COLUMNコラム

【精神科医が解説】マッチングアプリの心得5<タイミングを間違えない!>

こんにちは!所属精神科医のT.Sです。

このコラムでは、

私が精神科医として患者さんと接する中で手に入れ、磨き上げてきた様々な武器
つまりは「幸せになるコツ」

を紹介しています。

さて、ここのところ「マッチングアプリ」シリーズを連載しておりますが、ついに今回がその締めくくりとなります。
※「アプリ」と表記していますが、アプリでなくとも同様の「サービス」全体を含みます。

そして今回の記事のテーマである「プロフィール文章の書き方」は特に、現実世界でのコミュニケーション能力を色濃く反映すると言っても良いポイントです。

これは逆に言えば、「プロフィール文章の書き方」が洗練されるほど、現実世界でのコミュニケーションも洗練されていく可能性が高い、ということです。

マッチングアプリを制するために必要な力は、現実世界を制するのも大いに助けてくれます。

マッチングアプリを題材に、幸せを掴むためのメンタルトレーニングを始めていきましょう!

例のごとく、最初に軽くこれまでのおさらいをしておきます。

今回がシリーズ第5部になるわけですが、第1〜4部では以下のようなことを書いてきました。

◯みんながやっていることを、ひとまずは同じようにやろう
◯そのために、「嘘」というベースメイクを上手に使おう
◯その後ゆっくりと、自分の個性をアピールしていこう

マッチングアプリを上手に使って素敵な出会いを引き寄せる人は、リアルワールドでも世渡り上手 であることが多いです。
(良くも悪くもそういう表現をしておきます)

世渡り上手な人は、普段から「相手に好かれるにはどうすればいいか」「何をしたら嫌われるのか」にアンテナを張っています。
つまり、「自分は相手の目から見てどう映っているだろうか?」と “自分を客観視する能力” に長けているのです。

だからこそ、ある場面では自分を出しすぎず周囲に合わせ、ある場面ではここぞとばかりに自分の良さをアピールすることができます。
その舞台が現実世界からアプリになったからと言って、突然その能力が失われる、なんてことはまずありません。

さて、この “自分を客観視する能力” は、プロフィール文章の書き方に大きく関わってきます。

なるべく多くの人に好かれる文章を書くためには、「この文章を読んだ人はどう思うだろうか?」と客観視できる能力が必要不可欠だからです。

そしてマッチングアプリのプロフィール文章は、現実世界における「はじめましての挨拶」に相当します。
相手に自分のファーストインプレッションを刻み込む、めちゃくちゃ大事なプロセスです。

プロフィール文章を書くときのポイント

それでは、プロフィール文章を書くときのポイント、注意点についてお話ししていきます。

まずは大前提として、文章を書く上で最低限気をつけるべきポイントを挙げてみました。
これは私が今までの記事でも一貫して伝えてきた、「ヤバそうな奴だ、と思われないことが一番大事」という大原則を基にしています。

1. ギャル文字、オタク文字、ネットスラングなどを使わない
「よろしくですwww」「ウチゎ二十歳のOLです〜」
こういった文章は知性の無さをアピールしているようなものですから、きちんと標準語を使いましょう。
ちなみに、“www” などを普段から使うなとは言っていませんよ!(私も使いますww)。
プロフィール文章という初めましての場面では控えておきましょう、ということです。
その後個人的にやり取りするようになったら、相手の出方を見ながら小出しにしていくと良いでしょう。

2. 絵文字や顔文字を多用しない
時折、呼吸するかのように絵文字や顔文字を多用している人を見かけますが、「必死に若さをアピールしている」というイメージを持たれがちです。
また、“なんとも言えない不気味さ” が漂うので、控えたほうが良いでしょう。

3. 文章全体の長さが、長すぎたり短すぎたりしない
自分のことをいっぱい知ってもらいたい!という情熱から、「楽天市場の商品ページかな?」というほどの長文を書いてしまっている人がいます。
ほぼ確実に、読んでもらえません。途中までしか読まれない、という次元ではなく、ページを開いた瞬間に立ち去られます。
他の人のプロフィール文章の長さを参考に、適度な長さを心がけてください。

4. 誤解される表現は避け、具体的にイメージできる文章を心がける
たとえば「数十カ国の海外渡航歴あり」と書くときも、それが仕事なのか旅行なのかまで丁寧に書くと誠実さを感じられます。
それだけでなく、それが仕事であれば「転勤や出張が多いのかな?」と生活スタイルが想像できるし、旅行であれば「フットワークが軽くてアクティブな人なんだな」と、お付き合いをする相手としてのイメージが湧きやすくなります。

…他にも書こうと思えば色々浮かびますが、ひとまずこれくらいにしておきましょう。

さて、ここまで実践できたら、次はプロフィール文章の内容について考えていきます。

徹底していただきたいのは、文章を読む側の視点に立つ、ということです。
そしてこれに深く関わっているのが、 “自分を客観視する能力”  というわけです。

究極に重要なのは “タイミング”

実際に対面で人と会う場合は「この人なら自分に興味を持ってくれそうだな」と肌感でわかるときもあります。
しかしマッチングアプリでは、どんな人がプロフィールを読んでくれるか分からないため、不特定の相手に対して「相手の立場に立つ」ということも具体的にイメージできません。

ですので、「自分は “相手” の目から見てどう映るか」ではなく、「自分は “多くの人” の目から見てどう映るか」という考えに切り替えてください。

さて、文章を読む側の視点に立つ と言いましたが、噛み砕くとその手順は至ってシンプルです。

しかしこれが、私がみなさんに絶対に覚えて帰っていただきたいポイントでもあります。

◯はじめは無難なキャラクターを作っておく
◯個性の強い話やネガティブな話は “然るべきタイミング” まで寝かせておく

どうして私がここまで強調するのか?

それは、このたった2つの手順を踏めていないせいで、良好な人間関係を築けなかったり、勘違いされたまま終わってしまう人をたくさん見てきたからです。

この人が「このタイミングで・この話をしたら、相手はどう思うか」をちゃんと考えることができていれば、
周りの人からもっと好印象を抱いてもらえるのになぁ…

マッチングアプリだけの話ではなく現実世界でも、そんな人をたくさん見てきたからです。

さて、見出しにも書きましたが、究極に重要なのは “タイミング” です。これに尽きます。

この “タイミング”について、もう少し掘り下げて説明していきましょう。

先程お伝えしたとおり、マッチングアプリのプロフィール文章は、現実世界における「はじめましての挨拶」に相当します。
ですので、文章の書き方についてこれから述べていきますが、これを「現実世界の出会いの場での会話」に置き換えてイメージしながら読み進めてください。
紹介された相手との初デート、合コン…どんな場面でも構いません。さらにはビジネスなど、恋愛以外の場でも応用がききます。

これこそ、「他人が自分と接するときにどう感じるか」を考える訓練になりますよ!

アバタもエクボ

「はじめまして!◯歳、仕事はOLです。休日はボクシングをしています!」

とある女性Aが、このようなプロフィール文章を書いたとします。

最近はエクササイズとしてのボクシングも流行ってきてはおりますが、このようなプロフィール文章を読んだ時、その女性に対して「強い」というイメージを抱く男性は多いのではないでしょうか。

そしてこのイメージは、プロフィール文章にどんな意図があろうと、読んだ男性が「俺が守ってあげなくても大丈夫そうだな…」という考えや、場合によっては「なんか怖そうだな…」という苦手意識に至るリスクをはらんでいます。
(「守ってあげたい」と思う男性は時代錯誤だとか、そんな男はひ弱すぎるとか、そういう議論はここではしません!)

そう考えてしまった男性は、女性Aから離れていきます。
これって、恋愛においてはちょっぴり(だいぶ?)不利ですよね。

さて、ここで同じくボクシングの趣味を持つ別の女性Bがいたとしましょう。
この女性Bはプロフィール文章で、

はじめまして!◯歳、仕事はOLです。休日は友達とカフェに行ったりしてます!

などと無難な自己紹介に留めました。

苦手意識という点で考えると、「ボクシングジム」よりも「友達とカフェ」の方が受け入れる男性は多いでしょう。
ですから、女性Aより女性Bの方が、メッセージのやりとりや実際の出会いに発展する確率も上がります。

さて、その後しばらくはボクシングのことに触れず、特定の男性と良い雰囲気のやり取り(LINEでも対面でも)を重ねたとしましょう。
男性は女性に対してなんの苦手意識も持っておらず、むしろ好意を抱いているような状態を想像してください。

そのタイミングで、女性Bが

「あれ、言ってなかったっけ!休みの日はボクシング通ってるんだよね」

と話したとします。
すると相手の男性はこう思うわけですね。

ボクシングジム!?そうか…ちゃんと体型キープのために努力してて凄いな…なおさら好きだわ…

分かりますでしょうか、この違い。

どちらの女性もボクシングに通っているという事実はなんら変わりないのに、男性の脳内ではものすごい差が生まれているわけです。

ハッキリ言ってこの男性、単純ですよね。笑 読んでそう感じた人もいるでしょう。
ポジティブに受け止めすぎ!そんなやつばっかりじゃない!と思うかもしれません。

しかし、「アバタもエクボ」という言葉が今にまで伝わっているくらい、人は好意を寄せた相手のあらゆる部分が長所に見えてしまうものなのです。

さて、では振り返ってみましょう。
女性Aと女性Bで、なぜここまでの差が出てしまったのでしょうか。その違いはいったい何だったのでしょうか?

自分の趣味を打ち明けた“タイミング”、ただそれだけです。

もしかしたら、女性Aはこう考えてプロフィール文章を作ったのかもしれません。

ボクシングに通っていることは、自分の誇り!
たしかに、男性から一歩引かれることは多い…
でも私は、本当の自分を隠し偽ってまで、男性に好かれたいとは思わない!
だから、ありのままの私を受け入れてくれる男性を探すためにも、私はボクシングのことを隠したくない!

しかしこれを客観的に見てみると、ボクシングのことを最初にカミングアウトするという行為は、

「わたしってボクシングな女なの。他のことには注目しなくていいわよ!」

と言っている様なものなのです。
きっと彼女にはそれ以外にも魅力があるはずなので、これは大変勿体ないことです。好意を持ってくれる男性の幅を狭める行為でもあります。

対して、女性Bはどうでしょうか。
女性Bは、ある程度良好な関係性を築いたタイミングでボクシングをカミングアウトしただけなのですが…

自分の魅力を順々に全て相手に分かってもらえる可能性が、飛躍的に高まっていますよね!

そして勘違いしていただきたくないので重要なことを述べておきます。

はじめのうちにボクシングについて話さないということは、「偽りの自分を演じた」のではありません。

これは、自分の魅力を最大限効果的に伝えるための自己プロデュースの一貫に過ぎないのです。

言うまでもなく、ボクシングジムに通っているなんて素晴らしいことです。
それを最大限「魅力」として受け入れてもらうためにも、その話をするタイミングを間違えてはいけません。

 

ここまではボクシングを話題に挙げましたが、自分のコンプレックスやネガティブな話についても同じことが言えます。
つまり、話す “タイミング” が重要です。

これは友人女性の話ですが、とある男性から2回目のデートで「俺、不眠症で睡眠薬つかわないと眠れないんだ」とカミングアウトされました。
結果どうなったかというと、彼女の中で芽生えつつあった恋愛感情が急速にしぼんでしまい、結局お付き合いには至らなかったようです。

そしてその後、彼女は別の男性とお付き合いしましたが、付き合ってしばらくした後、彼が不眠症で睡眠薬を使っていることを知りました。
そのとき彼女が抱いた感情は、一人目の彼のときとは打って変わって、「そんなに苦労してまで頑張ってるなんてすごいな…私が支えてあげたいな」でした。
結局彼女はその彼と交際を続け、最終的にその方とご結婚されました!

このように、物事はそのタイミングが違うだけで、その後の展開が大きく変わってくることも少なくありません。
「もしかしたら相手がネガティブな感情を抱くかもしれない」と思った事柄に関しては、伝えるタイミングをしっかり見定めることが重要です。

そしてその“然るべきタイミング” とは、ある程度仲良くなってお互いに良好な関係性ができたときであり、プロフィール文章やはじめましての挨拶ではありません。

好きという気持ちによってアバタはエクボに変わりますが、その気持ちがなければアバタはアバタのままなのです。

マッチングアプリの使い方は、アナタが決めるもの

私が紹介したのとは全く違った考え方をもとに行動し、素敵な出会いに巡り合った人も沢山いるでしょう。

しかし、相手の立場に立って自分を客観視し、適切なタイミングで自己アピールする能力は、必ず鍛えておくことをオススメします。

これまで伝えてきたのは、守破離の「守」の部分です。
今後自分の魅力をアピールしていくために、まずマスターするべき基礎といえます。

ですので、この基礎が固まってきたと感じたら、敢えて型を破ることをしてみてもいいかもしれません。

私事で恐縮ですが、私は「狩猟免許」を持っています。
つまり、合法的に鹿や猪、鳥などの動物を狩ることができます。

私にとって、狩猟免許を持っていることは1つのアピールポイントであり、人によっては私に興味を持ってくれるきっかけになります。

ただし、多くの人にとっては狩猟など魅力的でもなんでもなく、むしろ恐怖を感じたり、残酷だと非難する人の方が多いだろうということも理解しています。

だから、マッチングアプリなどで「ひとまず多くの人から好印象で認知してもらいたい」と思うときには、プロフィール文章にわざわざ狩猟免許のことを書いたりしません。しかし逆に、「狩猟に興味を持つ人にだけ出会いたい」という場合は、敢えて書いても良いと考えます。
(ただしそうは言っても、やり取りをしてみる中で “タイミング” を見計らって伝えてみることが多いですが)

このように、必ずしも常に正解が用意されているわけではなく、方法は無限にあります。

ただ、私はこれまで5回の連載の中で、「マッチングアプリや現実世界で良好な人間関係を作る上での、多くの人にとっての最適解」を考え、紹介してきたつもりです。

そしてそれも踏まえた上で言ってしまいますが、マッチングアプリの使い方は本当に人それぞれ自由なのです。

例えばですが、マッチングアプリで「友達を作ってはいけない」という規約など読んだことはありませんよね?

私個人としては、マッチングアプリで恋人を探すのではなく、むしろ「趣味や気の合う友達」を探す場だと割り切ったほうが案外うまく行くんじゃないかと思っているくらいなんです。
特に趣味に至っては、絞り込んでお相手検索をかけることもできるので、現実世界よりマッチングアプリのほうが効率的に相手を探せるでしょう。

普段の出会いで、友達というステージをすっ飛ばしていきなり恋人になることは、ほとんどありません。
それなのにマッチングアプリでそれをやろうとするから、どこかでガタが来るのです。

それに加えて、誰かと友達になるときに「この人は年収◯万だから友達になれない」とか「身長が低いから友達になれない」などと考える人って、まずいないですよね。
でも、マッチングアプリではいきなり恋人を探そうとしてしまうから、自分が定めた条件をクリア出来なかった人は切り捨ててしまいます。

その結果、出会いの数は限りなく制限され、自分の首を締めてしまうのです。

特定の趣味が好きな人の周りには、その趣味が好きな人が集まります。
もしかしたら、趣味も気も合いそうなのに年収や身長を条件に切り捨てた人の「友達」の中に、自分の運命の相手がいたかもしれないのです。

マッチングアプリは、「運命の人」ではなく、「運命の人を連れてきてくれる友達」を見つける場所。

そう捉えることができたらどうでしょう。

アプリで誰かと知り合い、その人とたとえ恋人にならなかったとしても、共通の趣味を持ち気の合う友達が一人増えるだけ…
なんともハッピーな話じゃないですか!
(とはいえ、マッチングアプリは “多くの人にとって” 友達を作る場ではないため、実際にはうまく行かないかもしれませんが…)

 

さて、これまでの連載を通じて、マッチングアプリを題材にお伝えしたいことはほとんど語り終えたように思います。
長きにわたってお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

繰り返しお伝えしましたが、マッチングアプリを制するために必要な力は、現実世界を制するのも大いに助けてくれます。

そして、その使い方に決まりはなく自由なのと同様に、マッチングアプリから何を学ぶかも、利用するアナタ次第です。

マッチングアプリシリーズは今回でおしまいですが、これからも日常のあらゆるものを題材に、「幸せになるコツ」を一緒に探していきましょうね!

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

 

※このシリーズは、以下のリンクからご覧になれます。

【精神科医が解説】マッチングアプリの心得1<”嘘”の重要性とは?>
【精神科医が解説】マッチングアプリの心得2<〇〇だ、と思われないことが最重要>
【精神科医が解説】マッチングアプリの心得3<まずは “あばた” を隠す>
【精神科医が解説】マッチングアプリの心得4<プロフィールの作り方>
【精神科医が解説】マッチングアプリの心得5<タイミングを間違えない!>


 

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Writing by T.S

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