ポジティブな言葉にはポジティブなイメージが乗っかってるし、ネガティブな言葉にはネガティブなイメージが乗っかっているんですね。

例えば「楽しい」という言葉を見たり聞いたりすると、「笑顔」や「エネルギー」といったようなポジティブな雰囲気や環境を自然と連想するし、逆に「疲れた」「ヤバい」とネガティブな言葉を使うと「疲れている」「焦っている」自分を連想してしまう。

そして人はイメージが出来ればその通りに行動することが出来ると言われています。逆を言えばイメージしたことは行動に移してしまうとも言えます。

つまり、楽しんでる自分をイメージできればやる気やエネルギーがみなぎってくる感覚になってパフォーマンスが向上します。疲れた自分や焦っている自分をイメージしてしまうと、やる気も下がり実際に疲れてダルくなってしまい、不安が大きくなり、焦ってパニックになるというわけです。

国枝さんのサーブの場合ですと、サーブ前に「俺は最強だ!」という言葉を言ったり見たりすることで、最強の自分に相応しいサーブを打っている姿をイメージができます。

ネガティブなイメージのままサーブを打つのと、最強のイメージを持ってサーブを打つのとどちらが良いパフォーマンスが出せるかは考えるまでもありませんよね。

思い込みの強さ

イメージの持つことはとても重要で、イメージができれば行動が変わるし、イメージが鮮明になればなるほど(思い込めば思い込むほど)より、そのイメージは実現しやすくなります。

「痛いの痛いの飛んでいけ」でお馴染みの「プラシーボ効果」いう言葉は有名ですがこれこそまさに思い込みの力です。
プラシーボ効果とは逆で「ノシーボ効果」というものもありまして、レベッカ・フェルカー博士が発表した研究(1996年)によれば、「自分は心臓病にかかりやすい」と信じている女性の死亡率は、そう信じていない女性の4倍にのぼったそうです。

思い込みが身体への影響を及ぼすメカニズムはまだまだ解明されてはいませんが、「痛いの痛いのとんでいけ」で痛みが和らぐのも、「私は心臓病にかかりやすい」で病気にかかりやすくなるのも、どちらも思い込みによって身体が何らかの反応を起こしたと考えるのが自然ですよね。

この思い込みによって身体の反応を変えていくための心理的スキルのひとつが「セルフトーク」です。
心と身体は繋がっていて、基本的には心の状態が身体にも影響を及ぼしていきます。
悲しい気持ちになると涙が出てくる、体がずっしりと重くなる感じがするのは心の状態が身体に影響を及ぼすからです。

心と身体が繋がっていることを利用し、言葉をポジティブにして、ポジティブ思考に変えて、パフォーマンスを高めていこうというのがセルフトークです。

国枝さんのサーブを打つ時のセルフトーク、もまさに思い込みの力を使っていて、プレッシャーや不安を感じた時に、「俺は最強だ!」というポジティブな言葉を意図的に使うことで、ポジティブなイメージを作り、思考や行動をコントロールしています。

プレッシャーや不安が大きくなった時や、ピンチの場面になった時も、その状況をどう捉えるかの解釈によって、身体の反応や行動は変わっていくし、テクニックとして言葉を使うことで(セルフトーク)、変えていくことも可能なのです。

心の底からポジティブに思えていなかったとしても、ポジティブな言葉を意識的に使ったり、理想の自分(憧れている人、尊敬している人)を演じることで段々と思考や行動をコントロールできるようになります!

僕自身は「OK、大丈夫」「まだまだいけるぞ」「楽しもう」「ピンチはチャンス!」というようなポジティブワードを意図的に使うようにしています。

僕自身の現役中(競泳選手時代)は、どちらかといえば練習中にネガティブな言葉を使ってしまうことが多く、ネガティブな気持ちをずるずる引きずってしまって、なかなか切り替えられないことがよくありました。

メンタルトレーニングと出会ってからは、ネガティブな言葉を言ってしまったとしても、その後に「なんちゃって」「というのは冗談」と言ってすぐさまポジティブな言葉を使うように(なるべく)心がけています。

そうすると、ネガティブに思えてしまう状況でもなんだか楽しくなってくるし、周りの人たちにもネガティブな影響を振り撒かなくなったと思っています。

心の片隅に、自分なりのポジティブワードをいくつか持っていると、気持ちを切り替えるキッカケを掴めるようになります。皆さんにとっての”ポジティブワード”を日常的に意識してみてくださいね。


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Writing by 森下

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