COLUMNコラム

【関係性と心の発達】大切な人を大切にできるために:自分の気持ちに目を向けて、整理してみる- part 2 –

所属カウンセラーの水野です。

3月に入りました。
厳しい寒さも少し落ち着き、ポカポカ陽気の日が増えましたね。木々には蕾もつき始め、春の兆しを垣間見ることができるようになって来ました。
4月に蕾が開き、花を咲かせるのが楽しみですね!

3月は、楽しみな季節である一方で、体調を崩される方が多くいらっしゃいます。暖かくなって来たことの安心感、花粉症に加え、別れの季節であることから、メランコリーにもなりやすい季節です。意識していなくても、「実は疲れているかもしれない」と頭の片隅においておいていただき、くれぐれもご無理のないように過ごされてください。

卒業、異動、退職…
私も何年経ってもなかなか慣れることができません。

勤務先の小学校でも、3月末に卒業式が行われる予定です。
今年の6年生は、移動教室や、学芸会、クラブ活動など、様々な体験を仲間同士で主体的に作り上げていくことのできる高学年の時期をコロナ禍で過ごして来ました。学校の環境も定まらない中で、本当によく頑張っていたと思います。

卒業を前に、子どもたちとの時間を振り返ります。
「もう一緒には過ごせないこと」を目の当たりにすると、楽しかったこと、困ったこと、感動したことも含め、「自分にできたことはもっとあったのではないか」と様々な思いが巡ります。
在ることが当たり前だった日常が、自分の意思とは裏腹に過去のことになっていきます。

子どもたちの成長を感じられることはとてもありがたいことです。4月になればまた新たな子どもたちとの出会いがあることも頭では理解しています。しかし、やはりどうしても寂しい気持ちになります。「新しい出会いがあるよ!」と慰めていただくのですが、「これからはともかく、これまでを手放したくはない」と強く思うのです。

先日、「時間は進んでしまっているのだから、自分も進まなければならない。」との言葉を耳にしました。「時間とともに、環境は変化する。変化に適応するために自分も進まなければならない。」との意図で話されていたと思います。

確かに、時間は待ってはくれません。時間の経過とともに、環境は変わって行きます。時間による変化に反応している自分でさえ、細胞レベルで考えれば、1秒1秒変わっています。

変化に適応していくことは、大切なスキルです。そして、現状に留まらず、変化を生めるように努力していくことも、自分自身の成長のためにとても大切なことだと思います。

しかし、時間と自分自身は独立して存在しても良いのではないかと思うのです。
「それぞれの進む速度は、必ずしも一致していなくても良いのではないか」と。

私が感じている寂しさの背景には、きっと、今までいてくれた人たちとだからこそ一緒に作ってこられたたくさんの思い出があるのだと思います。

時間が進んでいる中でも、留まっている自分に気がつくこと
留まっていることの意味について考えること
留まり続けることの背景に、とても大切な気持ちがあること
変化していくことと同様に、「留まっていること」もとても大切なことであると感じています。

留まり、思い出を振り返ること、相手は自分にとってどんな存在であったのかを考えること、自分は相手に何ができたのかを考えること、そして、誰かに自分の気持ちを聞いてもらうこと、それらを通して、自分の気持ちを整理することができます。そして、焦らずとも、結果的に、前を向いて進むことができ、次に新たに出会う人たちを大切にできるようになるのではないかと思うのです。

従って、「時間は進んでしまっているけど、自分は留まるときがあってもいいかな。」くらいの感覚でも良いのではないかな、と個人的には感じています。

寂しく感じること、喜ばしく思うこと、寂しいと感じるほどの体験をさせてくれたことへ感謝の気持ちを行き来しながら、3月は乗り切って行きたいなと思っています。

さて、前置きが長くなりましたが、本日の本題に入りたいと思います。
私のコラムでは、「大切な人との関係性をどのように築いていくか」について、日々の相談対応の中で感じていることや、自身の体験を振り返りながら、一緒に考えさせていただけたらと思っています。

前回のコラムでは、「自分の気持ちを整理するための考え方のルート」について書かせていただきました。
・大切な人との関係性を良好にするには、まずは「自分の気持ち」を相手に大切にしてもらう必要があること
・自分の気持ちを相手に大切にしてもらうためには、自分の気持ちを整理し、相手に伝わりやすい形で伝えることが望ましいこと
・自分の気持ちを整理するための考え方は、①「自分の核」を起点にするルート、②「今の自分の気持ち」を起点にするルートがあること

をお伝えしました。

前回のコラムはこちらです⬇︎
【関係性と心の発達】大切な人を大切にできるために:自分の気持ちに目を向けて、整理してみる – part 1 –
今までのコラムはこちらです⬇︎
【関係性の相互性からみる心の発達】水野コラム

今回のコラムでは、引き続き、①自分の気持ちに目を向ける、②自分の気持ちについて考えるの次のステップである「自分の気持ちに目を向けて、整理してみること」について書かせていただきます。

整理するスキルを向上させるには、
・考え方のルート
・整理するためのポイント
を理解する必要があります。本日は、整理するためのポイントに焦点を当ててお伝えします。

大切な人を大切にすること、大切にできることは、「自分自身を大切にすること」にも繋がる大事な作業です。
「自分はここにいて良いのだ」「もっと頑張ろう!」など、安心感や、モチベーションにもつながる大事なことです。

皆さまが、興味のあるところからお読みいただけるよう、以前までのコラムを読んでいなくてもお楽しみいただけることを目指して書いておりますが、今までの流れを通してお読みいただくことで、ご自身についてや、関係性への理解を深められるようになっています。

お手隙の際に、以前のコラムにお目を通していただけますと、知識が積み重なり、ご自身の体験に応用していただけると思います。ぜひ、お役立てください。

「自分の気持ちに目を向けて、整理すること」の大切さ

「自分の気持ちに目を向けて、整理すること」が大切である理由をおさらいしてみましょう。

なぜ「自分の気持ちに目を向けて、整理すること」が大切なのか、
それは「自分の気持ち」を相手に大切にしてもらうためです。
そのためには、相手に伝わりやすい形で伝える必要があります。

自分でも理解していない気持ちを相手に伝えるのは、限りなく難しいことです。従って、まずはご自身で「自分の気持ち」に目を向け、考え、整理することが大切です。

相手に伝わりやすい形で「自分の気持ち」を伝え、共感されることで安心感が生まれます。自分の気持ちが共感されると、「相手の気持ちにも共感しよう」というモチベーションが自然と高くなり、相手にも共感を示せるようになります。共感のループを作ることができるのです。

相手に伝わりやすい形にするには、
自分がどのような刺激に反応し、どのように感じたのか?
を説明する必要があります。

そのためには、
・自分ー相手のもともとあった気持ち
・刺激
・今の自分の気持ち
の理解を深め、整理する必要があります。

理解を深めるためには、前回お伝えした「考え方の2つのルート」をお使いください。
今回は、整理するための「3つのポイント」をご紹介します。

整理するための3つのポイント

関係性にこじれが生じている時は、
・どちらの「もともとあった気持ち」が要因なのか
・関係性の課題なのか
・刺激は何か

これら3つのポイントで分析して、整理してみましょう。

どちらの「もともとあった気持ち」が要因なのかを分析することで、お互いの「もともとあった気持ち」を理解し、自分の気持ちと相手の気持ちに気がつくことができるようになります。
関係性の課題なのかを分析することで、お互いの課題として一緒に問題を解決していけるようになります。
刺激は何かを分析することで、自分がどのような刺激に反応したのか?を説明できるようになります。

今回は、どちらの「もともとあった気持ち」が要因なのかを分析することについて詳しくお伝えします。

どちらの「もともとあった気持ち」が要因なのかを整理すること

関係性にこじれが生じているときは、自分の核と、相手の核が形成した「もともとあった気持ち」が衝突している可能性があります。

自分の核とは、無意識に積み上げたご自身の過去の体験、信念、文化、誇りなどの大事にしているもの、願望など、ご自身の個性を創り出す大切なものです。

しかし、自分の核と、相手の核が同じであるとは限らないため、すれ違いが生じると衝突する場合があります。また、自分と相手の境界線が曖昧である身近な関係性においてはこの衝突が起きやすいのです。

人は、自分の核や「もともとあった気持ち」を常に意識しているわけではありません。そして、無自覚に自分のもともとあった気持ちを「相手も同じように持っている」「相手も同じように持つべきだ」と相手に強く主張し、相手の言動を受け入れられないことがあるのです。「自分の信念はこうだ!」「自分はこういう体験をして成功してきた!」とお互いに主張しあっていては、「もともとあった気持ち」に正解も不正解もないため、押し問答になってしまいます。お互いの自分の核や「もともとあった気持ち」が尊重されることを通して、関係性は良好になります。

自分の核が強固であればあるほど、「もともとあった気持ち」への思い入れも強くなります。それらは、ご自身が一生懸命積み上げて来たものであるため、主張が強くなるのは当然です。しかし、関係性の本来の目的は、「ご自身が一生懸命積み上げて来たものの主張」ではなかったことを思い出していただきたいのです。その人と関係性を育んでいる目的は、「お互いを大切にし合うこと」だったはずです。身近な関係性においては、関係性の目的が曖昧になりがちです。従って、関係性にこじれが生じた時、早い段階で本来の目的を意識し直し、修正することが大切です。

どちらの、どのような「もともとあった気持ち」が要因なのかを整理することは、本来の目的を意識し直し、修正することに繋がります

このことを通して、自分のものは自分で抱える、あるいは相手に理解してもらえるように伝える、相手のものに関しては相手に責任を返すなどの対応方法を検討することができるようになります。

どちらの「もともとあった気持ち」が要因なのかを分析することは、どちらの問題なのかを特定するために必要なのではありません。お互いが尊重される方法を一緒に見つけるために必要なのです。自分の核や「もともとあった気持ち」について相手に伝わりやすい形で伝え、相手に大切にしてもらうことが重要なのです。

目の前の相手に「今」感じている気持ちなのか

どちらの「もともとあった気持ち」が要因なのかを整理する方法のひとつに
「今の自分の気持ちは、本当に目の前の相手に感じている気持ちなのか?」と自問自答してみる方法があります。

「もともとあった気持ち」は自分の核が形成した気持ちであるとご説明しました。

自分の核は、自分の過去-現在-未来を統合して存在すると考えられています。

現在の科学では、過去-現在-未来を行き来することはできません。しかし、心理学的に考えると、人は自分の核を通して、過去-現在-未来を行き来することができるのです。「過去の恩師の言葉を支えにして、現在頑張る」「成功している自分を思い描いて、現在頑張る」などがその例です。現在に存在していながら、自分の核を通し、記憶を遡り過去の人と会ったり、未来に行って成功をおさめることができるのです。過去-現在-未来を行き来することで、人は支えられています。

その一方で、この機能により、現在が見えにくくなることがあります。「今ここで」の体験をすることが難しくなるのです。そして、自分の過去や未来が現実を上回って体験されることがあります。

「ケンカの際に、過去の話を持ち出して更に激化すること」は身近にもよく起こることなのではないでしょうか。このことは、今されて嫌だと感じていることが、過去にされた体験と結びつき、現在の怒りを増幅されているからです。
末っ子のお子さんが大きくなっても、ずっと小さな子どものように感じることはないでしょうか?ご自身の過去の印象が強く、現在のお子さんの姿と結びつきにくいからです。

自分の気持ちに目を向けたとき、今の自分の気持ちが、
・「自分はこうしてきた」など自分の過去の経験に基づく言葉
・「自分はこうなって欲しい」「こうしたい」などの自分の未来への願望を表す言葉が出て来ている場合は、
目の前の相手に「今」感じている気持ちではなく、「もともとあった気持ち」が変換された気持ちである可能性があります。

その場合は、ご自身の「もともとあった気持ち」が強く動き、相手を受け入れられないために、関係性にこじれが生じている可能性が高いと考えられます。反対に、相手の発言がこれらに当てはまるようであれば、「相手のもともとあった気持ち」が強く働いている可能性があります。お互いのもともとあった気持ちがどのような循環を生んでいるのか、相手の発言もよく聞いて分析してみましょう。

関係性の悪循環を止めるためには、「今ここで、目の前にいる人との関係性」に焦点を当てて考えることが大切なのです。

まとめ

今回のコラムでは、自分の気持ちに目を向ける、自分の気持ちについて考えるの次のステップである「自分の気持ちを整理してみること」、整理するためのポイントに焦点を当ててお伝えしました。

1.関係性上の課題が起きた時は、どちらの「もともとあった気持ち」が要因なのか、関係性の課題なのか、刺激は何か、これら3つのポイントで分析して整理してみること
2.どちらの「もともとあった気持ち」が要因なのかを整理することは、お互いが尊重される方法を一緒に見つけるために必要であること
3.整理する方法のひとつに「今の自分の気持ちは、本当に目の前の相手に感じている気持ちなのか?」と自問自答してみる方法があること
4.人は自分の核を通して、過去-現在-未来を行き来すること。そして、その機能により、人は支えられている一方で、現在が見えにくくなってしまうこと
5.今の自分の気持ちが、過去形の言葉未来形の言葉である場合は、目の前の相手に「今」感じている気持ちではなく、「もともとあった気持ち」が変換された気持ちである可能性があること
6.「今、目の前にいる人との関係性上で感じている気持ち」に焦点を当てて考えることが大切であること
をお伝えしました。

ご自身で積み上げてきた過去も、これから築こうと思っている未来も、自分の核を形成する上で、とても大切なものです。そして、今までの積み重ねの結晶であり、今後の輝きに繋がっていく「今ここで」の体験もとても大切です。

大切な人を大切にすることとは、ご自身の核を守りながら、相手の核も守ることです。

自分の過去や未来の体験が現実を上回って体験されると、「今ここで、目の前にいる人との関係性」を体験することが難しくなってしまいます。「今ここで」を大切にするためには、引っかかっている過去や、なりたい未来の自分について、言葉にしていくことがとても大切です。自分の中に留めるだけでなく他者に言葉にしていくことで、何が自分にとって大切なのかを整理することができます。その際にも、ぜひカウンセリングをお役立てください。

次回は、引き続き、「自分の気持ちに目を向けて、整理してみる」について書かせていただきたいと思っております。自分の気持ちの「語尾」を確認してみるについてご紹介します。

3月が皆さまにとって、素敵な別れの体験と、新たな出会いの準備のできる1ヶ月となりますように。
また4月にお会いしましょう!


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Writing by 水野

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